【試合結果】全日本プロレス両国国技館大会 【三冠ヘビー級】宮原vs諏訪魔 【世界タッグ】関本&岡林vsザ・ビッグガンズ 【世界ジュニア】高尾vs石井 【アジアタッグ】青木&光留vs渕&大仁田 【GAORA】中島vsイケメン
『カーベルpresents 全日本プロレス in 両国国技館 ~New Explosion~』
日程:2016年11月27日(日)
会場:東京・両国国技館
開始:15:00
観衆:6522人(満員)
▼スペシャルシングルマッチ 20分1本勝負
●野村直矢
8分1秒 横入り式エビ固め
○野村卓矢
▼スペシャル6人タッグマッチ 20分1本勝負
●SUSHI/菊地毅(フリー)/井上雅央(フリー)
7分39秒 ミノルスペシャル
○田村和宏(HEAT-UP)/梶トマト(K-DOJO)/佐野直(フリー)
▼スペシャル8人タッグマッチ 30分1本勝負
○スーパー・タイガー(リアルジャパン)/土方隆司(フリー)/レイパロマ(ダブプロレス)/ディアブロ(フリー)
9分50秒 タイガースープレックスホールド
長井満也(ドラディション)/高岩竜一(フリー)/●南野タケシ(フリー)/ブラックタイガーVII(フリー)
▼スペシャル8人タッグマッチ 30分1本勝負
○ドリー・ファンクjr.(フリー)/チャボゲレロ(フリー)/ウルティモドラゴン(闘龍門MEXICO)/TAJIRI(フリー)
12分9秒 首固め
ザ・グレート・カブキ(フリー)/●西村修(フリー)/吉江豊(フリー)/小高イサミ(BASARA)
▼スペシャル6人タッグマッチ 30分1本勝負
青柳優馬/●ジェイク・リー/岩本煌史(スポルティーバ)
11分5秒 那智の滝→片エビ固め
○崔 領ニ(ランズエンド)/真霜拳號(K-DOJO)/竹下幸之介(DDT)
▼スペシャルタッグマッチ 30分1本勝負
○秋山準/ケンドー・カシン(フリー)
8分40秒 リストクラッチ式エクスプロイダー→片エビ固め
[GET WILD]●大森隆男/征矢学(WRESTLE-1)
▼GAORA TVチャンピオンシップ 60分1本勝負
【王者】●中島洋平
9分44秒 イケメンクラッチ
【挑戦者】○黒潮“イケメン”二郎(WRESTLE-1)
※第13代王者が2度目の防衛に失敗。イケメンが第14代王者となる
▼世界ジュニアヘビー級選手権試合 60分1本勝負
【王者】●高尾蒼馬(DDT)
14分29秒 シューティングスタープレス
【挑戦者】○石井慧介(DDT)
※第41代王者が2度の防衛に失敗。石井が第42代王者となる
▼アジアタッグ選手権試合 60分1本勝負
【王者組】青木篤志/●佐藤光留(パンクラスMISSION)
14分17秒 バックドロップ→片エビ固め
【挑戦者組】○渕正信/大仁田厚(ファイアープロレス)
※第99代王者組が5度目の防衛に失敗。渕&大仁田組が第100代王者となる
▼世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
【王者組】●関本大介(大日本)/岡林裕二(大日本)
20分40秒 ジャックハマー
【挑戦者組/THE BIG GUNS】○ゼウス/ボディガー(フリー)
※第72代王者組が5度目の防衛に失敗。ゼウス&ボディガー組が第73代王者となる
▼三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
【王者】○宮原健斗
26分21秒 シャットダウンスープレックスホールド
【挑戦者】●諏訪魔
※宮原が6度目の王座防衛に成功
宮原が諏訪魔相手に三冠ヘビー級防衛!渕正信&大仁田が第100代アジアタッグ王者へ!石井が高尾を、イケメンが中島を倒し新王者へ!
オープニング
全日本プロレス約3年ぶりの両国大会のオープニングを飾るのは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんプロデュースのアイドル『スルースキルズ』。メンバー一人一人が“罵りワード”をコールされながらリングインすると、「みんなのストレスいただきます! スルースキルズです! 四方八方からの罵りまっています!」と自己紹介。そしてメジャーデビューシングルである『幕開けセンセーション!』と、全日本プロレスをイメージした曲であるという『限界の先へ』の2曲を熱唱。そして「カーベルpresents全日本プロレスin両国 NEW EXPLOSION、スタート!」とオープニングコール。
第1試合
オープニングマッチは全日本プロレス期待の野村直矢と、大日本プロレス期待の野村卓也の“野村”対決。牽制のローを出していった卓也は腕を取ってリストロック。そこからグラウンドに持ち込んで腕十字を狙うが、丸め込みで切り返した直矢はエルボーからドロップキックを狙う。これを自爆させた卓也は立ち上がろうとする直矢を蹴ろうとしたが、かわした直矢。エルボーを打っていった直矢に対し、サッカーボールキックを返した卓也。エルボー合戦からミドルキックを叩き込む卓也にカウンターエルボーを返した直矢は逆片エビ固めに捉える。
どうにかロープに逃れた卓也だが、上背で勝る直矢が上から打ち下ろすエルボーからのショルダースルー。さらに腰にもエルボーを打っていった直矢は串刺しジャンピングエルボー。続くノーザンライト・スープレックスをカウント2で返されると、間髪入れず逆エビ固め。リング中央でガッチリ決めた直矢だが、卓也は辛くもロープに脱出。
卓也のカウンターミドルに直矢も追走式ジャンピングエルボーを返すが、下から突き上げるようなカウンタードロップキックを叩き込んだ卓也はミドルキックから張り手で直矢を棒立ちにさせると、ランニングミドルで蹴り倒してから腕十字へ。必死でロープに逃れた直矢だが、卓也は左腕に蹴り。直矢は蹴り脚をキャッチしてエルボーを叩き込むとスピアー。さらにカウント2で返されると山折りを決めるが、これもカウントは2。直矢はどうにかエルボーで畳みかけようとするが、かわした卓也はカウンター気味の張り手。一瞬意識が朦朧とした直矢をスクールボーイで丸め込んだ卓也が3カウントを奪った。
<試合後コメント>
野村直矢
「返した、返したはずだ!・・・クッソー!この借りは絶対返してやるから!」
第2試合
SUSHIはスルースキルズを帯同して入場すると全員でSUSHIダンス。一方、梶が入場してトマトダンスを披露すると、スルースキルズも一緒になってトマトダンス! さらに試合前から菊地が佐野に詰め寄っていくなど、何ともバラエティに富んだ顔触れが揃った6人タッグマッチだが、先発は井上と田村。リストロックに捉えた井上はグラウンドに持ち込むが、田村は腕十字で切り返していく。ロープに逃れた井上は梶がリングインしたのを見て菊地にタッチ。
客席から「トマト」コールが起こる中、ロープで勢いをつけたトマトがランニングエルボー。そしてタッチを受けた佐野が張り手を連打するが、菊地はゼロ戦キックを返すと串刺しエルボーからの串刺し式ゼロ戦キック。さらにロコモーション式ブレーンバスターと絶好調。
続いて井上はレフェリーが見ていない隙にヘッドロックパンチ。そしてSUSHIとのダブルタックルで佐野を吹っ飛ばす。SUSHIはニールキックから一本足頭突きを叩き込むが、佐野は返す刀でラリアット。タッチを受けた田村はスリングブレイドからミサイルキックで吹っ飛ばすがカウントは2。しかしコーナーにホイップされたSUSHIは、うまくエプロンに逃れるとスワンダイブ式ミサイルキックを返す。そこに井上と菊地が入ってきてトレイン攻撃からダブルのブレーンバスター。
そこにSUSHIがダイビング・ヘッドバットを投下するが、カウント2で佐野と梶がカット。SUSHIはTEEKAMAKI(=レインメーカーの動作→エビ固め)を決めるが、田村も横回転して切り返す。カウント2で返したSUSHIはトラースキックからカツオの一本釣り(=フィッシャーマンバスター)を狙うが、田村は首固めで切り返す。カウント2で返したSUSHIだが、そこに梶が入ってきて延髄斬りを叩き込むと、田村が電光石火のミノルスペシャルを決めてタップを奪った。
<試合後コメント>
SUSHI
「なんや!勝ったと思ったのに!勝ってたやろ?勝ってたやろ?・・・詰め甘いな。また言われるな。もう、こっからや、また。両国のビッグマッチ。みんなここを目標にして頑張ってきた。でもまた来月から最強タッグ、始まるやろ。また1からや、1から。このまま終わってたまるか!クソ!でも両国でできて本当にうれしかったです。三年ぶり、うれしかった。あんないっぱいのお客さんに応援してもらって。本当に今日は勝ちたかったけど勝てなかった。もっと練習して強いSUSHIになります。強くておもしろいSUSHIになります」
第3試合
長井組、タイガー組が入場したあとに、何と沢田研二の『ストリッパー』が鳴り響いてソロで入場してきたレイパロマだが、長井が奇襲攻撃を仕掛けていって試合開始。
リング上ではブラックがタイガーにドラゴンスクリューからシャイニング・ウィザードを発射。続いてディアブロが高岩に急所攻撃を見舞うと、土方がミドルキックを連打。そしてパロマが腰をクネらせてから串刺し攻撃を狙ったが、高岩はラリアット一発で迎撃。
すかさず長井が場外に連れ出してパロマを鉄柵に叩き付けると、その間にブラックがタイガーのマスクに手を掛ける。南野がテーピングを外してパロマにチョーク攻撃。さらに長井とのダブルタックルを決めると、そのまま長井がテキサス・クローバー・ホールドに捉える。辛くもロープに逃れたパロマだが、ブラックが垂直落下式ブレーンバスター。
そして高岩が串刺しラリアットからダイビング・エルボードロップを投下。カウント2で返したパロマはコルバタで高岩を投げると土方にタッチ。串刺しハイキックから低空ブレーンバスターで投げた土方だが、高岩もパワーボムの体勢。これをリバースで切り返した土方だが、高岩はカウンターのラリアット。タッチを受けた南野はDDTから串刺し攻撃を狙ったが、ハイキックで迎撃した土方はスタンディング・シャイニング・ウィザードを発射。
タッチを受けたタイガーはタイガースープレックスを狙うが、南野は急所蹴り。ブラックのシャイニング・ウィザード、長井の魔界ドライバー(=ファルコンアロー)から南野がスワントーンボムを投下するが、カウント2でカットしたディアブロが南野をフェイスバスターで叩き付けると、パロマをブレーンバスターで投げて南野に叩き付ける。さらにタイガーがバックドロップで投げると、その他の選手が場外乱闘になっている隙を突き、南野をハイキックからタイガースープレックスで投げて3カウント。
<試合後コメント>
スーパー・タイガー&レイ・パロマ
タイガー「ちょっと前ですかね。諏訪魔先輩がダークナイトメアにやられて。そういう時に限ってリアルジャパンの方に出ていていなかったんで、ダークナイトメアが暴れて。今回もスタートからああいう感じで攻めてきて。想定内だったんですけど、ちょっと僕もこれまで触れていない相手もいたんで、面喰らいましたね。でも今回のチームも面白いなって。うまい具合に紫、黒と統一されて・・・。あ・・・ちょっと(苦笑)」
パロマ「またそうやって仲間はずれにする!」
タイガー「すいません(苦笑)。でもまた4人で組むのも面白いと思います。まだまだ今年はありますんで、ビシビシやっていきますんでよろしくお願いします。今日はありがとうございました!」
第4試合
豪華8人タッグマッチということで一人ずつ入場。まずはレジェンドの中に単身殴り込みをかけるような格好となったイサミが入場すると、続いてTAJIRI、そして近藤真彦公認の曲で吉江、ウルティモ、西村、チャボ、カブキ、そして最後に『スピニング・トーホールド』に乗ってドリーが入場。試合前には山田邦子さんからドリーに激励の花束が贈呈される。
ドリーは吉江に詰め寄っていき睨み付けるなどやる気満々。カブキが緑の毒霧を吐けば、TAJIRIが目の前でグリーンミストを噴射して対抗。試合前から見どころ満載だが、何とドリーとイサミの先発で試合開始。
ハンマーロックに捉えたドリーは、そのままチャボにタッチするとダブルのエルボーを叩き込む。イサミの首を捻りあげていったチャボは首4の字固め。ロープに逃れたイサミは下からチャボの腕を取って千弐四四(=変型腕固め)を狙うが、ドリーがチャボの腕を引っ張って自軍のコーナーに引き寄せると、チャボはウルティモにタッチ。
足を取ったイサミだが、ウルティモはコークスクリュー・シザースで投げていく。さらにショルダースルーからローリングドバットを叩き込むとTAJIRIにタッチ。ハンドスプリングエルボーからトラースキックでイサミを吹っ飛ばすと、バズソーキックを放ったTAJIRI。これをかわしたイサミは逆にバズソーキックを叩き込むと吉江にタッチ。
バックを取ったTAJIRIだが、ケツ圧で吹っ飛ばした吉江は両足でTAJIRIの腹の上に乗っかっていく。続いて西村がエルボースマッシュを叩き込むが、スルスルと逃れたTAJIRIはドリーにタッチ。
エルボースマッシュの打ち合いになると、打ち勝ったのは師匠のドリー。すると西村はカブキにタッチ。
ドリーのエルボースマッシュにアッパーカットで応戦したカブキ。劣勢だったドリーだが、鋭角なエルボースマッシュでカブキを吹っ飛ばす。ここでタッチを受けた吉江がリングイン。
エルボースマッシュを叩き込んでいくドリーだが、吉江は自軍のコーナーに押し込んで西村にタッチ。
スリーパーからコブラツイストに捉えた西村だが、腰投げで逃れたドリーはエルボードロップ。カウント2でイサミがカットするが、チャボとTAJIRIで西村を捕まえる。しかし西村もウルティモを自軍のコーナーに押し込んで吉江にタッチ。
ウルティモのクロスボディーをキャッチした吉江はマットに叩き付けてエルボードロップ。これをかわしたウルティモはドリーにタッチ。イサミにエルボースマッシュを連打したドリーだが、イサミは急所蹴り。ブーイングが起こる中、ドリーはイサミに怒りのハンマーを振り下ろす。しかしタッチを受けていた西村がエルボースマッシュから足4の字固めへ。イサミの低空ドロップキック、吉江のボディプレスがドリーに襲いかかると、西村はさらにスピニング・トーホールドにスイッチしたが、ドリーはそこを首固めで丸め込んで3カウント。勝ち名乗りを受けたドリーはムチを振り回して健在ぶりをアピールしてみせた。
<試合後コメント>
ドリー・ファンク・ジュニア&ウルティモ・ドラゴン&TAJIRI
ドリー「(日本語で)こんにちわ。皆さんのあたたかいご支援、まことにありがとうございます。日本のプロレスは一番。いつも一番。がんばってください。いつもがんばってください」
――ドラゴン選手ほどのキャリアでも、これだけのレジェンドと組むのはそうそうないことではと思いますが?
ウルティモ「僕からしたら子供のころからテレビで見ていたスター選手ですから。TAJIRIもそうだと思うけど、組めたということがね」
――TAJIRI選手もこの中ではかなり若い選手となりますが?
TAJIRI「もう若造ですよ。一緒の空間にいられただけでも一生の思い出です。願わくばバラバラではなく、(ドリーのテーマ曲の)『スピニング・トー・ホールド』で入場したかったですね」
――TAJIRI選手はチャボ選手の弟であるエディーさんとのタッグでWWEタッグ王座を保持もしていました。チャボさんとのタッグを見られたというのは日本のファンにとってもうれしいことかと思いますが?
TAJIRI「そういう見方もあったんですね。スマックダウンでチャボのおとっつぁんとも一緒だったんですけど、その時も浅井さんと『昔見ていたチャボ・ゲレロと変わんないね』と言っていたら、また10年経ったらあの時のチャボ・ゲレロと変わらないっていう(笑)。この人、歳を取らないんじゃないかって。まだ目つきが殺し屋みたいじゃないですか。すごいおっさんでしたね(笑)」
第5試合
青柳からタオルを手渡されたジェイクと岩本もタオルを振り回しながらリングイン。DDTの竹下がリングインすると、岩本と額をくっつけて睨み合う。すると岩本がジェイクと青柳を下げて先発を買って出る。対するは真霜が先発で出ていって試合開始。
リストロックを狙った岩本だが、グラウンドに持ち込んで切り返した真霜。これを岩本がヘッドシザースで切り返したところでジェイクと竹下がリングイン。エルボー合戦から竹下がフロントキック。さらにショルダータックルからカウンターの逆水平チョップを叩き込むが、倒れないジェイクがショルダータックルで竹下をなぎ倒す。
続いて青柳と崔がリングイン。ヘッドロックに捉えた崔はショルダータックル。青柳もカウンターのドロップキックからエルボースマッシュ。しかし崔はカウンターのフロントキックを叩き込むと胸板を蹴り上げていく。タッチを受けた竹下はキャメルクラッチに捉えると、真霜にタッチ。
串刺しジャンピングエルボーからランニングローを叩き込んだ真霜に続き、崔は豪快なボディスラムからサッカーボールキック。青柳もどうにか反撃しようとするが、真霜がエルボーで応戦。さらに追走式キチンシンクをみまうが、青柳もロープの反動を十分利用してからジャンピングエルボーを返して岩本にタッチ。
スリーパーで真霜を捉えた岩本だが、エルボーで逃れた真霜はダブルアーム・スープレックス。タッチを受けた竹下は逆水平チョップからショルダータックルで吹っ飛ばす。そすてぶっこ抜き式ブレーンバスターで投げた竹下はバックを取る。どうにかエルボーで防御した岩本はエルボー合戦へ。竹下はガクッと片膝をついたが、立ち上がって渾身の一発を返すとジャーマンで投げ捨てる。しかし岩本も突っ込んできた竹下を孤高の芸術(=払い腰)で投げてジェイクにタッチ。
崔が飛び込んできてミドルキックを連打するが、蹴り脚をキャッチしてドラゴンスクリュー。そこから青柳と岩本が入ってきてトレイン攻撃を決めると、ジェイクがニーリフトからレッグラリアット。カウント2で返した崔がジェイクの串刺し攻撃をかわすと、竹下が走り込んできて串刺しフロントキック。さらに真霜がジェイクをコーナーに乗せて下からジャンピングキック。崔は雪崩式ブレーンバスターを狙うが、ジェイクはヘッドバットで叩き落とす。それでも起き上がった崔は下から蹴り上げると、トップコーナーから雪崩式ブレーンバスター。青柳と岩本がカットするが、崔はスカイキック(=ランニング・ミドルキック)。カウント2で返したジェイクだが、崔はダメ押しの那智の滝(=ダイビング・フットスタンプ)を投下して3カウント。
<試合後コメント>
青柳優馬&ジェイク・リー&岩本煌史
ジェイク「すいません」
岩本「いえいえいえ!でもいろいろ見ていたら、このカードがチャレンジマッチだとか書いてあるのをよく目にしますけど、キャリアが若いからってかなわないわけじゃないし、チャレンジだと思ってないし。力は負けてないと思ってるんで、そこは力を合わせて今日は勝ちたかったですね」
ジェイク「何度目かわからないくらいくらいあの人からフォール奪われているよ。3カウント取られているよ。けど、体はボロボロでも、何度倒されたとしても俺の心は折れてはいない。そんなヤワな体じゃないし。まだだ、まだ。崔領二、まだだからな!」
青柳「全日本プロレスの両国大会で全日本勢が負けてしまって。ふがいない結果に終わってしまったかもしれないですけど、それでもこれから先まだまだあるし、両国国技館で最後じゃない。だからああやって実力者が俺たちの目の前に立ったとしても、いずれ俺たちが勝ってやりますよ。まだまだ終わりじゃない。これからがスタートですから」
第6試合
まさかの再結成となったGET WILDだが、征矢の態度が許せない秋山社長が自ら迎え撃つことに。しかもパートナーがカシンということで、何とも予想不可能な試合となった。懐かしいお揃いの“またぎスタイル”で登場したGET WILDはリングサイドを一周して観客とハイタッチ。もちろんタイツもお揃いの豹柄GET WILDタイツだ。そして蝶野正洋の“語り”を前奏にした『スカイウォーク』でカシンが入場したあとに、場内を見渡しニヤリと笑った秋山が入場。
カシンと大森の先発で試合開始。「ワイルド」コールが起こる中、場内を見渡したカシンは何もしていないのに秋山にタッチ。カシンに対して憮然とした表情でリングインした秋山はショルダータックル。大森はドロップキックを狙うが、自爆させた秋山はエルボードロップ。大森がかわして睨み合いになると、カシンがコーナーから何やら指示。秋山がタッチしようとするが、カシンは応じない。秋山のエルボーに対して征矢はチョップで応戦。そこから秋山はジャンピングニーを狙ったが、かわした征矢はショルダータックルで吹っ飛ばす。場外に出た秋山を鉄柵に叩き付けていった大森。秋山をリングに戻した大森は控えのカシンに攻撃したから秋山にブレーンバスターを狙う。
これを逆に投げていった秋山だが、カシンはその前に大森の一撃を食らってコーナーに立っていない。タッチ出来ない秋山にGET WILDはダブルのカウンターチョップから懐かしい空手ポーズ。そして征矢がダブルチョップからその場跳びドロップキック。カバーする征矢だが、カシンはレフェリーをイスで殴打してカット。さらに大森にイスを渡して自らはダウン。レフェリーが起きてくると、秋山とカシンが倒れている状況に。
カシンは征矢を突き飛ばして大森に激突させると、秋山がランニングニー。さらにカシンがジャンピングネックブリーカーを決めるが、征矢もブレーンバスターを返す。タッチを受けた大森はエルボースマッシュからビッグブーツ、ニールキックと叩き込む。アックスボンバーをかわしたカシンは大森を突き飛ばして征矢に激突させてから秋山にタッチ。ランニングニーから胴絞めフロントネックロックに捉えた秋山だが、征矢がカット。
大森がフルネルソンバスターで叩き付けると、征矢が入ってきてトレイン攻撃。そしてGET WILDはハイジャック式パイルドライバー。辛くもカシンがカットに入ったが、大森はアックス・ギロチン・ドライバーで秋山を叩き付ける。これもカウント2で返した秋山だが、大森はアックスボンバーの体勢に。そこにカシンが割って入ってアックスボンバーを食らうと、すかさず秋山がエクスプロイダーからランニングニー。カウント2で返した大森だが、秋山はリストクラッチ式エクスプロイダーで投げて3カウント。カシンが身を挺してアックスボンバーを食らったことが、結果的に勝利を呼び込んだ形となり、試合後秋山とカシンはガッチリと握手を交わした。
すると試合後、突如恐竜の鳴き声がして映画『大怪獣モノ』の怪獣が乱入! リング上で待ち受けていたカシンは、そのあとから入ってきたモグラ男を怪獣に投げつける。菊地毅らしきモグラ男はパニック状態で怪獣と共にそのまま退場していった……
<試合後コメント>
秋山準&ケンドー・カシン
――さすがの秋山選手もカシン選手に振り回されてしまった場面がいくつかありましたが?
秋山「まぁある程度のことは予想していたけれど、ひっかき回したり助けたり、相変わらずよくわからない。よくわからないからおもしろさもあるし、おもしろいパートナーじゃないかなと」
――秋山選手もそれをちょっと楽しんだところもありますか?
秋山「でも最強タッグはガチっといかないと優勝はたぶん・・・。今日はバカなチーム(が相手)なんで、一人で勝てたけど。最強タッグはそうはいかないんで、もうちょっとやっぱり(苦笑)コンビネーションも取らなくちゃいけないなと。(ここでGET WILDの声が聞こえてきて)うるせえなぁお前ら、コラァ!うるせぇな、早く下がれ!下がれ早く!」
(ここでカシンが登場)
カシン「社長!どうもありがとう!」
秋山「ありがとうじゃなくて!」
カシン「アレはなに?」
秋山「アレはなにって俺が聞きたいことですよ」
カシン「飼ってるんじゃないの、道場で」
秋山「飼ってない飼ってない。モグラじゃない。そっちのヤツでしょう?もうちょっとガチっとやってもらわないと、最強タッグはあれじゃ厳しいですよ」
カシン「わかりました。もうちょっとがんばります。最強タッグ、優勝しましょう!」
(カシンはインタビュースペースを去る)
秋山「頼みますよ。もちろん出るからには優勝しないといけないし、こんな感じでも勝ってるし。もうちょっと働いてくれればいいんんじゃないかと。絶対できるはずなんだから」
ジョー・ドーリングと小橋建太が登場!
第6試合終了後、悪性脳腫瘍で闘病中のジョー・ドーリングが登場。スーツにテンガロンハット姿でリングインしたドーリングは、感慨深い表情で場内を見渡すと「私は再びこの全日本のリングに立つことが出来た。この会場に来ている皆さん、そしてテレビで見ている皆さん、私が病気と闘ってこられたのは皆さんのお陰。その先生の力より、どの薬よりも皆さんの応援が力になったよ」と挨拶すると、ハットを脱いでファンに頭を下げる。
そして「来年1月に必ずこのリングに戻ってくるぞ!」と力強く宣言すると「アイルビーバック! アイラブユー!」と叫んでからコーナーに登って力強いガッツポーズをしてみせた。
その後、スクリーンで特報として、2017年8月27日に両国国技館大会を開催すると発表した。
休憩明け『GRAND SWORD』が鳴り響き、スーツ姿の小橋建太さんが登場。テレビ解説とメインの立会人を務める小橋さんは「皆さん、こんにちは! 準との約束を果たすために今日来ました。秋山全日本初の両国大会、しっかりとこの目に焼き付けたいと思っています。会場にお越しの方、テレビでご覧の方、皆さん最後まで選手に熱い応援よろしくお願いします!」と力強いメッセージを送ると、リングを降りてリングサイドの放送席に座った。
さらに歌手のあべ静江さんが真っ白なドレス姿で登場して、五大タイトルマッチに先がけて国歌独唱。
第7試合
全日本とW-1の団体対抗戦で激突した際、直接中島からフォール勝ちしている黒潮。例によって客席に入っていったり、リングサイドまで行ってもリングインしそうでしない“じらし入場”からのリングイン。さらにコーナーで逆立ちして“足”拍子して「イケメン」コールを煽った黒潮だが、紙テープの量は圧倒的に中島のほうが多い。
まずは牽制のローキックを出していく中島。そのままガブった中島をロープに押し込んだ黒潮はバック転しながらブレイク。中島のショルダータックルで倒されてもヘッドスプリングで立ち上がってみせる黒潮だが、フロントキックで場外に蹴落とした中島はトペを発射。さらに鉄柵に叩き付けていった中島はボディスラムで叩き付けてからリングに戻す。
中島は黒潮のジャケットを脱がそうとするが、黒潮は抵抗する。業を煮やした中島はチョップを叩き込むと、串刺しエルボーからバックドロップ。キャメルクラッチで追い込んでいった中島は張り手。黒潮もジャケットの裾を掴んだ状態で殴り返すと、カニ挟みで中島をロープに激突させてから場外に出てジャンピングキック。さらにミサイルキックを発射した黒潮はハリウッドスタープレスを投下。
そこからうまく中島を場外に追いやった黒潮はトップロープに飛び乗ると、場外へのアトミコを発射。リングに中島を戻した黒潮はスワントーンボムを投下するが、かわして自爆させた中島はミドルキック。黒潮も蹴り脚をキャッチしての張り手を返すが、中島はカウンターのミドルキックからソバット、カカト落とし。バックドロップをトルネードクラッチで切り返した黒潮は逆打ちも決めるがカウントは2。中島もハイキックからジャーマンで投げるがカウントは2。
中島のジャンピングソバットをかわした黒潮はウラカン・ラナ。中島もエビ固めで切り返すと、ハイキックでダウンさせてからコーナーへ。だが、エプロンに転がった黒潮は下から中島を殴っていくと、スワンダイブ式で飛び付いての雪崩式フランケン。中島もすぐに立ち上がってトラースキックを繰り出すが、黒潮は相打ちに持ち込むとスタンディングのシャイニング・ウィザード。アゴにモロにヒットしたが、黒潮は続けてみちのくドライバーII。これもカウント2で返した中島だったが、黒潮はイケメンサルトを投下。さらにそのままフォールに行かず、続けてイケメンサルトを投下すると、ダメ押しのイケメンクラッチで押さえ込んで3カウント。GAORA TV王座がW-1に流出することになってしまった!
<試合後コメント>
黒潮“イケメン”二郎
「ヤッター!」
――タイトル奪取、おめでとうございます。敵地に乗り込んでの試合でしたが、ホームかと思うくらいのイケメン選手への声援でした
「フィニッシュ!全日本プロレスが僕を中島選手の対戦相手として呼んでくれたこと、非常に嬉しいです!この興行に出られたことを、ベルトもゲットして。次、レッスルワンのタイトルマッチがありますけれど、自信になりました。ヤッター!」
――シングル王座は初めてとなりますが?
「やっぱり重いですね。初めてのベルトです。しかもテレビチャンピオンのベルト。俺に似合ってると思いませんか?赤いし。たぶんこのベルトも俺に巻かれたがっていたはずです。(ベルトに話しかけるように)今日は中島さんのことを振ったんだもんね。それで俺のところに来てくれたんだから。こいつと一緒に寝ようと思います。俺は優しくないぞー!覚悟しておけ!フィニッシュ!」
――これから全日本から挑戦者が来ると思いますが?
「倒します!このベルトを取りに来たら、取られないように倒します。守ります。(ベルトに話しかけるように)な!帰るか?帰って寝よう!」
第8試合
この両国国技館で佐藤光留から高尾が奪取した世界ジュニア王座だが、防衛戦の相手は同じDDTにして、かつてはチームドリフとして共に活躍した石井。高尾が握手を求めると、ちょっと考えてから応じた石井。
試合開始のゴングが鳴ってもしばらく睨み合った両者は、まずはロックアップ。高尾がロープまで押し込んでブレイクするが、石井はフロントキックからショルダータックル。さらにアームホイップからサマーソルトドロップ。かわした高尾はトラースキックを放っていくが、これは石井もかわす。
石井はフロントキックからエルボー。高尾もエルボーで応戦するが、石井がフロントキックでなぎ倒す。エプロンに出された石井はロープ越しにブレーンバスターを狙うが、エプロンに着地した高尾はリバースDDTで石井の後頭部をエプロンに叩き付ける。リングに戻ってきた石井に低空ドロップキックからDDTを決めた高尾は首4の字固め。
ダメージの大きい石井だが、それでもエルボーで向かっていく。高尾もエルボーを打ち返すとガクッと四つん這いになった石井。高尾はレッグドロップを落とすと、執拗に何度もカバーしてスタミナを奪ってからスリーパー。そのままクロスフェースにスイッチするが、石井はどうにかロープに脱出。
殴りかかってきた石井をDDTで叩き付けた高尾は、石井の背中にダイビング・フットスタンプ。そのまま前のめりの石井に低空ドロップキックを狙ったが、飛び越えた石井はそのままダブルニーを投下。裏投げから河津落としで叩き付けた石井は変形の卍固め。
高尾がロープに逃れるとコーナーに登った石井だが、逆立ちして両足で首を挟んだ高尾はそのまま石井を投げ捨てると、ダイビング・フットスタンプを立ち上がろうとする石井の背中に投下。トラースキックを狙った石井だが、蹴り脚をキャッチした石井は投球フォーム・チョップ。エルボー合戦になると、そこから高尾はローリングエルボー。10分が経過して高尾が石井をコーナーに乗せるが、逆に石井が雪崩式キークラッシャーで叩き付ける。タイガースープレックスを狙う石井だが、高尾は必死に抵抗。
投げられそうになった瞬間、逆にシュバインで石井を叩き付けた高尾。両者走り込んでのエルボーから、石井が張り手をお見舞い。そこからタイガースープレックスで投げたがカウントは2。ダッシュしてきた石井をカウンターのみちのくドライバーIIで叩き付けた高尾はトラースキック。両ヒザをマットについた石井の顔面にもう一発トラースキックを叩き込んだ高尾だが、これもカウントは2。ジントニックを狙った高尾だが、石井はダブルアームDDTで切り返す。ニールキックを狙った石井をエルボーで止めた高尾だが、石井はその場跳びニールキック。しかしカウントは2。そこからコーナーに登った石井は奥の手シューティングスタープレスを投下し、ガッチリと押さえ込んで3カウント!
DDT内で世界ジュニア王座が移動。ベルトを肩にかけた石井は万感の表情でガッツポーズしたあと、倒れている高尾に駆け寄る。すると、エプロンに青柳があがってきて新王者の石井に向かって「その世界ジュニアヘビー級のベルト、全日本プロレスのベルトなんですよ。もうDDTでは争わせませんよ! 僕がその次、挑戦させてください!」と挑戦表明。それを聞いた石井は「いまちょっと夢の中にいたんですけど、いま挑戦者が現れたってことで現実だと受け止めます。いま自信満々です。挑戦…受けてやる!」と受けて立つ構えを見せる。そこから万感の表情で場内を見渡した石井は「自分は1990年の5歳のときから全日本プロレスを見ていて、その全日本のリングでアジアタッグに続いて世界ジュニアも奪取して本当に最高の人生です! でも気を引き締めてこれからドンドン防衛していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました!」と叫んだ。
<試合後コメント>
石井慧介
――タイトル奪取、おめでとうございます。90年代全日本マニアとして有名な石井選手にとっては感慨深い勝利かと思いますがいかがでしょうか?
「五歳の時から見てきたベルトですし、ずーっと欲しかった、夢だった、目標だったベルトで。やっぱり世界ジュニア、行けるかもと思っていた時に全日本参戦が遠のいて。もう巻くこととかチャンスも回ってこないのかなと思っていた時期もありましたし。それで巡り巡ってベルトを獲れたというのは自分でもなんとも言えない気持ちがあります」
――全日本の両国大会でDDT同士の対戦を見せられたというのも意味があるかと思いますが?
「負けたらこんなこと言えないと思いますけど、DDT同士、相手は高尾と昔から戦ったりライバルだったり仲間だったりしたんで。その2人で両国でベルトを賭けて戦えたんで。勝ったから言えることですけど、それも感慨深いことです」
――フィニッシュはこれまでの全日本参戦では見せていなかったシューティング・スタープレスでした
「通算でも2度目なんですけど、もちろんダブルアームDDTやニールキックにも自信は持ってるんですけど、でもそれだけじゃ倒せないので。武器は常に作っていました」
――さっそく青柳選手から挑戦表明がありました
「ほんと、夢の中にいたんで挑戦アピールもわけがわからなかったんですけど、まぁ今はすごい自信にあふれているんで受けるつもりで」
――これからは狙われる立場となります
「なおさら気を引き締めていかないといけないなと思います。正直DDTプロレスでも今年は悔しい思いしかしていないんで。ドンドンドンドン流れに置いていかれた感じはあるんで。そういう悔しさも全部ぶつけて返していきたいと思います」
第9試合
第99代アジアタッグ王者組である青木&光留の変態自衛隊が、この両国大会で迎え撃つのことになったのは全日本プロレスの歴史そのものといっていい渕と、その同期である大仁田のタッグ。奇しくも渕、大仁田と同期である故ハル薗田さんの命日の前日にアジアタッグに挑戦することになった。
薗田さんのテーマ曲を前奏にした『ワイルドシング』に乗って大仁田が水を撒き散らしながら入場。いつものように背中に「邪道」と書かれた革ジャンを羽織ってリングインした大仁田だが、その表情は実に神妙。続いて『デンジャーゾーン』に乗って、威風堂々と渕が入場。そしてリングインしてガッチリと大仁田と握手すると、大仁田が薗田さんの遺影を掲げた。
左足をテーピニングでグルグル巻きにしている大仁田だが、渕を下げて自ら先発を買って出る。身構える光留に対し、有刺鉄線電流爆破バットを手にした大仁田は早速ニュートラルコーナーの爆破スイッチを押すが、渕が入ってきて大仁田を説得。大仁田はその説得を聞き入れてもう一度ボタンを押して時限爆破を解除。張り手を見舞った大仁田に対し、光留も張り手を連打。すると大仁田は光留を場外に連れ出して鉄柱や鉄柵に叩き付ける。
その間に大仁田のセコンドについていた邪道軍がリング上にテーブルをセット。リングに戻った大仁田を光留ごとテーブルに登るとパイルドライバー。1回ではテーブルが割れず、もう1回テーブルに登った大仁田はパイルドライバー。これでテーブルがクラッシュすると、渕が入ってきて大仁田とダブルのエルボー。さらに青木をドロップキックで場外に追いやった渕は光留にもドロップキックを狙ったが、自爆させた光留はサッカーボールキック。そこから青木が渕を場外に連れ出し、エプロンの光留とハイジャックパイルドライバー。だが、大仁田がイスを持ってきて光留の背中と脳天にイスを振り下ろす。
どうにかタッチした青木は渕に串刺しジャンピングエルボーからミサイルキック。やや朦朧としながらも光留はまず控えの大仁田を攻撃してから、渕にサッカーボールキック。さらにミドルキックを連打してから串刺し式ミドル。だが、渕も光留のボディスラムを踏ん張ると、サミングから逆にボディスラム。なおも蹴ってくる光留をボディスラムで叩き付けた渕はバックドロップの体勢。これを光留がアームロックで切り返し、さらに腕十字にスイッチすると、青木が低空ドロップキック。さらにイスを持って入ってきた大仁田をワキ固めで捕獲。10分が経過し、渕は自力でロープに脱出。
渕はカウンターのフロントキックから首固めで丸め込むが、青木がカットに入る。青木が押さえた渕に光留が延髄斬りを叩き込むが、大仁田が入ってきてレッドミストを噴射。さらに青木をイスで殴打。その間に渕が光留にバックドロップ3連発。青木がカットに入ろうとするが、大仁田がテーブルの破片で殴打。自力でキックアウトした光留だが、大仁田は青木にもレッドミストを噴射。すると渕は光留にまたもバックドロップ。すぐに立ち上がって意地を見せる光留だが、渕はそこから再びバックドロップ3連発を決めて3カウント。
第100代アジアタッグ王者となった渕と大仁田は、ベルトと共に薗田さんの遺影と一緒に記念撮影。そしてマイクを持った大仁田が「今日はどうもすみません。渕さん、ありがとう」と言うが、一部の観客からは「帰れー!」という声が飛ぶ。すると大仁田は「帰りたいんだけどさ、俺たちには歴史があるんだよ。お前らには分からないだろうよ。6畳一間で全日本プロレスに入って、3人で寝てました。薗田一治が、そして渕正信が永遠でありますように! 今日は! 今日はお邪魔しました! ありがとよ!」と叫ぶと、渕が「大仁田選手、本当にありがとう。二人よく絞られたな、昔。その甲斐あって今日、こうしてベルト巻けたよ。本当にありがとう! 皆さん、本当にありがとうございます」と礼を言ってリングを降りようとする。
だが、ここで井上雅央がエプロンに上がってきて「渕さん、自分もお二人のように長いことプロレス続けたいです。いま崖っぷちです。挑戦受けてください! お願いします!」とアジアタッグへの挑戦を表明。渕が「井上、一人でいたってパートナー誰だよ?」と尋ねると、井上は「ちゃんと自分の中で考えてます。社長! 秋山社長! 秋山社長、お願いします。いきましょう!」と、パートナーに秋山を指名。花道から登場した秋山は引き上げていく大仁田と睨み合ってからリングサイドに来ると「渕さん、雅央のためにいきます! 行くぞー!」と井上とのタッグで渕&大仁田のアジアタッグ挑戦を表明した。
<試合後コメント>
渕正信&大仁田厚
渕「いやいや、ありがとう!大仁田選手の掛け声で生き返ったようなもんだよ」
大仁田「この時代の人はねばり強いなって思いましたね。ほとんど渕さんがやってくれた」
渕「いやあの掛け声で助けられた(苦笑)。昔しごかれた時のあの時の叱咤激励を思い出したよ」
大仁田「道場で3人でやっていたラストのトレーニングで3000回スクワットやらされたもんなぁ」
渕「毎日毎日100回ずつ増えてなぁ(苦笑)」
大仁田「寝るところも一緒だし、六畳一間に三人で寝て。隣にジャンボ鶴田さんがいたよなぁ」
渕「当時のあの掛け声を思い出してさぁ」
大仁田「これも因縁かもしれないけど。29年前びっくりして、薗田一治(=ハル薗田)が死んだって言って。俺、おっさんがすごいなぁ思うのはどんな体制になっても、全日本にずっと居続けて。武藤体制になっても秋山体制になってもずーっと全日本を守り続けていた。僕らは海外ではタッグマッチをたくさんやりましたけれど、初めてなんですよ。アジアタッグが(日本で獲ったタッグ王座は)初めてなんですよ、40年やってきて。僕らはいろんなタッグタイトルを海外では獲りましたんで」
渕「今日はいろいろヘルプしてくれたおかげで。いじめられた時のことを思い出して、ここでへばってたまるかっていう気持ちにもなったよね。よくやってきたよな、2人で。だから今日はその思いもあって、明日が薗田一治の命日ということもあって。チャンピオンチームはやりにくかったと思うよ。普通ならとてもじゃないが実力的には勝てる相手じゃなかったことは自分でもわかってる。いいところでいいヘルプをしてくれたし。彼はもともと基礎はしっかり持っているから。タッグ組んでて安心感はあったな。そのおかげで2人で初タイトルも獲れて。海外では獲ってるんだよ(笑)?」
大仁田「(2人の年齢を)足していくつ?」
渕「121歳。今日はチャンピオンチームはかなり悔しいんじゃないか(笑)。一番負けたくないチームだったろうし」
第10試合
セミファイナルは大日本プロレスの関本&岡林に流出している世界タッグ奪還に、ゼウス&ボディガーのTHE BIG GUNSが挑む一戦。関本&岡林にこれまで2敗しているTHE BIG GUNSにとっては背水の陣となる三度目の挑戦だ。合体テーマ曲で入場した王者組のセコンドにはプロレスリングBASARA所属ながら大日本にもレギュラー参戦している小高イサミがつく。
岡林とボディガーの先発で試合開始。まずはヘッドロックに捉えた岡林だが、ロープに振ったボディガーはショルダータックル。岡林は受け止めて倒れない。手四つの力比べになると、ジリジリとボディガーが押し込んでいくが、振り払った岡林は逆水平チョップ。ボディガーも逆水平チョップを返していき、チョップ合戦に。劣勢だったボディガーは左右のハンマーからショルダータックル。岡林もすぐにショルダータックルを返すと、関本とゼウスがリングイン。
腕を取って捻り上げていったゼウスはヘッドロック。振り払った関本にショルダータックルでぶつかっていったゼウスだが、関本は倒れない。ロープに飛んだゼウスに追走式エルボーを見舞った関本だが、ゼウスのジャンピングラリアットを返すと、ボディガーと岡林が飛び込んでくる。ここでTHE BIG GUNSは関本&岡林を同時にリフトアップしてみせる。だが、岡林がゼウスを捕まえて逆水平チョップ。ゼウスも逆水平チョップを打ち返すが、岡林優勢のまま関本にタッチ。
ショルダーネックブリーカーからキャメルクラッチに捉えた関本。かなり長い時間捕まっていたが、ゼウスは自力でロープに脱出。関本は逆水平チョップを叩き込むが、ゼウスも逆水平チョップで応戦。ド迫力の打ち合いから突進した関本を止めたゼウスはブレーンバスターを狙うが、逆に投げた関本。しかしゼウスもそこから関本を持ち上げてブレーンバスター。関本もブレーンバスターを返すと、ゼウスはもう一度ブレーンバスターで投げてから、関本をコーナーに乗せると雪崩式ブレーンバスター。
両軍タッチして岡林とボディガーがショルダータックル。岡林のショルダータックルをボディガーが何発も受け止めたが、どうにかなぎ倒した岡林はブレーンバスター。10分を経過して岡林は逆片エビ固め。辛くもロープに逃れたボディガーだが、岡林はラリアット。相打ちに持ち込んだボディガーはスピアーを決めると、ゼウスにタッチ。
コーナースプラッシュからフロントスープレックスで投げたゼウスはチョークスラムを狙う。踏ん張る岡林は逆水平チョップからハンマー、逆水平チョップ、ボディスラムを決めて関本にタッチ。
串刺しラリアットからサソリ固めに捕らえた関本だが、ボディガーが蹴りでカット。岡林がボディガーを排除してゼウスにサンドイッチ・ラリアットからダブルのアトミックドロップを決めると、関本がアルゼンチン・バックブリーカー。岡林もボディガーにアルゼンチンを狙ったが、ボディガーは阻止してゼウスを救出。関本&岡林はボディガーをダブルタックルで吹っ飛ばすが、ゼウスが関本をフルネルソンに捉えてからそのままスイング。さらにフルネルソンスープレックスで投げ捨ててからラリアットを狙ったが、関本はカウンターでラリアットで迎撃。さらに岡林がラリアットでボディガーを排除するが、ゼウスが岡林にラリアット。
15分が経過してエプロンに出たゼウスが関本をブレーンバスターで投げようとしたが、逆に関本が奈落式ブレーンバスターでエプロンから場外に投げ落とす。岡林がゼウスをリングに戻してから関本もリングに戻して檄を飛ばすと、関本をホイップしてゼウスに串刺し攻撃。さらに岡林のボディスラムから関本がフロッグスプラッシュを投下したがカウントは2。関本はぶっこ抜きジャーマンを狙うが、ゼウスは踏ん張ってエルボー。関本もエルボーで応戦してから延髄斬り。そこからラリアットを狙った関本だが、相打ちに持ち込んだゼウスは逆にカウンターのラリアットでなぎ倒すとフルネルソン。しかし、その背後から岡林がバックを取る。関本はさらに背後に回って眉山を狙ったが、ボディガーがカット。するとTHE BIG GUNSは合体式ゴロースープレックスで関本&岡林を二人まとめて投げていく。続けて関本にダブルインパクトを決めてダウンさせてから、岡林に合体チョークスラムを決めてからボディガーが場外に連れ出して排除。そこからゼウスが関本にダメ押しのジャックハマーを決めて3カウント! ついに難攻不落の関本&岡林を撃破し、世界タッグ王座を全日本に取り戻した。
<試合後コメント>
ザ・ビッグガンズ
ゼウス「取り戻しました!」
――タイトル奪還、おめでとうございます。改めて両国という舞台で関本、岡林組を倒したという今のお気持ちはいかがでしょうか?
ゼウス「そうですね。気合いだけで勝ちました。気合いだけで。技術、力。もしかしたらすべて劣っていたかもしれません。けど!根性だけは負けへん!そういう男でいたかったんで、気合いだけでがんばりました」
――ゼウス選手は今年はチャンピオン・カーニバル、王道トーナメントとどちらもあと一歩というところで敗れてしまったのですが・・・
ゼウス「それがやっぱり、関本選手、岡林選手。両方に負けているんで自分の今日というのはひとつの新しいプロレスの、そして人生の区切りになったんやないかと思います」
ボディガー「関本、岡林にこのベルトをイカれたんで、その二人からベルトを獲り返せたというのが一番うれしいですね。それまで4回防衛してくれたことに、あの2人に感謝します」
――これで最強タッグにはチャンピオンとして参戦することになります
ゼウス「絶対負けられないですね。秋山さん、ケンドー・カシン組。そして大森さんと征矢さん。この2試合は絶対負けられないですね。あとは勝てるチームばかりなんで、この2つ。この2つは絶対に負けられないですね。集中して取り組みたいと思います。
今日も僕が前の試合でアルゼンチン・バックブリーカーでやられたまま眉山で投げられたんで。どんな体勢であれ、眉山で投げられるならボディガーに絶対に後ろに行けと。そして2人で投げようぜって。1人で2人は無理でも2人ならと。それが今日の試合のひとつ流れが変わったところじゃないかと思います。もしくわフルネルソンで眉山を投げられていたら完全に終わっていたと思うんで」
ボディガー「いきなり12月からタッグリーグが始まるんで。このベルトに恥じないようなチャンピオンとして、堂々とした試合をやっていきたいです」
第11試合
今年、諏訪魔の欠場により空位となった三冠ヘビー級王座を獲得してからというもの、数々の強豪を退けていまやすっかり全日本プロレスの新しい顔となった宮原。だが、長期欠場から復帰して早々、王道トーナメントで優勝した諏訪魔が満を持して宮原に“預けていた”三冠王座を取り戻しにいく。だが、宮原としてはせっかく築いてきた新時代の時計の針をここで戻すわけにはいかない。
煌びやかなニューガウンを羽織って登場した宮原は、場内をグルッと見渡してからリングイン。ドリー・ファンクJrPWF会長が選手権宣言を読み上げてから、王者・宮原が特別立会人の小橋建太さんにベルトを返還。大一番らしい厳粛な空気に国技館が包まれる中、試合開始のゴング。
まずはロックアップすると、宮原がジリジリとロープに押し込んでいく。慎重にクリーンブレイクすると、再びロックアップして今度は諏訪魔がロープまで押し込む。こちらもクリーンブレイクすると、諏訪魔はそこからヘッドロック。宮原はロープに振って逃れるが、諏訪魔はショルダータックル。宮原もフロントキックを返すと、諏訪魔のダブルチョップはかわしてみせる。ロープに押し込んだ諏訪魔は離れ際にエルボー。宮原もエルボー合戦を挑んでいくと、そこからアームホイップを狙ったが、踏ん張った諏訪魔は宮原を突き飛ばす。
場外に出た宮原を追いかけていった諏訪魔は鉄柵に投げようとするが、逆に宮原が諏訪魔を鉄柵に投げつける。諏訪魔は突っ掛かろうとするが、フロントキックで止めた宮原はエプロンからカーフブランディングで諏訪魔を鉄柵に叩き付けると、リングに戻って諏訪魔の首を絞め上げる。そこからレッグドロップを落とした宮原はフロントキック。しかしキャッチした諏訪魔はキャプチュードで投げていく。
さらにダブルチョップ、エルボードロップ、顔面踏みつけと優勢に試合を進めていく諏訪魔はナックルパートからダブルチョップの連打。さらに宮原の串刺し攻撃をかわした諏訪魔は万力スリーパーホールドに捉える。宮原をうつ伏せにして上から体重を乗せていった諏訪魔だが、和田京平レフェリーはチョークだとブレイクを命じる。エプロンに出た宮原をロープ越しのフロントネックロックに捉えてグイグイと絞め上げていった諏訪魔は、スタンガンでトップロープに宮原の喉元を投げつける。
2連発で食らった宮原は悶絶。そこに諏訪魔は串刺しラリアットからのDDTを決めると、秋山ばりの胴絞めフロントネックロック。NEXTREAMのメンバーが檄を飛ばす中、どうにかロープに逃れた宮原だが、諏訪魔はオクラホマスタンピート。しかし宮原もヒザへの低空ドロップキックで諏訪魔を止めると、側頭部への低空ドロップキック。串刺しジャンピングエルボーからノーザンライト・スープレックスで投げた宮原はバックを取るが、踏ん張った諏訪魔はロープに飛んでジャンピングショルダー。さらに串刺しラリアットからスロイダーで投げた諏訪魔は、15分を経過したところでエプロンに出た宮原にエルボー。宮原も諏訪魔をコーナーに叩き付けるが、諏訪魔はロープ越しの万力スリーパーホールド。
宮原が場外に落ちたところで、勝利を確信したか右腕を突き上げた諏訪魔。朦朧としながらも宮原はリングに戻るが、諏訪魔がロープに振ってもまともに走れない。グッタリする宮原をカバーする諏訪魔だが、宮原もカウント2で肩を上げる。諏訪魔は強引に宮原をロープに飛ばしてラリアットでなぎ倒すと、高さのあるバックドロップ。ラストライドを狙った諏訪魔だが、持ち上げられた宮原は高角度DDTでどうにか切り返す。宮原は串刺しニーから垂直落下式ブレーンバスター。バックを取った宮原だが、バックを取り返した諏訪魔は万力スリーパー。20分を経過して諏訪魔はラストライドを狙うが、ウラカンで切り返した宮原はジャーマンで投げ捨てる。諏訪魔もすぐにジャーマンで投げ返すが、宮原はブラックアウトをグサリ。だが、諏訪魔は返す刀でショートレンジラリアット。
ダブルダウン状態から何とか立ち上がってきた両者はエルボー合戦。そこからダブルチョップを叩き込んだ諏訪魔はローリング・ラリアットを狙ったが、フロントキックで止めた宮原はブラックアウトから超滞空ジャーマンスープレックスホールド。カウント2で返した諏訪魔だが、人差し指を掲げた宮原はパッケージジャーマンを狙うが、振り払った諏訪魔はパワースラム。さらに突進してきた宮原をラリアットで吹き飛ばした諏訪魔はバックドロップ。カウント3寸前で返した宮原だが、諏訪魔は右腕を掲げるとラストライドを狙ったが、回転エビ固めで切り返した宮原は間髪入れずブラックアウトを叩き込んでから、後頭部にブラックアウト。さらに正面からもブラックアウトを放つが、キャッチした諏訪魔は強引にパワーボムで叩き付ける。カウント2で返した宮原だが、諏訪魔はラリアットを狙うが、宮原はカウンターのブラックアウトから、正面からのブラックアウト2連発。カウント2で返した諏訪魔だが、人差し指を掲げた宮原はシャットダウン・スープレックス(=パッケージジャーマン)で投げて3カウント!
小橋さんとドリー会長からベルトを巻いてもらった宮原だが、さすがに疲労困憊の様子。それでもマイクを持つと「全日本プロレスが両国国技館に帰ってきましたー! いまの全日本プロレスの顔はこの俺、宮原健斗だ。ただ諏訪魔との闘いは続いていきます。これからも全日本プロレス、目を離さないで見ていてくださいね。っていうか、俺から目を離さないで見て下さいね。今日は本当にありがとうございました! いまの気分は最高です! そこに皆さんに聞きたい、全日本プロレスは最高ですか?(観客「最高!」)聞こえないな。全日本プロレス最高ですか?(観客「最高!!」)。OK、ラスト! 全国の人に届けよう! 全日本プロレスは最高ですか?(観客「最高!!!」)今日は本当にありがとうございました!」と、三冠王者として全日本の両国大会を締めてみせた。
<試合後コメント>
諏訪魔
――久しぶりの両国大会でしたが、残念ながらタイトル奪還とはなりませんでした
「いやぁ悔しいね。非常に悔しいね。押してたんだけどね。また両国、俺にとっていろいろ考えさせられる結果だね。負けと白黒ついたわけだけど」
――表情を見る限りでは試合内容については満足されているんじゃないかと思いますが?
「いやぁ試合内容は押していてもさ。正直ね、このままで終われないよ。またね、今日の両国からの課題というのがね、下から突き上げてくる、そういうものに俺もちょっと驚いたというか。まぁまた一からやり直すよ。そういうことでしょう。
でもまだまだこれで終わりなわけがないんだから。ここからどう這い上がっていくかだよ。Evolutionもそうだし、佐藤、青木だってどん底だよ。ジョーだってここから這い上がろうとしている。俺もここからどうやって這い上がるかを真剣に考えますよ。終わんないよ、こんなんじゃ」
宮原健斗
――タイトル防衛おめでとうございます。両国大会のメインでタイトルを防衛したのは大きい節目になったと思うのですがいかがでしょう?
「2016年2月にこのベルトを獲って、自分に宿命だとか言い聞かせて。周りからすると『宮原、過信だ』って思われたかもしれないけど、俺はそれを防衛するたびに自信に変えてきたから。自信に変えて今日、両国国技館で防衛できたというのは宮原健斗にとってはでかいことだと思います」
――諏訪魔選手についてはファンも大きい壁として見ていたのではと思いますが?
「絶対的にそうでしょう。俺が言わなくても全日本プロレスを守ってきた人だし、それを後押しするファンがいることもわかっているし。でもそこで俺が指をくわえて『諏訪魔が全日本プロレスの象徴だ』なんて見ているつもりはないんで。やっぱり俺は主役になるためにプロレスラーになったからね。2番手、3番手には興味ないです」
――諏訪魔選手を倒して、これで挑戦者としては一通り倒したと言えるかと思います。改めて宮原時代を宣言してもいいのかなと思いますが?
「諏訪魔との一騎打ちは今日はでかいと思います。あまり対戦相手のことを語らない俺ですけど、今日は諏訪魔とこの両国国技館の舞台というこの2つをクリアできたことはおそらく大きな自信になったと思います」
――5回目で諏訪魔選手に勝てたということの勝因を自分ではどう考えていますか?
「もう細かいことはわからないですね。俺の進化は止まらないから、全日本プロレスにとっても今日はゴールでもないし、スタートでもないと思っているんで。全日本プロレスは走ってるからね。通過点という言葉は嫌いだけれど、スタートでもないゴールでもない。今日、両国大会、ハッピーエンド。そういうことは僕の中ではない。進化中ですから。俺もそうだし、全日本プロレスもそう。全日本プロレスは確実に進化している。俺はその進化に負けたくないですよ。チャンピオンとしてもプロレスラーとしても。俺は別に全日本プロレスを引っ張るとか、そういうつもりはない。俺なんかいなくても全日本プロレスは引っ張られるし、俺はその進化する全日本プロレスで戦いたいですよ」
――来年の両国大会開催も発表されました
「さらに進化した全日本プロレス、宮原健斗で当日を迎えることは間違いないですね。また今現時点では想像できない全日本プロレスになるでしょうね。というか、なります」
――次は最強タッグがありますが?
「それは今日は考えていないです。また明日からスイッチ入れ替えて、次のシリーズ、年末の風物詩に向かいたいですね」
【文:佐瀬順一 写真:長嶋健(Photo’sGate)】