6・6後楽園大会のW-1タッグ王座戦に向けて征矢&タナカが長野の箕輪町で特訓!タナカが征矢を「柔」で圧倒?!
5月某日、6月6日(火)の『WRESTLE-1 TOUR 2017 OUTBREAK』後楽園ホール大会で、河野真幸&伊藤貴則が保持するW-1タッグチャンピオンシップに挑戦することが決定した征矢学とタナカ岩石のタッグが、征矢の地元・長野の箕輪町にてタイトル奪取に向けての特訓を行なった。
征矢と言えば、プロレス界に入る前は柔道に打ち込んできた男。ワイルドな言動が注目を浴びる男だが、実はそのベースは柔道にある。一方のタナカと言えば、頭突きを主体にゴツゴツとしたファイトを信条としているが、征矢が聞きつけた話によると、同じく柔道の経験があるという。そこで征矢は打倒王者組に備えて、タナカと原点回帰の柔道特訓を行なうことを思いついた。
折しも5月28日(日)に自身のデビュー10周年記念大会として開催する長野・箕輪町ながたドーム大会が控えている。征矢はその準備のために一足早く生まれ故郷である長野県上伊那郡箕輪町に帰郷。そして、同地で柔道特訓を行なうべく、タナカを呼び寄せたのだ。
自身で望んだこととはいえ、征矢の意味不明な言動に振り回されているタナカは、「なぜ長野に行かなければならないのか……」という疑問を抱えつつも、大先輩の言うことには従わなければいけないので道衣を持ってはるばる箕輪町までやってきた。征矢の待つ箕輪町武道館の最寄り駅である伊那松島駅に降り立ったタナカ。いつも練習を行なっているGENスポーツパレスからは特急を使っても3時間半以上かかる長旅だ。東京とは違いのどかな駅前の風景に戸惑いながらも、タナカは征矢に指定された箕輪町武道館へと向かった。
待っていた征矢はすでに白い柔道衣を着込んでやる気満々。タナカが駆けつけると、「遅い!」と一喝し、すぐに道衣に着替えるように命令した。長旅の疲れもあるタナカだが、先輩の言うことには逆らえずにすぐに道衣に着替えた。
ところがここで問題が発生! なんとタナカの着ていた道衣は真っ黒なのだ! しかも、ところどころにイラストが縫い付けられていたりと、なかなか派手なデザインだった。これを見た征矢は、「なんだお前、その道衣は! なんで黒なんだ? マジックで塗ったのか? おい、しかも悪魔超人軍って書いてあるぞ!」と怒りながら指摘。タナカの道衣は征矢も大好きな人気漫画『キン肉マン』をモチーフにしたデザインだったのだ。
「背中のキャラクターはザ・魔雲天じゃないか? 悪魔超人軍って、ゆでたまご先生に許可は取っているのか? あの人はうるさいぞ、こういうことには!」
実際にタナカの背中に入っていたイラストは、魔雲天ではなく、その息子で読み切りにも出てきたキャラクターの暴流渓(ボルケーノ)である。
『キン肉マン』好きを公言しながら、キャラクターを間違えるという痛恨のミスを犯してしまった征矢。タナカは指摘したい気持ちをグッと抑えながら、征矢に言われるがまま特訓に挑むことになった。
まずは前回り受け身や、エビなど柔道の基礎トレーニングを行なった2人。続いて打ち込みの稽古へと移ったのだが、ここでまたもや問題が発生する。タナカの道衣の袖の掴み方が柔道のそれとは違うのだ。タナカの握りはピストルグリップという袖口に指を突っ込むという握り方だった。
「おい、柔道はそれをやっちゃダメなんだよ。習わなかったのか? あと、お前の道衣、サイズが小さくないか?」
先輩らしく注意をした征矢だが、何度やってもタナカは直す気配すらない。
「なんだお前、格好だけで柔道が何もわかってないな!」
イライラし始めた征矢だが、やはりタイトルマッチには勝ちたい。そこで「柔道のルールがわかってないようだが、プロレスにもルールはあるんだ!その上で勝たなきゃいけないんだよ。しょうがないから、お前の実力を見てやるから、かかってこい!すべてを受け止めてやる!」と、握りのおかしいタナカを相手に乱取りを行なうことを宣言した。
「さあ、来い!」と構える征矢に対して、タナカはなんといきなり蟹挟!倒れ込みながら自身の両足で征矢の両足を狩って、そのままアキレス腱固めに持ち込んだ。不意を突かれて足を極められた征矢は思わずタップ。
「ああ、いてててて!何やってんだよ!蟹挟は柔道では禁止だろう!しかも足への関節技も禁止じゃないか!」
怒り心頭の征矢だったが、後輩相手に大人気ないと思ったのか、グッとこらえて再び乱取りを再開した。
ところが、今度はタナカは征矢を寝技に引き込むと自身の足を征矢の左腕の脇の下に差し込み、両足で絡めながら何やら技を仕掛け始めた。たまらず前転して逃げる征矢の動きに合わせてタナカも動き、ガッチリと征矢の左肩を極めてしまったのだ。この技はブラジリアン柔術で使用するオモプラッタのようだが、わけもわからず極められた征矢は思わずタップ。
「おい、肩はダメだろう!お前、柔道わかってないのか?」
柔道で肩関節を極めることは禁じられているとのことだが、タナカの繰り出す技の数々に戸惑いを隠せない。それでももう一度乱取りを再開した征矢。しかし、ここでもタナカはピストルグリップで征矢の袖を握ってくるのだ。
「おい、だからその握りはダメだって言っているだろう!」
またも注意をした征矢に、ついにタナカがしびれを切らした。征矢の言うことを無視すると再びグラウンドに持ち込んで今度は回転しながらチョークスリーパーを極めたのだ。ここでも思わずタップしてしまった征矢だったが、再三に渡るタナカの行動についに怒り爆発だ。
「おい!お前が柔道が得意だって言うから、柔の道を極めたって言うから、この道場をわざわざ借りたんだぞ!本当に柔道をやっていたのか?」
征矢に問い質されたタナカの答えにより、すべての疑問が氷解した。
「いえ、柔術です」
なんと、タナカが習っていたのは柔道ではなくブラジリアン柔術だったのだ。黒の派手な道衣、握りの違い、そして征矢が知らない技の数々。すべては柔道ではなく柔術だったからこそだった。
「じゅ、柔術……?お前、先に言えよ!ずっと柔道だと思ってたのに。同じ柔でも違うだろう! こっちは道なんだよ!」
文句を言う征矢だが、タナカの顔には「柔術って言っていたのに勝手に勘違いしただけじゃないですか……」という表情がありありと浮かんでいた……。
結局は征矢の聞き間違いが原因なのだが、はるばる長野まで呼び出されたタナカにしてみれば踏んだり蹴ったりな特訓となってしまった……。
6月6日のW-1タッグチャンピオンシップまでもう2週間を切っている。タナカは言い知れぬ不安を抱えつつ、1人東京へと虚しく帰ったのだった。