長与千種が土下座!!RIZINは女子プロレスとどうかかわるのか!?
12月29日(木)と31日(土)にさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN大会に合わせ、29~31日の昼には同所のコミュニティアリーナで無料イベント『格闘技EXPO2016』が開催されている。
29日にはアマチュアの柔術大会がコート4面を使って行われたが、その隣のリングでは女子プロレスラーによる試合『レジェンド女子プロレス~ファイティングガールズ』が催された。
出場したのはマーベラス、WAVE、LLPW-X、センダイガールズ、JWP、アイスリボン、Beginningの7団体の選抜選手と、フリーの女子選手。各団体の提供試合があり、立ち見の客がリングを取り囲んだ。
入場式では長与千種が「さっきのぞいてきたけど、昔はああいう大きな所(さいたまスーパーアリーナ)で女子プロもできたんだ。来年は大きい方でやりたい」と挨拶。また、試合には出場しない神取忍も最後にリングに立ち、「今日は女子プロレスがひとつになりました。堀田選手が31日に闘います。ぜひ皆さん、堀田選手を応援して下さい。最後の最後まで女子プロレスの魅力を楽しんでいただきたいと思います。そして来年、さらに大きな展開にしていきたいと思います」と挨拶した。
試合後にも長与千種がマイクを持ち、「神取選手のはからいで、全団体とはいかなかったですけど、色んな団体が集まってくれて、女子プロレスを開催することになりました。来年は×10、絶対29、30、31日、どっかを女子プロレスに下さい! 榊原社長、よろしくお願いします! (全女コールが起こり)全女はみんな元気です。来年、全女の赤いベルトを懸けてのトーナメントとか出来るといいと思わない? 来年は本当に全女の…」
するとリング下から上がってきた彩羽匠が、長与に耳打ち。長与は「(RIZINの)榊原社長(が来てる)!? 榊原社長、何してんの!? みんな、女子プロレス見たいか!?×2 全女を見たいか!? 社長、来年、29日か30日か31日、どこか女子プロレスに、ひと大会、下さ~い‼」と、リングに上がってきた榊原社長に土下座した。
榊原社長は「女子プロのファンの皆さん、こんにちは。本当に今回、こういう機会で長与さんも、女子プロレス界をもう一回盛り上げるためにね、みんなで力を合わせようっていう熱い思いを聞いて、今年はコミュニティアリーナでやりました。ここがスタートで、本当にみんなで力を合わせて、もう一回、日本の女子プロレス。昔はゴールデンタイムで毎週楽しんで、僕もクラッシュギャルズは大好きでした。日本は女子のリングスポーツが根付く文化があると思うんで、僕も陰ながらと言うか一所懸命応援しますので、力を合わせて、もう一度女子プロレス、日本から世界に向けて。堀田選手も日本の女子プロレスラーの誇りを胸に(31日に)ギャビ・ガルシアと闘いますので。その心意気、神取さんが言った心意気に胸を打たれたところがあるので。僕も精一杯やりますので、よろしくお願いします」と挨拶した。
続いて長与は「今日はですね、本当に神取さんが言いました通り、女子プロレスが来年こそ一つになる年だと思いますので。そして自分達は次世代をしっかりと引っ張って、そして上にあげていく役割りもありますので、どうかお力添え、よろしくお願いします」。
それに応じて榊原社長は「はい、頑張ります。長与さんとかダンプさんとか豊田さんとか井上(貴子)さんとか、やっぱりこの世代の、本当に日本が誇るスーパースターを超える若い選手達がね。格闘技もそうですけど、次の世代はみんなで作っていければ。それはたぶんファンの力が必要だと思うんで、ぜひ応援してください」と話した。
同夜のRIZIN大会終了後、インタビュースペースで榊原社長がコメントを出したので、女子プロレスの事を聞いてみた
――今日コミュニティアリーナでは、アマチュアの柔術のほかに、プロである女子プロレスにもリングを提供しましたが、今後RIZINは女子プロレスとどう、かかわっていくのでしょうか?
榊原社長「どうかかわっていったらいいんでしょうか、僕には…(笑)。あの、同じリングスポーツとして、熱い思いを共有できるものであるならば、格闘技もプロレスも同じリングスポーツであるっていう、なんかアントニオ猪木さんが言っていそうな感じですけど、共通するものはあると思うのでね。やっぱりなにかRIZINが動き出すことで、長与さんとかね、みんながまた『私達もやろうよ』みたいな機運が出てきて、それをファンも受け止めてっていうのが、いい形でスパイラルになったら、僕らもそこには乗っかっていけるかなと思います」
――それは女子プロレス界をサポートしたいというお気持ちですか? それとも女子プロレス界に進出するという
榊原社長「いやいや。サポートとか進出とかって事までは、全く考えてないです。女子プロレス界をサポートって…、結構人気あるじゃないですか、女子プロレスって。僕らが一緒に、何かお互い共同で、共通して目標持って向かっていけるもの、があるんなら、それは築いていくっていうか、一緒に作り出していくっていう事はできるけど。何かやる事を僕らが金銭的にとか、何かメディアとか含めてサポートするっていう感じではないかな」
――長与さんは来年の年末は大きい方でって
榊原社長「はいはい、大きい方でってね。厳密に言うと明日(30日のさいたまスーパーアリーナは)あいてますからね。だから本当に、長与千種が本当にそう思うんだったら、それを見せてくれって感じです。情熱持ってやってみろって。で、それに神取さんが乗っかる、ダンプ松本さんが乗っかる、若手の女子プロレスラーも乗っかる。ひょっとしたら今日、ライオネス飛鳥も来てましたけど(注・RIZINの大会のみ観戦)、ライオネス飛鳥とも仲良くなって、もう一回、一緒になってクラッシュギャルズ復活! とかって何かやらないと。ここは私は行きたくないわとか、そういうことでは僕、復活しないと思うんだ。いや、貸すのはできるよ。(客で)埋めれんの? って話じゃないですか。うん。それは僕らが代わりにリングに上がれないんだから。女子プロレス界にそういうムーブメントを起こすのは、長与千種さんとか神取さんとかがやるんなら。そういうものに僕らが一緒に作り出していくのに協力はします」
積極的にかかわるわけでもなければ、手を差し伸べないわけでもない、それでも一緒に手伝える事が出てきたら協力できることもある、というスタンスか。でも、地上波放送のコネクション、大会場内の舞台設営など、RIZINがヘルプしてくれたら、より華やかな大会が実現するかもしれない。
なお、ライオネス飛鳥は両ヒザのじん帯を断裂させ、約10年前に引退している。若い選手がいるのだから、とOG戦にも否定的な立場をとっており、復帰して長与とのクラッシュギャルズを復活させることは、飛鳥は全く考えていない。
熱心なプロレスマニアからは「プロレスラーが“いけにえ”にされてきた」と、敵視されることもあるPRIDEの流れをくむRIZINだが、女子プロレスとはどうかかわるのか。2017年、何か動きがあるのかもしれない。
写真・文/フリーライター安西伸一