【[DDT2月14日(日)『KAWASAKI STRONG 2021』 決戦直前インタビュー】“DDT UNIVERSAL王者“上野勇希はなぜ“世界の荒鷲二世”坂口征夫を挑戦者に指名したのか?コロナ禍で世界を意識するその思いとは?
2月14日にDDTプロレスが2000人規模の会場であるカルッツかわさきに初進出を果たす。小橋建太さんの来場や、メインイベントで秋山準が遠藤哲哉の持つKO-D王座に挑戦するなど注目を集めている本大会だが、セミファイナルではDDT UNIVERSAL王者である上野勇希が次期挑戦者に“世界の荒鷲二世”坂口征夫を指名した。
上野はなぜ世界の名のつくベルトに坂口を次期挑戦者として指名したのか?大会を直前に控えその思いを聞いた。
■僕のこと常に意識してくれてるんだなという愛のメッセージだと思ってます
――このDDT UNIVERSAL王座はコロナ禍の昨年2月に初代王座戦が行われたベルトになりますが、王者としてどのようなベルトだとお考えでしょうか?
「このユニバーサルのベルトはですね、そもそもは世界に発信していくベルト。世界で闘えるベルトというのをコンセプトに作られたベルトです。その面で最初このベルトを争ったのは竹下幸之介とクリス・ブルックスという選手で、僕はそのクリスから紆余曲折を経て取ったわけです。このベルトのコンセプトと言うか、このベルトの役割というのは世界に向けてのベルトですね」
――その世界には上野選手は王者としてどのように届けていきたいのでしょうか?
「このベルトができて少し経って、世界がこういう形になってしまって。このコロナがあって、世界に行けなくなったわけですよね。僕もこのベルトに関わるもっと前にアメリカで試合することが決まっていたんですけどそれがなくなったり、もっと言うと今までのチャンピオンの佐々木(大輔)さんだったりクリスだったりももっともっと世界でやっていくっていう心持ちだったと思うんですけど、なかなか物理的に行けなくなってしまって。去年は2021年はもっとこの閉鎖された世界が開かれると思ってたと思うんですけどなかなかまだまだ、その土地土地で頑張っていくしかない。このユニバーサルのベルトが世界で闘えなくなった時に、僕が思うのはレッスルユニバースとか映像で今は色んな国で色んな人に色んな形で伝えられると思うんですけど、このユニバーサルにおける世界の解釈をもっと広げていかないといけないと思っていて、それは1番は色んな所で闘っていきたいなと思ってたんですけど、今はもっとこう、伝えることから、闘い方から、発信方法から、自分がやっているプロレス以外の事に関してもユニバーサルのチャンピオンとして色んな事をやっていくことで広げていきたいと思っている状態です」
■お客さんが強そうか弱そうかって見た結果が人としての強さに繋がることでもない
――その思いを持っている王者が、なぜ坂口征夫選手を指名したのでしょうか?
「さっきの話にも続きますけど、世界というものに向けたいというだけで、そこに捕らわれていても何も進化しない。僕は別にこのベルトのためだけに頑張ってるわけではなくて、自分のためにこのベルトを使いたい。その中で、色んな角度から見た世界に広げたいだけで、世界を知るにはやっぱりまずは自分が気になっているところから埋めていかなければ広がるところも広がらないですから。全然その、小さく固まってるから坂口さんを選んだわけじゃなくて、逆にもっと知ってもらうための一つの大きな選択です。あんまいないじゃないですか外の世界には、坂口さんみたいな昔ながらの怖い人って(苦笑)そういう人を、坂口さんを挑戦者に指名した理由はすごく私怨なわけですけど、ザ・日本代表みたいなところはありますよね。これは後付けですけど(笑)興味は持ってもらえる対戦相手だと思ってます」
――挑戦者である坂口選手はインタビュー中に乱入し絞め落としてきたり、会見でもボディブローを叩き込まれたりと傍若無人な態度が目立ちます
「傍若無人というか、別にコメント中に絞め落とされようが、会見中に殴られようが、試合で絞め落とされることに関してはとくに警戒をすることにはなりますけど、ベルトを奪って写真を撮って『俺のほうが似合ってる』と言われようが、僕がチャンピオンであることに変わりないですから。そんな坂口さんが僕のこと常に意識してくれてるんだなという愛のメッセージだと思ってます。そこに関しての焦りはないですけど、試合でやられてる、試合で見せてくる技術とか攻撃力は非常に警戒してます」
――会見で坂口選手に『人間として強いか弱いかだ』とも言われていましたが、フィジカル的な強さを感じていますか?
「人間としての強さというのは坂口さんが言っている部分はどれに対してなのかは、坂口さんも無駄なことは言わないタイプですからどういう事なのかわからないですけど、フィジカルと言っても、ベンチプレスとか重いもの持ち上げるのは僕のほうが強いかもしれないですけど、人を的確になぎ倒す力は坂口さんの方が上だし。人を速やかに絞め落とす能力も坂口さんのほうが上だし。でもプロレスって別に殴って絞め落とすだけではないので、もっとこう縦横無尽に動けるし、あのリングは広い世界だと思うので、端的にお客さんが強そうか弱そうかって見た結果が人としての強さに繋がることでもないですし、僕のほうが強いですよとはもちろん結果的にも、この1ヶ月闘って来た中で言えないですけど、もちろん負けてるとも思わないし、勝てます。勝ちます」
――上野選手と坂口選手の間ではタッグの王座をかけて今までやりあって来ましたが、シングル王座を賭けてのこの1ヶ月の前哨戦で今までと違う部分はありましたか?
「今までと違うのは坂口さんが僕を殺してやろうという思いが直接的に感じられる。でも坂口さんはどの試合でも手を抜かない人なんで。それは特にKO-DタッグとKO-D6人タッグを連続でやった試合の時から感じてた部分で。その僕にだけ向けられる視線というのは、非常に気持ちいいですね。だからそれ以上に僕も坂口さんのことばっかり意識してますし。これが僕のベルトを落としたくない理由の一つではあります」
――当時タッグ王座戦をともに闘っていたノーチラスへは今どのような思いがあるのでしょうか?
「吉村(直巳)くんが今は欠場していてプロレスが出来ていない。なおかつ、吉村くんからやっぱり休止をしようっていう申し出があって、それを受けて僕はノーチラスとディザスターボックスから離脱したという形なので、今はまたやりたいとかそういうあれではなくて、今はDDTサウナ部というチームもありますし、このベルトを取れて今は王者としてやれてる部分もありますので、非常にこう、僕の中の誇りの一つではありますけど、こだわってる部分はないです」
――戦前の会見では青木真也選手に連絡をとっていると発言していましたが、MMAを習いたいのかメンタル的な強さを学びたいのかなどどのような部分を吸収したいのでしょうか?
「まず青木さんの精神的な部分と、青木さんの発言力とか、自分の思いを相手に伝える、世間に伝える能力というのは気にはなってますけど、でも、今回青木さんに教えてもらいたいのは、MMAよりももっと狭い自分の守り方。特に寝技においての自分の守り方を徹底的に学びたいと思ってます。やっぱり青木さんの発言はいつもオーってなることが多いので、そういうところの話も練習が終わった時に聞きたいですけど、でも1番の目的は自分の守り方、その寝技とか闘いにおいてというところですね」
――ありがとうございました。最後にカルッツかわさきでの王座戦に向けて改めて意気込みをお願いします
「僕がこのベルトを持っていて、広めたいものもたくさんありますし、このベルトで僕の中の世界を広げていきたいですし、今坂口さんに殺されて終わっていたらそんな事は叶わないので、まだまだまだまだ僕は楽しむために坂口征夫に勝ちたいと思っています」
25歳の上野勇希と47歳の坂口征夫ではプロレスに対する思いも闘い方も全く違うものとなっている。しかしUNIVERSALと名のつくこのベルトを持つものが、この配信が中心となっているコロナ禍で注目を浴びることも事実としてあるだろう。
ベルトとともに『人間としての強さ』を賭けたこの闘いは、世代や歴史を越えたプロレスが生まれる予感を感じさせた。
『KAWASAKI STRONG 2021』
日程:2021年2月14日(日)
開始:14:00
会場:神奈川・カルッツかわさき
チケット情報はこちら
https://eplus.jp/sf/detail/0425810001-P0030808P021001?P1=1221
▼ヤネカベ presents KO-D無差別級選手権試合
【王者】遠藤哲哉
vs
【挑戦者/D王 GRAND PRIX 2021優勝者】秋山準(フリー)
※第75代王者は4度目の防衛戦
※特別立会人として小橋建太さんの来場が決定。
▼DDT UNIVERSAL選手権試合
【王者】上野勇希
vs
【挑戦者】坂口征夫
※第4代王者は3度目の防衛戦
▼第3代KO-D8人タッグ王座決定戦
高木三四郎/男色ディーノ/大鷲透(フリー)/大石真翔
vs
青木真也(フリー)/スーパー・ササダンゴ・マシン/アントーニオ本多(フリー)/平田一喜
▼スペシャルタッグマッチ
HARASHIMA/岡林裕二(大日本)
vs
樋口和貞/納谷幸男
▼スペシャル6人タッグマッチ
スペル・デルフィン(海鮮)/クリス・ブルックス/伊藤麻希(東京女子)
vs
MAO/中村圭吾/舞海魅星(東京女子)
▼飯野雄貴復帰戦~DAMNATIONvsALL OUT!
[DAMNATION]佐々木大輔/高尾蒼馬/マッド・ポーリー/火野裕士(フリー)
vs
[ALL OUT]竹下幸之介/彰人/勝俣瞬馬/飯野雄貴
▼スーパー女子プロ大戦~咲乱華~
赤井沙希/雪妃真矢(アイスリボン)
vs
安納サオリ(フリー)/松本都(崖のふち)
▼タッグマッチ
渡瀬瑞基/岡谷英樹
vs
岡田佑介(フリー)/小嶋斗偉