年末引退のOG優宇が7年ぶり最後の参戦で上福と組み、山下&中島と激闘を展開!「私は先に引退するけど、プロレスが、そして東京女子が大好きです」

東京女子プロレスが11月19日、東京・新木場1stRINGでスピンオフ興行『TJPW INSPIRATION』を開催した。12・28新宿FACEで引退するOGの優宇(センダイガールズ)が7年ぶりにして最後の参戦を果たし、“親友”上福ゆきとのタッグで山下実優&中島翔子と激闘を繰り広げた。
優宇は2016年イッテンヨン(1月4日)後楽園で、同期ののどかおねえさん(天満のどか=引退)を破り白星デビュー。その後、快進撃を続けた優宇は同年夏のシングルトーナメント『東京プリンセスカップ』決勝で先輩の中島を下し初制覇。同年9月22日、新宿では初代プリンセス・オブ・プリンセス(当時はTOKYOプリンセス・オブ・プリンセス)王者の山下を撃破し、デビュー9ヵ月で初戴冠の快挙を達成。辰巳リカ、中島、才木玲佳、滝川あずさの挑戦を退けV4に成功。同王座からは2017年6月4日、新宿で坂崎ユカに敗れて陥落したが、鮮烈なインパクトを残した。2018年夏には『東京プリンセスカップ』決勝で坂崎を破り2度目の優勝を果たしたが、同年12月1日の新宿大会での天満戦をもって同団体を卒業した。
その後はフリーランサーとして、国内のみならず、英国マットでも活躍し、数々のタイトルを獲得。橋本千紘とのチーム200キロでは女子プロマットを席巻してきたが、今年6月に年末での引退を発表した。
この日、コンビを組んだ後輩の上福とは幾度となく対戦したり、タッグを組んだ間柄でリングを下りたら親友関係。上福は優宇の卒業後、優宇の得意技のチョップを継承した。山下と中島とは何度も大一番で対戦したライバル関係にあった。
優宇が上福を抱え上げて合体式のキックを中島に見舞うと、今度は上福が優宇を抱え上げて同じ技を試みようとするも優宇が重すぎて持ち上がらず失敗。山下が上福にサッカーボールキックを叩き込めば、上福はドロップキックで返した。優宇がチョップ、山下がミドルキックのラリーを展開。山下が優宇にリターンクラッシュを決めれば、中島がトペを発射。山下がハイキックを繰り出せば、上福は逆フェイマサーを見舞った。優宇が中島にキャノンボールもカット。コーナーでの攻防から、中島が優宇に雪崩式フランケンシュタイナー、619もカウントは2。山下を狙った優宇のチョップは上福に誤爆。優宇がラリアットをぶち込めば、中島はエルボー連打。山下が優宇にハイキックを叩き込めば、優宇は払い腰。優宇が中島にチョップを放ったところで、20分タイムアップのゴングが鳴り、激闘に終止符が打たれた。
試合後、最初にマイクを持った上福は「改めましてお帰りなさい。7年くらい前、優宇さんがいなくなるってなった時に、めちゃくちゃ寂しかったけど、それをバネにずっと頑張って来たから、今や後輩を引き連れる、ベルトを持つような人になってます。当時はこのメンバーでドローになるような試合すると思えなかったでしょ? 私、すぐ負けてたから。優宇さんやめるけど、優宇さんが教えてくれた、“おまえはキャラはいいし、元気もいいし、愛想もいいけど、受け身がなってねぇんだよ”って言われて。あれから受け身頑張ったから、難しい技も受けれるようになって。成長したよね? 先輩たち」と語った。
山下は「相変わらず強いね。カード発表された瞬間から、昔のことを走馬灯のように思い出してきて。一番印象に残ってるのはめちゃくちゃ打ち合ったこと。だから今日打ち合って、私の胸がこんなに真っ赤にされて、気持ちいいです、痛かったけど。この赤いのはいつか治るかもしれないけど、ここに打ってきた優宇のチョップはずっと私の胸のなかにあるので、優宇のことは忘れません」、中島は「優宇さんは同い年で誕生日が一緒なんだよね。でもちょっと後輩で、ちょっと歴の違うくらいは全然分かんないくらい一回りも二回りも大きくなって帰って来て。私より先にやめちゃうんだね。それが寂しい。だから今日は戦えてよかった」と優宇への思いを吐露。
優宇は涙をこらえながら、「もう引退まで泣かないって決めたんです。この間。また戦いましょうはないんですね。7年前、東京女子をやめてフリーランスになるのは、おそらく自分が初めてで。東京女子自体も、そういう形での卒業は前例がないなかで。本当に選手、スタッフ、よく口ゲンカした甲田さん(哲也代表)、そしてお客さん。温かく送り出してくれたのに、自分がプロレス引退するって時に、最後に特に思い入れのあるこの3人と試合させてくれる場所を作ってくれたことに感謝してます。ありがとうございます」とあいさつ。
最後に優宇は「まだまだプロレスする3人ですけど、私は先に引退するけど、プロレスが、そして東京女子が大好きです。大好きなまま引退させてもらえることに感謝してます。私をプロレスラーにしてくれて、ありがとうございました。東京女子、もっともっと日本中、世界中に羽ばたいていく姿を、来年からはファンの一人として心の底から応援したいと思います。ありがとうございました!」と涙で締めくくった。
その後、優宇は中島、山下と抱擁を交わし、抱き着こうとした上福を交わして笑わせる一幕もあったが、笑顔で上福と抱き合い、記念撮影を終えて、ラストに退場した。
バックステージでは4人揃ってコメント。山下は「去年くらいに海外で会ったんですよ。その時も色々話をしたりしてて。回り回って、引退ロードって大事な時間のなかで、優宇と戦えてすごいうれしかった。戦って改めて強いなと思いました。ホントに東京女子で出会えてよかったなと思います」と涙。上福は「優宇さんとは何から何まで違うんだけど…。プライベートでは東京女子を卒業してからも一緒にご飯に行ったりとか、私がくじけそうな時とかもすごく支えてくれて。全然違うタイプなんですけど、海外にいっぱい挑戦してたりとか、いろんな姿を見せてくれて。会話ではプロレスのことは言わなくても、背中でどんどん頑張る女性っていうのを東京女子以外の部分でたくさん見せてくれて。友達であるし、すごく尊敬できる先輩っていうのは、存在としては変わらなくて。自分がやってきたのをリングで見せられてよかったなと思ってます」としみじみと語った。中島は「私はご飯もたまに行ってたりとかしたんですけど。最近で言うと試合観戦をすると、そこの興行に出てるとか。リング外で見てる時にリング上で試合してる選手っていう距離感もありつつ。いざ向き合うと変わらず優宇さんは優宇さんだなって感じ。もうすぐ引退のこのすごく大事な1日に、実家と言えるか分からんけど、帰ってきてくれたのはすごくうれしかったし。最後に優宇さんと試合した時は、またいつかっていう風にリングを下りたけど、もう今日はそれがないんだなって思うと、ちょっと寂しくてイヤかな。新しい人生をスタートするのも勇気だから。すごく尊敬してるし、これからも頑張れって気持ちで。私も頑張りたいなって思った」と話した。
優宇は「7年前は自分も尖ってたというか、子どもだった部分もあって。でもそれを武器にしないと生きていけない自分もどこかにいて。もう一度こういう瞬間が訪れるっていうのが、きっとないんだなって思いながら自分は引退の宣言をしたから、ホントに幸せだなってすごい感じてて。引退ロードってものを今半年くらいやってますけど、ここが実家だなって思ったし。ここが実家なのは幸せだなってすごい思います。帰ってくる場所、帰ってくる時間を作ってくれてありがとうございました。ホントに東京女子に感謝してます!」と頭を下げた。
















