「一人のオンナとして見てほしい」10/31自主興行 “さよならの代わりに”を開催する夏すみれロングインタビュー!

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 年末に惜しまれながらも引退する優宇。それを聞いて「優宇ちゃんの為にすぐ動いた」という夏すみれ。自らの自主興行を“さよならの代わりに”するなんて、その心意気を伺ってまいりました!(聞き手:スレンダー川口 @slender_kg )

――今回10/31の自主興行、優宇選手の引退が発表されてからすぐ告知されました。「さすが!」と思いました。
「私が優宇ちゃんから「年末で引退します」って聞いたのは、皆さんに発表する1週間前ぐらいなんです。私と優宇ちゃんって、リング上での絡みは目立ったことはしてないんですけど、プライベートでは昔から仲良くしてもらってて。」

――確かにあんまりリング上でやりあってたイメージが無い
「今年から来年にかけて引退する選手が多い中で、優宇ちゃんの引退だけはプライベートでの関わりもあったし、ちょっと心が動いたところもあって、なんか最後に対戦したいみたいな。でもお互い見事に参戦団体が被ってないので、待ってても実際対戦できる機会があるか分からなかったんですよ。だったら自分でその場を作っちゃった方が早いと思って。引退を聞いたその日には「興行をやってもいい?」って優宇ちゃんに聞いてました。だから、準備期間としては一日って感じですね(笑)」

――でも嬉しかったんじゃないですか、優宇選手も。
「まあ、LINEでのやりとりだったんですけど「行動力と漢気が嬉しいです!」って言ってくれて。「…漢気?」とは思いましたけど(笑)。やっぱこう、誰かのために動くことって日常でなかなかないじゃないですか。「醤油取って」とか「ドア開けて」とかその程度ですよね。」

――小さなことからですね。
「私にとっては、過去のプロデュース大会とか全部含めたら自分で開催するのは今回が7回目なんですけど、振り返れば割と自分以外の何かのために行動することの方が多かった気がする。きっとそれが私にとってのエネルギーなんでしょうね。そういう機会がないと日常がダラけるし。今回は優宇ちゃんの引退がキッカケではありますけど、私としては2年ぶりの自身のプロデュース興行なので、ダラけかけてた生活にハリを取り戻すキッカケをもらったかなって感じでもあります。 」

――自主興行、主催者はとにかく忙しいイメージです。
「初めて開催した自主興行(2019年12月15日開催『Forever』)では第1試合とメインの2試合に出場して、あまりにバタバタしたのでめちゃくちゃ後悔しました。だから2回目に開いた自主興行(2022年12月24日開催『Not forever』)では、試合自体は1試合のみの予定だったんですけど、結局他の試合の途中にサンタの格好で歌って乱入しろと言われて結局駆り出されましたね(笑)。正直『他の選手にしてくれ』と思ったんですけど「あなたの興行なんだから」と言われたら、NOは言えなかったです(笑)」

――それでも、もう一回やろうっていうのは優宇選手への思いが強いのかなと。
「彼女がフリーになった当時、ある日私が夜中に歌舞伎町でお酒を飲んでいましたら、共通の知人から電話がかかってきたんです。「今度、東京女子を辞めてフリーになる優宇って子がいて~」って。東京女子さんって、団体のカラー的にあまり他団体との交流ってしないじゃないですか。「いろいろ勝手が分からないから、良かったら話聞いてあげてくれない?」ってその場で電話を代わられまして。」

――変な初めましてになっちゃったんですね。
「だから、優宇ちゃんとの初めての遭遇は対面ではなくて電話で、なんならこっちがちょっと酔っ払ってる状態だったんですよね(笑)。 でもそのとき1時間ちょっと長電話をして、彼女自身もいろいろ不安だろうし、今度ご飯でも食べながら話そうかってことでご飯に行ったんです。これが優宇ちゃんと私の初対面。」

――お酒も抜けて(笑)
「はい(笑)。いろいろ話をしたんですけど、それ以来、仕事の相談ですとか、私の方がちょっとフリーになるのが早かったんで、例えば「こういう連絡はどう返せばいいですか?」ってやりとりをしたり、あとは普通に飲みに行くことも多かったですね。私も優宇ちゃんもお酒好きなんで、一緒にお酒飲んだり、旅行も行きました。結構レスラー仲間の中でも交流は深い方でしたよ。」

――お互いいろんな話をされたことでしょう。
「そうですね。だからやっぱ、そういう関係性だった子がプロレスを離れるってなると寂しい気持ちもあるし、だけどやっぱり我々はプロレスラーですから、最後は酒の席じゃなくて、お互いテーマを持ってリング上で試合をしたかった。」

――優しいですね。
「どうなんですかね。まあ優しいっていうよりかは、結局は私がそうしたいからそうしてるだけなので。自分の中での後悔を残したくなかったのが動機なんです。でも実際優宇ちゃんなんか、引退決まってからめちゃくちゃ忙しいと思うんですよ。10月31日ともなると引退の2か月前ですから、忙しさがピークの時期だと思うんですけど、そんな時期に私のために1日を抑えてくれたから、どちらかというと優しいのは優宇ちゃんの方かなとも思ったり。」

――“さよならの代わりに”また大会タイトルがいいじゃないですか。
「いろいろ考えたんですけどね。凝った横文字とか、例えばラストどうたらとかサンキューなんたらみたいなのも考えたんですけど、これは何のために行う興行なのかという所に戻って、やっぱりさよならの代わりの興行なので、もうシンプルに、それをそのままタイトルにしました。ただ、やっぱ新宿2丁目界隈では「これって山口百恵〜?」みたいなイジり方はよくされてます(笑)」

――ポスターもすごく良いですよね。1発目の吼え合ってるのも良かったですが、今のもすごくイイ。
「第二弾の正規ポスターの方は、そもそも私と優宇ちゃんの原点は、お酒の席から始まってるんで、我々らしく居酒屋の中で撮りました。私が普段からよく行ってる歌舞伎町の居酒屋をお借りして撮影したんですけど、一見何のポスターかよく分かんないという(笑)」

――トークライブみたいな感じですもんね(笑)
「まあでもポスター1枚取っても、後の思い出になるってことを考えたら、やっぱり私達今までたくさん飲んで色んな話をしたよねみたいな、振り返りにもなるじゃないですか。何気ない日常のそういう時間が「お互い仕事を頑張ろう!」って活力にもなってたし。特にフリーなんか、やっぱりなかなか自我を通せないですし、かといって言われたことをそのまま受け入れてたら、ただの便利屋にされてしまうので、結構いろんな葛藤があるんですよ。」

――組織とフリーの違いを語りあうという。
「お互いフリーだからこそ分かち合えた部分も多かった。お酒の席で溜飲を吐き出しつつ、この業界を生き抜こうねって励まし合って。 」

――ちょうど、そんな感じの話をしてる絵面になってます。
「あれはね、乾杯の瞬間を撮ろうってことで本当にガチのビールを結構お互い、多分3〜4杯ぐらい飲んでて、ちゃんと酔っ払ってたんですよ。これリアルに業界のゴシップ話してる時の顔です(笑)」

――イイ顔してますもんね~(笑)
「なんか撮影を始めて最初の方とかって、乾杯ポーズは決めてるんですけどやっぱ表情が少し硬いんですよ。まだお酒も入ってないですし、撮られてるって意識があるから。構図とかも全部私が考えたんですけど、撮ったデータをその場でチェックしながら、なんか違うなあ~みたいな。「一回カメラを無視して私たち勝手に飲むんで、飲んでるところを勝手に撮っといてくれませんか?」ってカメラマンさんにお願いをしたんです。だからあの写真は、リアルに噂話で笑ってる瞬間。結局の所、他人の悪口や噂話、ゴシップや妬み嫉みを吐き出してる時こそ人間一番いい顔するんすよね(笑)」

――この大会、発表してすぐに会場とひと悶着ありました。
「あぁ〜…(苦笑)。まず、会場さん側との問題はもう解決してるって事を大前提に聞いてくださいね。今回会場をどこでやろうかなって考えた時に、GAMIさん(プロレスリングWAVE会長)からあの会場をご紹介頂いたんです。初めて使う会場ですし、私自身あの会場で試合したことは過去に2回程度しかなかったんですけど、今まで自主興行を新木場でもやったし、新宿フェイスでもやったし、今回は違う所でやるのもいいかな〜と思って。だからこれまでに、会場側とはほぼ面識はなく、会場予約の連絡以外は何もやりとりしてない状態で、いざ興行の開催発表をしたら、突然会場側から私に向けた暴言をSNSで吐かれまして(笑)。まあ悪気はなかったのは分かってるんですよ。きっと向こうはお笑いの流れで、何かしら発信の手伝いをしようと思ってやったって事は、一応理解はしてるんです。だけど、私はきちんと正規の料金を払って借りている立場の人間なので、シンプルに気分は良くなかった。」

――何やこれと。
「会場側のポストを見たとき、ちょうど私たまたま1人で飲んでたんですよ。最近ちょっとワインにハマってまして、たまに大人ぶってワインバーとか行っちゃう(笑)。赤ワイン2杯目ぐらいに差し掛かった頃かな、そのポストを見てしまったらもう一気に沸点が上がって、そこからはもうワインを飲む手が止まらなくなり、気づいたら新宿2丁目に流れ込んで、馴染みのバーで大泥酔をかまし、酔っ払って路上で寝てた知らない男性に跨って写真を撮り、フィリピンパブで濃すぎるジントニックとフィリピン料理を食べながら朝を迎えました。」

――飲んだくれですよ・・・。
「しかもその翌日は友人たちとバーベキューの予定が入ってたんですけど、前日にそんな飲み方をしてしまったから二日酔いで起きれるわけがなく、泣く泣くバーベキューをドタキャンと…。どうしてこうなった?(笑)。あのツイートで私の二日間がとんでもなく荒れましたね(笑)」

――フィリピンパブの朝ご飯が美味しかったみたいなポスト見かけました。
「よく行くフィリピンパブがあるんですけど、そこは多分、犯罪行為以外は何をやっても許される場所なので(笑)。私が新宿で出会った新宿の女たちとよくそこに行っては夜な夜な暴れまくっているんです。気づいたらそこにいて、名前もよく分からない謎のフィリピン料理を食べていました。美味しかったですよ。」

――まあ良い朝ごはんだったということで。
「紆余曲折ありつつも、最終的にはちゃんと会場側から謝罪をいただきましたから。ただ、私の気持ち的には、やっぱり失言って謝罪をしたから無しになるかといったら、そういうわけではないと思うんですよね。一度手元から離れた言葉はもうどうにもならないですから。とはいえそんな小さな事で大会に泥を塗られたままにもしたくないし、だったらこうもっと利他的といいますか、平和的な解決策を考えたときに、やっぱり私の興行ですし、私はプロレスを観ながらお酒を飲むのが一番楽しいなって思うんですよ。私もよく後楽園ホールで、生ビールとレモンサワーを両手に抱えて観戦して、休憩時間に差し掛かる頃にはベロベロになってるんで(笑)。その瞬間が一番楽しいんで、それをお客様にも提供したいと。」

――ものすごく分かります!
「だから今回ご来場いただく方々には、会場から「ドリンクおかわり一杯無料」をプレゼントしてもらいます。なんとかその形で収まりましたので、お酒を飲める方はぜひお酒を。飲めない方はこまめな水分補給をということでね、最初の一杯はどうしてもお金がかかってしまうんですけど、2杯目はおかわり自由です。ぜひたくさん飲んでください。そんなに飲めない方でも、要はドリンクコインとして会場側から提供していただけるので、仮にその日使わなくても持って帰ってもらって大丈夫です。次回また何かの大会でインイタに行く際にはそれが使えるんで、何かしらで活用していただけたらなと。 」

――その日一杯無料じゃなくて、次回使ってもイイ。
「そうですね。有効に使っていただけたら。あとねこれを機に、関係者や関係者を名乗る近辺の方々は、もう私に喧嘩を売らないでほしいです(笑)。私は別に怒鳴ったりとかはしないですけど、ただ謝るだけでは済ませないので。あはは(笑)」


――嬉しい特典ですね。
「ところが会場問題が解決したかと思ったら、今度は別件で、私が今プロレスリングWAVEさんに参戦させて頂いているんですけども、12年プロレスやってて初めてです。オファーを受けた大会の対戦カードに名前が入ってなかったという(笑)」

――それびっくりしましたよ!
「はい、私もびっくりしました(笑)。なんか前日の夕方までカードが送られてこないから、『あれ?明日だよな?』みたいな。GAMIさんに連絡してみたら、「あ、忘れてた」って言われて(笑)。「どっかねじ込めたりしないですか?」「いや、ちょっともう無理やな~」と。」 

――となると利他的な解決が求められる・・・。
「ちょうど今回の興行日って、裏で他の興行が被ってたりで、音響や照明をやってくれる人が見つからなかったんですよね。どう考えてもレスラーの数より裏方スタッフさんの方が少ないわけじゃないですか。だから、そういう方々が全部出払っちゃってて、ちょうど悩んでたんです。『あ、これは使えるぞ』と思って(笑)。GAMIさんに「そしたら明日の試合無しで全然大丈夫なんで、代わりに私の興行で音響と照明やってくれませんか?」ってお願いしました。まあ私とGAMIさんの長い付き合いがあるからこそですけどね。他でやられたらブチギレてるかもしれない(笑)。GAMIさんも「あんたやらしいな〜」とは言いつつも快く引き受けて下さったので、今回の興行はGAMIさんが音響照明スタッフとして無償で来てくださる。機材込みですね。」

――怒鳴らず提案して解決!
「はい、私は怒鳴りませんので(笑)。ただね、この興行あまりにもこういうことが多すぎて、いよいよファンの方から「次の平和的解決は一体何でしょうか」ってコメントもらうようになっちゃった(笑)。いや、もうこれ以上は何も起こってほしくない!!!」

――GAMIさんが音響照明係って面白いですね。
「普段からWAVEの大会でもやってらっしゃるみたいですよ。なのでそこは安心してお任せしつつも、もし万が一ミスがあってもね、皆さんそこは広い心で、「あ、GAMIさん間違えちゃったのかな?」ぐらいの気持ちで大目に見てください。」

――では対戦カードの見どころをお聞きしていきましょう。

▼第1試合 シングルマッチ
青木いつ希(ショーンキャプチャー)
vs
YuuRI(ガンバレ☆プロレス)

「そもそも今回の興行は、本当は全4試合の予定だったんですよ。後々紹介するメインのカードにギャラがかかりすぎてるから(笑)。でもどうしても興行全体のバランスが気になってしまって。私が過去手がけた大会でもそうなんですけど、やっぱり第1試合はその日初めてプロレスを観に来てくれるお客様もいるかもしれないと考えて、ルールが複雑なものだったり、大勢の選手がごちゃごちゃ出てくるものは避けたいと思ってるんです。」

――初見の方にはまずスタンダードなものを。
「なるべくシンプルなシングルかタッグマッチで、『プロレスってこういうものですよ』と伝えることができる選手をチョイスしているんです。でも今回他のカードを見たときに、3wayとかバトルロイヤルだったり、セミにタッグマッチを用意はしてるけど、これを第1試合に持ってきたら初見のお客さん多分ビビっちゃう(笑)。だったらやっぱりもう1試合増やすかと。YuuRIは私が新宿2丁目でやっているナツバーにもスタッフとして入ってくれてて、接する機会の多い後輩だから彼女をフューチャーしようと。で、「シングルマッチやるとしたら誰とやりたい?」って聞いたら、いつ希の名前が挙がったんです。いつ希自体は過去の興行でも必ず第1試合に出てくれていて、シンプルだけど明るく激しく、ちゃんとプロレスというものを伝えてくれる選手だと思ってる。私が第1試合に求めるものを全て持っているのが青木いつ希なんです。」

――好評価ですね。
「でもこのカードを決めたあたりから、突然YuuRIがリング上で奇行を働くようになりまして。それまでの私のYuuRIのイメージって、プライベートは確かにちょっと天然でね、抜けてるところもあったんですけど、試合ではチャキチャキ動いて技もバシバシ決めて、スタイリッシュな選手っていうイメージだったんですけど。先月あたりから突然誰もいないところにコーナーからバンプを取り出したりですとか、入場してから催してトイレに駆け込むとか、試合中に歯を飛ばすとか、なんか分からないけど…壊れちゃった(笑)」

――う~ん、プレッシャーを感じてるんでしょうか。
「『第1試合は王道のシングルマッチで』と思っていたものが、今ちょっと大きく崩れそうな不安を抱えております(笑)。YuuRIが初めて奇行を繰り出した時は、私がYuuRIと組んで、対戦相手も私含めて全員キャリア10年超えのベテランばかりだったんですけど、YuuRIの奇行を前に3人がどうすることもできず、ただお互い目と目を合わせて苦笑いするしかなかった(笑)。もしYuuRIの奇行が出た時に、いつ希がどう処理をしてくれるのか。カードを組んだ時には考えてなかったですけど、副産物として見どころの1つですね。」

――良いハプニングですね。
「でも奇行っていうのは狙ってやったら面白くなくなっちゃうので。YuuRIには「いつも通り、あなたらしくでいいよ」って伝えようと思っています(笑) 」

――第2試合は3wayマッチです。

▼第2試合 3wayマッチ
小林香萌(フリー)
vs
狐伯(WAVE)
vs
エチカ・ミヤビ(P.P.P. TOKYO)

「同期である小林香萌と、プロレスリングWAVEのチャンピオンである狐伯ですね。この2人はもう言うまでもなく実力も安定、完全に信頼のおける2人ですが、エチカ・ミヤビは私がレギュラー参戦しているPPP TOKYOの選手で、確か今キャリア2〜3年目くらいかな?体格も大きいですし技もとっても綺麗に決めれる選手なんですけど、以前まではなんかちょっと自信がなかったのか、自分がどう振る舞えばいいかが分かってない感じがしたんですよね。でも彼女は去年あたりに性別適合手術を受けて、身も心も正真正銘の女性になったということでね、最近の試合ではとても堂々としていて、他の人に自分をどう見せたいか、彼女の中でも自分というものが固まってきたんだと思うんですよ。」

――成長を感じると。

「今まではあくまでも新人ってくくりの中で見て「良いよね」って思われる選手だったと思うんですけど、そろそろ次のフェーズに行ってもいいんじゃないかなって思うんです。今の彼女は自分の体の大きさや力に頼った攻撃が多い気がするんですけど、小林・狐伯って体こそ小さいものの、パワーだけではねじ伏せられない二人だと思うんですよね。むしろ体格差があるからこそ足元をすくわれてしまう。今まで通りの戦い方ではまかり通らない二人だと思うんで、どうこの2人を倒しにいくのか、そういう事を考える機会を与えたかったんです。3way戦って実は私すごく苦手なんですよ。ほんと頭使いますし。だけど今回は、3wayだからこうしようとか、私はいつもこうだからって、よく見る動き、よくやる動きをベースにするんじゃなくて、対戦相手ありきで、この2人を相手に自分はどう立ち振る舞えばいいのかを考える。そういう癖をつけてほしいんですよね。」

――3wayの戦い方って難しいだろうなって思います。
「私はフリーになって、最初こそそんな意識はしてなかったんですけど、今最も意識しているのは、自分がこの団体、この対戦カードで何を求められているのかっていうのをまず考えるんです。で、それを考えた上で、その試合の中での自分の立ち位置を決めているので、例えばコミカルを求められているのであればコミカルをやりますし、お色気路線を求められているのであればお色気をやりますし、逆に気張った試合をしてくれって団体の意図を感じるのであれば、たまにはそういう試合もやります。本当にたまにですけど(笑)。でもそうやっていくとね、試合の幅も広がるし、自分自身がプロレスをより面白いと感じるようになれた。彼女はそういう事が出来る選手だと思ってますし、その期待も込めて、この3wayマッチを決めました。」

――そうだ、小林選手はブリキオーケストラのMVでも共演してましたね(ブリキオーケストラ「!!! 」MV https://x.gd/zUq7u)
「香萌ちゃんがバンド関係の方々と結構知り合いみたいで。今回プロレスを題材にしたミュージックビデオを撮りたいっていうことで香萌ちゃんから仕事を振ってもらったんですけど、とてもかっこいい映像に仕上がってます。コンセプトとしては、マフィアが運営する闇格闘技場があり、私がそこのチャンピオンで、香萌ちゃんが道場破り、みたいな感じです。」

――ブロディの移民のテーマみたいな始まり、『このバンド、プロレス好きだな』と分かるメロディーでした。
「意外にもあのMVを撮ってくれたカメラマンさんは、プロレスを見たことがなかったんです。でも「プロレスを題材に」ってテーマを言われてじゃあちょっと勉強しなきゃって思って初めてプロレスを観たそうで、まずは香萌ちゃんの試合を観に行ったらしいんですけど、行ったのがなぜかYMZ(ゴキゲンプロレス)だったという(笑)」

――なんでまた(笑)
「その後に今度は私の試合も観に来てくれたんですけど、観に来たのが666だったんです。なんで上級者向けの団体ばかり選ぶのかな~って(笑) 」

――でもそこからイメージを膨らませてあの仕上がりだったわけですから、すごくプロレスの面白さを理解してくれた感じがします。
「プロレスは映像作品と相性がやっぱりいいですね。」

――縦横の動きもあるしアクションとしても面白い。
「試合だったらアドレナリンもありますし、リングで受け身も取れますけど、MV撮影って朝も早くて、ほぼ頭が起きてない状態で「ハイ撮りまーす、3,2,1どうぞ!」で、いきなり投げられるんです。しかも映像って何パターンも、いろんな角度からカットを撮るから、あのMV内では私はフィッシャーマンを1回しか投げられてない事になってますけど、実際はリハーサルも含めたら10回くらいマットに投げられてます。しかもその後、夜は試合がありました(笑)」

――第3試合はバトルロイヤルです。

▼第3試合 ハロウィンコスプレバトルロイヤル
出場選手一覧 (順不同)
炎華(WAVE)
神楽姫ミサ(フリー)
梅咲遥(ディアナ)
ラム会長(666)
尾﨑妹加(フリー)
雪妃真矢(フリー)
紫雷美央(フリー)
櫻井裕子(COLOR'S)
風南ユキ(SEAdLINNNG)

「これに関してはもうテーマは単純明快ですよ。ただシンプルに「みんなかわいい子のコスプレ好きでしょ?」ってことです(笑)。この令和の時代、ルッキズムとかいろいろ言われてね、人の容姿を褒めることすらしづらい世の中になっちゃったじゃないですか。ある人の容姿を褒めると『ある人だけ褒めるなんて不公平!』『褒められてない人に対する配慮!』とか色々言われちゃう。でもさ、結局のところ、かわいい子や綺麗な子の事はみんな好きじゃないですか。」

――みんな大好きですよ!
「もちろん好みは人それぞれですけどね。だけど、この試合は私から見て綺麗だな〜かわいいな〜この子いいな~って思う子だけをひたすら集めました。皆さんもね、普段は『俺は女子レスラーを顔で選んでるんじゃないぞ!』とか『俺はあの選手のあの技が好きで~』とかね。『ひたむきな姿勢が応援したくなるんだよ!』とか、色々あると思うんですけど。この試合に関してだけは、もうそういう建前は必要ねえから!(笑)。己に素直になって、シンプルに「かわいい!好きだ!」と叫んでもらって大丈夫です(笑)。だから出場選手もね、もうここぞとばかりに、この日は思いっきりかわいいコスプレを披露していただいて、大会後にはぜひ売店でポートレートを売り散らかして荒稼ぎして頂きたい!」

――板橋でハロウィンを楽しんでもらいましょう!
「季節物っていいですよねぇ。夏は浴衣、秋はハロウィン、冬はサンタさん、とかね。かわいい子の四季折々っていいよなぁ〜。一応こだわりとして、ただかわいいだけではなく色んなタイプの方々をお呼びしてるんですよ。正当かわいいとかキレイ系とか、人妻、巨乳、怪奇派…いろんなタイプの美女を集めてみました(笑)みんなが並び立つ所を想像するだけで楽しみですね。」

――わくわくしますね。さてセミファイナルはどうでしょう。

▼セミファイナル スペシャルタッグマッチ
葉月(スターダム)/笹村あやめ(2AW)
vs
VENY(フリー)/望天セレネ(SEAdLINNNG)

「この試合のテーマは「とにかく気の強い女だけを集めてみました」です。私の周りにいる気の強い女は誰だって考えたときに、まず一番最初にパッと浮かんだのが、葉月。そしてVENY。笹村は割と万能型ではあるんですけど、牙を隠してるタイプだと思ってて、出すときはギャッと気の強さを出してくる。先日タイトルマッチで対戦しましたが、それはもう怖かったですよ〜(笑)。タッグマッチにするなら、当然もう1人必要じゃないですか。それを誰だろうと考えていた時に気づいたんですけど、私たち世代から下って、意外と気が強い選手が少ない気がしたんです。例えば「がむしゃら」とか「バチバチ」とか、そういう表現に当てはまる選手は多いんですけど。」

――確かに「気が強い」が一番の売りという選手は…。
「それはなんでなのか、いろいろ考えてみたんですよ。ちょうど私たちから一つ上の世代って、現役であれば、水波綾選手、松本浩代選手、DASH・チサコ選手、志田光選手、引退した方であれば、大畠美咲選手、中島安里紗選手など、もう気の強い人しかなかった(笑)。しかも私たちがデビューした頃ってその方々が一番脂の乗ってる時期ですよね。レスラーとしての熱が一番燃えてる頃だった。そんな先輩たちを見て私たちは育ったので、あの~…すごくおっかなかったんですよ(笑)」

――それが全員揃ってる団体とか、ねえ(笑)
「当時のWAVEとか正にそうでしたよ。所属ではなくてもフリーの選手や他団体の選手を積極的に起用していたので、気の強い先輩たちが大集結!控え室から本当に怖くて(汗)。今の控え室ってどこか和気あいあいとしてるなって思うんですよ。でも私たちが若手の頃は、控え室でちょっとでもはしゃごうもんなら「楽しそうにやってんじゃねえよ!」ってものすごく怒られた。」

――なんとなく想像できます…。
「これは良いのか悪いのかですけど、私たちの世代はそんな先輩たちを見て育ったので、その反動か、気が強いとかそういう路線よりも、個性を伸ばそうとしたり、キャラクターを示す方向にいったんですよね。もちろん気の張った試合をやれる選手もいますけど、それもやる上でこんな試合も出来るの!?みたいな万能型の選手だとか、私みたいに完全にパクチーみたいな存在に走った選手だとか(笑)肉食特化型は少なくなった。」

――パクチー!ものすごい納得感!(笑)
「ちょうど狭間にいるのが私たちなんで、私たちの世代が分岐点なんじゃないかなって思ってて。私たちはどちらかというと、しのぎを削って切磋琢磨してきたというよりかは、お互い褒め合い身を寄せ合って育ってきた世代。」

――「育み世代」と言えるかも。
「ただ、もちろんそんな中でも対抗意識はありますよ。それはいまだに私の中にもありますけど、あんまりそれを表に出すって事をしなかった。私たちがそんな先輩だからか、その下にいる若い選手たちは、新人は新人らしくとかそういう考えにこだわらず、割と最初から自分の見せ方を考えたり、やりたい事を表現する方向にいけてる気がする。そうなってくると、なかなか気の強い選手が見つからなかったんですよね。まあ、それが悪いことだとは思わないですけどね。むしろ良い時代になったと私は思ってはいるんですけど。」

――それこそ明るく楽しいプロレス。
「ただ強さを競い合うだけではなくなってきましたよね。勝てば正義ってわけでもなくなってるように感じて。でも私個人的には、やっぱりそういう先輩達に育てられたから、ただシンプルにお互いの強さを競う試合も好きなんですよ。むしろそういう試合こそがThe 女子プロレスだなと思うんですよね。それを表現できる選手が、葉月、笹村、VENY。そこに加える4人目を、お客様に意見を聞いたりしながら考えていたんです。そんな中、私がレギュラー参戦させて頂いているSEAdLINNNGさんが先日10周年大会を後楽園ホールで開催していて。」

――そこで見つけたわけですね。
「SEAdLINNNGさんって今は若手の育成に力を入れていて、既に生え抜きが4人揃ってるんです。その4選手だけの純血タッグマッチを見たんですけど、もちろんSEAdLINNNGさんは練習方針とかすごくキッチリされてるから、みんなちゃんと受け身も取れるし、良い選手ばかり。でも今私が欲しいピースは気が強いっていうただそこだけだったから、その視点で見たときに、一番光って見えたのがセレネ選手だったんですよね。」

――2025年6月デビュー、大会時点でもまだキャリア4カ月ですね。
「なんか気の強さって、多分エルボーとかドロップキックとか、そういう技の部分に出るんじゃなくて、細かい試合中の所作に垣間見える気がするんですよね。例えば、技を受けたあとの立ち上がり方だったり、攻撃した後の目つきだったり、試合の展開とは関係ない部分に出るものだと思うんです。セレネちゃんはそれが一番出てたんですよ。まあ、このカードの中に入ってしまうと、どうしてもキャリアや技術の部分で他の3人に比べたらまだ劣ってしまうとは思うんですけど、気の強さで言ったら負けないんじゃないかな。」

――めちゃくちゃ注目する点が出来ましたね。
「周りの3人も気が強いからこそ、遠慮なんかしなくていいんですよ。どうせ気を使ったところで周りはボカスカやってくるんだから(笑)。だからお互い様という事で、セレネちゃんには遠慮せずにどんどんぶつかってほしいですね。あとは、この大会の1週間前ぐらいに葉月ちゃんが初めてメキシコ遠征に行くみたいで、今回帰国してすぐそのまま参戦してくれるんですよ。ありがたいですよね。本場のルチャを経験してくるみたいなので、VENYとのスピーディーな攻防が見れるのも楽しみではありますね。」

――そしてメインは豪華6人タッグです。

▼メインイベント 優宇 壮行試合“さよならの代わりに”6人タッグマッチ
夏すみれ(フリー)/山下りな(フリー)/諏訪魔(全日本)
vs
優宇(センダイガールズ)/橋本千紘(センダイガールズ)/石川修司(フリー)

「やっぱり一番は私自身が最後に優宇ちゃんと対戦したいっていう気持ち。もう1個は、今でこそ優宇ちゃんは仙女所属になりましたけど、この興行を決めた時点ではフリーだったので、フリーランスって結局のところ団体さんに呼ばれて団体に用意されたカードで試合をする事が基本なので、よっぽど仲良くしている団体とかじゃない限りは、自分からこの人と試合したいですとか希望は言いづらいんですよね。優宇ちゃんの残りのプロレス生活の中で『あの人と試合しておきたかった』って気持ちが残らないように、もし対戦したくても対戦できない選手がいたら、この枠を使ってねって伝えていました。」

――「誰かのために」ですね。
「別にいなければ私と優宇ちゃんのシングルマッチでも私は良かったし、誰かいるならタッグマッチでも何対何になってもいいから、と。で、一番最初に優宇ちゃんから名前が挙がったのが、山下りなだった。山下はね、私の興行には毎度出てもらってて、必ずメインで私と組むなり対戦なりしてくれていて、山下りなという存在は私の興行においてもとても大きな存在なので、丁度良かった。」

――ハマりますね
「優宇ちゃんの希望としてもうひとつ上がったのが、チーム200キロに石川さんを加えたチーム333キロでした。里村さんがこのトリオがすごい好きらしいですよ(笑)。だから多分最後に見せてあげたいみたいな気持ちもあってこのトリオを提案されました。対戦するこっちとしては「マジかよ!?」って思いましたけどね(汗)」

――そうなるとこっちに加えるのはこの人。
「もうそれを言われたら自然な流れで、そっちが石川さん出すなら、こっちは諏訪間さん出すよってことになりますよね。私が今Evolutionさんにも度々呼んで頂いてるんですけど、毎回会場の端で諏訪魔社長が試合を見てくださっているんです。諏訪間社長に見られていると思うと、いつもちょっとドキドキしてしまって、やっぱり諏訪魔社長って、スゴく大きいし…。腕も、スゴく太いし…。男の象徴って感じがしますよね。そんな諏訪社長と同じチームで力を合わせて戦えることの幸せを、“個人的な”感情で噛み締めております。」

――しかしまさかのチーム333キロをやりたいとは。
「このメンツ見たら私 1人だけOL混ざってる感じになっちゃってますよね(笑)。案の定ファンの方からも「なんでわざわざ自殺カード組むの!?」ってめっちゃ言われました。私としても何ちゅうカード希望しとんねん!と思ったたけど、ただ客観的にね、画として見たら結構絵面の強い面白そうなチーム編成かなと思いますし、なかなか私もこのカードで試合する機会は多分今後もないので。メインだけで相当なギャラかかってますから(汗) 」

――ちゃんと全部見どころがあってイイですね。当日はサプライズ的なものありますか。

夏)あ、やばい。何も考えてなかった(笑)。でもあれだ!サプライズではないですけど、この日から私、新コスチュームになります。プロレス休業から復帰したこの3年間は、毎度コスチュームを変える度に『なんてコスチュームを着てるんだ!』と内外からご反響いただいているんですが、今回の新コスチュームは、夏すみれ史上、歴代で最も着るのに勇気が必要なコスチュームを現在制作中です。

――怖いもの見たさのサプライズ!
「もういよいよ、試合の写真見たら親泣くと思いますよ(笑)。そんなコスチュームを今回作ってます。最近「夏さんってヒールかベビー、どっちなんですか?」って聞かれることが度々あって。昔ならスッと答えられたんですけど、確かに今の私って、別にヒールでもなければベビーでもない。どっちつかずの存在なんですよね。でも別にあんまそこら辺についてこだわってるわけでもなく、ただやりたいようにやってるだけ。だからそういう事を聞かれた時には「ベビーでも、ヒールでもなく、一人のオンナとして見てほしい」と答えてます。」

――ドキッとしますね(笑)
「今まで割と黒が基調であったり、ちょっと色気のあるものだったり、毒々しいもの、例えば蛇が巻かれてたりとか。そういう攻めたイメージの衣装が多かったので、ヒール的に見られる事が多かったんだと思うんですけど、今回はちょっと今までと趣向を変えてみようと思いまして。今回はイメージを一新して「ヒーロー」をテーマに制作中です。ヒールからは正反対のものじゃないですか、ヒーローって。ちょっと楽しみにしてもらえたらな、と思ってます。」

――そのままコミコンに行けるぐらいの。
「いや~、どうだろ。通報されると思いますよ(笑)」

――孤高の女ヒーロー、楽しみにしております!


『夏すみれ自主興行 “さよならの代わりに”』
日程:2025年10月31日(金)
開始:19:00
会場:TOKYO SQUARE in Itabashi

▼第1試合 シングルマッチ
青木いつ希(ショーンキャプチャー)
vs
YuuRI(ガンバレ☆プロレス)

▼第2試合 3wayマッチ
小林香萌(フリー)
vs
狐伯(WAVE)
vs
エチカ・ミヤビ(P.P.P. TOKYO)

▼第3試合 ハロウィンコスプレバトルロイヤル
出場選手一覧 (順不同)
炎華(WAVE)
神楽姫ミサ(フリー)
梅咲遥(ディアナ)
ラム会長(666)
尾﨑妹加(フリー)
雪妃真矢(フリー)
紫雷美央(フリー)
櫻井裕子(COLOR'S)
風南ユキ(SEAdLINNNG)

▼セミファイナル スペシャルタッグマッチ
葉月(スターダム)/笹村あやめ(2AW)
vs
VENY(フリー)/望天セレネ(SEAdLINNNG)

▼メインイベント 優宇 壮行試合“さよならの代わりに”6人タッグマッチ
夏すみれ(フリー)/山下りな(フリー)/諏訪魔(全日本)
vs
優宇(センダイガールズ)/橋本千紘(センダイガールズ)/石川修司(フリー)

【チケット料金】
最前列 完売
指定席 ¥5,500
スタンディング ¥4,000(自由席)

【チケット】チケットペイ
https://x.gd/MzwZx

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