【試合詳細】9・21 全日本プロレス後楽園ホール大会 宮原健斗vs青柳優馬 【世界ジュニア】岩本煌史vs日高郁人 諏訪魔vsゼウス 石川修司vs芦野祥太郎 ジェイク・リーvs羆嵐
『2020 Champion Carnival ~ReOStaff株式会社 presents~』
日程:2020年9月21日(月・祝)
開始:11:30
会場:東京都・後楽園ホール
観衆:634人
▼6人タッグマッチ
大森隆男/力(フリー)/●本田竜輝
5分16秒 CBJ→片エビ固め
[ヨシタツキングダム]○ヨシタツ/岡田佑介/X=MEN’Sテイオー(フリー)
▼2020 Champion Carnival 公式戦 Aブロック 30分1本勝負
[陣]○ジェイク・リー【3勝0敗=6点】
7分32秒 変形腕固め
[Enfants Terribles]羆嵐(フリー)【0勝3敗=0点】
▼2020 Champion Carnival 公式戦 Bブロック 30分1本勝負
[Evolution]●石川修司【1勝1敗1不戦勝=4点】
8分46秒 アンクルロック
[Enfants Terribles]○芦野祥太郎(フリー)【1勝2敗=2点】
▼勝者・世界ジュニアヘビー級選手権試合挑戦権獲得 10人タッグマッチ
ブラックめんそーれ/田村男児/○青柳亮生/TAJIRI(フリー)/ライジングHAYATO(愛媛)
8分43秒 ファイヤーバードスプラッシュ→片エビ固め
イザナギ/●佐藤光留(パンクラスMISSION)/大森北斗/児玉裕輔(フリー)/フランシスコ・アキラ
▼2020 Champion Carnival 公式戦 Aブロック 30分1本勝負
[Evolution]●諏訪魔【1勝3敗=2点】
5分16秒 レフリーストップ
[PURPLE HAZE]○ゼウス【3勝0敗=6点】
▼世界ジュニアヘビー級選手権試合
【第53代王者/陣】○岩本煌史
17分29秒 孤高の芸術→片エビ固め
【挑戦者】●日高郁人(ショーンキャプチャー)
※岩本煌史が2度目の防衛に成功
▼2020 Champion Carnival 公式戦 Bブロック 30分1本勝負
[健斗とイケメンとアキラとHAYATOの大冒険]○宮原健斗【2勝1敗=4点】
22分14秒 シャットダウン・スープレックス・ホールド
●青柳優馬【2勝2敗=4点】
CC2連覇を誓う宮原が久々の“最高マイク”締め!岩本が“岩本式アイル・ビー・バック”も繰り出し日高から世界ジュニア防衛!ヨシタツ・キングダムにMEN'Sテイオーと力が加入?!
第1試合
立花誠吾の負傷欠場を受け、ヨシタツは「負傷した立花の代打として、ある選手を連れてくる。彼はかつてWWEに所属していた。今回を機に、今後もヨシタツ・キングダムの大きな力となってくれることであろう」と声明を発表。
入場時にXとして発表されていた選手の正体がMEN'Sテイオーであることが分かると、歓声を出せない観衆からも思わず驚きと感嘆の声が漏れる。そしてヨシタツがマイクを取る。
ヨシタツ「後楽園ホールの皆様、今日は早くからありがとうございます!ヨシタツキングダムのXは!元WWE、カイエンタイで活躍されたMEN'Sテイオーさんです。言ったら俺の大先輩に当たるわけだ。今後、ヨシタツキングダムの新たな力になってくれるでしょう」
マイクを終えたヨシタツらが奇襲してゴングが鳴り、テイオーが本田へジャンピングエルボー、バックブリーカーからスピニング・トゥーホールド。本田がもう片方の足で蹴飛ばして脱出すると両者タッチ。
ヨシタツと大森の対面になるとショルダータックルでぶつかり合い、ヨシタツはエルボー、大森はチョップで打ち合う。ヨシタツが優勢となるも、大森はビッグブートからのニールキック。さらにアックスボンバーを宣言も、ヨシタツがフロントハイキックで撃ち落として岡田にタッチ。
岡田と大森はチョップで打ち合っていき、岡田がロープに飛ぶも大森はショルダースルーで迎え撃ち、力にタッチ。
力は大森とともにダブルのショルダータックルで岡田をなぎ倒し、大森が岡田を羽交い締めにしながら力へセーバーチョップを求める。力がコーナートップからセーバーチョップを投下も、岡田が回避したため大森に誤爆。岡田はエルボーで攻め込んでいくも、力は逆水平チョップの連打で打ち勝って本田にタッチ。
本田はスピアーからロープに飛ぶが、岡田がカウンターのドロップキックを叩き込んでヨシタツにタッチ。
ヨシタツはフロントハイキックからミドルキック連打で粘る本田をなぎ倒し、ブレーンバスター。これは大森がカットも、テイオーが飛び出してきて大森をローリングエルボーで排除。ヨシタツキングダムの3人で本田にトレイン攻撃を見舞い、テイオーがミラクルエクスタシー。救出に来た力もローリングエルボーで排除し、アシストを得たヨシタツがCBJで本田から3カウント。
ヨシタツ「テイオーさん!今日はどうもありがとうございました!見て!このコスチューム!赤と青。完全に俺に寄せてきている!テイオーさん、これからもヨシタツキングダムのために力!貸してくれますよね?!」
テイオー「ちょ……ちょっと待ってくれ。俺は昔、全日本プロレスのファンクラブだったキングスロードは知ってるんだけど、ヨシタツキングダムはよく知らないんだ」
岡田「知らなくていいです」
テイオー「それに今日、俺の出番が少なくなかった?(笑)まあでも、今日は私の愛すべきこのマーク(リングマットを指差す)!全日本プロレスのリングに上がれて、久しぶりに。嬉しかったです!ありがとうございました!」
(テイオーが先に退場し、ヨシタツがその背中を見送っているとおもむろに力がマイクを取る)
力「ヨシタツ!ヨシタツさん!さっきから、“ヨシタツキングダムの力”って仰ってませんでした?!力って自分のことですよね?!ヨシタツさんがそんなに僕のことを想ってくれていたなんて全然思わなくて……ありがとうございます!祖父・力道山譲りのチョップで、必ずや、“ヨシタツキングダムの力”になりたいと思います!パワーーーッ!!ありがとうございます!」
ヨシタツ「……考えさしてくれ」
力「パワーーーッ!!」
<試合後コメント>
大森隆男
「おいおいおいおい、なんだよ力(ちから)の野郎。この前はワイルド・パワータッグとか言っておきながら、何がヨシタツ・キングダムだ。手のひら返しやがって。力は許さないぞ!」
ヨシタツ
「あのね。「入ってくれ。」「俺が入ります。」「考えさせてくれ。」・・・この流れ、デジャブかなと思ったよ。5年くらい前に何とかクラブというのでやったことあるなって。本当にデジャブかと思った。まったく同じ展開で。自分の中でもビックリしたんですけど。まぁ力については要らないよね(苦笑)。テイオーさんが答えを何も言わずに去っていったから、そっちの方が気になるよね。とりあえず力はいいや。」
力
「今日はですね、ヨシタツ選手が『ヨシタツ・キングダムのちから、ちから』っておっしゃったんで、あれはどう考えても自分のことしかないと思ったんですが。え~、なので自分はヨシタツ・キングダムの力になるように、がんばっていきたいと思います。パワー!ウィー・キャン・ドゥーイット!」
第2試合
2勝0敗のジェイクと、0勝2敗の羆嵐の一戦。試合前に羆嵐が握手を求め、ジェイクがこれに応じると羆嵐も両手でしっかり握手し頭を下げる。
ゴングが鳴るとロックアップから羆嵐が押し込み、クリーンに離れて正々堂々の勝負を誓うも、その後ショルダータックル合戦に打ち勝った羆嵐がジェイクを場外に放り出して鉄柵や鉄柱を使ったラフファイトを展開。「俺が俺の正々堂々じゃ!」と叫んでエプロンからのダイビングセントーンを見舞う。
ジェイクをリングに戻した羆嵐は全体重をかけて踏みつけてからセントーンを発射も、ジェイクがこれを回避してレッグラリアートからジャンピングDDT。体固めから腕十字、三角絞め、クロスフェイスと羆嵐の回避運動に合わせて移行していくが、羆嵐はなんとかロープにたどり着く。
ジェイクはバックドロップを狙うが、持ち上げられた羆嵐が体勢を反転させてプレス。埼玉に乾杯で叩きつけ、ロープに飛んで強烈なラリアット。さらにセカンドロープからのダイビングセントーンを発射もカウントは2。ならばと羆嵐はコーナートップに上がっていくが、ジェイクが地対空ジャンピングハイキックでひるませてからのデッドリードライブ。間髪入れずにジャイアントキリングを叩き込み、変形腕固めでギブアップを奪った。
<試合後コメント>
ジェイク・リー
「・・・ヤバかったぁ。腹の中にあるもの全部出しそうになった。あいつ何キロだよ。・・・とにかくこれで3勝目だ。3連勝だ。俺が大きく一歩リードです。羆嵐、これであんたにシングル2勝目だぜ?さぁ次はどうする?カーニバルが終わった後にあんたがどういう風になっていくか、俺は見ていくから。そしてまたやる時は極めるか落としてやる。」
――これで決勝に行く可能性が高まりましたが?
「もちろん!あくまでブロック突破になるけど、この一勝はかなりでかい。さぁ残すはゼウス戦。またこの前の後楽園のように極めてやりますよ。勝ち点関係なく、俺は全勝でブロックを勝ち抜くことを意識して戦っているから。」
羆嵐
「あぁ。クッソー、なんでだよ。なんでジェイクに勝てないんだよ。途中まではうまく行ってたのにどこからか狂ったんだよ。マジかよ。勝利の女神はどこにいるんだよ。三連敗だよ。腕が痛てぇ・・・。」
第3試合
2勝0敗の石川と、0勝2敗の芦野の一戦。芦野のセコンドには度々介入を繰り返すEnfants Terriblesの児玉&北斗が付くが、芦野が正々堂々の戦いを望むと引き上げていく。
ゴングが鳴るとロックアップで押し込み合い、石川が圧倒的な体格差を生かしてロープに押し込んでから離れ際にエルボー。さらに石川がロープに飛ぶが、芦野はカウンターの低空ドロップキックで石川のヒザを撃ち抜く。
芦野はその後も低空ドロップキックの3連打からミサイルキック。吹き飛んだ石川の足を取ってアンクルロックを狙うが、石川が下から蹴り上げて脱出すると場外に放り出して鉄柵やエプロンに叩きつけ、腰へのエルボー連打と石川も腰への一点集中攻撃で対抗。
その後エルボー合戦となるも上背で勝る石川が有利。芦野は石川のボディスラムやニーリフトも受けきってTボーンスープレックスも、石川はかんぬきスープレックスで投げ返し、串刺しラリアットから怒涛のエルボー連打で芦野をコーナーダウンに追い込んでからダイビングフットスタンプ。
石川はファイアーサンダーの体勢も、芦野は背面に着地して投げっぱなしジャーマンスープレックスからアンクルロック。石川の動きに合わせて柔軟に形を変えながらじっくりと足首をひねり上げていくが、石川は片足で立ち上がって強引にジャーマンスープレックスで叩きつける力技で脱出。そしてランニングニー、ファイアーサンダー、スプラッシュマウンテンと怒涛のラッシュからフォールに行くが、芦野が下から足を取ってアンクルロック。序盤から足攻めを徹底した芦野が嬉しいCC初勝利を挙げた。
<試合後コメント>
芦野祥太郎
「勝ったよ!ヨーシ、チャンピオン・カーニバル初勝利!石川修司に勝ちました。これがメッセージになったと思うよ。俺の身長は174センチ。石川修司選手は2メートルくらいあるでしょう。2メートル10くらいはあるな。向き合ったら凄かったよ。俺は小さいころからプロレスラーにはなれないって言われてきて。でもあんな大きいレスラーに勝ちました。大巨人に。これで全日本の他の選手に強烈なメッセージを送れたと思う。今日のメイン次第では敗退が決まるけど、これはでかい勝利だ。全日本に参戦している中でも大きい一勝。そして言っておくぞ、全日本プロレスファン。俺はなぁ、客に媚びたプロレスはしないんだよ。わかるか、この野郎。全日本プロレスの選手は客に媚びてるだろう。アンファン(・テリブル)は違うぞ。俺たちは俺たちのやり方で媚びずにやっていく。よく覚えておけ、この野郎。介入がなくても勝てるんだよ!・・・以上です。」
第4試合
勝者が世界ジュニア王座への次期挑戦権を得るこの10人タッグマッチは、ルール上ある意味で味方も敵であり、試合前から両陣営で先発を奪い合う小競り合いが発生。
光留とめんそーれでゴングが鳴ると、光留がミドルキックの連打からコーナーに押し込んで左右のボディブロー連打からの水車落とし、すかさず腕十字での秒殺を狙うが、敵味方総出でカット。めんそーれはトラースキックからのスネークスパイクを見舞ってフォールも、再び残る8名が総出でカット。大ダメージを受けた2人をそれぞれ自軍コーナーに引きずっていき、強制的にタッチさせる。
TAJIRIと児玉の対面となると、児玉がショルダータックルでなぎ倒してロープに飛ぶが、TAJIRIはヒップトスで迎え撃ってフォール。北斗がエルボードロップでカットしようとするがTAJIRIが回避したため児玉に誤爆。児玉はナックルを見舞ってフォールに入るも、カットのために放ったHAYATOのエルボードロップがTAJIRIに誤爆。児玉が北斗にタッチし、児玉のショルダータックルで自軍コーナーに吹き飛んだTAJIRIの手がHAYATOに触れてHAYATOが意図せず試合権利を得る。
北斗はエルボー連打からのローリングエルボーを見舞ってコーナーに振るが、HAYATOはコーナーに飛び乗ってミサイルキック。猛烈にタッチを求めるTAJIRIに代わる。
しかし、TAJIRIが即座にエビ固めに入るとHAYATOがカットし「ごっつぁんフォールじゃないですか!(試合権利を)返してくださいよ!」と抗議。TAJIRIがHAYATOをなだめていると北斗が背後からTAJIRIをスリーパーホールドで捕らえ、全員が入り乱れる場外戦に発展。そこへ児玉、アキラがそれぞれノータッチトペコンヒーロで飛んでいき、全選手が場外で倒れる惨状となるも、光留が伸びている北斗を自分コーナーまで引きずっていって無理矢理タッチ。
光留と男児のEvolution対決となると男児がエルボー連打でコーナーに押し込んでいく。カットに来たイザナギも対角コーナーに押し込んで往復串刺しショルダータックルを叩き込んだ男児は、光留へラリアットを狙うが、光留はこれをかわして飛びつき腕十字。リング中央で完全に決まるものの、ここに亮生が飛び込んできてその場飛びムーンサルトプレスで2人まとめて押しつぶし、光留へハンドスプリング式フォアアーム。光留は亮生のエルボーをキャッチして脇固め。亮生が立ち上がろうとすると延髄斬りからミドルキックを叩き込んで水車落としの体勢も、亮生は回転エビ固めで切り返して顔面へ低空ドロップキック。
亮生はコーナーに上ってムーンサルトプレスを狙うが、イザナギが地対空ジャンピングハイキックで撃ち落とし、そのイザナギへめんそーれが延髄斬り。めんそーれへ北斗がRKOを見舞うとすかさずTAJIRIが北斗へバズソーキック。児玉がTAJIRIをドロップキックで排除するとHAYATOがトラースキック。HAYATOはアキラもランニングエルボーでなぎ倒すと、光留へブーメランアタック式のミサイルキック。
拳を突き上げて雄叫びを上げるHAYATOだったが、そこへ復活した亮生がコーナートップからのミサイルキックを叩き込んでHAYATOを排除すると、光留をブレーンバスターで叩きつけてから新技のファイヤーバードスプラッシュを投下。亮生が大先輩の光留から大金星を挙げた。
<試合後コメント>
青柳亮生
「やったぞ!同期に置いていかれてケガをして。今年は散々な年だったけど、こうやってチャンスを掴めることができました。あとはベルトを取るだけです。」
第5試合
諏訪魔とゼウスの一戦は、ゴングが鳴ると正面からロックアップで押し合うが、パワーが互角と見るや諏訪魔はラリアット、串刺しラリアット、ジャーマンスープレックス、ローリングラリアット、バックドロップ、スリーパーホールドと怒涛の畳み掛けを見せ、「投げるぞオイッ!」とラストライドの体勢へ。
しかし、CCが始まって以降徹底的に左腕を攻められていた諏訪魔はダメージの蓄積があったのか、この試合では一切攻められていなかった左腕を押さえて動けなくなってしまう。
その隙にロープに飛んだゼウスがラリアット、延髄ラリアットを叩き込んで左腕へのアームバー。これをブレイクされるとミサイルキックを叩き込んでフォールに入ろうとするも、諏訪魔は下から組み付いての首固めで切り返す。ゼウスがこれをキックアウトすると、諏訪魔は思わず左腕でラリアットを叩き込んでしまい、痛みに悶絶。
その間にゼウスがロープに飛んでフライングラリアット、チョークスラム、フロッグスプラッシュと畳み掛け、三沢式フェイスロックで絞り上げると、試合続行不可能と判断したレフリーが試合を止めた。
<試合後コメント>
諏訪魔
「あぁ!チクショー。いやもう結果が出なかったよ。すべてが狂ったな、今回のチャンピオン・カーニバル。もうイケメンから始まって、ジェイクに腕壊されて、ゼウスにトドメ刺されるっていう出来過ぎな話じゃないかよ。ここまでリーグ戦がつながってるんだなって改めて実感したよね。ゼウスのフェイスロックは反則だよね。ああやられたらアゴを上げるしかないじゃん。そのくらい痛手を負いましたね。五冠王としてさ、挑んだチャンピオン・カーニバルだけど、一番に脱落したのかな?恥ずかしい話だよ。この落とし前は絶対付けなきゃいけないんだよ。次に向けて頑張りますよ。チャンピオン・カーニバルで俺に勝ったヤツはいっぱいいるし、当然優勝するヤツもやりたいって言うだろうし。何人も出来ちゃったな、借りが。」
ゼウス
「これで3勝?ヨシ!リーグ戦はあとひとつ。あと決勝。2勝で優勝!おいジェイク・リー!俺のフェイス・ロックでお前の首をヘシ折ってやるからな。覚悟しておけよ!」
第6試合
2度目の全日本プロレス参戦で世界ジュニア挑戦となった日高を、全日本所属の王者・岩本が迎え撃つこの試合。
ロックアップからの腕の取り合い、バックの取り合い、アームドラッグからの押さえ込みの応酬と互いの実力をじっくりと確かめ合う序盤戦に始まり、これをショルダータックルで制した岩本がマジックスクリューを狙うが、日高はエプロンに着地してトップロープ越しのジャンピングハイキック。しかし岩本は怯まずにトップロープ越しのラリアットで日高をエプロンになぎ倒す、場外で日高を鉄柵に叩きつけ、エプロンを使ったマジックスクリューを狙うが日高はするりとリングに戻って岩本を待ち受ける。
岩本がリングに戻ると、日高は入れ違いに場外に出ると「来いよチャンピオン!怖いのか?」と挑発。岩本が場外に出ようとロープをまたいだ瞬間に日高が足へ組付いてロープを絡めたドラゴンスクリュー。日高は鉄柵を使ったニーロックで痛めつけ、リングに戻ってからもローキック、スピニングレッグロック、リバース・インディアンズ・デスロックと徹底した足攻め。
岩本は痛む足を引きずりながらエルボーで反撃し、背負投げ、マジックスクリュー、肩固め、そしてハイクラッチジャーマンを狙うが、日高は一回転して着地し、ヒザを撃ち抜く低空ドロップキックから再びロープを絡めたドラゴンスクリュー。
日高は「ショーンキャプチャー!」と宣言して組み付いていくが、岩本はこれをキャッチして肩固めで回転を許さないという対策の成果を見せるが、日高はグラウンドテクニックで上をいき、アンクルロックへ。岩本がこれをブレイクすると、日高はローキック連打で大勢を崩してからの野良犬ハイキック、断崖式DDT、ミサイルキック、リバースDDT、野良犬ハイキックと立て続けに叩き込み、「石見銀山!」と宣言して組み付いていく。
岩本はこれを振り払って日高を場外に放り出すと、日高はアイル・ビー・バックで帰還。しかし、岩本は入れ違いでトップロープとセカンドロープを使った“岩本式アイル・ビー・バック”と呼べる独自のアイル・ビー・バックで日高の虚を突き、日高のハイキックをかわして大外刈り。岩本は粘る日高を左右のエルボー連打からハリケーンドライバーで叩きつけ、ジャーマンスープレックスホールドから孤高の芸術を狙う。
これを振り払った日高はロープに飛ぶと、フライングクロスボディのようにジャンプして放つ形のミスティフリップ。さらに野良犬ハイキックから石見銀山の体勢も、岩本は着地してラリアット。さらにドラゴンスープレックス、ラリアット、孤高の芸術と畳み掛けて3カウントを奪った。
敗れた日高は立ち上がると岩本の眼前に立ち、握手を求めると岩本はその手を握りながら日高をガッチリ抱きしめる。日高は岩本の手を掲げて勝利をたたえてから退場していった。
岩本「チャンピオン・カーニバル中に、ジュニアが失礼しました。今日が、俺の日高郁人との2度目の防衛戦でした。そして、今日俺の2試合前かな?ジュニアの10人の選手が集まって次期挑戦者決定戦をやってました。僕は日高郁人でいっぱいいっぱいで見る余裕が全くありませんでした。なので、次のチャンジャーが誰か知りません。次のチャンジャー、聞いてんだろ?出てきてくれ」
(青柳亮生がリングインし、岩本と対峙する)
岩本「……亮生か。正直、予想外だわ。お客さんも、今日亮生が勝つと思っていた人何人居ますか?(2人で観客席を見渡すも反応は薄い)……これが、今現状のお前の評価だ」
亮生「確かに、今年のあすなろ杯、最下位。そんな男がここに立っているなんて、まさか誰も思っていないでしょう。でも、同期に置いていかれて悔しい思いはさんざんしてきた。あとはアンタのそのベルトを巻いて、全日本のトップに立つだけです」
(亮生が退場)
岩本「……皆様、お気付きでしょうか。僕がこのベルトを取り返した相手は、横須賀ススム選手は42歳。40代。初防衛戦の相手、田村男児。21歳。今日闘った日高郁人選手、48歳。今日挑戦者に決まった青柳亮生、20歳。……振り幅が凄いでしょ?1つ。この世界ジュニアのベルトを回してるのは、30代の俺だ!あとはみんなその周りなんだよ!以上!」
<試合後コメント>
岩本煌史
「無事に二度目の防衛を、日高郁人から達成できました。ずっと日高郁人対策を動画見たりしてきたんですけど無理ですね。なんともならん。やっぱり経験が凄い。見たところで表面上の部分しか情報を手に入れられなかった。実際今日も序盤はコントロールされてたし、巧さではキャリアもある日高選手が上だと思います。でも俺には強さがあると自負しているんで。一発の重み。日高さんの方が体重が軽いんで、その数字の重みで対抗したと思っているし。唯一攻略できたのは昨日寝る前に思いついた、寝ようとして眠れずに思いついた、アイルビー・バックをやっっかいだなぁと思っていて。ふとアイルビー・バックで返したら相手は一瞬でも動揺するんじゃないかって。今日は岩本式アイルビー・バックを出しましたけど、対日高郁人戦でしか使えないんで。他にアイルビー・バック使う人がいないんで。いや本当にやっかいでした。紙一重でした。
なんか・・・キツイね。キツイわ。毎回この重圧を背負って戦うキツさもあるけど、達成した時の気持ちよさ。これはたまらないね。やめられないね。何があっても防衛し続ける。これで二度目の戴冠の防衛回数に並んだんで、ここから伸ばしていかないと。ここで終えたら意味がないんで。亮生、楽しみにしてるぞ。日高郁人以上、田村男児以上。それ以上のものを求められるぞ。俺は堂々と上から目線で待っていてやる。以上。」
日高郁人
「挑戦表明のコメントを出した時から岩本クンと言って、チャンピオンをコントロールできるかと思ってました。だからあの日も僕のコメントに対して怒っていたじゃないですか。今日まで前哨戦はひとつだけだったけど、ちょっとずつ追いつめて追いつめて、今日も序盤はじらして運んでいたんですけど、やっぱり強かったですね。最初に来た時に言った僕の(世界ジュニアの)王者像はマイティ井上さん。子供のころから見ている世界ジュニア王座の王者像はもちろんマイティ井上さんなんだけど、僕は来る前から今の世界ジュニア王者は岩本だってイメージできてました。強いってイメージもあったし、いろいろなインサイドワークも使って崩していくつもりだった。でも崩れなかったですね。あと一歩のところが。このままで終わるのは悔しいから、もう一回挑戦させてくれ。全日本プロレスさん、次の挑戦者が今日決まったけど、(挑戦者の列の)最後尾に並ぶから。もう一度挑戦させてください。最後尾からひとりひとり抜かして、もう一度。」
――岩本選手はアイルビー・バックを自分なりのアイルビー・バックで返すことで流れを変えたかったと言っていましたが?
「正直びっくりしましたね(笑)。あんなことしてくる人間はいなかったから。なんでこれがチャンピオンにできたかっていうのは、川崎で阿部が勝手にアイルビー・バックをやったからですよ!だからチャンピオンに返すイメージを作らせてしまった。でもゴメン阿部、俺が弱かっただけだから。怒っちゃいないよ。あれはでも本当にビックリしました。予想がつかなかったです。」
――岩本選手は巧さでは負けていて、一発の重さで勝てたとも言っていました
日高「そうですね。あそこで食らったSTOでも頭を強く打っちゃったし、あの辺でペースを変えられたのかとも思いました。だから次があれば足なら足の一点集中攻撃で攻めたいですね。24年目になっても試合途中でこう行けば良かったとか思うほど、プロレスリングは奥が深い。だからこそあの伝統のベルトをどうしても取りたいですね。もうこの歳でも修行してね。
ECWに修行に行った時にはTAJIRIさんにお世話になって、トレーニングして自分を磨いて仕事を得るのも自分次第だし、磨かないで仕事を失うのも自分次第だとTAJIRIさんに言われたんですよね。でも全部自分にかかっているんだってECWで言われてね。それから今はショーン・キャプチャー所属のフリーレスラーになって、今一度その言葉が身に沁みていますよ。『年齢なんてただの数字よ』の精神でまた一歩一歩磨いて、どうしてもあのベルトに辿り着きたいです。」
第7試合
かつて三冠を争ったこともある宮原と青柳の一戦は、ゴングが鳴ると宮原が三三七拍子の手拍子を煽り始めて会場が宮原一色になるも、青柳はその手拍子に合わせて体を揺らして踊るメンタルの図太さを見せつける。
ロックアップから青柳が押し込んでエルボーを放ち、宮原が場外にエスケープすると今度は青柳が三三七拍子の手拍子を煽り、余裕を見せつける。
宮原がリングに戻ってフロントハイキックを叩き込むも、青柳はランニングエルボーでなぎ倒してエンドゲームを狙う。宮原が場外に逃れると青柳は鉄柵を使ったアームブリーカーを見舞うも、宮原は鉄柱を使ったフェイスロックでお返しし、激怒した和田京平がこれを無理やり引き剥がす。
宮原はエプロンでのドロップキックからリングに戻してお馴染みのドロップキックコンビネーションからマッスルポーズを決めるが、その背後から迫った青柳がフライングフォアアーム。さらに宮原のタックルをかわしてコーナーに自爆させると、エプロンでのジャーマンスープレックスを狙うが、これを耐えた宮原がエプロンパイルドライバー。
リングに戻り、後頭部への串刺しブラックアウトからジャーマンを狙うが、青柳がバックを取り返して逆にジャーマン。
両者正面から汗を飛び散らしながらゴツゴツとエルボーで打ち合っていき、これを制した青柳がトラースキックからロコモーション式ジャーマンスープレックスを3連発。さらにロックスターバスターの体勢に入り、宮原が着地するとトラースキックでコーナーまで吹き飛ばす。青柳はコーナーに上っていくが、宮原は追いすがって雪崩式ジャーマン。
宮原はさらにシャットダウン・スープレックスを狙うが、これを振り払った青柳が北原光騎さんから直伝されたスピンキック。さらにエンドゲームで絞り上げるが、宮原はなんとかロープへ。青柳は再びロックスターバスターを狙うが、これを着地した宮原がその場飛びのブラックアウト。さらに正調ブラックアウトを放つが、青柳はこれを回避してレッグロールクラッチで切り返す。青柳はトラースキックからスピンキックを放つが、これを回避した宮原がブラックアウトからシャットダウン・スープレックス・ホールドで叩きつけて3カウント。
宮原は倒れ伏す青柳の健闘を讃えて助け起こすが、青柳は前回宮原の持つ三冠王座に挑戦表明したときのようにジャーマンスープレックスでの奇襲を狙う。宮原が慌てて脱出すると、青柳は腹を抱えて笑う。しかし、青柳は今度は自分から握手を求め、宮原が応じると深々と頭を下げて退場していった。
そして宮原はさっさと引き上げようとするが、直前で振り返って耳を澄まし始め、観衆の拍手が大きくなるとリングに上ってマイクを取るという宮原式マイクアピールを久々に実施。
宮原「2勝目ゲットだぜぇ~~ッ!今日は最後まで最高の声援をありがとうございました!ちょっと俺は言いたいことがずっとあった。今は一旦チャンピオン・カーニバルは置いといて、こんなご時世にプロレスを、そして全日本プロレスを選んでくれて本当にありがとうございます!俺らプロレスラー、まだまだこのリングでだ!日本全国に元気を与え続けるからな!そして、チャンピオン・カーニバル、今日で2勝目だ。オイ!奥田リングアナ!今の得点状況を俺にわかりやすく教えてくれ!俺は今、2勝1敗で!次小田原でどうしたらいいのか教えてくれ!」
奥田リングアナ「もう1回も負けれません。崖っぷちです」
宮原「次勝てばいいのか、どっちなんだよ?!」
奥田リングアナ「次勝てばいいです」
宮原「次勝てば優勝決定戦なのか?!その得点状況を分かりやすく教えてくれぇ!」
奥田リングアナ「色々ありまして、とにかく、絶対負けれません!」
宮原「テメェ!リングアナのくせに分かりにくすぎるぞ!いいか!得点状況を把握してない!ただ次、小田原大会!宮原健斗vs石川修司、勝てばいいってことだな?そこで、後楽園ホールに集まりの皆さんに聞きたい!皆様、9月26日、小田原大会、宮原健斗vs石川修司、今日お集まりの皆さんは、どちらを応援しますか?!まずは宮原健斗!(拍手が起きる)続いては、石川修司!(さらに大きな拍手が起きる)コラーーーッ!!なんだそれは?!石川選手のほうが大きいじゃないか!まあいいや。俺はあんまり好かれてねえみたいだな。まあいいよ。今現在進行形、無冠にもかかわらず伝説を作り続ける男、そう!プロレス界で最も最高な男、宮原健斗が2連覇を果たす!そして10月3日の優勝決定戦、いいか。2連覇を果たす宮原健斗を見たいだろう?とりあえず、まずは、9月26日の宮原健斗vs石川修司にご期待あれ!
(宮原が退場しようとするも、観衆の手拍子が宮原をリングに引き戻す)
宮原「このご時世だ。『最高!』って叫べない中、どうしたらいいか、今この場で考えた!みんな、それに乗っかってくれ。俺が『最高ですか?!』とハイテンションで言ったら、みんなはハイテンションでストンピングを鳴らしてくれ!みんな、場内ストンピングって分かってますか!知らない人は、すまねえが隣の人に聞いてくれ!今15秒だけ与える!場内ストンピングとは何かをみんな把握してくれ!(※観衆が場内ストンピングを鳴らして宮原に返事をする)OK!最高ですか、くどいようだけど、3連発行くからな。最後に後楽園ホールの皆さんに聞きたーい!全日本プロレス、最高ですかーッ?!(※場内ストンピング)……聞こえないなあ?全日本プロレス、最高ですかーッ?!(※場内ストンピング)OK!ラスト!全日本プロレス、最高ですかーッ?!(※場内ストンピング)全日本プロレス!……最高っ!」
<試合後コメント>
宮原健斗
「おっしゃー!勝ったぞ、2勝目。おい!奥田リングアナ、わかりづら過ぎるだろう。こっちは試合後で興奮してるんだ。わかりやすく言えば俺と石川修司で勝った方が優勝決定戦進出ってことでしょう?わかりやすいだろう。強いヤツが残った。そういうことだろう?石川修司対宮原健斗だ。10年振りの小田原で、俺の知らない全日本プロレスがかつて行ったらしい。ただ俺が全日本プロレスの宮原健斗となってからは初めてらしい。そこで宮原健斗と石川修司の黄金カードだ。たまらねぇだろう。チャンピオン・カーニバルの優勝決定戦。進むのはこれで決まるんだ。わかりやすくてしょうがねぇなぁ。
この秋の、幻のチャンピオン・カーニバルが。俺はこのご時世に、プロレス会場に足を運んでくれるみなさんが愛おしくてね、しょうがないんだよ。それを最近はメインイベントで勝っていないんでお伝えする方法がなかった。ファンのみなさんの目を見てちゃんと伝えたかったからね。テレビを見てる人、会場の皆さんに伝えたかったんだ。今は普通じゃねぇんだ。ただなぁ。俺らプロレスラーは非日常空間を提供しているんだ。それを一ミリたりとも忘れたことはねぇ。外で思う気持ちや生活する上での気持ちをプロレス会場にいる時くらい忘れてほしいね。そんな戦いを見せたし、次も見せるし。2連覇だ。数人しか果たしていない2連覇を俺は果たすぞ。俺が果たさないで誰が果たすんだ。ここウン十年のエースが果たさないで誰が歴史を刻む。俺以外いないだろう。石川修司、わかりやすいだろう。勝った方が優勝戦進出だ。」