【試合結果】12・18 PANCRASEディファ有明大会 松嶋こよみvsマルロン・サンドロ ISAOvs高谷裕之 砂辺光久vs北方大地
『PANCRASE 283』
日時:2016年12月18日
開始:15:00
会場:東京・ディファ有明
観衆:2020人(超満員)
【本戦】
▼第1試合 フェザー級 3分3R
○松岡嵩志(パンクラズイズム横浜)
3R 2分52秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●宮路智之(パラエストラ松戸)
▼第2試合 バンタム級 3分3R
○合島大樹(GUTSMAN)
3R 2分09秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●坂本瑞氣(総合格闘技 宇留野道場)
▼ 第3試合 バンタム級 3分3R
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me.We)
判定3−0
●山口 亮(パンクラスイズム横浜)
▼第4試合 ストロー級 3分3R
○小塚誠司(FREEDOM@OZ)
2R 1分34秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●児玉勇也(和術慧舟會トイカツ道場)
▼第5試合 ライト級 5分3R
―ジョン・バチスタ・ヨシムラ(TS GYM)
ヨシムラが10.8kg計量オーバーのため試合中止
―林 源平(和術慧舟會IGGY HAND’S GYM)
▼第6試合 フライ級 3分3R
●荻窪祐輔(K-PLACE埼玉格闘技道場)
判定1−2
○若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)
▼第7試合 フライ級 3分3R
●神酒龍一(CAVE)
判定0−3
○古間木崇宏(パラエストラ八王子)
▼第8試合 フライ級 5分3R
―春日井健士(志村道場)
ボントリンが計量オーバーのため、ノーコンテスト
―ホジェリオ・ボントリン(Team Gile Ribeiro)
▼第9試合 フェザー級 5分3R
●内村洋次郎(イングラム)
判定0−3
○田中半蔵(シューティングジム横浜)
▼第10試合 フェザー級 5分3R
●松嶋こよみ(AACC)
1R 2分51秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○マルロン・サンドロ(NOVA UNIAO)
▼第11試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○ISAO(坂口道場一族)
判定3−0
●高谷裕之(高谷軍団)
▼第12試合 メインイベント ストロー級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
【王者】○砂辺光久(reversal Gym OKINAWA CROSS×LINE)
2R 48秒、チョークスリーパー
【挑戦者】●北方大地(パンクラス大阪 稲垣組)
※砂辺が防衛に成功
【スィングバウト】
▼第1試合 フライ級 3分3R
●三澤陽平(ALLIANCE)
判定0−3
○桑原 悠(PUREBRED)
▼第2試合 フライ級 3分3R
○中村龍之(Lotus世田谷)
判定2−1
●杉山廣平(SPLSH)
▼第3試合 フェザー級 3分3R
●渡辺謙明(パラエストラ東京)
判定0−3
○堀江圭功(ALLIANCE)
▼第4試合 ライト級 3分3R
●小林 裕(U-FILE CAMP)
判定1−2
○丸山数馬(TEAM LTDR)
砂辺光久が格闘技界の“パンクラス王”になるために他団体へ侵攻宣言!中井りんが新コスチューム披露!
オープニング
今大会も、UFC FIGHT PASS、TOKYO MX TV、Abema TVでの生中継がおこなわれた。ゲスト解説にはSRCフェザー級、修斗世界ライト級、TKO世界フェザー級元王者にして、現在パンクラス・フェザー級1位の日沖発と、俳優の中尾明慶さんを迎え、超満員となった会場の熱気と、熱い試合の様子が放送された。
第1試合
1R、松岡がローを放つと、宮路が組んでケージへ。バックを取り首を狙うが、極まらず終了。
2Rも宮路がタックルからケージへ押し込む。松岡はヒザ。入れ替えてケージへ押し、ヒザを連打する。宮路は投げにいこうとするが、松岡が耐えては慣れる。宮路はバックにつこうとするが、松岡が前に落とした! 上になった松岡が殴って終了。
3R。宮路が組んでケージへ押すと、入れ替え合いに。松岡がヒザを打ち込むと、宮路は振り切る。松岡が組んでケージへ押し込み、ヒザ連打。宮路は内股をかけるが倒せない。いったん離れると、松岡のヒザが宮路のタックルにジャストヒット!! ダウンした宮路に松岡がパウンド! レフェリーが止めた。宮路は起き上がることが出来ず、担架で退場。
第2試合
1R、坂本は低いガードでパンチを出す。合島はローからパンチ、ケージへ押す。坂本が入れ替えるが、合島が振り回して倒したところで終了。
2R、合島はローで攻め、何度も坂本のバランスを崩させる。坂本は尻餅をついてもすぐに立つが、ローが効いている。パンチを出すものの、合島の強いローに押されて終了。
3R、パンチで前に出る坂本だが、合島がプレッシャーをかけ、押していく。合島の右パンチがヒット! 組んで投げつけてパウンド。防御できず打たれる坂本。レフェリーが止めた。
第3試合
1R、山口がタックル。これを切ったTSUNEはバックを取り、そのまま背中に乗る。山口は前に落とそうとするが、脱出できないまま終了。
2R、TSUNEのパンチがヒット。しかし、山口はすぐ立ってバックを取る。TSUNEが上になり、山口はガードから側頭部を殴る。投げたいが、倒せない。TSUNEは離さず投げる。山口は立つが、終了となる。
3R。パンチで前に出る山口。TSUNEのタックルを潰してケージへ押し込むが、TSUNEは持ち上げるようにして上となる。逃げる山口を追って、TSUNEが再び上に。TSUNEがヒザを連打し、終了。山口は、これがパンクラスイズム移籍初戦。
第4試合
1R、児玉が組んで上に。立ってケージへ押し込むと、小塚が入れ替えてヒザを打ち込む。児玉が入れ替え、ヒザの応酬。児玉が離れ、打ち合いに。小塚m児玉のパンチが効いたか? 児玉がケージへ押すと小塚は飛びヒザ、細かく殴って入れ替え、終了。
2R、打ち合いから児玉がタックル、ケージへ押し込む。小塚がケージ際で入れたヒジが児玉の後頭部にヒットし、タイムストップ。児玉のドクターチェックがおこなわれ、回復を待つためインターバルが取られた。小塚には口頭注意が与えられた。
再開。小塚がパンチから組み付きテイクダウン。パウンドを連打すると児玉の動きが止まり、レフェリーが試合を止めた。
第5試合
林源平
「和術慧舟會IGGY HAND’S GYMの林源平です。相手が10.8kg、約11kgの体重オーバーして、試合がなくなりました。こんな屈辱を受けたのは初めてです。パンクラスや、今日、試合をしている選手全員に対しての侮辱行為だと思います。怒り以外の何ものでもありません。この怒りをぶつけたいので、来年すぐに試合をさせてください。最高のKOをお見せします。来年もご来場よろしくお願いします」
第10試合
2007年からパンクラスに参戦、圧倒的な強さで翌年にはフェザー級KOPに輝いたサンドロ。SRCにも参戦し、フェザー級王座を獲得した。その後、海外に主戦場を移していたが、昨年4月にパンクラス参戦。ISAO戦で判定負けし、判定に不服を申し立てていた。「もう日本では闘わない」と話していたが、今回1年8ヵ月ぶりにパンクラスに復帰した。長く闘ってきた日本でファイトを見せたいという気持ちと、「あの判定は恥ずかしい。申し訳なかった」と泣いてくれた日本のファンの存在が後押しとなり、再度の参戦を決めたという。
対する松嶋は「現代MMAの申し子」と呼ばれる期待の新星。今年9月にパンクラス初参戦、牛久絢太郎をアームロックで仕留めている。MMAはまだ8戦目だが既に海外も経験し、高い評価を得ている。
1R、松嶋は距離を取りながら前蹴りを放つ。サンドロもロー。松嶋は強く蹴り、スイッチしながら回ってプレッシャーをかける。松嶋、スピンキック。サンドロは前に出てパンチを振るが、松嶋は慎重に見る。お互い警戒しながら見合うが、サンドロのパンチがヒット、松嶋ダウン! サンドロはバックにつく。松嶋はなんとか立ちタックルするが、サンドロはケージで耐え、ヒジ連打。激しい攻撃に松嶋の動きが止まる。サンドロは更にパウンドを連打! レフェリーが止めた。
衰えが囁かれていたサンドロだが、とんでもなかった。パンチの重さ、スピード、どれもKOを狙える力を持っている。「強さはケージの中でしか見せられない」と話していたサンドロが、その言葉通り強さを証明した。
今大会は、かつてSRCでサンドロと闘った日沖発が、ゲスト解説としてケージサイドでサンドロの試合を見守った。サンドロ、日沖、ISAO、今日は負けてしまったが松嶋と、役者は揃った。来年のパンクラス・フェザー級戦線は激しい争いになること必至、さらにファンを熱くさせることだろう。
サンドロ「松嶋は強かった。とてもスピードがあるし、タフな選手だった。みんなから年を取っていると言われるから、自分から前に出ていった。衰えなんて感じないし、まだまだこれからだと思っているよ。今日は日沖が来ていたが、自分は日沖のことをとてもリスペクトしているし、友人でもある。だから、出来ればあまり闘いたくはないけれど、もしそういう試合が組まれれば、プロとして受けます。今後はもちろん、ベルトを狙うつもりでいく。あのベルトは失ったものではなく、奪われたものだと思っている。だから、奪い返します」
第11試合
ISAOは昨年、パンクラスで2戦したあとBellatorに参戦したが、自身初の1本負け、KO負けを喫することとなった。しかし、この経験とアメリカでの練習を経て、今年9月、VTJ 8thで斉藤裕に判定勝ちし、再びパンクラスに戻ってきた。
対する高谷は昨年4月にパンクラス電撃参戦。ガイ・デルモを左フックで倒した。同年の大みそかにはRIZINでDJ.Taikiに判定勝ちしたが、今年6月のパンクラスでナザレノ・マレガリエ、10月のEuro FCでアラン・オマーと判定で連敗している。
相手がISAOであれば、打撃戦は必至。最後に立っているのはどちらか。
1R、身体を振ってプレッシャーをかけるISAO。高谷は右ハイキック、ジャブ。ISAOが高谷のパンチをくぐり、ケージへ押すが、高谷は入れ替え、ボディを殴って離れる。
片足タックルに入るISAO。高谷がケージへ押すが、ISAOがヒザを打ち込み離れる。ISAO左ミドルキック、ボディブロー。高谷がタックルに入ると、ISAOがケージへ押し、ヒザ。高谷が入れ替えるが、いったん離れ、再び組んだ高谷をISAOが倒したところで終了。ジャッジは三者とも10-9でISAO。
2R、パンチ、ローで積極的に攻めるISAO。高谷、ローを効かされている。ISAOはケージへ押すが、高谷入れ替え。どちらかがケージに押し込んでも、ヒザやパンチで離れる展開。ISAOはフェイントを入れながらパンチを振っていく。高谷の足を取りケージへ。高谷は離れるが、手数で負けている。焦りが見える高谷。ISAOはインローを効かせて終了。手数で優るISAOが三者10-9の支持を得る。
最終ラウンド。ロー、パンチで攻めるISAOだが、高谷のパンチが効きヒザをつく! しかし、そのまま組んでケージへ押し込んで立つ。会場からはおー! と声が上がる。お互いヒザを打ち込み離れると、打ち合いに! お互い引かない。高谷が右フックからケージへ押すが、すぐ離れる。ISAOがシングルからケージへ押す。残り2分。ISAOのロー。打ち合いからISAOが組んでケージへ。残り1分。高谷は出血している。ISAOは入れかえさせず、両足をすくってテイクダウンしたところでブザー。ISAOが3−0で勝利した。
ISAO
「たくさんのご来場ありがとうございます.高谷選手は一発が強くて、危ないシーンで何度もありました。勝ちましたが、反省点がいろいろあります。でもそれは、まだレベルアップできるということだと思います」
<試合後コメント>
ISAO
「やはり高谷選手のパンチは強かった。久しぶりのパンクラスで勝てて良かった。海外では悔しい思いもしたが、すごくいい勉強になった。今のパンクラスのフェザー級は、すごい選手がそろってきた。自分もいい闘いができればと思う」
中井りん あいさつ
12月29日、RIZINで村田夏南子と対戦する中井りんが、新コスチュームを披露。カラオケ「パセラ」のキャラクター「ハニトン君」とともにケージインした。
新コスチュームは紫のラメ入りで、照明に映えキラキラと光った。胸にはハニトン君のキャラクターが見える。中井は「このコスチュームで試合をします。応援よろしくお願いします。ハニトン君の応援も、是非よろしくお願いします」と話し、笑顔でケージを後にした。
第12試合
5年間無敗、14連勝中、パンクラス3階級すべて初代で制覇してきた砂辺。パンクラス旗揚げ戦の鈴木みのるに衝撃を受けてパンクラシストを志し、初めてパンクラスに上がったのは2001年。以来、パンクラス愛を掲げて軽量級を切り拓いてきた。もはやレジェンドの域に入ったと言っていいだろう。
挑戦者は稲垣組の若頭・北方大地だ。まだ25歳だが、18歳でデビューしており、既に7年のキャリアを持つ。パンクラス旗揚げメンバーでもある稲垣克臣のもとで、パンクラス愛を培ってきた。最年少戴冠、UFC参戦などの夢を掲げ闘ってきたが目標は叶わず、伸び悩んだ時期もあった。しかし、コンディショニングにも新しい活路を見いだし、ここ2年は負けていない。今後を見据え、ここは是非ともベルトを巻きたいところだ。
砂辺は長いキャリアの中で、稲垣組の選手には2敗1分と勝ち星がない。砂辺自身、北方を「稲垣組の最高傑作」と認めていることに加え、過去に負けて射る前田吉朗が参謀についているだけに、しっかり勝って初防衛に成功したい。
お互いのパンクラス愛が、ケージで激突する。
1R、お互い警戒してローで様子を見る。北方がパンチ! 砂辺もパンチを返す。さらに北方がパンチを放っていく。ギリギリの緊張感が漂う。北方左のパンチ。砂辺は跳びヒザを放つが、これは空振り。北方がパンチを打って終了となる。ジャッジは三者10-9で北方を支持。
2R開始すぐ、タイムストップがかかる。砂辺の左目の下が大きく腫れており、ドクターチェック。再開すると、砂辺がパンチで前に出る。北方はこれを受けて打ち合う。砂辺のパンチで北方がダウン! 砂辺はバックについて殴る。北方が立つと、砂辺は何とジャーマンで投げる! さらにバックマウントからチョーク。北方がタップアウト! 劇的勝利で砂辺が防衛を果たした。
激闘を終えた砂辺は「1ラウンドはヤバかった。北方選手は最高だったよ。またやりたいね! セミもその前もすごかったけど、でも俺は、パンクラスのチャンピオンがパンクラスの象徴じゃないとダメだと思う。俺、それにふさわしい試合をやったと思う」と話した。この試合は、メインイベントにも関わらず、パンクラスダービーの対象となっておらず、従って地上波での放送も完全にされないかも知れないスケジュールだったのだ。このことに関して砂辺は、試合前から、タイトルマッチであるメインイベントの扱いが軽いと、パンクラスに対して苦言を呈していたのだ。ここで砂辺は、ケージサイドで見ていた酒井正和・パンクラス代表をケージに呼び入れた。
酒井代表はマイクを受け取り「砂辺君は、パンクラスを引っ張ってきた生え抜き。すばらしい選手だと思う。だから、他にもっていきたい。砂辺君はパンクラスにこだわって来たけど、どこでも行ってくれるよね?」と話すと、砂辺は「酒井さんに言われたら、どこでも行くよ!」と答え、会場を沸かせた。
パンクラスという「場」にこだわり、かつての田原しんぺーのように、「俺と闘いたいならパンクラスに来い!」と語っていた砂辺だが、遂によその舞台でもパンクラスの強さを見せつける方向に転換したようだ。それもまた、違った形でのパンクラス愛である。
相手に関しては、砂辺は以前から内藤のび太を意識しており、内藤も修斗会場で砂辺を相手に指名したことがある。砂辺は調印式でも「アジア人ランキングで、俺の上に1人だけいる」と話していた。いま砂辺が他団体で闘うとしたら、内藤との対戦になる可能性は非常に高い。
舞台はRIZINが有力視される。砂辺と内藤が闘うことになれば、まさしく事実上の頂上決戦だ。来年の発表を待ちたい。
<試合後コメント>
砂辺光久
「北方選手は強かった! 実際1ラウンドは取られている。1ラウンドを取る作戦だったのに、それを取られてしまった。目のケガもそう。病院に行かないとわからないが、もしかしたら折れているかも知れない。1ラウンドの残り1分くらいのときにもらったパンチでやったと思う。でも、そのおかげで腹をくくって打ち合いに行ったので、ああいう結果になった。大好きな稲垣組から、やっと1勝を挙げられた」