天龍源一郎がIJシングル王者決定トーナメント1回戦を総括「今日はみんな硬かった。ジュニアのムーブメントとか動きじゃなかった」
25日、東京都・新木場1stRINGにて天龍プロジェクトが『SURVIVE THE REVOLUTIONVol.3』を開催し、HUB、新井健一郎、TSUBASA、拳剛の4名がIJ第21代王者決定トーナメント準決勝進出を決めた。
天龍プロジェクトは、天龍源一郎の個人事務所及びプロレス団体であり、2015年に天龍が引退を迎えてからはプロレス団体としての活動を休止していた。しかし、昨年11月の天龍の引退5周年記念大会の開催を機に精力的な活動を再開し、今年4月から定期的な大会開催を宣言。かつてWARで存在していたIJベルトが復活し、この日からインターナショナルジュニアヘビー級シングルベルト次期王者決定トーナメントが開幕した。
この日はIJ第21代王者決定トーナメント1回戦としてHUBvsTORU、菊タローvs新井健一郎、TSUBASAvsMAZADA、拳剛vs"brother"YASSHIの4試合が実施。
今トーナメントでは天龍が本部席から見守っているということもあってか、普段はコミカルな試合運びを見せる選手やトリッキーな動きを見せる選手もこれを抑え、じっくりとした関節の取り合いや手堅いグラウンドレスリングで普段は見せない隠された技術・実力を見せつける選手もいた。
かつて道頓堀プロレスでしのぎを削ったTORUvsHUBの試合は、HUBが徹底した足攻めでTORUを苦しめ、熟練の技術で試合を支配。TORUも得意のフロントスープレックスで流れを変え、シャイニング・ウィザード、Dガイスト、垂直落下式ブレーンバスターなど必殺技のラッシュをかけるが、これをすべて受けきったHUBが猛毒波布空爆(ダイビング・ボディプレス)で勝利。
日本人随一のテクニシャンとして知られる菊タローvsアラケンの試合は、5分以上互いの手首を離さぬリストロックの応酬で場内を静かな興奮に包み、終盤には天龍源一郎vsランディ・サベージの試合をこよなく愛するアラケンがダブルアックスハンドルを見せるなど躍動。最後は互いに目まぐるしいエビ固めのシーソーゲームを展開し、アラケンが一瞬の勝機を逃さず押さえ込んで3カウント。
ともにメキシコでルチャ・リブレを修めているTSUBASAとMAZADAの試合は、序盤から互いにありとあらゆる形から入るアームドラッグの応酬となり互角の攻防を展開するものの、MAZADAが得意のラフファイトでペースを握って終始圧倒。MAZADAは笑顔で観衆へコールを煽っていく余裕を見せるものの、その隙を突いたTSUBASAが水面蹴りで倒してからのシューティング・スタンプで反撃し最後はラ・マヒストラルで3カウント。
かつてVOODOO-MURDERSのメンバーとしてともに天プロへ乗り込んできた過去を持つ拳剛vsYASSHIの試合は、互いの想いを確かめ合うかのようなエルボー合戦や、ラフファイトにはラフファイトで返す真っ向勝負となる好試合に。YASSHIは天龍の眼前でのWARスペシャルをやフライング・ビッグヘッドを決めて追い込んでいくが、YASSHIの顔面へのヘッドバッドを耐えた拳剛がトラースキックを突き刺し、ダイビング・ダブルフットスタンプからの垂直落下式ブレーンバスター2連発で勝利をもぎ取った。
これにより、準決勝はHUBvs新井健一郎、TSUBASAvs拳剛に決定。準決勝および決勝戦は6月12日の新木場大会で行われる予定だ。
全試合終了後、天龍は「ちっちゃな天龍プロジェクトですけど、こういうコロナで娯楽のない世の中で敢えてプロレスをやって意地を見せて試合でありますけど、ここに皆さんが足を運んでくれるからレスラーの人たちは一生懸命闘っていけるんだと思います。本当にありがとうございます!」とファンに感謝の気持ちを伝え、最後は観衆とともに「エイエイオー!」と拳を突き上げて大会を締めた。
バックステージに戻った天龍は、「(会場に)来なければ来ないで済むんだろうけど、来てプロレスを応援してやろうという心意気が嬉しいね。あと、リングの中で若い人たちが弾けるのを見て常に刺激を受けるよ」と笑顔を見せる。
そして、トーナメント1回戦を総括した天龍は「今日は硬かったね、みんな。勝敗を結ぶっていうのと、なんか勝ち抜き戦、トーナメントっていうのでみんな、ちょっと硬かったね。だって、ジュニアのムーブメントとか動きじゃなかったもん、みんな。俺がこう言ったら次は多分みんなハツラツとやってくれるとは思うんだけどね。(本部席で解説を務めた)大谷(晋二郎)の明朗快活な喋りが心地よくてね。それで試合が見逃されたってのはあるよ。みんなビデオ見るだろうから、見て、また反省して。次もう準決勝と決勝だからね。ちょっと違った闘いをしていくだろうなというのを期待してます」と選手個々が本来持つ魅力を最大限に出して欲しいという思いを語った。