PANCRASE1.31ディファ有明大会 日沖発vs横山恭典 矢地祐介vsロドルフォ・リビオ 佐藤光留vsセルゲイ・マルティノフ
『PANCRASE 275』
日時:2016年1月31日
会場:東京・ディファ有明
観衆:1802人
【本戦2部】
▼第1試合 ライト級 3分3R
○林 源平(和術慧舟會 IGGY HAND'S GYM)
判定3-0
●上田厚志(総合格闘技骨法烏合會 矢野卓見道場
▼第2試合 フライ級 3分3R
○井島裕彰(GUTMAN)
判定3-0
●加藤直之(スプラッシュ)
▼第3試合 フェザー級 3分3R
●川那子祐輔(秋本道場jungle junction)
1R 1分15秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○中原由貴(マッハ道場)
▼第4試合 フェザー級 3分3R
●神田T800周一(T-BLOOD)
判定0-3
○CORO(和術慧舟會 TLIVE)
▼第5試合 ライト級 3分3R
●太田駿平(P'sLAB世田谷)
1R 2分54秒、チョークスリーパー
○バイザット・ハトホフ(Etleshev Team/NorthLion Team)
▼第6試合 ミドル級 5分3R
●佐藤光留(パンクラスMission)
1R 2分03秒、TKO
○セルゲイ・マルティノフ(PeresvetFT/NorthLion Team)
▼第7試合 ウェルター級 5分3R
●高木健太(リバーサルジム川口REDIPS)
2R 3分40秒、チョークスリーパー
○ビスラン・エトレシェフ(Etleshev Team/NorthLion Team)
▼第8試合 バンタム級 5分3R
●瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)
2R 3分44秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○アラン・ヒロ・ヤマニハ(TS GYM)
▼第9試合 バンタム級 5分3R
○上田将勝(パラエストラ東京)
3R 2分02秒、チョークスリーパー
●ホゼ・アルディ(Total GYM/Entram GYM)
▼第10試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○矢地祐介(KRAZY BEE)
判定3-0
●ロドルフォ・リビオ(Entram GYM)
▼第11試合 メインイベント フェザー級 5分3R
○日沖 発(ALIVE)
1R 1分35秒、チョークスリーパー
●横山恭典(KRAZY BEE)
【本戦1部:メイン終了後開始】
▼第12試合 バンタム級 3分3R
○小宮稔大(パラエストラ八王子)
判定3-0
●狸瑪猿シュン(リバーサルジム東京スタンドアウト)
▼第13試合 ウェルター級 3分3R
○手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)
1R 0分10秒、KO(スタンドのパンチ)
●川和 真(禅道会 新宿道場)
日沖が日本復帰戦を1R勝利!光留はセルゲイ相手に流血戦の末敗北も「これが佐藤光留のプロレスなんだ」
第5試合
パンクラス生え抜きの太田。初めての国際戦はロシア人選手との闘いとなった。師匠である高橋義生は、現役時代ロシア人選手が苦手で一度も勝てていない。試合前には、太田と次の第7試合の佐藤光留の控え室を訪ね「お前ら絶対に勝てよ」と激励したという。太田はその期待に応えられるか。
1R、パンチで出る太田に対し、ハトホフは右ハイキック。さらにパンチを打つが、太田は鮮やかなタックルを仕掛ける。ハトホフは回って倒れないようこらえるが、太田がテイクダウン! ハトホフはガードポジションから腕十字を狙うが、太田は極めさせない。スタンドに戻り、太田が金網へ押すも、ハトホフはバックに回る。太田は反転しようとするが、ハトホフがチョークスリーパーの体勢となる。これが極まり、太田がタップアウト。
ハトホフ コメント
「初めて日本に来て勝てた。素晴らしい勝利を得られて満足している。この結果を出せて、いいものを見せられた。両親に感謝したい。
日本のファンは、ロシアの人たちのように応援してくれる。感謝の気持ちを伝えたい。素晴らしい勝利をありがとう」
太田コメント
「フィジカル的にも技術的にも、そんなに強さは感じなかった。負けてしまったのは、ちょっとしたタイミングだと思う。また頑張ります」
第6試合
佐藤は昨年8月、3年7ヵ月ぶりにパンクラス参戦。シャノン“ザ・キャノン”リッチからアームバーでギブアップを奪っている。対戦相手のマルティノフは空手と軍隊格闘術がバックボーンだという。果たしてどんな試合になるのか。
1R、佐藤はローキックで様子を見る。マルティノフはパンチを放っていくが、このパンチは圧力がありそうだ。佐藤が片足タックル。マルティノフはこらえて倒れず、鉄槌、ヒジを繰り出す。佐藤が金網へ押し込むと、マルティノフはヒジを連打。佐藤が左こめかみあたりから出血し、ドクターチェックが行なわれる。
再開。大きくパンチを振る佐藤。しかしマルティノフは回って上を取り殴る。佐藤はタックルから膝十字を狙い、これが極まるかと思われたが、マルティノフは外してしまう。佐藤はさらに足を狙い続けるが、マルティノフはパウンドを連打。佐藤はかなり出血しながらも耐えたが、動けなくなりレフェリーが止めた。
マルティノフ コメント
「相手は、試合の後半で足を非常にうまく絡め取っていたが、うまく処理して試合に勝つことができた。パンクラスファンの皆さんは、私を温かく迎えてくださってありがたい。日本のファンはロシアの人のように温かい。良い試合を見せられて満足です」
佐藤光留コメント
「練習不足だった。これまでの貯金で勝っていたからこそ、心に隙があった。あの膝十字は極めなくてはいけなかった。今のパンクラスの雰囲気というのは、酒井代表を先頭にして、いろいろな人や選手が集まって、すごくいい空気で興奮した。僕の持ち味が最大限、発揮されるし、打撃でもスタンドでもさらに新しく発揮できると思った。また出たい。
試合後、相手にTシャツをあげに行った。最近、自分の中でロシアブームが来ていて、ロシアものを作っていた、今まで闘ったロシア人は笑顔がなかったけど、今回の相手は南国の人なんじゃないかと思うくらい明るくて、またパンクラスに来たら、お前が試合がなくてもメシに行こうという話になったくらい。今日は収穫の多い日だった。これが佐藤光留のプロレスなんだという気持ちがより固まった。デスマッチをやる気はないけど、もしデスマッチをやっている人がやってみろと言うんだったら、僕は総合をやってみろと言いたい。総合格闘技は、自分のプロレスの中に深く有ったんだ、パンクラスが有ったんだということをすごく感じた。身体も作り直して、結果、それがプロレスにもいい方向にいくはず。
これまでプロレスと格闘技は相容れないものだった。格闘技の世界は、プロレスというものを受け入れられない。でも、イケイケでレスリングをする、それが佐藤光留のスタイルなんだと改めて思った。今のパンクラスは、ショーとしてすごく完成されている。いろんなものがあの中にあると思う。これからも出たいし、勝ちたい。勝ち負けだけじゃないと言う人もいるけど、そんなことはない。勝たなくちゃ意味がない。シュートボクシングにも出たいし、格闘技というものがある限り出続ける。今回も、明日また試合があればよかったのにと思う。10日くらいないので残念。本当に最高でした、勝てばもっと良かったけど(笑)」
第8試合
現在7位の瀧澤は昨年4月よりパンクラスに参戦。バックボーンは空手とレスリングで、パンクラスでの3戦は全て打撃で勝利している。打撃の強さの秘密は小学校時代から学んだ空手だという。
一方、ヤマニハは2013年にパンクラス初参戦。急きょの代役としての参戦だったが、王者・石渡伸太郎からダウンを奪い、あわやというところまで追い詰めて会場を驚かせた。その後、昨年11月に再び参戦、合島大樹に判定勝ちしている。勢いある瀧澤が勝つか、ヤマニハが強さを見せるか。
1R、距離をとり様子を見る両者。瀧澤はタックルのタイミングをはかりながらプレッシャーをかける。隙がないヤマニハ。回りながらロー、バックキックの瀧澤。ヤマニハが一気に金網へ押し込みパンチ。離れると、瀧澤が出血している。瀧澤は前に出て、ヤマニハに網を背負わせパンチ、ヒザ。ヤマニハのタックルも切り、さらにパンチを打つが、ヤマニハはガードしている。緊張感あふれるラウンドとなる。
2R、開始直後に瀧澤がいきなりバックキックで奇襲。しかしヤマニハには隙がない。瀧澤は蹴りのあとにパンチをもらってしまっているが、金網際に詰めてヒザとパンチの猛ラッシュ!! すさまじい勢いで打撃を連打する。しかし、ヤマニハのガードは固く、隙を衝けない。
いったん離れると、ヤマニハがボディからタックル、そしてテイクダウン! 瀧澤は立とうとして回るが、ヤマニハがバックを取る。さらにバックマウントへ移行し、ヒジ、パウンドを連打。レフェリーが止めた。
瀧澤は素晴らしい可能性を感じさせたものの、ヤマニハの牙城を崩すことはできなかった。しかし、今後のバンタム級の動きから、ますます目が離せなくなる一戦となった。
ヤマニハ ケージ上コメント
「とても幸せ。1Rで相手を疲れさせようと思っていた。練習通りできて2Rで勝てた。次の試合も一所懸命に練習して全力で闘うので、応援お願いします」
第9試合
上田は修斗、ベラトール、ONE FCで活躍したあと、昨年7月からパンクラスに参戦。2戦ともに判定勝ちを収めている、38歳のベテランだ。対するアルディはメキシコ出身の24歳。総合格闘技キャリア8戦を全て勝っている。
1R、お互いジャブ、ローで様子を見る。上田はタックルに入りたいがタイミングが合わない。アルディはボディ、ロー、パンチと打撃で上田を入らせない。上田はパンチを振りながらタックルを狙うも、アルディは警戒して付き合わず、猪木アリ状態になってしまう。しかし、上田はすぐに立つ。アルディは強烈な左ボディを打ち込むが上田は諦めず、残り30秒で片足タックルに入り、ついにテイクダウン! サイドからマウントを狙うも、アルディはケージに背中をつける形になり、ヒジを打つ。
2R、上田がパンチからタックル。アルディは尻餅状態となるが、上田が背中をマットに着かせた! 会場から拍手が起こる。上田はサイドポジションから殴りながら回り、上四方へポジションを変えて終了。
3R、上田がタックルを狙いながらパンチ、蹴り。さらにパンチを出しながらタックル、テイクダウン。バックにつき、チョークへ。これが極まり、上田が1本勝ちを収めた。
テイクダウン力を遺憾なく見せ、見事な1本勝ちを挙げた上田。しかし、現在、王者の石渡伸太郎は練習仲間であり、挑戦があるかどうかは微妙か。それを抜きにしても、第8試合とも相俟って、パンクラスのバンタム級がますます充実、面白くなってきた。
上田 ケージ上コメント
「サンキューベリーマッチ。相手は強いなあと思って折れそうになったが、勝つために全力を尽くした。チョークスリーパーはずっと練習していたのでスポッと入った。次、また試合が極まったら応援してください」
第10試合
矢地は修斗第5代環太平洋ライト級王者、ならびに元PXCフェザー級王者で、2013年8月からPXCを主戦場に5戦して3勝2敗の成績を残している。今後は、パンクラスで勝ってUFC、ベラトールなどの舞台を目指す意向だ。対戦相手のロドルフォは、TUFファイナリストとして2014年11月、UFC Fight Night 56ブラジル大会に出場を果たしている。
1R、ローから組むルビオ。矢地は金網へ押し、投げるがルビオは倒れない。反対に投げようとするが、矢地も倒れず入れ替えて金網へ押し込む。矢地はバックを取り殴ると、ルビオは反転して上に。矢地はすぐに立ち、金網に押されるが入れ替え、上に。矢地がハーフマウントになりヒジを入れたところで終了。
2R、ルビオがパンチ、矢地はミドルを返す。矢地が蹴ると、ルビオは軸足を取る。矢地はバックを取りパンチ。ルビオは仰向けとなり回転するが、矢地は逃さない。サイドポジションからハーフマウントへ。パンチ、ヒジを落とす。ルビオは腕を取ろうとするが、矢地は抜いてパンチ。ルビオが脱出したところで終了。
3R、ルビオがバックキック。シングルから金網へ押し込む。矢地はバックを取り、続いてサイドポジションとなる。ボディにヒジを入れ、ルビオを逃がさない。そしてマウント!パンチ、ヒジを落とす。ルビオはエビからまわって上となり金網へ押し込むが、矢地は立つ。さらに再び上を奪い、ハーフマウント。矢地はパンチを落とし、上をキープしたままで終了。
判定は3−0で矢地。
矢地デカゴン上コメント
「お久しぶりです、矢地祐介です。この雰囲気、耐えられない。早く帰りたい(苦笑い)。久々の日本で、体調も良く気合いも入っていたが、相手が前回負けた選手と同じタイプだったので固くなった。そのギャップと、この会場の雰囲気に耐えられない。こんな試合をしていたら大きいことは言えないが、次も強い奴とやりたい。また日本で試合をするときは、見に来てください」
第11試合
日沖は第3代SRCフェザー級王者にして、修斗第9代世界ライト級王者、TKO世界フェザー級王者という実力者。UFCで8戦を3勝5敗の成績を残し、約4年ぶりに日本で試合を行なう。対する横山は、2013年からパンクラスに参戦。昨年はコンスタントに4戦し、ネオブラッドトーナメントを制している日沖にとっては再び世界を目指すための絶対に負けられない第一歩、若い横山にとっては大金星を狙うチャンスとなる。
1R開始直後から、フットワークを使いパンチでたたみかける横山。しかし日沖は冷静。金網へ追い込みテイクダウン、さらにバックを取る。横山は立つが、日沖を背負ったまま。日沖は時折パンチを入れながらバックをキープし、チョークへ。横山があおむけに倒れると、深く極まり横山がタップ。日沖が日本復帰戦を見事な1本勝ちで飾った。
・日沖デカゴン上コメント
「もうちょっと、2ラウンド以降まで削っていこうと思ったが、チャンスがあったので極めた。練習は、大まかなところは変えずにしっかり作ってきた。まだ強い選手はたくさんいるので、自分の技術を見せていきたい」
・日沖 試合後コメント
「今日は出来としては良かった。調子もよかったし、何より勝ちたかったので、勝てて良かった。戦績は相手より自分の方が上なので、勝って当たり前だと思われていたと思う。でも、横山選手はパンクラスで負けていないし、自分としては、自分の方が上だという意識はなかった。周りからの期待がプレッシャーになっていて、そこから解放されてホッとした。
しっかり削ってダメージをコツコツ与えて、判定でもいいから勝ちたいと思っていた。負けたり、海外との契約がうまくいかなかったり、ケガをしたり、プレッシャーが続いていたが、久しぶりに勝利できた。サポートしてくれたみんなへの感謝の気持ちでいっぱい。
今年は怪我をしないで、コンスタントに試合をしていきたい。負けると試合が組まれないので、連戦連勝したい。
タイトルとかは気にしていないけど、実力主義の世界なので、ゲンかつぎなどするよりも、とにかく練習をして全体を磨いてきた。技術もフィジカルも上げてきたが、それよりも気持ちをつくってきた。
パンクラスには初めて上がらせていただいたが、皆さんが温かく受け入れてくださってありがたかった」
(写真・文/佐佐木 澪)