「負けたら引退とかダサいからやめてくれ」と敗者入団マッチで王座戦を実施も偉い人に怒られてスターダムへ謝罪

20日、東京都・後楽園ホールにてDDTプロレスリング『Judgement2025~旗揚げ28周年記念大会5時間スペシャル~』が開催。
第6試合では、男色ディーノvsスーパー・ササダンゴ・マシンの『DDT EXTREME選手権試合~敗者入団マッチ』が実施。
ディーノとササダンゴは20年以上の付き合いであり、『“あるある”で成り立っているプロレスの世界で僕たちは“ないない”をやりたい』という反骨心を掲げて黎明期DDTをともに創り上げてきた同志。DDTの独自性を長年体現してきた2人の闘いの歴史はDDTの歴史そのものと言える。
前回の後楽園ホール大会では、ササダンゴがディーノが保持するEXTREME級王座へ「プロレスキャリアで最後の挑戦」と覚悟を示して挑戦表明。プロレス界が“敗者退団マッチ”で盛り上がりを見せる中、ディーノは“敗者入団マッチ”を突きつけた。
ササダンゴは、マッスル坂井として引退してから色々あってスーパー・ササダンゴ・マシンとしてリングに上がることが多いが、色々あったためDDT所属ではない。ササダンゴが負ければ長年契約がふんわりしていたササダンゴの入団が決定し、元々所属しているディーノが負ければ愛犬・ハクちゃん(3歳)が入団することが決定された。
入場したササダンゴは『EXTREME級選手権試合における労働契約・強制労働に関するリスクについての考察』と題した煽りパワーポイントを開始。
プロレスには人生の進退をかけた試合というものが存在するが、大抵は引退など“退”をかけた試合であり、今回は入団という“進”をかけた試合ということで戸惑いを表明。これをディーノから情けをかけられたようでナメられていると感じたササダンゴは憤慨し、負けたら引退をすることを宣言。
そこへ特別立会人のマッスル総合演出家・鶴見亜門が『NO CHANCE IN HELL』に乗って入場。
亜門は「ササダンゴ!いや、坂井!負けたら引退とかそういうのダサいからやめてくれ。令和の時代になに言ってんだ恥ずかしい。そもそもお前2010年に1回引退してしれっと復帰してんじゃねーかよ」と正論パンチ。
しかし「でもそのくらいお前にとってこの一戦が人生をかけた大一番だっていうのは分かるよ。プロレスのビッグマッチの大一番に於いて試合終盤でリング上のレスラーの一挙手一投足がスローモーションのように見える瞬間ってありますよね?まるで心の声が聞こえてくるような瞬間ってありますよね?私はその瞬間に立ち会うためにプロレスを見ていると言っても過言でありません。逆に言うと、その前のグダグダした展開は見たくありません!要はスローモーションしか見たくない!なんだったらスローモーションから始めて欲しい!」と、DDTのDDTっぽい部分のアソートパックのような試合を提案。

万感の思いを込めたディーノが入場し、好みの男性客に濃密なキス。その観客の心の声がまるで会場全員に聞こえるかのような光景に会場が1つになる。
試合が始まると皆の心の中に熱い思いが込み上げていき、闘う2人だけではなく松井幸則レフェリー、WRESTLE UNIVERSEのカメラマン、解説席に座る【完熟フレッシュ】池田レイラさんの心境が会場全体に伝わるかのような一体感が生まれていく。
ディーノとササダンゴがそれぞれどこか懐かしいムーブを見せていくと、感激のあまり号泣した亜門が「俺は今モーレツに感動している!ササダンゴの奇妙な動きはマッスル戦士・ペドロ高石の得意とするカポエラ殺法!そしてディーノの動きは趙雲子龍の中国拳法!奴らは自分の人生をかけて闘ってるだけじゃない!志半ばで倒れていったマッスル戦士たち全員を背負って闘ってるんだ。もうとっくに体力の限界は過ぎてる。このままじゃ本当にどちらかが帰ってこれなくなる!なのにどうしてこんなに目が離せないんだ!もう勝ち負けなんて関係ない!眼の前で起こっていることが全てだ!お互いを倒すためでなく、お互いを認めるための闘い!そうか、これが……これが、プロレスなんだよなぁ~!」と叫んでいるかのような表情で試合を見つめる。
ディーノは「アンタが同期で良かった。望み通り死に場所は私が作ってやるよ」と語りかけるかのような優しい目でササダンゴを見下ろし、ビッグマッチ限定の大一番でしか見せない男色ムーンサルト3連発で試合を終わらせようとする。
しかし、ササダンゴはあまりにも早すぎて等速で動いているかのような動きで雪崩式ブレーンバスターを見舞って切り返し、そのまま3カウントを奪った。

勝利に喜ぶササダンゴであったが、ブチ切れた亜門が「何やってんだよ?!スローモーションで出来ない動きをするんじゃないよ!世界観壊れんだろーよ!センスね~なぁ!」とガチダメ出し。
ササダンゴは「この試合を楽しみにしてくれた会場にお集まりの皆さん、そしてスターダムの皆さん、そしてスターダムファンの皆さん、岡田社長、上谷選手、中野たむ選手……すみませんでした!」と平謝り。
その後はDDT入団が決まったハクちゃんがリングに上ってくるも、胸がいっぱいなのか無言で空を見上げた。

バックステージに戻ったディーノは、自身の敗北によって強制的に入団させられてしまったハクちゃんへ泣きながら謝罪。ハクちゃんはあくびをしながら聞き流す大物ぶりを発揮し、トリプルHにあこがれていると思しき髙木三四郎とともに入団会見のように握手を交わした。
一方、恐縮した様子のササダンゴは普通のプロレスラーが普通に王座を戴冠したあとのような普通のコメントを残しつつ、6月9日に“東京のこのへん”でなにか興行を打つことを宣言した。