史上最上級の試合後に首の負傷で緊急搬送。高梨将弘が「ありがとう、愛してます」の言葉とともに拳を上げる

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 20日、東京都・後楽園ホールにてDDTプロレスリング『Judgement2025~旗揚げ28周年記念大会5時間スペシャル~』が開催。クリス・ブルックスと高梨将弘がKO-D無差別級王座をかけて対戦した。

 クリスは少年時代からDDTにあこがれて育ち、故郷イギリスを中心に欧州戦線で活躍の後に2019年にDDT参戦のために初来日。ファンにも受け入れられたクリスは日本へ移住し、コロナ禍でも日本に留まり続けてDDTのために尽力。2度のKO-D無差別級王座戴冠を果たすなど、参戦から5年経った今はDDTのアイコンの1人になっている。

 そんなクリスは初来日時から高梨将弘と意気投合。タッグチーム【CDK(Calamari Drunken Kings)】としてリング上で闘いをともにするだけでなく、プライベートでも頻繁に飲みに行く友達同士に。28周年記念大会という大事な大会での防衛戦の相手について問われたクリスは真っ先に高梨の名前を挙げた。
 これを受けた高梨は「俺に挑戦するチャンスをくれるのはお前の優しさなのか?」と問うが、クリスは「28周年記念、大事な日。大事な挑戦者、やっぱり高梨さんがいい。でも、優しい高梨さんじゃなく、強い高梨さんと闘いたい」と真っ直ぐに語りかけた。

 高梨は、DDTが28周年を迎える中で22年を所属選手として過ごしてきた最古参の1人。高梨が同王座に挑むのは2018年11月以来、約6年4ヶ月ぶり。王座戴冠を果たせば約13年ぶりとなる。
 プロレス界屈指のテクニシャンでありエンターテイナーでありながら、自分が目立つことよりも下の人間を光らせることに尽力。いつも自分が一歩引いて誰かの背中を押す姿を見てきた選手・ファンは高梨を強く慕っており、“人望”という点に於いてはどんなチャンピオンでも高梨には勝てないかもしれないという存在だ。

 この試合は王座を巡るテーマやイデオロギーが絡むものではなく、最高の場所で最高の時間をともに過ごすためのものだと2人は語っていた。6m40の箱庭の中で2人が創る世界を見るために、この日は満員の観衆が駆けつけた。


 試合はクラシカルかつテクニカルなチェーンレスリングに始まるが、高梨がいきなり奥の手のペダル式バッカスを見せるなどスリリングな立ち上がり。
 場外戦に持ち込んだクリスはエプロン上でのパイルドライバーからエプロンの角へのパワーボム、観客席への投げっぱなしブレーンバスター。さらに古傷のヒザをイスでぶっ叩くなど情け容赦なし。
 高梨もリング下にセットしたテーブルへ奈落式タカタニックを狙うが、クリスが切り返して人でなしドライバーでテーブルクラッシュ。これで高梨は額から大流血するも、そこへ駆けつけたのは酒呑童子の盟友・KUDO。KUDOは高梨の顔にビンタを見舞って「行け!」と鼓舞。
 半死半生であった高梨はこれで息を吹き返し、正面からの打ち合いを選択したうえで顔面へのぐるぐるパンチ。さらに「ことり」卍からの逆打ち。さらにDJニラの技であるロケットパンチからタカタニックが決まった瞬間にはこの日1番の大歓声。

 ならばと高梨は「KUDO!KUDO!」と叫んでアイコンタクトを交わし、KUDOの技であるダイビング・ダブルニードロップを発射。これを剣山で迎撃したクリスが顔面をぶち抜く串刺しドロップキック。コーナー上の攻防で高梨が雪崩式タカタニックを狙うが、クリスが雪崩式プレイングマンティス・ボム。高梨は後頭部から落ちて頭がバウンド。クリスが間髪入れず正調プレイングマンティス・ボムで垂直に突き刺して3カウントを奪った。

 試合終了を告げるゴングが鳴るも高梨は自力で起き上がることが出来ず、リングドクターやセコンド陣が大慌てですっ飛んでくる。
 のっぴきならない空気で会場のどよめきが収まらぬ中、クリスは「防衛した……その感じの防衛で、やりたくなかったですけど……ありがとうございました」と語り始める。すると身動きが取れないながらも高梨がマイクを要求し、仰向けのまま「クリス&DDTメンバー、DDTファン、ありがとう、愛してます」と言葉を絞り出す。
 そんな中で若手リーグ戦『D GENERATIONS CUP 2025』を制した高鹿佑也がクリスに挑戦表明を行うも、それどころではないクリスは「終わり?今あんまり、お前はどうでもいいよ。早く写真撮ってすぐ帰れ」と報道陣にベルトを挟んで向かい合う写真だけ撮らせて追い返す。

 クリスがなんとか大会を締めた後、約40分後に救急隊が到着。観衆が大・大・高梨コールを叫ぶと、高梨は担架の上でかろうじて動く腕を突き上げて声援に応えた。

 高梨が都内の病院へ緊急搬送された後、高梨の容態について聞かれた彰人取締役は「お客さんに声を届けたように意識はハッキリしている状態」としつつ、詳細については後日公式HP等で発表することを明らかにした。

 試合自体は互いの歩んできた歴史が詰まった最高の試合であっただけに、高梨が無事に復帰して再びクリスと向かい合ったり隣に並び立ったりする日が訪れることを強く願いたい。

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