義足で復帰の谷津嘉章が上々の仕上がり具合を披露!「俺は燃えてますよ。この義足で全開で行けってことだから」
「CyberFight Festival 2021」(6月6日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)での「時間差入場バトルロイヤル」で義足を装着して2年ぶりに復帰する谷津嘉章が5月26日、都内のDDT御茶ノ水道場で公開練習を行い、上々の仕上がり具合を披露した。
CyberFight・高木三四郎社長の同級生である川村慶氏が代表取締役を務める川村義肢株式会社が製作したプロレス用の義足を着けた谷津は、DDTの若手選手・中村圭吾を練習パートナーに、ロープワークからショルダータックル、義足でのキック、ブルドッキングヘッドロック、フロントスープレックス、パワースラム、裏投げなどを試した。さらにブレーンバスターで投げられた際の受け身も確認。フィニッシュホールドの一つでもある監獄固めを決めると、中村はたまらずギブアップし、万全ともいえる動きを見せた。
練習後、囲み取材に応じた谷津は「試合でやるより、ちょっと動いたかもしれない。実戦はまた違うから。こんな風にできることはあり得ないけど、実戦はこんな風にやりたいなと。ただ立つところがね。(義足は)足首が動かないでしょ。立つときに狙われますね。そういうときは逃げるしかないね。(スープレックスは)あのぐらいできれば。俺は足があって現役のときは裏投げなんてやったことなかった。裏投げでもパワースラムでも、スープレックス系の技はこの義足でもできます。あと流れですよ。どういうときに、それを使うか。それは義足をつけて実戦で経験しないと。たまに、これ(義足の裏の部分)が取れるんですよ。これがなかったら、蹴ったらもっとひどい。ある程度、設計上取れるようになってるみたいです。あと、これは殴るためにあるんですよ(笑)」と笑みを浮かべた。
義足での蹴りは強烈だが、谷津は「これ取ってストンピングやったらもっとすごい。あれは効きますよ。DDTのルールは『それは禁じ手だ』というのはまだないから。今のうちに禁じ手に近いのをやっておこうかと。そのうち禁じ手になったら、蹴っ飛ばしたらまずいでしょ。ここでやっても受けてもらってるだけだから。実際やってみないと、いい方向に向かえばいいけど、悪い方向にいっちゃうかもしれないし。だから俺は燃えてますよ。この義足で全開で行けってことだから」とコメント。
蹴りについて、さらに谷津は「(義足は)生身じゃないから、やっちゃたら大変なことになっちゃうから。かと言って、やらないと自分もダメになっちゃう。多少は当たってもしょうがないないかなと。みんなは鍛えてるから一発くらいもらったっていいんじゃないかと。かなりトラースキックとかストンピングとか練習してますから。ただ、ある程度試合前に10分くらい感覚をつかんで臨まないと、たぶん乗り切れない。(ふだん)履いてる義足と、この義足は違うんで。当日は試合会場に行って、この義足のメーカーさんと微調整をもう1回して。ウォーミングアップと同時に調整してから、自分のカードに臨むつもりです」と話した。
「義足の強度に不安は?」との問いに、谷津は「ないです。最初は慣れてないので、慣れるまで10分。立つときがどうも。自力でもうちょっと早く立たなきゃいけない。ヒザがない分立てない。足首も動かない。そこを体幹でどうやって早く立てるか。ロープをつかまずに立てるかということ」と語った。
気になるのは、今後バトルロイヤル以外の試合形式に挑むことになるかどうかだが、谷津は「やってみないと未知数ですから。頭のなかでいろいろ想定してますけど、当日になったら、その想定がぶっ飛ぶんじゃないかと思ってます。やってみないとわからない。受ける方も初めて受けると思うので、どっちも初体験みたいなところがありますんで、何とも言えないですね。1回やってしまうと、ある程度見えてくるかなと思うんですけど。自分が胸張ってドヤ顔になっちゃうかもしれない。それか苦しくなるかのどちらか」と述べた。
公開練習でギブアップを奪った監獄固めについて、谷津は「監獄ロックは有効ですね。あとは足4の字固め。ニードロップは右じゃできない。足が曲がらないから。監獄固めは一つのパターンとして、ブルドッキングも、ほかのスープレックス系も全部ある程度できるんで。立つのがちょっと苦手なだけで、あとはいい感じ。DDTさんの義足に対するレギュレーションが厳しくなった場合は、また考えて。今のところは無法なんで」とニヤリ。
さらに、谷津は「これ(義足)つけたら、本当に気合入れてやったら自分の方が強いですよ。こんな凶器持ってるんだもん。(外して殴っても)今のうちがチャンスですね。体の一部で認めろと。義足を絡めておもしろい動きも,経験積みながらつくっていく。義足ならではのことは、実戦で覚える感じがします」と主張。
復帰戦まで、あと11日に迫ったが、谷津は「2年越しですからね。(ブランクが)長くなると、体が冷めてくると思うんで。明日でもあさってでもいつでも来いみたいな感じで。残された時間で、もう1回技の検証ですね。もう1回くらい、地元のリングを使って、地元の後輩を使って検証してみようと思ってます。あとは普通の毎日やってるルーティーンでやるしかないですから、トレーニングは。ここまで熟せば、いつでもやりたいなという感じ。武者震いというか、ブルッときますね。早くやりたい。対戦相手がほしい。という感じです」と高まる胸の内を吐露した。