PANCRASE287でバンタム級KOP戦を行う石渡とシウバが互いを「最高の挑戦者」「最高の王者」と認め合い正々堂々決着を誓う!
都内新宿区のパンクラス事務所で、「PANCRASE 287」(28日、ディファ有明)のメインイベント、バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ調印式がおこなわれた。
第2代王者・石渡伸太郎(CAVE)と、挑戦者のハファエル・シウバ(ASTRA FIGHT TEAM)が揃って出席、坂本靖パンクラス運営本部長の立ち会いのもと、出場制約書にサインをした。
王者・石渡は、今回が5度めの防衛戦となる。2011年12月に獲得して以来、5年以上の長きにわたって王座に君臨している、まさに「パンクラスの顔」だ。その石渡が、約10ヵ月ぶりにケージに戻ってきた。
スーツを着こなした石渡は、静かなたたずまいを見せた。リラックスしながらも、身体の奥には静かな炎が燃えているというオーラを放っている。今回は、徹底的に「基本」にこだわって練習してきたという。走り込みや単独での調整など、たった1人で自分と向き合う時間を積み重ねたことで、さらに深化したようだ。
挑戦者のシウバは、2016年よりパンクラスに参戦、コンボイ升水(現・翔兵)、上田将勝を破って実力を見せつけ、3戦目にしてビクター・ヘンリーと次期挑戦者決定戦を闘い,勝利。タイトルマッチへの切符を手にした。
シウバも、調印式のためにブラジルから持ってきたスーツで出席。この試合への意気込みがうかがえた。石渡もシウバの意気に感じ「嬉しいですね」とニッコリ。いつも減量に苦しんで来たシウバだが、このタイトルマッチに向け、早めに始めて落としてきたという。この時点(試合2日前)であと1.3kgだった。スーツの上着を脱ぐと、本来はピッタリであろう白シャツがぶかぶかになっており、ワンサイズもツーサイズも大きく見えた。シャツに手を入れ、バタバタさせて笑うシウバ。準備は万端だ。
——まず、それぞれ意気込みをお願いします。
石渡「初めてシウバ選手を(近くで)見ました。ブラジルからスーツを持って来てくれて、本当に最高の挑戦者だと思います。尊敬の念を持って叩き潰します」
シウバ「このたびは、ベルトに挑戦させていただき、とても光栄です。私はチャンピオンのことをとても尊敬しています。チャンピオンと闘うために、今まで以上にハードなトレーニングを積み、今までで一番のコンディションで、今までで一番の試合をして、ベルトを持ってブラジルに帰りたいです」
——現在の心境を教えてください。
石渡「やることは全てやってきました。闘う準備はできているので、あとは楽しみだけですね」
——不安や緊張はないのですか?
石渡「それよりも、楽しみだなという気持ちの方が大きいですね」
シウバ「この試合のために、懸命に準備をしてきました。これまで減量が大きな課題でしたが、今回は今まで以上に早く始めて、いつもより軽い状態で日本に来ました。あと1kgちょっと落とすだけです。日曜日は、今までより強くて速い自分を見せられると思います」
——石渡選手は、タイでの練習のあとは、CAVEやOTOKOGIでの練習と、お1人での練習をして来られましたね。どんな練習をされてきたのでしょうか。
石渡「内緒です(笑)」
——減量はいかがですか。
石渡「ご覧の通り、今はまだ元気です。でも、減量はうまくいっています」
——両選手にお聞きします。この試合は、あなたにとってどんな意味がありますか?
シウバ「今回は、彼のこれまでのキャリアで最大の闘いになると思います。私は、ここ数戦、日本でやっていて、日本は自分のホームだと思っています。だから、パンクラスのベルトは私にとってとても大事なものです。パンクラスのベルトを取ること、そして石渡選手という強い選手と闘うことで、歴史に残る試合にしたいです。そして、最後に私がベルトを獲って、歴史に名を刻みたいと思います」
石渡「この試合のレベルを見てもらえば分かると思います。僕自身、自分がどこにいるのか、この試合でハッキリ分かるでしょう。自分の位置と価値を確認することになると思います」
——石渡選手にお聞きします。シウバ選手は、なんと84.8%という驚異の勝率を誇ります。そこに関してはいかがでしょうか。
石渡「シウバ選手は、世界的に見て、けっこう有名ですし、強い選手です。でも僕は、そういう選手たちに勝っていきたいので。今回は(シウバ選手の)勝率がちょっと落ちますよ」
——シウバ選手にお聞きします。日本のプロモーション「RIZIN」では、バンタム級のトーナメントが始まり、そこにパンクラスの王者も出てほしいと言っています。このことはご存じですか?
シウバ「パンクラスでベルトを獲ることしか考えていないので…。興味を持ってくれるのは有り難いですが、私の目標はパンクラスです」
——石渡選手、これを聞いていかがですか。
石渡「嬉しいですね」
時折、シウバが、質問に答える石渡をじっと見つめていたのが印象的だった。
リラックスした中にもピンとした緊張感が感じられる調印式。お互いに「やるべきことは全てやった」と言い切れるほど練習に励んできたからこそではないだろうか。しかし、ツーショットでの撮影に入ろうとすると、どちらからともなく向き合い、お互いをにらみ合う形となった。
穏やかなだけじゃない。両者の闘いの炎は、爆発する時を今か今かと待っている。最高の王者と、最高の挑戦者。必ずや、最高のタイトルマッチを見せてくれるはずだ。
(写真・文/佐佐木 澪)