【インタビュー】「和ホラーは腕ひしぎです」KANONの和ホラー克服計画。なべやかんが教える"怖さの楽しみ方"【前編】

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 蒸し暑い毎日、ヒヤッとするお話が恋しくなる季節。「和ホラーを克服したいんです」と宣言したDDTプロレス所属KANON選手に、その道の有識者でありプロレスラーでもあるなべやかんさんと対談していただきました(取材:スレンダー川口 @slender_kg https://x.com/slender_kg)

■「和ホラーが苦手なんです」

KANON「(やかんさんのコレクション部屋に案内され)うわあ~、スゴイ!圧倒される!」
やかん「ふふふ、対談用に展示を入れ替えておきました。和ホラーを克服したいって聞いてます」
KANON「そうなんです。洋ホラーはまだ見れるんですけど、いわゆる幽霊系とか呪い系は結構苦手で。この夏、なんとか克服したいと思ってます」
やかん「最近は夏休み時期だけじゃなく、9月になっても東京ドームシティの「東京ホラー特区!!」だとか花園ラグビー場の『秋の花園ホラーフェス』とか、映画以外にホラーイベントも多いしね。幽霊とか見たことはあります?」
KANON「僕、霊感はないんです。DDTの中でいうとHARASHIMAさんはXで1個バズったやつがあって、息子さんが家の壁を指して「女の人がいる」「怒ってる」って言われた。息子さんはまだ小さいから何か見えるのかなって」

HARASHIMA選手ツイート
https://x.com/harashima_ddt/status/2047377472510140654?s=46&t=cLg4xlN3G2yyzh8GVyrFZA

KANON「HARASHIMAさんが「じゃあそこら辺蹴っとくよ!」って蹴ったと。最後どうしたのかわかんないんですけど「蹴っといた」ってプロレスラー過ぎるなって(笑)」
やかん「へえ~。髙木(三四郎)さんには霊現象に遭ってほしいけどな(笑)」
KANON「遭ってほしいですけど、遭わなさそう」
やかん「意外と、男色ディーノさんとか、ああいう人が遭うかもしれない」
KANON「実際に幽霊は見たくないですけど、和ホラーは怖いもの見たさで頑張って見てます。 最近だと『だぁれかさんとアソぼ?』『ドールハウス』『犬鳴村』を見ました」
やかん「怖かった?」
KANON「『だぁれかさん~』は絶叫上映ってやつで、劇中に出てくる幽霊のコスプレした子がずっと徘徊するんです。むしろ集中力が分散して恐怖も和らいでちゃんと観れました(笑) 『ドールハウス』は、人形系はやっぱ怖いですね」
やかん「長澤まさみさんのね。あの人形ね、知り合いが作ってんの。今度工房に見に行こうかと思ってて。でも絶対あんなの部屋に置きたくないなと思っちゃう(笑) 」
KANON「あと『犬鳴村』は結構キツかったです」
やかん「『犬鳴村』は『うわあ、怖え~』と思って観てたんだけどね、最後に幽霊出てくるじゃない?それね、ジジ・ぶぅっていう芸人仲間なの。出てきた途端に「いい加減にしろ!」ってツッこんじゃった」
KANON「わはははは!せっかく引き込まれてたのにオチになっちゃったんですね!」
やかん「お前が出てきて台無しじゃねえかよ!ジジイこの野郎!ってね(笑)」
KANON「確かに知り合いが出てきたら恐怖が冷めちゃいますね。ラストで髙木さんが出てきたらちょっとヤだもん(笑) 」
やかん「知り合いでも俳優さんとか有名な人はいいんだけど、普段一緒にいるやつが出てくるとね。冷めちゃうっていうか、せっかく入り込んでんのに。映画見てて怖いなと思った時はどうしてんですか?」
KANON「家だったらとりあえずこうしますね(両手で顔を覆う) 指の隙間から見ながら、隙間を狭めたり画面を指で少し覆ったりとか」
やかん「なるほどなるほど」
KANON「でも映画館だとちょっと恥ずかしいじゃないですか。こんなデカい人間が一人で顔覆ってたら。その場合は目を細めてすぐつむれる状態にして、視界にまつ毛のサワサワがかかるぐらいに調整します。 ”隙間鑑賞”です(笑) やかんさんは怖いのお得意ですよね」

やかん「まあ好きだから見過ぎちゃって逆に怖いものが無くなってきちゃった。たまに本当に怖い作品に出会えると、『よっしゃ!怖え怖え!』ってなるね」
KANON「当たり引いた!みたいな感じに。そこの域に行きたいです」
やかん「なんか悪い癖でね、例えば殺人鬼とかいろいろ出てきても『これ主人公がブルース・リーだったら成立しないな。全部やっつけちゃうな』とかって考えちゃうの」

■「怖さの正体は"音"と"日常"」

KANON「配役を考えるのはむしろ楽しいかもしれないですね。僕も苦手なりに研究をしたんです。何に恐怖を感じてるんだろうって。後ろに居たのに振り返ったら居ないとか、そういうこととは別に、"音"って怖くないですか? 」
やかん「音ね、効果音はやっぱ怖い」
KANON「部屋に入る前に一瞬シーンとなって、引き込まれて急にドン!とか。洋ホラーはそっち系が多いんです。和ホラーは大事なとこだけバンって来る感じ。うっすらうっすら攻めてくる感じがあるなって」
やかん「この他にも生首とかお化けのものがいっぱい、お化け屋敷よりは数あるんですよ。だけどお化け屋敷は嫌いなんです。驚かされるのが嫌い」
KANON「もし二択で「ホラー映画を暗い部屋で一人で見ろ」ってのと「富士急とかにある結構長めのお化け屋敷に一人で入れ」だったら、僕はホラー映画の方取りますもん」
やかん「僕ももちろんそっち。『ブラッディ・バレンタイン』ってホラー映画を観に行ったら自分と嫁さん二人きりだったんですよ。『待てよ、これ観てる最中にスクリーンのこいつが出てきて殺されても誰も気づかないぞ』って思ったらすっごい怖くなってきて」
KANON「僕はなんで和ホラーが苦手かっていうと、映画の中の街並み、家、お風呂場、二階とか、鏡を見るとか、一人でいると物音がするとか、情景とかシチュエーションが日常にあるんで、毎回そこで思い出すのが怖いんですよ」
やかん「ああ、分かる」
KANON「海外のって家の作りも違うし街並みも違うんで、あんまり現実として見てなくて。日常生活に結びつかないから洋ホラーは大丈夫なんです」
やかん「洋ホラーは明確に殺人鬼とか出てきて、いわばヒールレスラーみたいな存在じゃないですか。日本のってそうじゃなくて、それこそ呪いとか目に見えないものが多いから、嫌悪感や不安っていうか「どうしたらいいのこれ?」みたいな怖さ」
KANON「こいつから逃げろっていうのがなくて、手元の携帯が鳴り出してとか。おっしゃる通り呪いとか実体がないものが多くて、それが怖いですよね」

■やかんさんが語る『本当にあった怖い話』

やかん「僕の友達の話でね、大國魂神社って府中にあるんだけど、その神社の入り口の横にアパートがあったんですよ。今は無くなったんだけど。友達がそこに住んでて、もうね、毎日そのギシギシギシギシ廊下から聞こえたり、ガタガタガタガタってベッドを揺らされたり、首絞められたりとかあるの」
KANON「ええ、それってなかなか…」
やかん「天野さんって人なんだけど、その人はもう精神的に強いっていうかどうかしてる人なんで、「そんな時は『ごめん、明日バイト早いから許して』とか言うとやめてくれるんだよ」って言ってた(笑)」
KANON「共存してるんですね!」
やかん「でね、8年ぐらい住んで引っ越すんだけど、大家さんに「天野さんだけよ、こんな長く住んだの。みんな半年で嫌になっちゃうの」って言われたんだって。で、その天野さんが出てったらすぐね、そのアパートが火事で焼けちゃったの。そんなアパートがあった」
KANON「火事で焼けるってとこまでが怖い…」
やかん「他にもね、随分前だけど、自分でも福島郡山の番組でね、ライブハウスのビルにバーがあって、そこでいつも収録してたんですよ。そこのマスターも番組に出てた。番組のエンディングで「そういえばマスター、ここって幽霊出るんですよね」「そうなんです。幽霊出るんですよ」って話をして終わったわけですよ」
KANON「出るお店なんですね…」
やかん「お店がね、長ぼっそいお店で、いつも奥で撮影をしてるんですね。入り口側にスタッフさん、カメラさん、音声さんがいて、カウンターにはマスター。ひと通り終わってみんなの片付けを待ってたら、スタッフさんのそばに女の子が立ってたんですよ。白いおかっぱの女の子。「あ、マスターお客さんですよ」って呼んだら、マスター出てきたんだけど「どこですか?」と。僕がスタッフさんに「あれ?今女の子いなかった?」って聞いてもみんな分かんないと。でも音声さんだけ「ここにいましたよね」って言うの。外に出るにはスタッフさんの間を通らないといけないから気付かれるはずですよね。僕と音声さんだけ「いましたよね?」「確かにいた」でも他の人はみんな「?」みたいな。で、その日はそのまま終わったわけですよ」

(静かになるKANON選手)

やかん「その撮ったVTRを編集してたら、音声さんが「変な声が入ってますよ」って。 エンディングの時に変な声が入ってる。僕とマスターが幽霊出るんですよねって話してる時に変な声が入ってるって。プロデューサーとかにも相談したけど、「まあ確かに入ってるけど、いいよ、このまま流しちゃおう」ってオンエアしたの。深夜帯で福島のローカル番組なんだけど、マスターのとこに友達から電話かかってきて「おい、お前とやかんさんが喋ってる間になんか変な顔が映ってるぞ」って、 二、三人から言われたっていうの」
KANON「お二人の間に映ってると」
やかん「その後3.11があって、そこのビルの外壁が壊れて、四階部分が壊れたわけ。ビルの地下から上までいろいろテナントに入ってる人たちが「じゃあこれ大家さんに家賃のこととか、補償の問題とか、みんなで話し合わなきゃいけないな」って集まっったら、各店のオーナー全員がその話よりも、いかに霊現象が起きるかって話をし出したの。」
KANON「ああ、全員が体験してたんだ…」
やかん「なぜこのビルにそんなことがあったかっていうと、隣がね、某デパートだったんですよ。で、そこのデパートの屋上からそのビルの屋上に向かって飛び降りて亡くなってる方が何人もいたと」
KANON「建物自体の高さに差があったんですね」
やかん「ライブハウスのビルは当時三階建てで、その屋上部分で亡くなってた。四階部分は建て増しだったから、一番四階部分で霊現象が多発してたという」
KANON「うう~(ブルッ)奇跡的にまだそういう霊現象に遭ってないから、まだフィクションとして見れるんですけど、テレビでやってる本当にあった怖い話とか、トラウマになっちゃいますよね」
やかん「この間の『世にも奇妙な物語』で佐伯日菜子さんがやったやつも怖かったしね。実家を閉めるっていう話」
KANON「たまに映画よりも世にも奇妙な物語の方が怖いことありますもん」
やかん「ファンタジーなものもあれば、ガチなものもあってね」

■「和ホラーは腕攻め、最後は腕ひしぎ」

KANON「ちょうどいいラインでめっちゃ怖いんですよね。和ホラーはプロレスで例えると良い展開してますよね。派手なことせずじわりじわり腕攻めして、最後に腕ひしぎ逆十字固めでギブアップ取るみたいな感じ。最初は触り程度で、徐々に怖くなる。その感じが癖になる人もいるだろうし」
やかん「その感じ、洋ホラーだと、僕はダリオ・アルジェントっていう監督の「サスペリア」が好き。バレエ教室のセットなんですよ?でも縮尺がおかしいわけ。不思議の国のアリスみたいな感じ。全部ちょっと大きめに作ってるから、見てるだけでその違和感がずっと気持ち悪い」
KANON「なるほど。ずっと違和感をかもし出すんだ」
やかん「あと色使い。ライティングが赤かったり、もの凄い乾いた感じの白だったり。それがね、もう見てて不快感しかない。加えて、ホラー音楽で一番怖いのはサスペリアだと思ってるんですよ。ゴブリンってバンドが作ったんですけど。その音楽と合わさってもう本当に嫌になってくる。だから彼は天才だなって思う、うん」
KANON「不快感か。虫とか髪の毛がわさ~っと来るとか、そういうのも不快感ですよね」

■"逃げられない状況"こそ最高のホラー

やかん「僕には"ホラーの絶対条件"というのがあって、"逃げられない状況"が一番大事だと思ってるんです」
KANON「確かに確かに(凄く納得)」
やかん「だからエクソシストとかも凄く上手く出来てる。自分の娘に悪魔が取り憑いたから、親は逃げるわけいかない」
KANON「そうですね、自分の子供だと何とかしてあげなきゃいけない」
やかん「部屋に寝てるところ、他人だったら入んなきゃいいじゃないってなるけど、自分の子供だから行かなきゃいけない。その逃げられない感じ。でも作品によっては「そこ行かなきゃいいじゃん」とか「なんで夜中に一人で行くの?」とか、そういう矛盾がね」
KANON「好奇心とはいえ行動には矛盾が無いことが大事ですね。ホラー映画を見る時に、ここに注目したら楽しく見れるっていうのはありますか?克服できるポイントみたいなのがあったら」
やかん「僕はいつも前振りを見ながらオチを考えちゃうんですよ。どう終わらせるのかなとか。漫才とかコントみたいな感じで考える。で、その自分の想像を裏切ってくれたらもう最高なわけですよ。面白え!ってなる」
KANON「確かに」
やかん「呪われたらどうやって祓うのか、祓われずバッドエンドなのか。でも最近はバッドエンドが多すぎるかな。ハッピーエンド、つまり完全解決ってあんまりない気がする」
KANON「助かったけど…って終わり方が多いですね。不安を残す」
やかん「やっぱりその展開を超えるものを作ってくると嬉しい」
KANON「おすすめのホラー映画ってありますか?」
やかん「『サスペリア』とか『エクソシスト』は70年代の映画だけどオススメ。洋物だと『死霊館』シリーズ見ました?特にシスターヴァラクが出てくるやつ『死霊館のシスター』、それは怖い」
KANON「いつもは大丈夫な洋ホラーでも、死霊館は「ああ、ちょっとダメかも」って思ったぐらいです」
やかん「日本のだと、やっぱ清水崇監督のは怖いね」
KANON「和ホラーはみんなから清水崇監督作品をめちゃくちゃ勧められました。『仄暗い水の底に』はガチで怖いから気をつけてくださいとか。(ガラスケース前のパネルを指して)これなんでしたっけ?」
やかん「それはエクソシストだね。そっちの青い頭はゾンビ。ゾンビも別に怖くないし」
KANON「ゾンビは確かに怖くはないですけど、僕は苦しくなっちゃうんです。『この状況になったらどうしよう』って考えて苦しくなっちゃうというか」
やかん「そうそう、逆に向こう側に行った方が楽じゃないかって考えたりね」
KANON「そう思っちゃいます!でもそっちに行く過程が嫌だな。ガブ~って喰われる過程は嫌だなって思っちゃいますね(笑)」
やかん「実際ね、例えB級だ、つまんなかったって言っても、自分の身に起こるとどんな作品でも怖いよね。それはもうたまったもんじゃない」
KANON「特に呪い系は全部そう思います。台湾の『呪詛』って映画はもう完全にこっちに向けたホラーでした。娘が呪われてどうにかして解決するって話なんですけど、ずっとビデオカメラを回してる体で、撮影中ずっと呪文を唱えてる。で、最後の最後にこの呪文は実は~って凄いイヤ~な終わり方するんですよ。後味が悪かったです」

※後編ではプロレスラーだけが知る"恐怖体験"を語り合います!

■KANON選手が6人タッグタイトルに挑戦!

『WRESTLE PETER PAN 2026』
日程:2026年8月11日(火)
開始:14:00
会場:東京・両国国技館


▼○KO-D6人タッグ選手権試合
【王者組】正田壮史/高鹿佑也/佐藤大地
 vs
【挑戦者組】KANON/納谷幸男/ビエント・レバンテ with KIMIHIRO&YUZUKI
※第60代王者組7度目の防衛戦。

チケットはこちら
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=61342

■『東京ホラー特区!!2026』(東京ドームシティ プリズムホール)

『東京ホラー特区!!2026』
期間:9月11日(金)~13日(日)
会場:東京ドームシティ プリズムホール

入場券(1日券、3日券)
https://x.gd/biAw2

<プロフィール>

なべやかん

1970年8月22日東京都生まれ、154cm、53.5kg。2018年8月ベストボディ・ジャパンプロレスリング旗揚げ戦にてデビュー。芸能界でも指折りのキャラクターグッズコレクターであり、特撮映画で用いたコスチュームなど、マニア垂涎のグッズを集めている。
X:https://x.com/yakannabe
自伝「クソ芸人からのチャンピオン」が好評発売中!
https://amzn.to/45xauxY

KANON

1996年9月23日石川県生まれ、180cm、103kg。2019年7月デビュー。恵まれた体格と、水泳・バレーボール・アメフト等のバックボーンを活かした躍動感あふれるファイトで活躍。2025年4月にMAOが手を差し伸べ、STRANGE LOVE CONNECTIONを結成。
X:https://x.com/KANON_DA_YON

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