『KING OF DDT』覇者・樋口和貞、6・29後楽園でクリス・ブルックスの持つKO-D無差別級王座に挑戦!「欠場中にもう1度ベルトを巻けたらとずっと思ってました」

DDTプロレスが5月26日、都内で『KING OF DDT 2025 FINAL!!』(同25日、後楽園ホール)の一夜明け記者会見を行い、同トーナメントで3年ぶり2度目の制覇を果たした樋口和貞が6月29日の後楽園大会でクリス・ブルックスの持つKO-D無差別級王座に挑むことが決まった。
準決勝での上野勇希、決勝でのKANONとの激闘を制した樋口は「欠場して、9ヵ月休んで。このままレスラーとして、リング上では生きていけないのかと思いました。こうやって、復活することができて、(昨日)後楽園で戦えて感無量という気持ちでした。1回戦はまさかの青木(真也)さん、2回戦は正田壮史、準決勝は上野勇希、決勝はKANONと、本当に体感しました。DDTの底力、すごさというか。休んでる間に見てたものとは全然違うなと。ホントにすごいレスラーたちだと体感しました。それを何とか押し切って優勝できてよかったと思います」と振り返った。
ここで、今林久弥GMから、6・29後楽園で樋口がクリスの持つベルトに挑戦することがアナウンスされ、王者のクリスも登壇。王座戦決定を受け、樋口は「昨日、決勝戦が終わって、バックステージでも言ったんですけど、トーナメント優勝して、DDTで頂点を獲ったと言えるんですけど、さらにもう一つ上、それがKO-D無差別のベルトだと思ってます。クリスの防衛戦とか見てて、いろんなことが起こりましたが、DDTの誇り高いチャンピオンと思ってます。そんな誇り高いチャンピオンから、自分はベルトを獲りたいと、挑戦することを決めました。そのベルトを懸けて勝負させてもらいたいと思いました」とコメントした。
王者のクリスはふだんは流暢な日本語を話すが、この日は、自分が日本語で話すことや通訳を介することで細かいニュアンスが伝わらなかったり、変わってしまうのがイヤなので、事前に書いたコメントを和訳したものを読み上げてほしいとの要望で、その思いを今林GMが代読した。
そのクリスのコメントは以下。
「私がこのようにコメントすることを、あなたをバカにしていると取らないでください。言葉の壁でつまずき、自分の気持ちの半分しか伝わらないことはよくあるが、ここでは正しく伝えたい。
チャンピオンになるのは簡単なことじゃない。責任も重い。強くなろうと努力していると、みんなが強くなれと応援の声をかけてくれる。しかし、あなたが強さの象徴であるとき、それは強さへの期待に変わる。だからいくつかの人々は私を応援し、いくつかの人々は私が負けることを願っているはずだ。
最近、自分のモチベーションに疑問を感じることが多い。自分の欲望、希望、そして喜びをもたらすものは何なのかを本当に考えた。それに対する答えを持っているわけではないが、今あるのは、このベルトを見たときに、自分の存在に価値があると、ほんの一瞬でも感じることができるということ。
そんな私の不安をよそに、樋口もこのところ、私の想像を超える試練に直面していることだろう。簡単なことではないが、それを戦い抜いたからこそ、私の前に立っているのだ。
樋口と出会うまで、私にとってチャンピオンであることは常に不可能だった。あの日、ようやく自分を信じることができた。それまでは愚かな夢だった。
そういう意味で、今、あの瞬間のおかげで、私たちはつながっている、絡み合っている。
私たちはビールを飲みながら、一緒に夢や希望を分かち合うような、親友のような関係ではない。しかし確実に私の人生の方向性に大きな影響を与えた。特別な関係性だと思っている。
そのために、不安やためらいがあっても、私は6月29日、ただ心からあなたと戦うことができる。私は全身全霊であなたとともに戦い、最後には最も強い者がその手を挙げるだろう」
「あの日」「あの瞬間」とは、『KING OF DDT 2023』決勝戦(2023年5月21日、後楽園)のこと。この一戦でクリスが樋口に勝って初優勝を果たし、同7月23日、両国国技館で、KO-D無差別級王者の火野裕士に挑み、王座初戴冠を果たしている。
質疑応答に移り、欠場していた樋口から見たクリスのチャンピオン像を問われると、樋口は「DDTのテッペンとして、すごいチャンピオンだなと。単純にそう思ってました」と回答。
樋口は2023年1月29日、後楽園で火野に敗れて同王座から陥落して以来、2年5ヵ月ぶりの挑戦となるが、「欠場中にそういうことも考えるわけです。そもそもリングに立てるのかと…。そのなかで、自分がベルトを巻いていた時期があって。本当に夢ですね。もう1度、無差別のベルトを巻けるなら、巻きたいとずっと思ってました」とベルトへの思い入れを吐露した。
クリスは「さっきのコメントがすべて」として、質問に答えることはなかった。
タイトル戦が決まった両者は、早速、6月1日の名古屋・中日ホール&カンファレンス大会で前哨戦(クリス&鈴木みのるvs樋口&納谷幸男)を戦うことが決定した。