プリンセスタッグ王者・上福ゆきが“元タグパ”に「ゆうなちゃんが知っている時代の私はどこにもいない!」と王座死守を涙で誓う

東京女子プロレスが10月2日、都内で『Additional Attack '25』(10月18日、後楽園ホール)でのタイトルマッチ調印式を行った。プリンセスタッグ選手権試合(王者組:Ober Eats=上福ゆき&上原わかなvs挑戦者組=まなせゆうな&凍雅)の記者会見では、上福が“元タグパ”のまなせへ、凍雅が同期の上原への思いが込み合上げ、涙涙の異例の事態となった。
両チームが調印書にサインを済ませると、会見冒頭、凍雅がまなせとの新タッグチーム名を「Hot Shot(ホットショット)」と発表。その意味は「スポーツとか何かしらにおいて、すぐれている人とか注目を浴びる選手という意味があって。あとは“熱い弾丸”という意味の米国のスラングで、私たち熱い2人にとってはピッタリな言葉だと思いました」(凍雅)と説明。
パートナーのまなせは「私は“マナトウガ”がいいんじゃないかなと思っていたんですけど、それを提案する前に凍雅がこれを出してきてくれて。Hot Shotって、まず“hot”が2つ入っているんですよ。私はこれを見て朝ビックリして。凍雅、天才だなと思って。絶対にこれがいいよって言って、その翌日に“まなせさん、ロゴつくりました”って連絡くれて。もう2日とも朝ビックリですよ。凍雅がこうやって前のめりに、このタッグについて考えてくれたのが本当にうれしかったです。(7・21)大田区で初めてちゃんと試合をして、(8・23)後楽園でシングルマッチをして。時間は短かったんですけど、凍雅がこうやって前のめりに私とのタッグを考えつつ、ベルトも狙いたいと言ってきてくれたことが本当にうれしい!」と笑み。
凍雅は「まなせさんと大田区で当たった試合とかのとき、あまり自分らしさというか、自分が目立ちたいと思うことがなくて。でも、まなせさんと当たったときになんでも受け止めてくれるだろうと勇気を出してガツガツいったときに、そんなに試合で当たれなかったんですけど。そこで何かしらのシングルにつながるきっかけを作れたのも、まなせさんの熱が伝わってきたのかなって思います。私も名前からして、試合中に熱さとかも絶対に出すようなタイプじゃなかったんですけど、まなせさんと組んで熱くなって。ベルトに挑戦するって提案したんですけど…」と話した。続けて「そこからタッグベルトに挑戦する気持ちが上がってきて。私は純粋に対戦相手が決まったときに、わかなさんが獲ったというのが心の中で動くものがあって。私たちが同期で練習自体始めたのも一緒の日だったんですけど。そこから少しずつ先輩からの自力初勝利も、(上原が)一番だったし、ベルトも一番最初に獲っちゃって…」と言うと、上原への思いで涙を見せた。そして「なんかすごい離れていっちゃう気がして。誇らしくも悔しい気持ちがすごくあって。悔しいと思っているだけじゃ何も変えられないから、わかなさんたちがベルトを獲ってよかったなと思ったのと。だからこそ、わかなさんが熱く試合をしてて、こうやってベルトを獲って、一番熱い時期だと思うので、私はその熱もすべて飲み込んで、2人でベルトを獲るつもりでいます。“Hot Shot”というタッグ名にちなんで、会場とかも熱気にあふれる試合にしたいと思ってます」と意気込んだ。

今回が初防衛戦になる上原は「凍雅がこんなに感情を出して、自分の気持ちを伝えているのを初めて見たのですごい驚きの気持ち。2023年組のなかでも、練習を始めた日が同じで、今は私がベルトを持っているんですけど、凍雅はずっと23年組のなかでも“私が一番強い”というのをアピールしてきた立場だったと思うので。でも私たちが今ベルトを持っているので、その強いというのが私たちだというのを今回のタイトルマッチで証明したいなと思います。絶対に打ち負かします。あと、凍雅はさっき飲み込むって言っていたと思うんですけど、私大食いなので、大食いだけは誰にも負けないので、私のほうが凍雅、まなせさんを丸呑みして食い尽くしたいと思います」と語った。
上福にとって、まなせはデビュー戦でのパートナーだったが、「まなせさんは私がデビューしたときに横にいてくれた最初のパートナーだし、最初の試合の本当に最初に人。初めてのシングルの相手もゆうなちゃん。初めてのタイトルマッチを挑んだのも横にゆうなちゃんがいて、常に…。なんか泣いちゃいそう…。こういうの無理なんだけど。キャラがめっちゃ崩壊しようとしてる。本当にごめんなさい! いっぱい歴史があったんですよ!」とこちらも涙を流した。さらに「でも、(まなせが)いなくなった後も、私はいっぱい挑戦し続けて、今は一人でも知らない国に行って、カエルなんだかワニだか分からない足を食べられるぐらい頑張ってやってきて。当時は引き連れてもらう側だった私もたくましくなって、仲間を連れてしっかりベルトを獲れるようになりました。だからゆうなちゃんが知っている時代の私はどこにもいない。逆に言わせてもらうと、私からしたら、ゆうなちゃんはずっと艶やかでグラマラスでゴージャスな先輩だったのに、この前、ガンプロの後楽園大会を見に行ったら、ほぼ女装した大家健みたいになってて。旗とか振り回しちゃって、よく分かんないガタイのいいオジサンたちと試合をしてて、私が知っているゆうなちゃんじゃない。お互いに当時の私たちじゃない。でも、この環境でやっていこうと、しっかり戦っているゆうなちゃんのことも超えていこうと思っているし…。凍雅に関しては“Hot Shot”とか言ってるけどショットとか飲んだことあるの? 本当のショットを飲んだら熱くなるほど、たかだかZ世代の最近飲酒ができるようになったガキが知ってんのかな?というのもあるし。すごい泣いちゃったから何言おうとしたか忘れちゃったよ。私もわかなを連れて東京女子を盛り上げたいし。これでいいですか。調子狂ったな、もう! 頑張ります」と話した。

その言葉を聞いたまなせは「ゆきは始まりが一緒で、デビューの前に謎のヨガとかも一緒にやって。見たことあります? YouTubeに上がっていると思いますけど…。ゆきはたぶん私のことをよく分かってなくて、ヨガの(インストラクターの)お姉さんだと思ってて。今、私がガンバレ☆プロレスにいるんですけど、連絡はちょいちょい取ってて。ある日、“ゆうなちゃんが私にしてくれたみたいなことはできないけど、私も上原に全部教えたいんだわ”って言ってきたんですよ。ベルト獲る前ね。私のなかでゆきはかわいい妹みたいな感じで、めっちゃ妹体質だと思っていたから、そのゆきがこんなお姉ちゃんなことを言うようになったんだなと思ったら、やっぱ上原わかなという存在は上福ゆきにとって大きかったんだなと思う。私も上福ゆきに恥じないようにお姉ちゃんとして、東京女子にいたときもガンプロに行ってからも、そこは常に意識してきたんですけど。やっぱりゆきが海外で活躍して、あんなに試合する度にキレて泣きまくっていたゆきが、一人で飛行機乗って(海外の大会に)行ってんだなと思ったら…。デビューして9年? 9年過ごしてきたなかで、本当にいろんなことがあったんだと思うし。でも藤沢の力で超えてきたのも見ているから、たぶんそれを超えないと、2人はゆきを倒せないと思うから。そのゆきを私も倒さないといけないと思うから。これはタイトルマッチだし、獲りたかったベルトなので。凍雅と一緒に獲って、凍雅も言いましたけど、東京女子を私と凍雅の“Hot Shot”で飲み込んでいきたいと思います」とベルト獲りを誓った。
「相手のチームより上回っている点は?」と問われると、凍雅は「私に自信をくれたという点では、いろんな方と組む機会はあったんですけど、その方たちももちろん勇気や自信、学びをくれたところはあるんですけど。それ以上のというか、ガンプロで試合をしていたり、ほかの団体に出て試合をしているのも知っているので、いろんなところで吸収したものを、すべて私に教えてくれてるっていう点では、とっても私のことを輝かせてくれるんだろうなって。わかなさんも上福さんと一緒に組んで輝いてる点が多いのは知っているんですけど、それを超えるんじゃないかなと思っています」と答えた。
上原は「ベルトへの気持ちですね。このベルトを獲るにあたって、前哨戦で歯を3本失い、正直、親に歯の矯正を小さい頃からやってもらって、ホワイトニングもして大事にしていた歯を失ったときはマジでへこんで。もうリングに立てないんじゃないかと落ち込んだときもあったんですけど、上福さんがずっと支えてくれて。上福さんの支えがなかったら、リングに立ててなかったかもしれないし、このベルトを獲れてなかったと思うんですよ。その犠牲があって獲ったベルトなので、このベルトは絶対に渡さないという気持ちがめちゃめちゃ強いです」とキッパリ。
上福は「私は中学校2年生のときに、先輩にいろいろあって前歯が一本なくなりました。そのときに私の母親は“なんで折り返してこなかったんだ。一本折られたら二本折り返してこい”みたいなことを言ってました。なので上原は歯がなくなってショックと言っていたけど、“しょうがないやん。だってないんだもん。だからその分、頑張るしかない。だから泣いちゃダメ”とさらに泣かせました。なので、ここの絆はとても深いし、“じゃあ私頑張るんで、上福さんも歯折ってくださいよ”って言われたら余裕で折れます。そんぐらい絆は深いから、“Hot Shot”に負ける気はしない。凍雅に関してはすごく自慢げに誇らしげにまなせさん連れているけど、ぶっちゃけ、ゆうなちゃん、私からしてみたら元タグパ(タッグパートナー)だから。なんか言い方悪いけど、私のおさがりみたいな感じのイメージで。ごめんね、ゆうなちゃんとか呼んで。まなせさんっていう距離感でまだしゃべっているよね? 逆にゆうなちゃんについて気になることがあったら全然言っていいから。まだ私のほうが分かるから。元タグパとどんな感じになるのかなと。頑張ってね、凍雅」と余裕を見せた。
その発言について、凍雅は「おさがりだとは1ミリと思ってないし、むしろ進化したまなせさんが今の私を選んでくれたということは、そのときの上福さんよりすぐれていたということだと思っているので。元カノみたいに未練たらたらなのかもしれないですけど、今カノのほうが強いので。それぐらいの気持ちでいます」と言い返した。
上原は「今は私が上福さんのタッグパートナーなので。ずっと引っ張ってもらってばかりなんですけど、今後は背中を追いかけるんじゃなくて、タッグパートナーとして肩を並べて進んでいけるようにやっていくので。今回この試合で、私がまなせさんよりいいタッグパートナーだと証明したいです」とコメント。
新チャンピオンになってみて、“ベルトの重み”に関して、上原は「私はベルトを今まで持ったことがなかったので、実際持ってみて、東京女子の代表じゃないけど、東京女子を引っ張っていかなきゃいけないという責任感を今強く感じていて。特にタッグのベルトは上福さんが以前おっしゃっていたんですけど、時代を象徴する人たちが巻いていると思うので、ここからSNSでもいろんなメディアでも発信していきたいなと思ってます」と述べた。上福は「ベルトを持ってまず欠場できない。不祥事を絶対に起こせない。東京女子はプロレス団体ですけど、私からしてみたら生活の一部になってますので。ふだんから気を付けてますけど、そんな変なことはもちろんしてないんですけど。より一層、人の前に立つべき行為をふだんからして。最近はピカピカ(点滅してる)青信号も渡りません。もしワンチャン、私が赤信号を渡ったら、それを写真に撮られてSNSにあげられて、それが私だってなったら、東京女子が責任を負わなきゃいけないので。信号無視とかウインカーを出すとか、目視とかそういうのを気を付けてます。その重みを感じますと上福節で締めくくった。