ロンドンハーツ『極白女王』で長与千種役を演じた美人女優レスラーが王座防衛も精神的に追い詰められて涙

29日、東京都・後楽園ホールにて『ACTwrestling 後楽園ホール公演』が開催。夏葵(なつき)がポイントマッチで入江彩乃(いりえあやの)を制してAWGシングル王座の2度目の防衛に成功した。
夏葵は岡山出身の女優であり、4歳からバレエダンサーとして活動を開始すると中学生時代にユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)のアンサンブル部門でグランプリに。オーディションを乗り越えバレエ『えんとつ町のプペル』にも2年連続出演しており、現役バレエダンサーとしても活躍している。
2020年にアクトレスガールズに入団すると、舞台演出にプロレスの要素を取り入れた『アクトリング』でリングデビュー。2021年には女優・声優・グラドル・プロコンカフェ嬢といった面々がプロレスを行っている『アクトレスリング』でプロレスデビューも行い、しっかりとした体幹に裏打ちされた美しい立ち振る舞いや、指先まで意識した身のこなしは観るものの目線を引き付け団体のエースに成長。今年10月の後楽園ホール公演で元スターダムの惡斗を倒し、AWGシングル王者となり世代交代を行った。
今月24日にテレビ朝日系列で放送された『ロンドンハーツ 1時間SP』内で、お笑い芸人の“FUJIWARA”藤本敏史さん扮するフジモン太夫が様々なものに挑戦する『太夫フェス』が今年も開催され、Netflixドラマとして再生数1位となったダンプ松本の半自伝的ドラマ『極悪女王』をパロディした『極白女王』が披露されたが、夏葵は唐田えりか扮する長与千種役を演じたことで一躍話題となった。
11月の新木場公演で初防衛を果たした夏葵の前に現れて挑戦表明したのは、“闇夜にまばゆくSnow Angel”入江彩乃。
入江は、安納サオリや万喜なつみ(なつぽい)がいた旧体制時代にTOKYO FMでレギュラー番組を持つ声優レスラーとしてデビュー。新体制に移行してもアクトレスに残った選手の1人であり、新人ばかりとなった新体制下ではエース格として活躍。現在は歴戦の悪姫としてファンや選手陣から絶大な支持と信頼を誇る存在となっている。

試合は序盤から激しい場外乱闘となり、彩乃が得意のビッグブーツや首への一点集中攻撃で優勢。それでも夏葵はスピードと跳躍力を活かした高機動ファイトで王者としての意地を見せていく一進一退の攻防を展開する。
終盤には足を止めての激しい打撃合戦が展開されていくが、夏葵がカウンターのキューティー・スペシャルから必殺のmidnight sun(※旋回式キューティー・スペシャル)を決めるもカウントは2。ならばと夏葵は奥の手のSunlight KneeAttack(※変形ブサイク・ニー)で3カウントを奪った。
見事防衛を果たし「来年はアクトレスガールズ10周年になります!この10年の歴史の中で、最高のエースになれるように日々精進していきますので、来年も皆さんアクトレスガールズの応援よろしくお願いします!」と笑顔で大会を締めた夏葵だが、ポイントマッチで勝利したことに対して思うところがある様子。
アクトレスリングは団体側も“プロレス”と言い切っているものの、事前に試合の内容・勝敗・マイク等の内容が決まっている『ポイントマッチ』という真剣勝負のプロレスとは全く違う性質の試合がメインストリームで行われている。
様々なポイント加算要素があるが、この試合の勝敗の決め手となったのはサイコロとトランプでの“運”の要素であったという。

バックステージに戻った夏葵は「ポイントマッチって残酷だなって、すごく思います。みんなポイントマッチで勝利するためにリングで練習して、チケットの営業して、自分の時間を削って、自分の体力と精神を削って、日々取り組んでるから。それを数字化するっていうのは、すごく、厳しいことだと思うし。しかも、半分運で決まるって部分もあるから、それは自分の努力でどうしようもないこと。勝ったってことはもう、自分がこのベルトにふさわしいって思うしか無いので」と複雑な胸中を吐露し、長い沈黙の後に「正直、苦しい」と漏らして涙を流す。

彩乃も「ポイントマッチって、常日頃頑張ってなきゃ行かないものだし、常日頃から応援されてないといけないもので。直近だけ頑張っても難しいところがあって。最後にサイコロ、トランプやって……うん、なんですかね。自分の運命っていうのがそういうので決まるっていうのは……本当に、苦しいなって、思います」と涙で声を詰まらせた。
ただ単にどちらが強い、どちらが上手い、どちらが人気……といった基準だけでは測れない真剣勝負の世界がアクトレスリングにはある。