大晦日格闘技『RIZIN.14』でフロイド・メイウェザーJr.vs那須川天心の試合が決定!スタンディングの異種格闘技戦ルールで調整へ!
5日、東京都・六本木にて12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われる『RIZIN.14』の記者会見が行われ、フロイド・メイウェザーJr.と那須川天心が対戦することが発表された。
フロイド・メイウェザーJr.は、50戦50勝で5階級を制覇するという前人未到の偉業を成し遂げた生ける伝説として知られるボクサーであり、今もなお41歳にしてボクシング界の頂点に君臨している。
対する那須川天心は、“神童”と謳われ、史上最年少の16歳でキックボクシング団体・RISEのバンタム級王座を戴冠し、現在はISKA世界オリエンタルルール世界バンタム級王者、並びにRISEバンタム級王者として君臨している20歳のプロキックボクサー。最近はknockoutやRIZINでの活躍が注目を浴びている。強さだけではなく、『ドラゴンボール超』に登場する超サイヤ人ブルーを模した髪型で登場したり、試合中に『グラップラー刃牙』シリーズに登場する“トリケラトプス拳”を繰り出したりとエンターテイナーとしても最高の資質を備えている。
まずは、RIZIN実行委員長の榊原信行がメイウェザー参戦について「こうしてRIZINというリングを戦いの場に選んでくれたメイウェザー選手に感謝したいと思います。参戦の経緯としては、みんなの、我々の想いが共通したということだと思います。その思いとは、とにかくチャレンジしよう、新しいことに一歩動き出そうという部分が共有できたということが一番の大きな参戦の経緯です。12月31日には最高の舞台を用意して、メイウェザー選手が『RIZINに出てよかった』『一緒にこれからもやっていこう』と思えるような、そして世界中の人達を驚かせるチャレンジをしていきたいと思います」と述べる。
続いて、メイウェザーが来日の感想を述べる。
メイウェザー「東京には10回くらい来ているかと思うのですが、世界の中でも大好きな場所です。本当に美しい場所ですし、人々も本当に好きです。こうして今回戻ってきまして、これからはもっと頻繁に日本に戻ってきたいと感じています。チームも協力してくれて、このようにRIZINに参戦することが叶うのは自分にとっても喜びです。まずはこの大晦日の対戦を楽しみにしていただければと思う。素晴らしいエンターテイメントをお見せしたいと思っています。
そしてRIZINとの関係性はまさにここでスタート。これで終わるわけではないので、どんどん世界に広げていきたいと思います。この機会にこうしてご参加くださっている報道各社の皆様にも感謝の言葉を述べたい。みなさまがいなければこのイベントの成功はないわけですから。そして、私の両脇にこうして一緒に登壇してくれている方々の尽力あってこそ、この対戦カードが成立したと思う。このことにも改めて感謝したい。簡単な道のりではなかったが、これが実現することについて高揚感を持って臨んでいる。そしてRIZINとの関係性をここから広げていきたいという意気込みを語ったばかりだが、今まで自分との関わりがある選手がRIZINに参戦するきっかけを作ったり、もっと私自身もたくさん参戦していくような展開になるように取り組んでいきたい。それをするに当たって、RIZINほど素晴らしいパートナーは居ないと思っています。アンビリーバブルな素晴らしい会社だと思いますので、改めてその意気込みをここで発表したいと思います」
続いて、高田延彦統括本部長により、伏せられていたメイウェザーの対戦相手が那須川天心であることが発表され会場が大きなどよめきに包まれる中、天心が会見会場に登場。
そして、両選手が意気込みを語った。
天心「こんにちは!那須川天心です!自分にできることは、日本の格闘技をしっかり盛り上げることなので、この試合のオファーもらったとき、ホントすぐにOKしました。自分の人生の中で最大の出来事だと思うんですけど、それが今こういう風に現実になってとても嬉しいです。みなさんもビックリしてると思うんですけど、僕も正直ビックリしています。ですが、世界中誰もが成し遂げられなかったことをこの僕が必ず証明して僕が自分のこの拳一つで世界を変えられることを必ず証明してみせますので、皆さん是非期待してて下さい」
メイウェザー「那須川天心選手は、若く強い、そして動きの早い選手です。そして負けたことがないというのは、彼が正しいことをしてきた優れたファイターであることの証だと考えます。その意味では彼を称賛したいと思います。
実際に対戦というのはどこで行うかにかかわらず、真剣勝負ではあるけども、今回は大晦日のRIZINのリングという特別な場所で戦えることを嬉しく思います。そして、自分自身はずっと長い間アメリカでやっていて、アマチュアでは海外でも戦績もあるけど、プロとしてはこうしたアメリカを飛び出して自分の能力・才能を見せるという機会がなかったので、それを実現させる機会をくれた対戦相手の那須川天心選手、そしてすべての方に感謝したいです。
私自身は1987年からファイターとしての道のりを歩いて、96年にはオリンピックにも出場して、プロとしては22年やってきて、世界チャンピオンの座を20年近く保った。こうしたことができたのも、チーム、コーチ、支援してくださった方のおかげです。自分自身の闘いの理念としては、力を尽くすことを惜しまないという気持ちがあるそしてその中で自分を限界まで追い詰め、そしてどんどんその力をつけていくのが自分の考え方です。そうした意味で、この度も自分のやるべきことをしたい。対戦相手は非常に力も速さもある。並の選手ではないことはよく理解している。経験では私の方に分があるが、若さが力であるとすれば、彼のほうが若い選手ではある」
榊原「今回こうやって発表させていただくまでには色々な紆余曲折がありましたけども、いずれにしてもメイウェザー選手とRIZINで大晦日に……ということで、メイウェザー選手サイドと交渉が始まりました。その中ではさきほど話したように、彼は50戦50勝、無敗ですよね。ただ、全部アメリカ国内でしか試合をしたことがない。『一度海外で試合をしてみたい』と。だから今回ホントにこのマッチは彼の初の世界、アメリカ以外の試合になるというアカデミックなこともあるんですけど、それを是非日本でという想いを持ってくれた中で、RIZINで闘うとなったときに、まず最初に思ったのが那須川天心。この男しかいないなと。もちろんルールの問題、ウエイトの問題、調整しなければいけない問題はたくさんあるけど、誰が見たいかって言ったら、RIZIN、メイウェザーときたら、ホントに素直に天心しかいないと思いました。だから那須川選手サイドにそういう提案をさせてもらって、それに対して彼ら側からはイエスと。『ルール、ウエイト、そんなことを差し置いてでもフロイド・メイウェザーの前には僕が立ちます』という心強い言葉をもらったんで、一気にこの対戦カード実現に向けて関係各位共々動いて至ったという次第です」
――メイウェザー選手、那須川選手の試合の映像を見ていますか?もし見ていらっしゃったら彼の実力についてどう評価しているかをお聞きできますか
メイウェザー「ハイライト映像は見させてもらいました。信じられないほどの能力を持っている素晴らしいファイターだと評価したい思います。スキルも、ファイターとしてのタレント性もあるし、パワーのあるファイターだと思う」
――メイウェザー選手、天心選手はキックボクサーで、メイウェザー選手はボクサーです。そして階級も大分違う。メイウェザー選手はどういうルールで闘いたいか
メイウェザー「ルールやウエイトの差については、ここ数週間かけながら決めていきたいと考えています」
――メイウェザー選手はいつも戦う理由として『強い相手と闘う』『お金のために闘う』と仰っています。今回はどういうモチベーションで闘いますか
メイウェザー「モチベーションについては、当然自分は金銭面でも恵まれてきたと思う。これだけの長いキャリアを築くことが出来て、その過程で米ドルでビリオン単位の賞金を稼ぎ出すことが出来たのは光栄だと思っている。そしてこの対戦に関して言えば、これは本当に特別な対戦であると言い切りたい。これまで世界が見たことがないものをお見せする機会だと思っている。それは場所が東京であることも世界初だし、自分自身は今までアメリカをベースにしていたわけで、今夏は対戦を直接日本のファンの方に見ていただけるということも既に世界初の出来事。日本のファンは今までラスベガス、アメリカ各地に来ていただいていましたが、今度は自分が日本にやってきました。
階級のことについてもう一つ補足すると、こうした試合はスキルvsスキル。“自分自身がファイターとして何者であるか”のぶつかり合いだと思うので、階級については今の段階では心配していない。もちろん階級・ルールの中で闘うというのはあるが、自分も体型も小さめのファイターで、その中でも自分の持ち味を出す闘いをしてきた。最初に階級ありきという話ではなく、自分がファイターとしてどういうスキルを持っているか、そこが試される試合だと思っている」
――メイウェザー選手、なぜアメリカではなく日本のリングで復活することを選んだのでしょう
メイウェザー「自分のスキルを披露するに当たって、なにか今までとなにか違うことをしてみたかったという動機があります。アメリカの外でそれを披露してみたかったということ。そしてそれを自分と並走してくれているチームのメンバー、RIZINのみなさんと一つになって実現したということ。プロとしての50戦50勝はすべてアメリカ国内での話で、アマチュア時代を振り返ると国外に出たときのいい思い出も色々あるロシア、キューバでも対戦をした経緯もある。今回は是非アメリカ国外でという思いがあったのといい機会が重なった。自分にとって日本は大好きな場所です。日本という土地も日本人も好きだし、素晴らしい場所だと感じている」
――もし仮に、ボクシングルールだけになった場合、那須川選手は試合を受けますか。また、キックも有りのルールになった場合はメイウェザー選手はどう対応しますか
天心「自分は何のルールでもいいです。蹴り有りでも出来ますし、相手の土俵であるボクシングのルール、パンチだけのルールで戦ってもいいと思っています」
メイウェザー「そのあたりのことはチーム、RIZINがきっといい考えを持って調整してくれるものと信頼している。とにかく、才能ある2人のファイターがどういう対戦を見せるかということについての注目度・高揚感に答えられるようなエンターテイメント性に飛んだ試合を見せられたらいいなと思います。早い展開でしっかりスキルを見せられればいいと思っている」
――今回メイウェザー選手を起用するに当たってペイすることが出来ると考えているのか、それとも今回は利益を出すことは考えていないか
(この質問に関してはメイウェザーのサポートをしているブレント・ジョンソン氏が回答)
ブレント「簡単な答えを言うと、全て“イエス”だ。数週間かけてRIZINとは話を勧めてきた。そして築かれたものは、長期的なパートナーシップだ。その中で、しっかりとライセンスの問題とか、後続する機会によってしっかりと金銭的な部分にも合理性・経済性を持たせている。今回のことがすべて一回きりのことではないことを強調させてもらいたい」
――両選手、お互いの初対面の印象は。そしてメイウェザー選手、おそらく日本の格闘技のファンはモハメド・アリvsアントニオ猪木という試合を重ねると思う。この試合を知っているか
メイウェザー「まず那須川選手に対しての印象は、なかなか良い体型をしている、グレイト・シェイプだなと思いました。当然彼がジムでトレーニングした、ワークアウトした結果だと思う。
そしてアリvs猪木の試合は、私が生まれる前の話だと思うが、ハイライトを見たことがある。中々いいショーだったと思う。私も今回大晦日に素晴らしいショーをお見せしたいと思っている」
天心「ホントに、身長以上に大きいと言うか、オーラを感じたんですけど、パンチは当たりそうだなと思いました」
この天心の発言に対し、メイウェザーは失笑を零した。
続いてフォトセッションが行われ、メイウェザーは天心に握手を求め、両者は手を握りながら深々と頭を下げてから去っていった。
<会見後囲み取材>
榊原信行
――改めて、ルールについて
「ボクシングルールにはならない。ボクシングっていうのは協会があって、ライセンスがあってってものなので、RIZINのスペシャルスタンディングバウト、いずれにしてもMMAでやることは無い。蹴りをどうする、ウエイトどうする、打撃どうする……ボクシングって、シューズ履いてないだけでボクシングじゃないですからね。天心がボクシングのシューズ履いてやるっていうのは考えにくい。いずれにしてもスペシャルスタンディングバウトになることは間違いない。メイウェザーもライセンス持ってないし、天心も持ってない、僕らもボクシングをやるコミッショナーとしてのライセンスを持ってないので、ウエイトにしたってメイウェザーが下げたって天心が上げたって最終的に5kgくらいの差になってくると思う。でも、平成最後の異種格闘技戦ですよ。ホントに大決戦、平成最後の大晦日に、海外はどうか分かんないけど、とにかく猪木vsアリ戦、高田延彦vsヒクソン・グレイシー、それに引けを取らない平成最後の異種格闘技戦。『平成最後にやれんのか!』っていうようなタイトルにしてもいいんじゃないかなと。ホント、メイウェザーも新しいチャレンジで、ボクシングルールでやってきて、当然ラウンド数も変わりますから、その中で彼が何を見せるのか。ここからルール調整が大変だと思いますけど、いずれにしても大晦日、RIZINのリングで2人は闘います。そのルールはスタンディングの異種格闘技戦として成立する然るべきルールをこれから見つけていく」
――現時点で両陣営のルールの希望はあるか
「ウエイトについては、当然天心は『少しでも落として欲しい』、メイウェザーは『落とせて145かな』っていうようなところですよね。でも、ここからですよ、交渉は。バックブローをどうするかとか、殴りだけでもそれはボクシングではないですけど、『一ラウンド5回蹴らせろ』とか、どこでどう落とし所を見つけるか。お互いプロでやるって決めてるんで、どこかでスイートスポットが見つかるかなと思ってます。喧々諤々これからあると思います」
――ウエイトは合わせない?
「合わないと思います。関係ないです。無差別級がある国ですから、日本は。だから、ボクシングっていう競技にははまらないってことです。ケンカのときにお互い『ウエイト何キロ?』ってケンカはしないですよね?だからこれはケンカですよ。日本とアメリカの大喧嘩」
――では、エキシビジョンマッチになる?
「エキシビジョンっていうのはアメリカでは非公式の試合のこと。ヘッドギアはめて大きなグローブで殴るっていうことは絶対ない。本当の真剣勝負。短いラウンドになるかも知れない。でもこれはボクシングのキャリアの中で言えば、当然メイウェザーの中では50戦50勝無敗。でも万が一天心にKOされたときに、彼はそれを1敗とは書かないと思います。そういう意味ではボクシングの公式戦ではないということですよね。そのへんは皆さん取り違えているかも知れないけど、一番リスキーな試合だと思いますよ。ルールで守られない、競技の枠で守られないわけですから」
――蹴りが入る可能性もあると
「ありますね。交渉だと思います。天心側もそりゃ『何回でもいいから蹴らせてくれ』と言うでしょうし。それは交渉です。今の段階でも話はしてます。最初はオープンフィンガーグローブでどうだって話から始まってて、色んな意味でその可能性は詰めていってるんですよ。総合の試合にはならないってことですよね。グローブをどうする、8オンスにする、6オンスにする、ボクシンググローブでやるにしても体重差でグローブの重さにハンディキャップをつけるとか、こういうことも細かく詰めます。メイウェザー側もこれから天心のこと研究すると思いますよ。何が危険で、何を受けれいてっていうところは。今回初めて見て、今まで撮影とかで顔を合わせる機会があったんだけど、天心の上半身脱いだ姿を見てるから。ここから探り合いと言うか、高田vsヒクソンのときも最終日の前日にようやくルールが調印できましたからね。みんなもそれを楽しんで下さい」
――ジャッジも付けて、判定もある?
「そういうことも含めてね。まあ、それ今ももう揉めてますから。どこのジャッジもこんな試合裁きたくないんですよ。当然メイウェザー側からしたらアメリカから連れてきたいし、ボクシングしかわからない人にジャッジさせられないんですよ。難しいですね。でも僕は“果たし合い”にしたいです。競技とかの枠に嵌って嵌ってつまんなくなってる格闘技界、世界中が。競技の枠を超えてこういう違う競技同士がそれぞれの無敗同士が、どっちかに平成最後に土が付きますよ。それが事実。それを突き詰めたらいいんじゃないですか。ルールはその試合が成立するためにあればいいと思ってるので、ルールに合わせた競技ではないということ」
――ファイトマネーについてですが、以前榊原さんは『メイウェザー呼んだら東京ドームがいくつあっても足りない』と仰っていました
「足らないですよ。でも最後ですね、10年くらい前にUFCにPRIDEを売ったんですけど、そのときのダナ・ホワイトに売ったお金がまだちょっと残ってたんで、そのお金でメイウェザー買いました」
――それは、どのくらいの金額に
「まあ、いつも100万円で試合してる人が1万円じゃ試合しないってことは確かです。僕も過去、長いこと格闘技に携わってますけど、過去最高の金額のファイトマネーを払うことは間違いないです。お金が払われなければ当然やらないですよ。権利とか色んな問題はありますけどね。100万円の人が10万円でニコニコしながら試合するかって話です。そんな中途半端なお金では成立しないです。それでいいんだったら、出来てますよ。今までに」
――『長期的な関係』という言葉も出ていましたが、複数の試合での契約をしている?
「これから。今回本当に新しいチャレンジ。彼もボクシングの中でここまで名声も地位も財産も築いたんで、新しいチャレンジを、若い選手の育成もしたいし、アジアの中でRIZINと組んで大会を開催して、ネットで放映する時代ですから、世界中で見てもらえるわけですから、アメリカの中に閉じこもってボクシングだけに固執することもないだろうと、色んなチャレンジを大晦日に行って、RIZINでやっていくのか、また新しいシリーズを立ち上げるのか、少し中長期的なものを組み立てていくというところでお互い話ができています」
――大会、放送の時間は日本に合わせる?
「日本人の人達がファースト、アジアの人たちがファーストです。アメリカ人の方も朝震えながら起きて、早朝目をこすって見て下さい。僕らがオリンピックやワールドカップを朝、深夜見るように、北米の人もメイウェザーが見たかったらそういう時間に見て欲しい。アメリカでも世界中でも間違いなく放送はします。ライブで」
――ということは、北米に放送権を売った?
「売ってないです。お互いシェアしてます。そんなとこ売ったら僕らだって回収のしようがない。そんな屈辱的な契約でもないし、お互い紳士的な契約の落とし所をね。そこも時間かかったんですけど、海外のPPVに関してもお互いシェアをします。それも今までの比率より多いんじゃないですか」
――さいたまスーパーアリーナについては、スタジアム仕様にする?
「今までのアリーナで。今更間に合わないんで、3万人くらいまで席が入るようにはしますけど、スタジアム仕様にはしないです。だから早くチケットを買っていただかないと、もう無いと思います。2回会連続でソールドアウトさせられたなと思うので、今回はあまり無茶をせずに、さいたまスーパーアリーナの中で約3万人の人達が、生のメイウェザーを見る。日本の人たちの多くは初めてだと思うんですよね。海外、アメリカで見たという人もごく一部ですから。そしてその対戦相手が那須川天心であるという事実にみんなまず『嘘だろ?!』って思うじゃないですか。嘘みたいなホントの話で、僕もこういうことあるんだなって。お互い選手が、強い者が強い者を呼び寄せるということだと思いますよ。メイウェザーにも那須川天心という選手がこういうキャリアでこうなんだという説明をして、それがあまりにも自分の思っているイメージの選手と違ったら彼は受けなかったと思いますし、そこにキチっと自分が求める魅力が那須川天心にはあったということなんです。那須川天心もルールがどうだっていう問題が当然あるはずなんです。そんな中でメイウェザーの前に立てるんなら、たとえルールがどうあっても、ウエイトがどうあっても、闘う者としてそんな機会を逃す?千載一遇のチャンスじゃないですか。だから、世界中の人達が那須川天心に驚けばいいと思うんですよね。『アジアで一番強いのはパッキャオだ』って思ってるアメリカ人が圧倒的に多いですから。それは違うって。こんなスゴい奴がいるんですってことを世界に知らしめたいんで、世界の人からすれば『フリークショーだ』とか『こんなちっちゃくて若い経験のない選手当てて』って思いがちな人がいるかも知れないけど、まあ見とけって。那須川天心というすんごい日本人のスーパースターで天才がいるっていうことをね、我々にとっても天心にとってもチャレンジですよ。楽しみにしましょう」
那須川天心
――最初にオファーを受けたときの印象は
「いや、まあ普通に、『はい。やります』って感じでした。最初はホントにオファーされたときは『無いだろうな』って思ったんです。ちょっと噂とかあるじゃないですか。そんな感じだと思ってたら話がトントン拍子に進んで、『あっ!やるんだ!』って(笑)『やるのか……』って」
――ルールやウエイトなどについては『なんでもいい』と
「ここまで来て、ルールだ体重だじゃないと思うんで、そういうの関係なく。今のこの気持ちならなんでも大丈夫だと思います」
――先ほど『パンチは当たりそう』という言葉がありました
「そうですね。見た目的にもみんなそう思うんですかね。でもなんか、やれないことはないと思います。(メイウェザーは)めっちゃ笑ってましたけど(笑)」
――最初のオファーでルールの話はなかった?
「ないですね、ハイ」
――メイウェザー選手が笑ったとき、ムっとした?
「まあまあまあ……ムッとしました(笑)まあ、ナメられてるのは分かってるんで。でも、久々なんですよね。こういうなんも気負わず行けるみたいなこんな試合は。今ではずっと自分が上の立場で、この間の堀口選手とか、ロッタンの試合とか、自分が必ず中心的だったんですけど、今も話題が全部メイウェザーじゃないですか。自分はもう失うものはないというか、自分にここで黒星が付いたとしてもそんなものは関係ないと言うか、そういうつもりは一切ないですけど。ホントに勝ちにいきます」
――本音ではどういうルールでやりたいですか
「ホントなんでもいいです。さっきも言いましたけど(笑)」
――仮に無差別ルールとなったら
「まあ、無差別はちょっとアレですけど、まあ、そうっすね……自分がいつもの体重より2,3kg上くらいとかなら、普通にありえる。70とかは、流石に今そんなに体重ないんで無理ですけど、そこはちゃんと相談して決めます。今は61、62くらいですかね」
――仮にボクシングルールになったら、ボクシングで闘う?それとも今まで格闘技で培った技術も用いて闘う?
「ボクサーの、この間の堀口さんも言ってましたけど、キックボクシングに対してキックボクシングで戦わないでしょ?自分も一緒で、ボクサーと一緒のことやってもダメだと思うんで、自分はボクサーの方が持っていない打ち方、タイミング、軌道とかあるんで、それを上手く使ってどうにか当てていきたいなと思います」
――ルールについてこれだけは譲れないというものは。シューズは必要ないとか、バックブローの有無だとか
「いやー、どうなんすかね。そういうのもあっても面白いと思うんですけど、それで勝って嬉しいかっつったら、そこまで嬉しくないと思うんで、別に相手のルールでもいいかなって」
――今までメイウェザーの試合を見たことは?
「ありますよ。『うまい具合に避けるなー』って思いましたね。でも、マクレガー戦であったり、パッキャオ戦であったり……いずれにしても逆側を応援してたんですよね(笑)やっぱこう、最強に挑むという形で情がわくというか、パッキャオ選手もマクレガー選手も好きでしたし、同じサウスポーですし。『この人だったらいけんじゃないかなー』と思ったけど、無理だったじゃないですか。その立場に自分がなるってことなんで、ワクワクしながら。こんなチャンスもう無いんで。ここで自分が断ってたら一生闘うことないと思うんで。だったらやるしかないでしょう?」
――メイウェザー選手は好きなボクサーだった?
「いやー、好きな選手というか、ディフェンスとかはすごいなって思いますけど、参考にまではしてなかった。まあ自分も2,3回しか見てなかった」
――ボクシングルールでやるかもしれないという可能性もある中、平成最後の大晦日に新たなチャレンジをすることは間違いないと思う
「一番簡単な、一番すごい世界進出と言うか、飛び飛び飛び飛び飛び級の世界進出かなと(笑)」
――11月の試合が終わってから本格的に準備を始める?
「やっぱ11月の試合は絶対落とせないんで、それを落としてしまったら全部台無しになってしまうので。今はメイウェザー選手のことは考えず、内藤選手のことを考えるつもりでいます。ルールは上の人におまかせします。この際なんでもいいですよ」
――この試合で、世界のボクシングファンの注目を集めることになると思うが、その期待感は
「そういうのもそうですし、自分が名を売るチャンスで、自分がどこまでやれるのかを証明したかったんで、これを受けたのかなという感じです」
――ずっと『日本の格闘技を世界に広めたい』と仰っていましたが、今回は最大のチャンス
「そうですね。まあ、でも、いつも通りかなって」