全日本10.22後楽園大会 42年目の旗揚げ記念日は秋山&大森vs.曙&吉江の世界タッグ戦、Jr.TAG BATTLE OF GLORY決勝戦
復活! 2014ジャイアント・シリーズ【最終戦】
〜全日本プロレス旗揚げ記念大会〜
日時:2014年10月22日(水)
開始:18:30
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1181人
▼第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負
●野村直矢
4分34秒 パーフェクトキャメルクラッチ
○三富政行(ユニオンプロレス)
▼第2試合 Jr.TAG BATTLE OF GLORY【優勝決定戦進出チーム決定戦】無制限1本勝負
○青木篤志/佐藤光留
7分08秒 トラップオーバー
石井慧介(DDT)/●高尾蒼馬(DDT)
※青木&光留が決勝戦進出
▼第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負 ※変更カード
○渕正信/力(リキエンタープライズ)
12分55秒 首固め
西村修/●井上雅央(フリー)
▼第4試合 Jr.スクランブルプレミアム6人タッグマッチ 30分1本勝負
○土方隆司(フリー)/中島洋平/高尾蒼馬(DDT)
13分56秒 スーパーフィッシャーマンバスター→体固め
鈴木鼓太郎/石井慧介(DDT)/●SUSHI
▼第5試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○KENSO
12分36秒 葉隠れ→片エビ固め
●真霜拳號(K-DOJO)
▼第6試合 旗揚げ記念試合 60分1本勝負 ※変更カード
○ジョー・ドーリング/諏訪魔/ゼウス(先駆舎)
14分45秒 レボリューションボム→エビ固め
●潮﨑豪/宮原健斗/入江茂弘(DDT)
▼第7試合 Jr.TAG BATTLE OF GLORY決勝戦 無制限1本勝負
[リーグ戦1位]●金丸義信/ウルティモ・ドラゴン
22分07秒 足取り腕ひしぎ逆十字固め
[リーグ戦2位]青木篤志/○佐藤光留
※青木&光留がJr.TAG BATTLE OF GLORY優勝
▼第8試合 世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
[王者組]秋山準/○大森隆男
19分40秒 スライディングアックスボンバー→片エビ固め
[挑戦者組]●曙/吉江豊(フリー)
※第67代王者組・秋山&大森が3度目の防衛に成功
全日本42周年の旗揚げ記念大会で秋山&大森が世界タッグ防衛に成功!
Jr.TAG BATTLE OF GLORYで優勝した青木と光留、次はジュニアNo.1を賭けて対戦
オープニング
奥田リングアナと8月からリングアナをしているクリステル・チアリリングアナがリング上にあがり、秋山社長と全日本プロレス“Hold my hand”プロジェクトとして全日本をスポンサードしているジェムケリーの中野社長を呼び込む。
中野社長は「亡くなりました私の父がジャイアント馬場さんの大ファンで、小さい頃から連れて来られて憧れの目で見ていました。微力なから全日本プロレスのハッテンに協力したい」と挨拶。そしてジェムケリーから全日本、バーニング、Xceedのドックタグが11月中旬から発売されることが発表された。
第1試合
これが復帰戦となる野村はテーマ曲なしで走って入場。ヘッドロックに捉えていった三富をロープに振った野村だが、三富はショルダータックルでなぎ倒す。三富はカウンターエルボーを返すとチンロック。さらにアゴにニードロップを落とした三富はカバーするが、野村はカウント3寸前でどうにかキックアウト。
三富の串刺し攻撃を蹴りで迎撃した野村は、コーナー二段目からミサイルキックを発射。ボディスラムで叩き付けていった野村はエルボーを連打してからロープに飛ぶが、三富はカウンターのラリアット。
さらに野村のエルボーに対し、強烈な逆水平チョップで対抗した三富は、さらに張り手から延髄斬り。ブレーンバスターでカウント2まで追い込んだ三富は、同じユニオンプロレスの仲間で、本来であればこの日からレンタル移籍するはずだった福田洋の必殺技パーフェクトプレックスを予告する首をかっ斬るポーズから投げ……ずに押し潰し、ニーオンザベリー式のキャメルクラッチに捉えてギブアップを奪った。
敗れた野村だが、四方に一礼すると全日本ファンから温かい拍手が飛んだ。
<試合後コメント>
三富政行
ーー全日本プロレスの後楽園初出場で見事勝利を収めました
「ありがとうございます。自分は全日本さんにはスポットで地方大会では何戦か出させていただいて。本当に何も結果を残せなくて、ただ単に試合のカードに名前があるだけ。でもそれじゃ意味がないと思っていて。こうして運よく全日本の後楽園に出れて、キャリアは野村君、まだ浅いかもしれないけど、今日自分は勝利する事できました。爪痕をちょっとは残すことができたと思うんで、これからもまた全日本さんのリングで価値のあるレスラーとして使ってもらえるように。そしてもっともっと結果を残していけるように。ユニオンプロレスの名前を知らしめたいと思います。」
ーーフィニッシュは変形のキャメル・クラッチになりますか?
「『パーフェクト・キャメルクラッチ』という名前でお願いします。今日は本当は同じ団体だった福田さんが全日本に(レンタル)移籍する事が決まっていたんですけど、不運な負傷によってかなわなかった分、自分の……ちょっとしか表現できなかったかもしれないですけど、福田さんへの思いからパーフェクト・プレックスへのポーズからパーフェクト・キャメルクラッチを決めさせていただきました。」
第2試合
今シリーズ行われた全5チーム参加の総当たりリーグ戦「Jr.TAG BATTLE OF GLORY」。金丸&ウルティモが1位通過を決めたが、Evolutionの青木&光留とチーム・ドリフの石井&高尾が同点で並んだため、決勝戦への進出決定戦を行うことになった。
公式戦では引き分けに終わっているだけに、これが決着戦。青木vs.高尾で試合開始。青木がショルダータックルでなぎ倒してもヘッドスプリングで起き上がった高尾は、リープフロッグからカウンターのドロップキック。
ロックアップからいきなりバックドロップで投げた青木は、ラリアットからフロッグスプラッシュを投下。その間に光留は石井を場外に連れ出す。短期決着を狙ったEvolutionは、青木がスパイラルポセイドン(=腕決め式ノーザンライトボム)。カウント2で石井がどうにかカットすると、青木をジャーマンで投げ捨てる。
光留が入ってきてエルボーを連打するが、石井はソバットからジャンピングニーアタック。サマーソルトドロップを落とした石井だが、そこを腕十字で捉えた光留。辛くもロープに逃れた石井だが、光留はミドルからハイキックを叩き込むとバックドロップ。
ダブルリストロック仕掛けた光留は、そのまま立ち上がるとニーリフトを叩き込む。だが、石井もニーリフトを返すとフランケンシュタイナーで投げてから延髄斬り。タッチを受けた高尾がミサイルキックを発射したが、かわした光留は青木にタッチ。串刺しジャンピングエルボーから剃刀ブレーンバスターで投げた青木は、高尾の顔面に低空ドロップキック。
バックの取り合いからバッククラッカーを決めた高尾。すると、その上に石井がフットススタンプを投下。ドリフはトラースキックと延髄斬りのサンドイッチ攻撃から高尾が顔面に低空ドロップキック。さらに合体式フィッシャーマンバスターから高尾がフロッグスプラッシュを投下。カウント2で返した青木はジントニックを狙う高尾に腕十字。
しかしエビ固めで逆に抑え込んだ高尾は、続けてシュバインで叩き付ける。カウント2で光留がカットすると、今度はジントニックを狙うが、叩き付ける前に光留がミドルキックでカット。すかさず青木は腕十字を狙うが、高尾はエビ固めで抑え込む。しかし青木は逆に高尾の腕を掴むと丸め込まれた体勢から高尾の腕を完全に伸ばしてみせる。これで高尾はタップアウト。
この結果、青木&光留のEvolutionが優勝決定戦に進出。金丸&ウルティモと激突する。しかし青木は頭を打った様子で、かなり朦朧としながらリングを降りると光留の肩を借りて引き上げていった。
<試合後コメント>
チーム・ドリフ
ーー本当にあと一歩というところまで行きましたが、残念な結果となってしまいました
石井「……そうですね。悔しいの一言ですね。何かこのリーグ戦で残したかったんですけどね。やっぱり相手は強かったし、まだまだ自分たち……。でもこのリーグ戦、悔しさでいっぱいだけど、糧になったと思うんで。これを活かしていって全日本プロレスでのチャンスを狙っていきます。」
ーー石井選手にとっては最強タッグ出場という夢も断たれてしましましたが?
石井「リーグ戦中はそこまで頭はいってなかったんですけど。もちろん夢の舞台ですけど、リーグ戦は強豪揃いで、試合に集中していたんで。まずはこのリーグ戦は負けたけれど、自分の経験にはなったと思います。まぁでも優勝しなければいけなかったと思います、今後のためにも。」
高尾「……本当に勝ちたかったです。やっぱりここまで残ったからには、世界ジュニアのチャンピオンの青木篤志から勝って、チーム・ドリフ、DDTがイケるってことを見せたかったです。もしかしたらこれで『ドリフもやるな』って思うかもしれないけど、やっぱり記録に残るものが欲しかったです。今日は負けましたけれど、全日本では上を目指しています」
第3試合
当初はこの日から全日本プロレスに半年間のレンタル移籍をする予定だった福田洋が出場する予定だったが、福田が負傷欠場となったため、“力道山三世”力が王道マットに初参戦することに。なお、この試合はクリスリングアナが英語と日本語でコール。
走って入場した力はやや緊張気味。そこで渕はまず力を下げて先発を買って出る。井上とロックアップした渕。ロープに押し込んだ井上はクリーンブレイク。今度は渕がロープに押し込むが、こちらもクリーンブレイク。
井上の左腕を取って捻り上げた渕だが、井上が切り返すとすぐにロープに脱出。井上の腕を執拗に捻り上げた上、ロープに逃れようとしてもそれを許さない渕。ここで井上は西村にタッチ。腕を取った西村をカニ挟みで倒した渕はアームロックで回転させてからヘッドシザース。すると西村は倒立してから首を抜いて脱出。
力のほうをチラリと渕が見ると手を出してタッチを要求する力。渕がタッチに応じるが、まずは西村がショルダータックル。スリーパーに捉えた西村だが、うまく首を抜いた力。だが、西村は井上にタッチ。井上もスリーパーに捉えるが、力はロープに足を伸ばす。
首筋にチョップを落としていった井上はサミングから西村にタッチ。エルボースマッシュでカチあげていった西村は、コーナーに押し込んでエルボースマッシュを連打。だが、その状態からでも力はチョップを返す。西村は重たい力をダブルアーム・スープレックスで投げていくが、渕がカットに入る。
井上のエルボーに対して逆水平チョップで対抗する力。連打で井上をダウンさせた力は、思わずガッツポーズ。だが、井上もボディブローを返すとミリオンダラーバスターの体勢に。ここで渕がカットに入り、井上を羽交い締めにすると、力はコーナーからセーバーチョップを投下。
渕は西村も羽交い締めにしていき、力がセーバーチョップを打ち下ろす。さらに渕が井上をロープに飛ばすと、待ち構えていた力が渾身の逆水平チョップ。グロッキー状態の井上に「よーし、一発だけ!」と叫びながらボディスラムを決めた渕だが、場内からは「もう一丁」コール。渋々その声に応えてボディスラムで叩き付けた渕は、飛び込んできた西村にもボディスラム。
「もういいよ!」と嘆く井上をもう一度ボディスラムで叩き付けた渕は、「よし、行け!」と力にタッチ。逆水平チョップを連打していった力は両拳を握って気合いを込めるが、井上はそこにサミング。ブレーンバスターを狙った井上だが、踏ん張った力は逆に投げていく。
タッチを受けた渕はドロップキックを発射するとバックドロップ。カウント2で西村がカットすると、力も飛び込んできて西村に逆水平チョップ。しかし体勢を入れ替えた西村はエルボースマッシュ。その間に渕が井上を首固め2連続で丸め込んで3カウント。渕が力の王道マットデビュー戦に華を添えた。
<試合後コメント>
渕正信&力
力「ありがとうございました!」
渕「おう! ……何はともあれ俺もアジアタッグ(挑戦)が決まってるからね。今日の試合はどうしても負けるわけにはいかなかった。パートナーがキャリア不足だったけど、今日は一所懸命やってくれたし。でもまさか百田光雄さんの息子とこうやってタッグを組むなんて、昔からは考えられない。チョップは結構お客さんも喜んでくれたし。あとは適当に聞いてあげて(笑)」
ーー初登場となった全日本プロレスはいかがでしたか?
力「自分が初めて見たのも全日本プロレスだったんで、そのリングに上がる事ができてうれしかったです。自分はまだ未熟ですが、もしまた参戦できる機会があれば参戦したいと思っております。」
第4試合
入場時まで組み合わせが分からないJr.スクランブルプレミアム6人タッグマッチ。まずはXceedの中島が登場。続いてSUSHIが登場すると、第2試合で青木&光留に敗れた高尾、さらに石井がそれぞれ反対側のコーナーに別れて登場。最後に土方と、GAORA TVとアジアタッグのベルトを持った鼓太郎が登場し、鼓太郎&石井&SUSHIvs.土方&高尾&中島という組み合わせが判明。
鼓太郎vs.土方で試合開始。ロープに押し込んだ土方が離れ際に張り手を見舞っていくと、鼓太郎もフライングメイヤーを着地してから反撃しようとする。これを蹴りで迎撃しようとした土方だが、鼓太郎は紙一重でかわしていく。
中島がタッチを要求すると、渋々タッチに応じた土方。すると元パートナーのSUSHIが入ってきてロックアップ。ロープに押し込んでいったSUSHIは離れ際に握りポースから「へい、らっしゃい!」。中島はムッとした表情でミドルキックを連打するが、カウンターエルボーで場外に追いやったSUSHIは場外ダイブと見せかけてセカンドロープの上に座ってみせる。
中島は場外に引きずり出していくが、鉄柵に叩き付けていってのはSUSHIのほう。リングに戻ったSUSHIが石井にタッチすると、石井はオーバーハンドのチョップ合戦からボディスラム。続いて鼓太郎がエルボーを打っていくと、中島もミドルキックで応戦。
しかし蹴り脚をキャッチしてエルボーを落とした鼓太郎は、中島の腰にエルボーを叩き込む。さらにSUSHIが「へい、らっしゃい!」からのエルボードロップを投下すると、鼓太郎がジャンピングエルボー。防戦一方の中島だったが、鼓太郎の串刺し攻撃を蹴りで迎撃するとハリケーン・ラナで投げていって土方にタッチ。
強烈な串刺しハイキックからサッカーボールキックを叩き込んだ土方だが、鼓太郎もハイキックをかわすとソバットを返す。だが、串刺し攻撃を狙った鼓太郎をハイキックで迎撃した土方はスタンディングのシャイニング・ウィザードから腕十字へ。
クラッチして耐えた鼓太郎はエンドレスワルツ(=連続ラ・マヒストラル)。どうにかキックアウトした土方にボディへのエルボーからタイガードライバーを狙う鼓太郎だが、リバースで切り返した土方。そこに石井がミサイルキックを発射すると、その石井に中島がミサイルキック。SUSHIのニールキックから高尾のウラカンを鼓太郎がパワーボムで切り返す。鼓太郎は土方にファンネル(=619)を狙ったが、土方がかわしてハイキック。しかし鼓太郎もエルボーを返してダブルダウン。
先に鼓太郎がSUSHIにタッチすると、SUSHIは土方にフェースクラッシャー。さらに串刺しラリアットからブレーンバスターで投げたSUSHIは、ダイビング・ヘッドバットを投下。カウント2で中島と高尾がカットしたが、SUSHIはTEEKAMAKI(=レインメーカーの動作→エビ固め)を狙う。これをニーリフトで迎撃した土方。
中島と高尾が入ってきて石井と鼓太郎を場外に追いやると、同時プランチャを投下。その間にSUSHIはチンクラッシャーを土方に決めるともう一度TEEKAMAKIを狙おうとしたが、土方はハイキックで迎撃するとスーパーフィッシャーマンバスター(=リストクラッチ式フィッシャーマンバスター)で叩き付けて3カウント。
マイクを持った土方が「おうおう鈴木さん、1年前に俺はここで心と体を鍛えてもう1回ジュニアに挑戦するって言いましたよね。俺をその気にさせたのは鈴木さんですよ。あんたとプロレスやってると最高に楽しいですよ。恨みも何もねぇよ。だけど俺はあんたを倒さないと先に進めない。チャンピオンよかったらチャレンジャーとして迎えてくれませんかね?」と、現在GAORA TVとアジアタッグ二冠王の鼓太郎への挑戦を表明。
それを聞いた鼓太郎は「俺もあんたには恨みも何もない。あなたを迎えますよ。だけどあなたの火は消させない。あなたを迎え撃ってさらに火を大きくしてみせます」と土方の挑戦を受諾した。
<試合後コメント>
鈴木鼓太郎
ーー今日は中島選手とは敵味方に別れていましたが、リーグ戦を終えての成長を感じることはできましたか?
「そうですね。変わろうとしている気持ちは強く感じます。でもこの世界は甘くないので急激には成長しないのが現実なのかなって。そこに期待っしたんですけど、全敗という現実を突き付けられてね。俺ももちろん悔しいけど、俺以上に悔しいのがあいつじゃないかなと思いますし、その悔しさをかみしめて自分の力に変えてほしい。そう思いますね。」
ーー試合後には土方選手が挑戦を表明しました。GAORAのベルトにというよりは、鼓太郎選手と対戦したいという気持ちの方が強いようですが?
「まぁでも俺の持ってるシングルのベルトはGAORAなんでね。彼がGAORAに興味があるという発言をすれば、いつだってやりますよ。」
ーーそうしてベルトの価値も上げていくと?
「ここまでなんだかんだ言われても必死で自分の信念を貫いてきたんで、そう簡単には渡せないですし、リング上で言ったように彼につけた火を消すつもりはない。俺はさらに火をでかくしていく事が彼に対する感謝になると思います。」
ーー二冠王としてますます役割が大きくなりますね
「本当は世界最強タッグ出たかったけれど、真逆の結果に終わってしまったんで。最強タッグを指をくわえて見ているだけじゃなくて、できる事をやんなきゃいけないと思っていたんでちょうどよかったです。」
馬場元子相談役挨拶
第4試合終了後、全日本プロレス創始者・故ジャイアント馬場夫人の馬場元子相談役が、“全日本カラー”である真っ赤なジャケット姿で登場。秋山社長と共に『王者の魂』のスローバージョンに乗ってリング上へ。
万雷の拍手を浴びた元子相談役はマイクを持つと「後楽園ホールに、皆さん、雨の中お出かけいただいて本当にありがとうございます。今日は全日本プロレスの旗揚げ42周年の記念興行になっておりますが、ひと言だけご挨拶したいと思って参りました。秋山社長がプロレスラーとしてデビューをした1992年。当時、全日本プロレスは明るく・楽しく・激しいプロレスをキャッチフレーズとしてやってきました。この言葉には会場に足を運んでくださったファンの皆様に、『全日本プロレスを観に来てよかった』、そう思いながら家路についてほしい、それが馬場さんの考えでした。そういう馬場さんの思いが込められておりましたので、それを今からも続けてほしいと思うのですが、これはもう秋山社長が当時の思いをちゃんと引き継いでいってくれると思います。それでは皆さんのご声援、今後ともよろしくお願い致します。ありがとうございました」と挨拶した。
元子相談役が退場すると、スクリーンでは11.16後楽園ホールから開幕する年末恒例の『世界最強タッグ決定リーグ戦』の出場チームが、下記の8チームに決まったと発表された。
・Jr.TAG BATTLE OF GLORY優勝チーム
・諏訪魔&ジョー・ドーリング(前年度優勝チーム)
・ゼウス&The Bodyguard
・KENSO&長井満也
・潮崎豪&宮原健斗
・真霜拳號&タンク永井
・曙&吉江豊
・秋山準&大森隆男
<元子相談役囲み>
ーー前半戦をご覧になっての感想などありましたらお願いします。
「感想と言ってもみんな一所懸命だから(笑)。試合とかは全然なんですけど、ただ水曜日?旗揚げ(記念)日が水曜日と雨にぶつかって、ちょっと……。わたしは後楽園というと満員しか知りませんので、今のこの状態が全然分からないので。ちょっと寂しいですけど、雨の中よくいらしていただいたと思います。」
ーー秋山全日本の空気はどう感じましたか?
「ずいぶん変わってしまって、リングアナもリングに上がらないで座ったままコールしたりして、それでいいのかなと思いますけど。今風?に変わってしまうというのも仕方ないと思いますけど、いいものはやっぱりこれからも残してもらいたいと思います。新しいことばかりがいいことじゃないと思いますし、だけど新しいことを入れていかないと今はやっていけないと思いますし。今が一番難しい(時期の)社長だと思います、会社として。でもわたしは馬場さんのいい時代しか知りませんので、今の状況がちょっと……。もう少し皆さんに会場に足を運んでいただけるような何かをやっていかないとと思います。」
ーー秋山社長も馬場さんが見せてくれていた、大きい選手たちが魅せてくれるプロレスというのを意識的にされてるんじゃないかと思います。元子さんと同じようにいいものを残していきたいと考えているのだと思います。
「それはそうだと思います。だけどそれがすぐに育つわけではないし、馬場さんだって長年かかって育ててきたあの全日本プロレスですし、すぐになんでも育つものではないと思います。種をまいたら芽が出て、それをどうやって育てていくかが秋山社長の手腕にかかっているんじゃないかと思っていますけども。ただ『明るく、楽しく、激しいプロレス』で、ファンの皆さんが会場に行ってよかったと思えるような試合を1試合1試合大事にしていってもらいたいと思いますけれど。」
ーー後楽園ホールに来たのはいつ以来になりますか?
「ウフフ。30周年の9月が最後ですから、それ以来来たことないです。」
ーー観客席から試合を見た事はあるんですか?
「馬場さんの時も見ますよ。でも馬場さんの時にいつもわたしが取っていた席が、今わたしが座っている席なので。」
ーー久々に観客席に座っていかがですか?
「う〜ん、なんか変わり過ぎていて、最初は何が始まるのかな?という感じだったんですけど、でもそれぞれにみんな頑張って試合をやっているのはいつも同じじゃないですかねぇ。いつの時代も。」
ーー今、所属している選手はご存知ですか?
「知りません。(前半戦では)井上選手と渕選手と……わたしがドカタくんって呼んでいた(笑)。」
ーー土方選手ですね
「土方くんくらいしか分からないです。」
ーー渕さんの印象はいかがですか?
「印象って言ったって昔からあんな試合だったし、昔からああいう風だったから。印象深いアレじゃなかったですけど(笑)。あのままです。」
ーー42周年の旗揚げ記念日ということで試合に立ち会って。改めてどういう思いですか?
「42周年(苦笑)。う〜ん、そうなんですけど間(あいだ)12年が抜けてますから(笑)。わたしにとってはやっぱり設立した頃の印象が強いので、ああもう42年経つのかという感じで。プロレスが変わったというより雰囲気が変わったという感じです。
……42年。でも12年抜けているという事は、そんなに42年どうのこうのという思いはないですね。肝心要の後ろの方が抜けちゃってますから。……あの音響がうるさ過ぎてわたし最後まで持つかなぁって(笑)。」
ーーこの後も観客席でご覧になりますか?
「だって最後まで見ないと面白くないでしょう? そうすると、もう少し音を下げてほしいと思うんですけど、そんな勝手なこと言えませんし。やっぱり今の方はこの音なんでしょうねぇ。わたしたちはもう少し静かな音でやっていたので。何かありますか?」
ーー今日は赤いお召し物ですけど?
「いつも着てますよ。懲りずに。」
ーー馬場さんの色ですね
「馬場さんはわたしが赤をチョイスするのがとても好きだったの。だから自然に赤い洋服があるとどうしても買っちゃう感じ。だから赤ばかりいっぱいある(笑)。いろんな赤違いで。昔から赤を着てるよ?今も。歳なんて考えてませんから。忘れてきましたから。でも今からが大変だと思います。43年、44年……。その後が。だから皆さん、どうか全日本プロレスをよろしくお願いします。何かとお騒がせな事をわたしはやるので(笑)、これでもうおとなしくしていますから。あと2日間。三条と山形と。ちゃんと元の生活に戻ります。でも何か御用があったら言ってください。」
ーー先日まで馬場さんの若い頃を取り上げた評伝(週刊大衆で連載されていた柳澤健氏著の『1967年のジャイアント馬場』)が連載されていたのですが、ご存知でしたか? あるいは読んでいらしたとか?
「それは申し訳ないのですけど、7月の盆が終わってから10月の16日までハワイにいましたので、その間の日本で起きたことは一般のニュースはNHKで入りますけれど。……ごめんなさい、知りません。でも馬場さんが何をやっていたという事ですか?」
ーーそうです。馬場さんが20代の頃の全米ですごいスーパースターだった時代を取り上げた読み物でした
「それは馬場さんと一緒にシカゴに行ったり、ニューヨークへ行ったり、セントルイスへ行った時に、大きな会場で『ここがいっぱいになったんだ』って。誰とやってこうなったという話は聞いておりますし、それは本とかなんとかじゃなくて、馬場さんと一緒に行きながら旅行してましたので。割り方分かってる方だと思います。」
第5試合
KENSOを裏切りDKから脱退した真霜。屈辱を味わったKENSOとしては真霜との因縁に決着をつけたい一戦だ。真霜がゴング前に奇襲攻撃を仕掛けていき、KENSOをコーナーに追い込んでヒザを叩き込む。
KENSOも張り手を返すと、真霜を場外に投げ捨ててプランチャを投下。これをかわした真霜だが、KENSOは張り手を返すとシャウトしながら真霜に襲いかかる。だが、真霜はKENSOを鉄柵に叩き付けると、KENSOの左足を鉄柵に絡みつけてから助走をつけて蹴っていく。
KENSOはそれでも張り手を返すと、足を引きずりながら鉄柵の外に出てイスの山を築いてからブレーンバスターで叩き付けようとする。これを踏ん張った真霜はKENSOをブレーンバスターの体勢で持ち上げると、そのまま前方のイスの山の上に投げ捨てる。さらにイスで殴打していった真霜は、ブーイングを飛ばすファンを威嚇しながらKENSOをリングに戻す。
KENSOの左ヒザにストンピングを落としていった真霜は、顔を突き出して挑発。張り手を返すKENSOだが、真霜のローキックを食らうと「あー、イッテェ」とダウン。真霜はKENSOの左足をロープに絡みつけると、下から蹴り上げる。
「終わりか? オイ」と笑みを浮かべながら挑発した真霜はKENSOをコーナーにホイップ。体勢を入れ替えたKENSOは突進してビッグブーツを狙うが、蹴り脚をキャッチした真霜はドラゴンスクリュー。さらに足4の字固めに捉えるが、KENSOは悶絶しながらもロープに脱出。真霜のローキックにKENSOが逆水平チョップを返すと、真霜も逆水平チョップで対抗。そこからローを叩き込んだ真霜に張り手を返していったKENSOはジャーマンで投げ捨てる。
真霜もジャーマンで投げ捨てるが、KENSOは河津落としから対角線をダッシュしてラリアット。左足を引きずりながらコーナーに登っていったKENSOだが、下から蹴り上げた真霜は雪崩式ドラゴンスクリュー。立ち上がれないKENSOに場内からは「ケンソー」コール。
KENSOの様子をチェックするレフェリーを場外に投げ捨てた真霜が足4の字固めに捉えるが、ここでDKの南野タケシが乱入して真霜にナックル。しかし走り込んできた南野をジャンピングハイで迎撃した真霜。真霜はレフェリーをリング内に戻すと、南野を排除するように指示。
だが、レフェリーが南野に気を取られている隙を突いてKENSOが真霜にパウダー攻撃。そこから垂直落下式ブレーンバスターで叩き付けたKENSOだが、どうにかカウント2で返した真霜。しかしKENSOは間髪入れず葉隠れを叩き込んで3カウント。敗れた真霜は目を押さえながら立ち上がると、先に引き上げていったKENSOを追いかけるようにバックステージへと走っていった。
<試合後コメント>
真霜拳號
「おい! なんだよ、あいつら! 1対1じゃないのかよ? そんなもんか、お前のプライドはよ? なんだよDKって。そんなもんかよ! お前の力で(3カウント)獲ったんじゃないからな。まだあるからな。覚えておけ!」
KENSO
「(※長い沈黙のあと)……なんでもありだよ、なんでもあり。プロフェッショナルのレスリングなんだ。なんでもあり。それが世界で学んだこと。俺はあいつとは視野が違う。360度見てる!」
第6試合
旗揚げ記念試合として行われるヘビー級の6人タッグマッチ。ドーリングと潮崎にとっては三冠戦の前哨戦でもある。
ドーリングはリングインするなり潮崎に奇襲攻撃。諏訪魔も入江を、ゼウスも宮原を場外に連れ出す。諏訪魔は入江を鉄柱に叩き付けると、リングに戻ってドーリングとのダブルタックルで潮崎を吹っ飛ばす。ゼウスは宮原を南側通路まで連れ出して逆水平チョップ。
ドーリングは入江を鉄柵に叩き付ける。諏訪魔は宮原と潮崎の背中にイスを振り下ろす。ゼウスが入江を鉄柵に叩き付けると、ドーリングがストンピングの嵐。リング上では潮崎が諏訪魔に逆水平チョップを打っていくが、フロントキックを返したすあまはダブルチョップでなぎ倒す。続いてゼウスがボディスラムからリフトアップスラム。
潮崎が逆水平チョップを打っていくと、ゼウスも逆水平チョップで対抗。そこからドーリングにタッチすると、エプロンから諏訪魔とゼウスが座り込む潮崎の顔面を踏みつける。潮崎も逆水平チョップを返していくが、そこにドーリングが襲いかかりワンハンドスラム。
ドーリングの串刺し攻撃を蹴りで迎撃した潮崎はショートレンジラリアット。両者タッチして宮原が諏訪魔にフロントキックで襲いかかり、ヒザへの低空ドロップキックで片膝をつかせると側頭部に低空ドロップキック。諏訪魔もエルボーを返していくと、腕を掴んで引っ張り込むようにしてショートレンジラリアット。
タッチを受けたゼウスはコーナースプラッシュ2連発。額をくっつけて睨んでいく宮原だが、ゼウスはスパインバスター。しかし宮原もジャンピングエルボーを返して入江にタッチ。串刺しラリアットからテディベア(=ヒップドロップ)を落とした入江はブレーンバスターの体勢に。しかしゼウスは逆に入江をぶっこ抜いて投げていく。
タッチを受けた諏訪魔は串刺しラリアット。続いてゼウスがベアハッグで持ち上げてから投げ捨てると、ドーリングがエルボードロップを落とす。諏訪魔とゼウスはそのまま潮崎と宮原を場外に連れ出し、リング上ではドーリングが入江にエルボー。前のめりにダウンした入江を引き起こしたドーリングはなおもエルボーを連打するとパワーボムの体勢に。
これをリバースで切り返した入江は潮崎にタッチ。エルボー合戦から逆水平チョップを叩き込んだ潮崎はジャンピングショルダー。それでも倒れないドーリングにDDT。だが、すぐに立ち上がったドーリング。ならばとバックドロップで投げた潮崎は、顔面へのトラースキックからフィッシャーマンバスター。
カウント2で返したドーリングだが、拳を握った潮崎は豪腕ラリアット。倒れないドーリングに逆水平チョップから突進するが、ドーリングはショルダーブロックでなぎ倒すとデスバレーボム。さらにパワーボムを狙ったが、ウラカン・ラナで切り返した潮崎はラリアット。これを相打ちに持ち込んだドーリングは走り込むが、潮崎はラリアットで迎撃。
立ち上がろうとするドーリングの顔面にトラースキックを叩き込んだ潮崎はゴーフラッシャーで叩き付けるが、諏訪魔とゼウスが辛くもカット。右腕を突き上げた潮崎は走り込むが、ドーリングはスパインバスターで叩き付ける。そこに諏訪魔が入ってきてドーリングとダブルのブロックバスターで潮崎をブン投げる。
諏訪魔はゼウスと宮原と入江を場外に連れ出す。リング上ではドーリングがラリアットを狙うが、2度かわした潮崎。しかしドーリングはカウンターのクロスボディー。カウント2で返した潮崎だったが、ドーリングは間髪入れ宇レボリューションボム(=スパイラルボム)を完璧で決めて3カウント。
前哨戦で挑戦者から直接ピンフォールを奪った王者ドーリング。三冠ヘビーのベルトを手にしたドーリングは、潮崎に向かってベルトを見せつけると高々と抱え上げた。潮崎は朦朧としながらもドーリングを睨み付けるが、ドーリングは自信に満ち溢れた表情で引き上げていった。
<試合後コメント>
ジョー・ドーリング&諏訪魔&ゼウス
ゼウス「そやな。きょうはチャンピオンのジョー・ドーリング。そして元チャンピオンの諏訪魔。3人で組んでメチャメチャ面白かったわ。これからもよろしく!」
ドーリング「俺の最初の防衛戦は日本国外で行われた。そして王者として戻ってきた。潮崎、そして誰であろうとレボリューション・ボムはキックアウトできない。俺はゴー・フラッシャーをキックアウトしたぞ。お前は絶対にレボリューション・ボムはキックアウトできない!」
※諏訪魔はノーコメント
第7試合
Jr.TAG BATTLE OF GLORY優勝決定戦はリーグ戦を1位で通過した金丸&ウルティモvs.第2試合で同点だった石井&高尾を下して勝ち上がってきた青木&光留。
ウルティモvs.光留で試合開始。腕の取り合いからウルティモがアームドラッグで投げていくと、光留は足をすくって倒しレッグロックに捉える。しかしウルティモは下からコークスクリュー・シザースで投げて切り返す。
ここで金丸と青木がリングイン。ヘッドロックに捉えた金丸をロープに振った青木だが、金丸はショルダータックル。さらに青木のドロップキックを自爆させるとラリアットから垂直落下式ブレーンバスター。カウント2で返した青木は場外にエスケープ。
これがこの日2試合目の青木と光留だけに、ウルティモと金丸は短期決着狙いか。鉄柵に叩き付けてから後頭部に鉄柵の上からレッグドロップを落としていった金丸は、光留も鉄柵に叩き付ける。リングに戻った金丸はウルティモとのダブルのショルダースルーで青木を投げていく。そこからウルティモはリバースのインディアンデスロックに捉えたまま変型のサーフボードストレッチへ。
そこに金丸が低空ドロップキックを叩き込むと、ノーガードで顔面にもらった青木はグロッキー状態に。第2試合のダメージが残っている青木にDDT3連発を決めた金丸はキャメルクラッチに捉えていく。さらにエルボーを落としていった金丸に対し、青木も反撃しようとするがダメージが大きくて動けない。すかさずウルティモが変型のアラバマスラムからスタンディングクラッチ。
続いて金丸が串刺しラリアットから突進するが、かわした青木は金丸の顔面にスライディングキックを叩き込んで光留にタッチ。串刺しミドルキックから水車落とし、腕十字と仕掛けていった光留は、金丸がロープに逃れると走り込むが、金丸はカウンターのドロップキック。
さらにウルティモもドロップキックを叩き込むと、ショルダースルーからローリングソバット。だが、足を掴まれた光留は空いている足で延髄斬りを返すと青木にタッチ。串刺しランニングエルボーを叩き込んだ青木はトップロープにウルティモを逆さ吊りにすると、ニーを叩き込んでからブレーンバスター。
立ち上がってきたところにミサイルキックを発射した青木だが、ソバットを返したウルティモはアサイDDT狙い。どうにか防御した青木はカウンターのラリアットからフロッグスプラッシュを投下。これをヒザで迎撃したウルティモはラ・マヒストラル。
カウント2で返した青木だが、ウルティモはもう一度ラ・マヒストラル。半回転加えてキドクラッチで切り返した青木だが、カウントは2。ウルティモはバズソーキックからローキック、ソバット、そしてアサイDDTを狙うが、青木はバックドロップで切り返す。15分が経過し、青木はコーナーに登っていくが、追いかけていったウルティモ。
しかし背後から光留がハイキックを叩き込んでから肩車。だが、金丸が入ってきてウルティモを元に戻してから光留を場外に連れ出すと、ウルティモは青木に雪崩式ブレーンバスター。両者タッチすると金丸が光留のヒザに低空ドロップキック。さらにダイビング・クロスボディーからハリウッドスタープレス。
ここで両足を開いて金丸を捕獲した光留は腕十字を狙うが、金丸はクラッチしたまま抑え込む。カウント2で返した光留はカニ挟みで倒すとSTFへ。さらにステップオーバー・トーホールド・ウィズ・チキンウイングフェースロックに移行した光留だが、金丸はロープに脱出。光留はバックドロップを狙ったが、金丸は着地。そこを背後から忍び寄った青木がバックドロップで投げると、光留はランニングロー。
そのまま青木はウルティモを場外に連れ出すが、金丸が光留の蹴り脚をキャッチしてドラゴンスクリュー。そこにウルティモが戻ってきてツームストンパイルドライバーで叩き付けると、金丸はダイビング・ボディープレスを投下。カウント2で青木がカットしたが、金丸は垂直落下式ブレーンバスターからディープ・インパクト。
20分が経過し、金丸のタッチアウトを光留が逃れると、青木が入ってきてラリアットからスパイラルポセイドン(=腕決め式ノーザンライトボム)。しかしウルティモが青木にアサイDDT。必死で立ちあがった光留は金丸にエルボーを打っていくが、金丸はエルボースマッシュでカチ上げるとランニングエルボーを狙う。これを飛び付き腕十字で切り返した光留。どうにか脱出した金丸だが、光留は延髄斬りからバックドロップ。
さらにジャーマンで投げ捨てた光留はカウント2で金丸が返したところを腕十字へ。クラッチする金丸だが、青木もウルティモを腕十字で抑え付けると、光留が金丸の足を抱え込みながら、手のクラッチを切って腕を伸ばしてタップを奪って勝利!
秋山全日本でついに結果を出した光留をパートナーの青木、そしてセコンドについていた諏訪魔も祝福。青木に抱きついて喜ぶ光留だが、青木は光留を振り解くツンデレっぷり。それでも最後は2人揃ってEvolutionフラッグを誇らしげに広げた。これで青木&光留は年末の世界最強タッグ決定リーグ戦への出場権を手にした。
マイクを手にした光留が「決勝、予選、すべてを見てくれた全日本ファンの皆さん、青木大将、そして諏訪魔親方……勝ちましたっ! これでもう文句はねぇだろ。このBATTLE OF GLORY、Evolutionの栄光は佐藤光留と青木篤志タッグで作るぜ! オイ、俺たちが“ジュニア”最強タッグとして最強タッグに乗り込んでやる! 体格で勝っていると思っている奴はそれでいいぜ。俺たちがおめぇらの首かっ斬るまで寝て待ってろ! 以上、ありがとうございました!」とまくし立てる。
だが、光留のマイクはこれだけで終わらなかった!「……で終わりと思うじゃないですか。俺、面倒くせぇんだよ、あんたより。敵を騙すにはまず味方からだね。青木篤志、いや世界ジュニアチャンピオン! こうして全日本の強い奴から1番2番が決まったんで、タイトルマッチ、自分としてください! お願いします!」と同門対決での世界ジュニア戦を直訴。
それを聞いた青木は「そのことに関して言う前に関して1つ言っておきたいことがある。俺はこのジュニアのタッグリーグ、最強タッグの予選会にする気はサラサラなかったからな。なんでジュニアヘビーが必死になって闘って、それが勝った奴だけが(最強タッグに)出なきゃいけないんだよ。それに最初から優勝して最強タッグに出るのが目標だとか言ってるバカ共! お前らジュニアヘビー級盛り上げる気ねぇのかよ! もっとよ、ジュニアヘビーに誇り持てよ。ヘビーの人間がジュニアヘビーには絶対なれないんだぞ。俺らで作らないでどうするんだ! でも優勝したからには俺は誇り持ってやるぞ。ヘビー級の奴ら絶対ぶっ潰してやる」とジュニアへの思いをブチまけてから、改めて「佐藤、それからタイトルマッチやるぜ。これで今ジュニアの最強タッグは俺ら、そしてどっちかが決まればジュニアの最強はどっちかだ。それ賭けて必死になってやろうぜ」と光留の挑戦を受諾してから握手を交わし、別々の方向から帰っていった。
<試合後コメント>
青木篤志&佐藤光留
ーー優勝おめでとうございます。大本命と言われる中で優勝するのは大変だったのではないかと思いますが?
青木「まぁでも大本命と言われても全勝優勝できなかったわけだから。負けた責任は俺にもあるし、引き分けたのも俺の責任だし。俺がちょっとふがいなかったかなと」
ーーリング上でもおっしゃっていましたが、最強タッグへの出場が優勝者への副賞としてありましたが、それ以前に強さを見せつけての優勝でしたが?
青木「今の言葉の通りで最強タッグの出場が副賞なんだよ! どういう事なんだよ。そこじゃないだろう。俺らが目指すものは。今そういう状況なのは、はっきり言って現状なんだというのは今回すごく感じた。だからまだまだそれは俺らの力も足りないなと。だから優勝しなければいけないというのはあったし、負けられないというのもあった。俺はただリーグ戦で優勝して、最強タッグに出たくて勝ちたかったんじゃないんだよ。ジュニアヘビー級をもっと全日本プロレスのひとつの大きなカテゴリーにしたいんだよ。ヘビーがすごいのはもうみんなわかるでしょう。でも、そこにおんぶにだっこじゃいけないんだよ。ジュニアヘビーでしかできない戦いがあるんだから。胸張ってそこをやんなきゃ。なんなんだよ、あいつら! 俺とか佐藤が必死になってやってたって、あいつらがそんなんだったら何も上がらないんだよ! せっかく勝ってこんな事言いたくないけど、あいつらアホだぜ!だからもうこれからは俺と佐藤でジュニアを盛り上げていく。それだけだよ。せっかく……最高にいいやつがいるんだからそれでいいじゃん。他のやつはもういいから!」
ーーその発言をするためにも今回の優勝は必須だったと……
青木「そう! それ言いたかったけど、負けちゃったら終わりだからね。」
ーーリーグ戦を通じて他の選手からの気持ちは感じられましたか?
青木「やっぱり勝ちたいって気持ちはあるよ。リーグ戦勝ちたいって気持ちはあるけど、その先に何があるんだって。そいつらはその先、何が目標だったんだって。もう一回、最初の記者会見(の記事を)読み直したらわかるでしょう。ほとんどみんな『最強タッグ』だよ。なんだよ最強タッグって。ジュニアの最強を目指すのが一番じゃないのかよ、俺らは。なんだったらよぉ、ジュニアの一番と最強タッグの一番でやらせてくれよ。それくらいまで俺は持っていきたいんだよ。でもそれができてないのが現状で、まだまだ足りないところがあるからこれからやらなきゃいけないって時に、アホみたいに。だから優勝したかったんだよ!」
ーー佐藤選手も青木選手と同じ気持ちかと思いますが?
光留「青木さんは僕と違うかたちで全日本ジュニアが好きなんだなって思いました。なんでそんなにあいつらの事をきにするんだって思います。もう見てわかるじゃないですか。佐藤光留、青木篤志、これ以上のジュニアのタッグチームはないって。見りゃ分かるじゃないですか。だから言ったんだ。俺たちをマークすればいい。でも青木さんは『なんでなんだ、なんでなんだ』。やっぱり青木さんはジュニアが好きなんだなって。俺は違うもん。俺は青木篤志と組んでいる。次に青木篤志とやる。全日本ジュニアに立っている俺が好きなだけですから。でもいいんじゃないですか。これで火がついたやつもいるでしょう。それがどこの団体のやつだったのかなって話。もしかしたら全日本のやつじゃなかったんじゃないかなって話。青木さんが言いたかったのはそれじゃない?関係ないよ。終わったこと。勝って!終わったこと。もっと嬉しいかと思ったんです。でも勝った瞬間に……うれしかったですよ。でも想像以上じゃなかった。なんでかって。勝たなきゃいけないものに勝っただけだから。俺対はジュニアのことがすきなんだ。だからすごい、一番面白い。それを証明したかったんですよ。まだ途中ですよ。ゴールがあるかどうかも分からない。まだまだここで喜んでいる場合じゃない。ねぇ、青木さん、そうでしょう?」
青木「もちろん!」
光留「初めて意見も一致したんで。チャンピオンもいいっていったんで、世界ジュニア獲って、俺が、佐藤光留が全日本のジュニアを引っ張っていきますよ。持ち上げますよ。ふんぞり返って俺のわがままで行きますよ。エボリューション(=進化)を起こすよ。グローリー(=栄光)はそこからですよ。……最高! なんでもいいよ。」
青木「……よし、やろう。うちらで最強を決めよう。」
第8試合
『復活! 2014ジャイアント・シリーズ』最終戦にして全日本プロレスにとってはメモリアルデー10月22日のメインを飾るのは、秋山&大森の同期タッグが保持している世界タッグ王座に、曙&吉江が挑戦する一戦。
曙&吉江が入場すると、続いて大森がワイルドに入場し、最後に秋山が両手にベルトを持って入場。挑戦者組から握手を求めていくと、王者組が応じてから試合開始。
秋山と曙が出てきて、いきなりロックアップから曙がロープに押し込んでいくが、まずはクリーンブレイク。今度はコーナーまで押し込んでいった曙だが、余裕の英を浮かべる。秋山はショルダータックルで何度もぶつかっていくが、余裕で受け止めた曙がショルダーブロックでなぎ倒すと、吉江が秋山を場外に連れ出して鉄柵に叩き付ける。さらに曙も場外に出て秋山を鉄柵に叩き付けてからリングに戻す。
のど輪で自軍のコーナーまで秋山を吹っ飛ばした曙は吉江にタッチ。秋山も大森にタッチすると、手四つの力比べへ。パワーで勝る吉江がジワジワと押し込んでいくが、ローキックを叩き込んでいった大森はレッグロックで吉江の左ヒザを集中攻撃。
秋山にタッチすると、秋山はトーホールドで捻り上げてからヒザ十字固め。ロープに逃れた吉江だが、大森が足4の字固めに捉える。しかし、そこに曙がエルボードロップを落とす。これで吉江が曙にタッチ。なおもエルボードロップを落としていった曙は、大森の上に乗っかって全体重を乗せていくと、大森のチョップを受け止めた上でチョップを振り下ろす。さらにコーナースプラッシュをお見舞いして吉江にタッチ。
超低空サマーソルトドロップを落とした吉江は、ヒッププッシュでコーナーに追い詰めてから逆片エビ固めへ。秋山が檄を飛ばす中、どうにかロープに逃れた大森。10分が経過し、曙のコーナースプラッシュをかわした大森だが、曙は振り向き様にショートレンジラリアット。しかしボディプレスをかわした大森は秋山にタッチ。
曙のブチかましにダウンした秋山だが、エルボードロップをかわしてランニングニー。続くエクスプロイダーはコーナーに押し込んで防御した曙。ならばとニーリフトから走り込んだ秋山だが、曙はカウンターのスクラップバスター。さらに吉江がコーナースプラッシュ。大森が入って来るが、コーナーに叩き付けた吉江は秋山→大森に2連続スティンクフェイス。さらに秋山にジャンピング・ボディプレスを投下。
カウント2で返されるとコーナーに登った吉江だが、追いかけていった秋山は雪崩式エクスプロイダー。だが、押し潰した吉江。そこに曙がランニング・ボディプレスを浴びせると、続けて吉江がジャンピング・ボディプレスを投下。さらにコーナーからダイビング・ボディプレスを投下した吉江だが、大森が和田京平レフェリーにタックルしてカット。
吉江は体当たりで大森を吹っ飛ばすが、秋山がダイビングニーアタックを発射して大森にタッチ。15分を経過し、大森はフロントキックからニールキックを叩き込むと、後頭部ラリアット。だが、正面からのラリアットを相打ちに持ち込んだ吉江は、トラースキックから走り込む大森にテーズプレス。すかさず曙がコーナースプラッシュからエルボードロップ。
さらに首をかっ斬るポーズからヨコヅナインパクト(=ジャンピングパイルドライバー)の体勢に。そこに秋山が飛び込んで来るが、のど輪で捕まえた曙はのど輪落とし。大森にものど輪落としを狙うが、エルボーで脱出。しかし曙はタックルで吹っ飛ばす。そこに吉江がセントーンを落とすと、曙がランニング・ボディプレス。カウント2で秋山がカットしたが、曙はランニング・ボディプレスからヨコヅナインパクトの体勢に。
秋山がカットに入るが、2人を同じコーナーに叩き付けた曙は突進。かわした王者組は合体ブレーンバスターで曙を投げてみせる。秋山が吉江を場外に連れ出すと、大森がアックスボンバーを叩き込むが、曙はカウント2で返す。ならばとハーフダウンの曙のスライディング式アックスボンバーを狙った大森。のど輪でキャッチした曙だが、背後から秋山がランニングニー。
さらに秋山もランニングニーと大森のトラースキックを同時発射。吉江が飛び込んで来るが、秋山がエクスプロイダーで投げ飛ばす。その間に大森は曙にスライディング式アックスボンバー。曙は絶叫しながらキックアウトしてみせたが、大森はダメ押しのスライディング式アックスボンバーを叩き込んで3カウント! この結果、秋山&大森は世界タッグ王者として最強タッグに出場することになった。
<試合後コメント>
秋山準&大森隆男
ーータイトル防衛おめでとうございます。苦しい戦いでしたが……
秋山「体重に苦しめられましたし、前哨戦でも分が完全に悪い状況だったんで、なんかどこかで返されるんじゃないかという不安はいつもありました。」
ーー失礼ながらここ最近は秋山選手が負ける姿を見ることが多かったものですから、今回の防衛は……
秋山「そうですね。自分でも三条と山形、そして最強タッグと自分自身立て直していきたいですね。」
ーー勝負を決めた大森選手はいかがですか?
大森「そうですね。最後、やっぱ秋山さんのアシストがあって勝ったけれど、途中完全に足を引っ張ったのは俺だし、なんとかつなげて大暴れする秋山選手の姿を見てね。俺も負けるかっていう、タッグを組んでいながらね。秋山さんに対してはそういう気持ちが原点にある。タッグを組んでいながらも、戦っていながらも。やっぱり気持ちの中では、俺はそれ以上行くぞとか、いやぁまだまだとか。相手は吉江、曙組だけど、パートナーの秋山さんでもあると今日の試合で改めて思いましたよ。」
ーーこれで最強タッグにはチャンピオンとして乗り込むわけですが、当然最もマークされるかと思います。
秋山「そうですね。まぁ守るものもあってですけど、一回裸になって最強タッグに臨むのも手かなと。まぁ負けてたし、大森も前哨戦負けてたし。まぁいろんな……潮崎からも『それでもチャンピオンか』とか言われてるんでね。まぁちょっと大森と話をしていいかたちで乗り込めるように、気持ちをもう一回フルに盛り上げていけるように考えて。旗揚げ記念大会がまだ2つありますけれど、最強タッグに気持ちを乗っけていけるように話をして。」
ーー今日は馬場元子さんが来場されていたのですが?
秋山「そうですね。たぶん元子さんは俺らの若い姿のままで時間が止まっていると思うんで、今日見たら『あの子たち細くなったなぁ』と見たら思うかも知れないんで。もう一回ちょっと最強タッグに向けて原点に、俺も大森に負けないように。大森も俺に絶対負けないようにってチームの気持ちで最後に臨みたいと思います。」
ーー三条では秋山選手は渕選手と組んでアジアタッグに挑戦しますが?
秋山「それは俺が全面に出ないといけないと思うんで。フルで行きます。」
ーー社長として迎えた旗揚げ記念日はどういう気分ですか?
秋山「まぁいろんな、始まる前から気になることも選手だけだったら試合に集中していればいいけど、その前にたくさん気になることもあって。リングに上がってしまえばライバルのことしか目に入らないんで。若干そのこともウェートが大きいんで、最強タッグに向けてちょっと、もうちょっと気持ちを高めていけるようにみんなに協力してもらいます。」