「もう1回新日本ジュニアを見る価値ある」70歳の藤波辰爾が高橋ヒロムとの一騎打ちに敗北も“今”のジュニアを絶賛!
22日、東京都・後楽園ホールにてドラディション『DRAGON EXPO 1978』が開催。藤波辰爾と高橋ヒロムのシングルマッチが実現した。
藤波は1971年5月9日に日本プロレスでデビューし、新日本プロレスで活躍。WWWFジュニアヘビー級王座を戴冠して凱旋帰国し、日本に“ジュニアヘビー級”というステージを興した立役者だ。
現在は自身の団体であるドラディションを率いているが、70歳になった今も1プレイヤーとしても衰えを見せることなく活躍中。半世紀にわたってプロレス界を支えてきた偉人の1人であり、2015年にはWWEで日本人プロレスラーとして師匠・アントニオ猪木さんに次ぐ2人目の殿堂入りを達成。“飛龍”藤波辰爾の名は世界に轟いている。
また、藤波は2023年からプロレス界の若手育成プロジェクト『ドラゴンスタジアム』をスタート。他団体の若手が一同に集って切磋琢磨し、藤波が50年以上培ってきたプロレス経験値を若手選手に授けるという場を創って後進の育成にも着手している。
藤波とヒロムは2023年5月のドラディションにて6人タッグマッチで初対戦。
新日本プロレスのジュニアヘビー級戦線の中核をなすヒロムは、かねてから日本での“ジュニアヘビー級”というものの価値を1から創り上げた藤波への深いリスペクトの言葉を口にし対戦を熱望。この試合でついにその大望が実現した。
試合後にはヒロムが「6人タッグじゃ藤波辰爾さんを感じることができませんでした。なので!シングルでやりましょう藤波さん」と一騎打ちを要求。藤波はヒロムが差し出した右手を荒々しくはたき落とし「おい待ってろじゃあ。お前に良い返事を返してやる」と堂々と迎え撃つ姿勢を見せた。
今大会では、その約束が約1年半の時を経て実現。この試合は獣神サンダー・ライガーが特別レフェリーを務め、新日本ジュニアの歴史と系譜が感じられる試合となった。
藤波はヒロムを意識してか、ピンクの派手なモフモフのガウンで登場。
試合は時代は違えど互いに新日本道場で何千何万回と練習して来たであろうグラウンドのじっくりとしたレスリングに始まり、藤波はドラゴン張り手で、ヒロムは逆水平チョップで打ち合う打撃戦へ。
競り勝ったヒロムが「どうした藤波さん?こんなもんか!」と頭を蹴って挑発して行くと、藤波が足を取ってドラゴンスクリューから足4の字固め。さらにドラゴン・スリーパーを狙うが、ヒロムが大暴れして阻止。ならばと藤波はドラゴン・バックブリーカーを繰り出すが、形が崩れてヒザの皿にヒロムの全体重が乗る形となり、痛みで苦悶の表情。
ヒロムはその隙を逃さず畳み掛け、トラースキック、ヒロムちゃんボンバー、TIME BOMBと大技で畳み掛けて3カウント。15分44秒の死闘に終止符を打った。
ヒロムは「俺は藤波さんが『いつのどの時代のプロレスも面白い』って言ってくれたこと、今この時代にプロレス関係なく頑張ってるみんなを下に下げないで上に上げてくれたこと、この時代のプロレスをリスペクトしてくれたこと、そんな藤波辰爾さんが大好きです。藤波辰爾さんみたいなプロレスラー目指して、この先のジュニア!いや!プロレス界を盛り上げて見せます!」と深々と一礼。「藤波辰爾さんの入場のガウンを見た時、派手すぎて負けたと思いました」と付け加えるユーモアも忘れない粋な心意気も見せる。
これを受けた藤波は「高橋ヒロムは、思ったより強かったな。新日本ジュニアはつえーや!やっぱりジュニアから育った人間からすると嬉しいね。まだまだ新日ジュニア捨てたもんじゃないな。今日はライガーがレフェリーってことでね。誤解してた部分もあるけど、もう一回新日ジュニアを見る価値あるな」と“今”の新日本ジュニアを手放しに絶賛。大・ドラゴンコールが起きる中で2人は握手を交わし、藤波がヒロムの手を掲げ上げた。
バックステージに戻った藤波は「新日本プロレス魂が入ってるなというのが嬉しいですよね。こうやって身を以て受けてみると。容赦なくトコトン遠慮なく来るっていう。だから勘違いしちゃいけないのは、ジュニアってところでみんな動きに目が行っちゃうんだけど、でもちゃんと芯はリングの中の相手に向かっての勝負で、そっちにしっかりと向いてる。安心しました。『新日ジュニアは健在だ』『新日ジュニアはつえーな』ってのがね、身を以て感じ取れたんで。ヒロムくんを指名して正解だったのかなって気がします」とヒロムについて熱く語り、これからのジュニアを今の世代に託した。