引退を控えた里村明衣子を破り橋本千紘がセンダイガールズワールドシングルチャンピオンシップ奪取!5年以内の日本武道館進出を宣言!

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 19日、東京都・代々木競技場第二体育館にてセンダイガールズプロレスリング『THE TOP of JOSHI WRESTLING』が開催。橋本千紘が里村明衣子からセンダイガールズワールドシングルチャンピオンシップを奪取した。

 里村は長与千種の弟子として1995年4月のGAEA JAPAN旗揚げとともにデビュー。
 GAEA解散後はセンダイガールズプロレスリング(仙女)を旗揚げし、 “女子プロレス界の横綱”の名をほしいままにする重鎮に。
 2019年からはWWE(NXT)の臨時コーチを務め、後にWWEとコーチ兼選手契約。NXT UK女子王座を戴冠するなどの活躍で、“日本の女子プロレス”を世界に向けて発信してきた偉大な選手として世界に評価され続けている。
 そんな里村だが、30周年となる今年4月29日の後楽園ホール大会での現役引退を表明。現在は引退ロードとして心残りが無いよう様々な選手たちと精力的に試合を行っている。

 橋本は、レスリングの名門・安部学院高校で全日本選手権3位の実績を残し、同じく名門・日本大学レスリング部へ。同階級にリオ五輪金メダリストの土性沙羅がいたためオリンピック出場こそ果たせなかったが、その実力は世界に通用するレベル。
 大学卒業後に仙女へ入門し2015年10月にデビュー。デビュー1年で里村からセンダイガールズワールドシングルチャンピオンシップを奪取する活躍を見せ、タッグ戦線でも優宇との【チーム200kg】を結成して大暴れ。女子プロレス界の中で“強さ”を比べた場合に橋本の右に出るものはそう多くない。
 コロナ禍や里村の海外行きなどの苦境の中でエースとして団体を牽引してきたのが橋本であり、里村を介錯するのは橋本の仕事と言っても過言でない状況だ。

 そんな中、今大会では橋本が里村の持つセンダイガールズワールドシングルチャンピオンシップに挑戦。橋本は同王座へ6年ぶりの挑戦であり、里村とのシングルは2018年11月以来。
 里村とのワールド戦は3連勝をあげているが、引退表明してからの里村は無敗であり過去一番コンディションを仕上げていると豪語している。この試合は大会名通りの“女子プロレスの頂点”を競い合う試合と言えた。


 ゴングが鳴ると、2人はレスリングの聖地でじっくりとした緊迫感あるグラウンドレスリングを展開。手4つでの力比べやショルダータックルでの純粋なパワー勝負では橋本が勝るが、里村は鋭いローキック連打で姿勢を崩してから側頭部へスピンキックを叩き込むえげつない攻撃で対抗。
 橋本はラリアットや水車落としで押していき、ヒザへのサマーソルト・ドロップで里村の足を潰す。機動力を削がれた里村だったが、引き込んでSTFに捕らえたり足を止めて張り手を連打したりと柔軟に対応。
 劣勢に追い込まれた橋本だったが、がむしゃらなベイダーハンマー連打からパワーボム。コーナーへと上がっていくが、里村がオーバーヘッド・キックで撃ち落としてデスバレーボム2連撃。さらに里村がスコーピオ・ライジングを狙うが、橋本がガード。1年間封印してきたオブライト(※ジャーマン・スープレックス・ホールド)を狙って勝負を決めにかかる。

 これを全力で振り払った里村が顔面にニールキックを叩き込んでコーナーに上るが、橋本が雪崩式のバズ・ソイヤー(※パワースラム)。トップロープからのサマーソルト・ドロップからオブライトを狙うが、里村が全力で抵抗しスリーパーホールド。里村が今日3発目のデスバレーボムからロープに飛ぶが、橋本がバズ・ソイヤーで迎撃。さらにジャンピング・ラリアットから全体重を浴びせるパワーボムで叩きつけて3カウント。オブライトを使わずに勝利を掴んだ。

 試合後には、仙女の創始者である新崎人生から認定証&ベルトの授与。人生は認定証を読み上げるさなか、涙声で「橋本、これからはお前がセンダイガールズ、そして日本の女子プロレス界を……いや、違うな。世界の女子プロレス界を橋本千紘が引っ張っていけ!」とメッセージ。


 マイクを取った橋本は「プロレスに出会ってなかったらレスリングはやってなかったし、里村さんに出会わなかったら私は仙女にいません。いつも本当に厳しくしてくれてありがとうございます」と里村へ深々と一礼。
 橋本はこの試合に向けてのプレッシャーを語り「今日は最後のシングルマッチだったと思います。……今日絶対泣かないって決めてたんですけど、里村さん!本当にありがとうございます!」と泣きじゃくりながら里村とガッチリ握手。

 今大会は3,520人という素晴らしい集客を実現したが、8月24日には5,000人規模の大会場であるゼビオアリーナ仙台大会を控えている。橋本はこれを踏まえたうえで「5年以内にセンダイガールズ、日本武道館に進出しましょう!」と宣言。日本武道館大会は里村の永年の悲願であり、橋本はその夢を引き継いでいく覚悟を語って大会を締めた。


 バックステージに戻った橋本は「オブライトを出せなかったことは一生悔いに残ってしまうと思う。次にシングルやるとしたら引退試合しか無いと思いますけど……実際、ちょっと夢がないですけど、もう里村さんとは闘いたくないです。これで私は終わりでいいです」と里村戦の余韻を噛み締めつつ「私がセンダイガールズ、女子プロレス、世界のプロレス、引っ張っていきます!」と気炎。
 日本武道館大会については「里村さんがずっと前から『仙女で日本武道館やるぞ!』って言っていたんですが、里村さんは日本武道館でやる前に引退されるので。その夢は私達が叶えなければならないという使命感があります」と語った。

 一方、里村は「今日は今までで一番いい状態の里村明衣子としてリングに上って、追い込まれて追い込まれて最後3獲られたんで、完璧に負けました」と語りつつ、「こんな1回の負けじゃ認めないですよ。私のモチベーションが落ちたわけでもないですし、まだ1ヶ月ありますから」と橋本へのリベンジも諦めない里村らしさを見せる。
 橋本の日本武道館進出宣言については「嬉しかったです。引退までに間に合わなかったのを橋本千紘の口から言ってくれたっていうのが今日は頼もしかったです。決意っていうのは日々心に刻まないとすぐ忘れますよ。逃げたいときはすぐ忘れるし、目標なんかも別の方向行っちゃいますし。彼女たちが今日決意したことは絶対忘れないで欲しい」と笑顔を見せつつ愛ある厳しいメッセージを贈った。

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