RIZINの年間興行予定。実現の決まらない武尊戦を見据える那須川に対し、RIZINの提案は…
2018年1月1日(月・祝)正午より恵比寿の東京ウェスティン東京で、RIZINの一夜明け会見が行われた。
RIZINの今年の年間スケジュールだが、まず5月6日(日)にマリンメッセ福岡大会(15時開始予定)を開催。次に7月末、9月末、12月末にさいたまスーパーアリーナ大会をやり、8月にはできれば名古屋か大阪で。10月中旬から11月には、海外での開催を目指しているそうだ。場所はアメリカ西海岸か中国が有力だとのこと。今年前半は4か月ほど興行が空くが、その間は各選手がおのおのの大会に出ていくことになる。また年末は、恒例になるかと思われた2日間興行ではなく、1日になるとのこと。格闘技EXPOは存続させるそうだ。
今年は堀口がもう1階級上げることになるかもしれないし、五味や北岡や矢地やストラッサーを集めて、PRIDEの最後に実現しなかった72キロ近辺のライト級グランプリをやる考えもあるとのこと。でも年間を通して、この1年はトーナメント形式のグランプリ構想にとらわれるのではなく、ワンマッチを主軸に押し出していくことになるという。
そしてこの日の会見で取材陣から質問が飛んだのは、昨年大みそかの大会での、那須川の発言に関すること。
RIZIN KICKワンナイトトーナメント(57キロ)決勝戦で藤田大和をKOして優勝した直後、那須川が「世界最強を目指しているんで、全世界最強トーナメントをやってもらいたいです。誰が僕の相手で見たいですか?」と観客に呼びかけたのだ。すると客席の広範囲から「武尊!」という声。
「皆さんの声が答えだと思うんで、来年中にやりましょう」と、自身は武尊の名前を口にしないで、生放送の場で対戦をアピールしたのだ。
「那須川選手は向こう(K-1)に上がる気は無いのでしょうか?」と聞かれると、那須川は「別に上がってもいいかなと思うんですけど、色んな大人の事情が嫌なんですよね。こういうことになっているのは日本だけで、世界(日本以外の国々)ならすぐ組まれますよね。こういうことをやっているようなら、日本の格闘技が盛り上がらないので、ぶっ壊したい気持ちがあります。この先どうなるかわからないですけど、お互いが全盛期のうちにやりたい」と答えた。
榊原信行大会実行委員長は、「K-1から天心にオファーがあって『出たい』と言うなら止めないです。天心との契約はうちにありますけど、天心がやりたいことをやらせたいです」と発言。でも、「それよりももっと天心には新しいチャレンジを提案したい。世界中の立ち技の猛者を集めたグランプリ的なスケール感を持ったトーナメントを、伊藤(隆TARGET会長)さんと天心と話をしています。こちらから追いかけるというより、ファンが見たいと思うようなテーマを僕らで作ってあげたい」とも。
つまり大晦日の4人トーナメントはテストケースだったのだ。
「RIZINには総合格闘技の舞台であり続けて欲しいファンも多いのも事実ですが、RIZINは幕の内弁当でいいと思っていて、そこから熱のあるものがスピンオフすればいい。キックだけで(大会を)やることもあるだろうし、キックとMMAの共存もあったりすると思います」と続けた。
“大人の事情”を知り尽くした榊原委員長は、K-1を背負う武尊には固執しないで、那須川に飛躍の場を与えようとしているのかもしれない。
また真珠・野沢オークライヤーは、ひと月ほど前に左ヒジの内側ジン帯を断裂していたことを告白。大晦日の試合を見る限り、とてもそんな素振りはなかったが、アメリカに帰国したら手術をすることになるそうで、復帰まで9か月ぐらいはかかりそうだ。
(写真・文/フリーライター安西伸一)