【インタビュー】DDTの飯野雄貴が舞台俳優へ初挑戦!10周年を迎えた『ぐらんぶる』で脱ぐも「試合中パンツ一丁じゃないですか(笑)抵抗はないです!」
全世界で累計発行部数1000万部を突破している漫画『ぐらんぶる』が10周年を迎える。スキューバダイビングを題材とした大学サークルの乱痴気騒ぎを描いた本作は、アニメ化・実写映画化を経て11月に実写舞台化することが発表された。
11月13日~17日に東京・池袋Theater Mixaにて全10公演行われる本作に、DDTプロレスから飯野雄貴の出演が決定。TBSドラマ『ノーサイド・ゲーム』で俳優デビューはしているものの舞台初挑戦となる飯野に今の気持ちを直撃した。
――まず今回のお話をいただいたとき率直にどう思われましたか?
「舞台の経験っていうのが全くなかったので自分の中でも挑戦ですし、今年から30歳になって色々と挑戦したかったのもあった。本当に良い機会で、舞台というオファーをいただいてすぐにやってみようって思いました」
――2018年に上野勇希が座長を務めたDNAメンバーによる舞台『櫻農カプリチオ~櫻ヶ丘農業高等学校狂想曲~』には出演されてましたが
「カプリチオは確かに舞台だったかもしれないですけどまだデビューして浅かったのもあって、あまりこう僕の中で本当の舞台なのかちょっとよくわかんなくて(苦笑)今回のぐらんぶるはより真剣に取り組んで、本当にチャレンジとして良い刺激をもらってます。役者さんたちしかいないのでアウェイな場所じゃないですか?僕からしたら。カプリチオは全員プロレスラーだったんで(笑)完璧アウェイの中で皆さんめちゃめちゃ大先輩で、舞台やられている役者の中に1人だけプロレスラーが混じってるっていうのは本当僕の中で刺激的というか。毎日刺激をもらいながら、顔の表情作ったりとかいい勉強になります本当に」
――プロレスのバックステージの空気感とは全然違いますか?
「違いますね。まず何話していいのかわかんないですね(笑)皆さんが稽古場にいる時は僕は一番左の端っこで荷物と一緒にいます。ぽつんと」
――まだ馴染めてないんですか?
「馴染めてはいるとは思うんですけど、なんかわからないですね僕も(苦笑)ずっと何話せばいいのか、自分から話しかけていいのか、そこは奥手です」
――2020年にはTBSドラマ『ノーサイド・ゲーム』にも出演されていましたが
「ノーサイド・ゲームの時はラグビーって共通点が皆さんあったので、結構知り合いもいたんですよ。試合をしてた人たちもいて、落語家の林家たま平さんとは高校時代に同じ同期で試合をやってるんですよ。先輩とかも自分が大学の時に見てた人たちもいたし、自分の中で知ってる人たちしかいなかったので『どうもお久しぶりです』とかで楽だったんですけど、今回全部アウェイですから(苦笑)トレーニングの話しても僕みたいにプロレスラーとしてガッツリなわけではないと思いますし、役者さんと日々何を話せばいいかなと・・・たまに『僕もジム行ってるんです』って振って頂けるんですけど、それぐらいしか共通の話題がないですね。台本に対して聞いたりとか演技の質問はさせていただいてます」
――ぐらんぶるは裸になる部分が多いので他の演者さんもだいぶ身体を作りこんでこられてると思います。いい身体の人はいますか?
「そうなんですよね本当に。寿竜次郎役の君沢ユウキさんはすごい腹筋割れてますし、めちゃめちゃ鍛えるなと思いました」
――本番まで残り1週間、どのように鍛えたらいいかというアドバイスは
「皆さん稽古前に腕立て伏せと腹筋やってるんですよ。そこでちゃんとコツコツ1ヶ月間やってるんで変わってきてると思いますし、継続して毎日グループになって1人10回数えて合計50回とかやってるんで、それで本当に変わってると思います。それを毎日やれば大丈夫ですし、台本や動きを覚えるとか色々あると思うので大変だなと思いますけど、一番はみんなでグループトレーニングすることがいいと思います。稽古前にグループトレーニング!」
――今回脱ぐという作品でもあるんですが、そこに対して抵抗はなかったですか?
「いやでもほら、そもそも僕が今試合中パンツ一丁じゃないですか(笑)そこに対して抵抗は特にないし、どこまで脱ぐかって問題もありますからね。舞台でね、昔の私のセクシーさんがいるわけでもないし、セクシーさん好きが来るわけでもないと思うので本当に脱ぐのは一切抵抗なくやってます」
――布面積だったらセクシーさんのほうが
「最初はありましたけど最後は無くなってましたね(笑)舞台としてしっかりやりますし、プロレスもそうですけど日常生活とまた別次元の非日常なところなんでそれを見てもらえばなと。よく男色(ディーノ)さんが言ってましたけど日常できないことを舞台で表現できればと思います」
――DDTは今林GM含め演劇のノウハウをプロレスに持って来てる人達も多いですね
「マッスルもそうですしね。本当に今林さんとかに最近よく言われますよ、試合会場で『台本覚えたの?』『なんか言ってみなよ』『いつ本番なの?』って。すごい怖かったです…役者の先輩として来ました急に」
――DDTのファンたちも今回の『ぐらんぶる』はハードルなく見れるような舞台になってる
「そうだと思います。そこはもう楽しく見れると思いますし、やっぱ皆さんで作ってく舞台。みんなで楽しく役者と皆さんで楽しくやるっていうのがモットーにしてるので、本当にDDTに似てると思います。DDTのファンはすごく見やすいと思います。『飯野くん喋れるんだ!?』と思いますよ(笑)」
――思ったよりセリフ多かったですか
「多いです。毎日頭がパンク状態です」
――プロレスって一日終わったらまた次の試合次の試合ですが、演劇って何回も同じものを繰り返す部分があると思うんですけど違いは感じますか?
「まだ本番じゃないんであれですけど、5日間で10公演、1日2回ある中で、多分役者の方たちもずっと同じことやらないと思います。表情も含めて全部の部分で。そこに対して僕はいかに対応できるかですよね。急に違う台詞来て『えっ!』って困りますし止まるし、でもそこって本当にプロレスのマイクとかもそうじゃないですか?喋りは決まってないわけであって、バーって喋ってる中でそういうのも急にパンって来た時どう答えるかも自分が試されると思いますし。そこも経験になりますし、本当10公演がどういう公演になるか不安ですが、でも皆さん優しいのでちゃんと助けてくれると思います(笑)」
――聞いていると想像以上にプレッシャーを感じていらっしゃる雰囲気ですが
「めちゃめちゃ感じてますよ!僕の中で初めてですし、こんだけセリフがあって1から10まで出る事ってないんで。カプリチオの時ってほとんど覚えてないですけど『おいっ!』とかしか言ってないですからね!ぐらんぶるさんは結構あるんでずっと集中してますから。全部通した時に終わったあと脱力感すごかったですもん体の。プロレスより疲れるかもしれない(笑)違う意味の疲れで本当に」
――2.5次元舞台は今色々なプロレスラーが出られて、エル・デスペラードさんや関本大介さんや安納サオリさんなどが出られた事でプロレスファンになる演劇ファンの土壌ができていると思います
「なつぽい(万喜なつみ)さんは東京女子にいらっしゃった時にもなにかに出られていて、役者業やられてる方なんだと思いました。DDTにもLDHの武知海青さん出たりとか、2.5次元俳優の桜庭大翔さんが12月の両国国技館でデビューするとか、解説席に声優さんがいたりとか、前でいうと純烈さんとか、DDTは他業種多方向の人たちオファーしてやってますし。今回僕もぐらんぶる出て『こういうプロレスラーいるんだ。気になるな1回見に行こう』と思ってくれたら嬉しいですね」
――演劇ファンにご自身の試合でどういう所を見て欲しいですか?
「ギャップですね。『喋らないんだ』って。うぉーうぉー言ってるよこの人、暴れてるんだみたいな。あとは舞台とはまた違うじゃないですかプロレスは。戦ってるんで常に。そういうところで体型通りだなって思ってほしいです。その体を生かしてこうされてるんですねって思ってくれてもいいですし、そこを魅力的に思ってくれたら嬉しいなと思います」
――飯野選手は先日アイアンマン王座を奪取したことで、あとKO-D無差別級を取ればDDTのシングルタッグ全制覇まであと一歩のところまで来ています
「そうなんだ!? 6人タッグをめっちゃ持ってるイメージあるんです自分の中で。ALL OUTの時もセクシーさんのフェロモンズの時も6人タッグで、EXTREMEもセクシーさんの時に。タッグも遠藤さんと最近とって、10人タッグも両国国技館でとってますし、ユニバーサルもいつどこでとって、あと無差別だけか・・・完全グランドスラムですね!視野に入りました!」
――最近は無差別級戦線には加わっていなかったイメージがあります
「自分が正直今やっぱヘビー級とどうしても試合がしたい、それはもう一番にあって。12月に石井智宏さんとの試合が決まりましたけど、自分の中でヘビー級としての確立をしていきたい。なぜかっていうと樋口(和貞)さんや吉村(直巳)さんが欠場したり、火野(裕士)さんもいなくなり、納谷幸男が僕がちょっといなかった間に名が上がりましたけど、身長あるけどヘビー級として確立できてない部分がある。対して僕が今勢いよくユニバーサルとって、DDTのヘビー級には飯野雄貴がいるんだぞっていうのを今やっぱり一番広げたいのがありますよね。それが確立できた時にKO-D無差別級に挑戦したいですね。そこでグランドスラムで、世の中にDDTヘビー級の飯野を見せつけたいです」
――しばらくは他団体を含めヘビー級と試合をしていきたいと
「どんどん若いヘビー級の人とやりたいですね。石井智宏さんも新日本ですごい人なんですごく楽しみですけど、もっと若いヘビー級の選手としたいです。まあリミットブレイクでちょっとやらせてもらったんですけど、潮崎豪さんとやったのがそう思った一番でかいキッカケかもしれないですね僕の中で。潮崎さんとシングルしたりタッグでやった時に、やっぱチョップ合戦やタックルやったりラリアット合戦、僕の中で一番楽しく試合ができましたし、ツラいですけど痛いですけどやっぱそこは本当に楽しくて。だからヘビー級ともっと試合したいですね」
――DDTは体格で劣る事も多いので自分が他団体からの壁になるという思いも
「それは本当に思います。DDTヘビー級いないでしょ?って、いやいやいるよっていうの見せたいし、樋口さんが戻って来た時に僕もいて納谷もいてっていうのを見せたいというのはあります」
――樋口さん最近結婚されましたけど飯野さんは
「びっくりしちゃいましたよ!先を越されました。僕も幸せになりたい気持ちは多少ありますけどね、その前にちゃんと人と付き合えるのかって部分はありますよ・・・」
――突然童貞みたいな
「ぐらんぶるですから。ど、童貞じゃないですよ!でも僕も今年30歳なんで・・・やばいです」
――プロレスラーの他にパーソナルジムも経営されているので収入面でもしっかりされていますし
「そうですね。パーソナルジムの方が順調に動いちゃってますけど、プロレスがあってパーソナルジムがなってますし、本当そこはプロレスに感謝、DDTに感謝しています。プロレスラーじゃなかったらただの大きいトレーナーですから。今パーソナルジムって大会出るトレーナーとかもいっぱいいるじゃないですか?でも現役プロレスラーがやってるってあまり無いじゃないですか。そこに対して僕はどんどん宣伝していきたいし打っていきたいというのがあるので、現役っていうのが一番でかいんですよね何やかんやで。現役ですって動画や試合で見せられれば、ちゃんと動いててしかもジムもちゃんと自分で指導できるんだって信頼されますし文句も言われない。そこは僕の中で一番大きいんですよ。現役だと生で見られるじゃないですか。説得力が違いますし、その姿を見て頑張ろうと思ってもらえますし、お客さんも『飯野さんは現役でやってて経営もやってて舞台もやってて、僕も頑張ろう』と思ってもらえるように日々セッションをしてます」
――忙しくないですか?
「毎日働いてますよ。パーソナルジムも今日朝8時~10時でセッションして、今インタビュー受けて舞台の稽古させてもらって、21時~23時までセッション入ってるんで。やりがいがあってすごい楽しいですよこの1ヶ月間めちゃめちゃ」
――教えてると自分の体にフィードバックがあったりとかはありますか?
「ありますあります。お客さんを指導するにあたり、自分が作ってく身体なんで、『この関節が動くんだ』『この人こういう感じで動かせるんだ』って知って自分もやってみようって繋がりますし、人の身体ってほんと不思議で動かし方に色んなクセがある。僕もクセがあるかもしれないって鏡で見たりとかして発見がある」
――その研究した身体づくりが演者として舞台上で発揮されますね。今回スキューバダイビングがテーマですけど筋肉の違いはあるんですか?
「ありますよ。水泳って柔軟性が大切なんで。今回ぐらんぶるの練習で、スキューバダイビングを実際にやったんですよ。全然違いましたね。手を使わず基本的にばた足なんで、しかも(機材を)担いでるじゃないですか?なかなか新鮮でしたね。こうやって動くんだ、足ってこうやって使うんだと」
――それを舞台上で伝えるっていうことに関して難しくないですか?
「でもやったからやっぱりイメージがつきますね。こうやって手とか足とかやればいいんだって。まだまだ僕が出来てるかって言ったら難しいですけど、他の役者の皆さんはほんと素晴らしいです」
――ダイビングのライセンスをとってみようって気持ちは生まれましたか?
「ちょっと考えましたねやってて。とったら面白いだろうなと思いますけども、いざライセンス取得するために海に行ったら怖いです(苦笑)前プールだったんで、海って波もあるし広いし怖いと思います。でも最近プールでのプロレスとか湖とかもあるので、海上プロレスとかプロレスラーとしての幅が広がるならとろうかな(笑)」
――2.5次元俳優の桜庭大翔さんのデビューが12月28日両国国技館で決まってますが、ご自身も2.5次元俳優でデビューする部分で意識はしますか?
「僕の逆のパターンじゃないですか?だからどういう動きするのかなっていうのは楽しみです。でも舞台の役者さん今見てて、多分表現はすごいと思います。戦ってる中でどういう表現するのかなっていう楽しみもありますし、やっぱそこは僕も見て役者の方すごいなって勉強になるかもしれないし、戦いの部分をどうできるのかって思いますし、運動神経が良くても戦えるかどうかは別じゃないですか?そこだと強さも必要だし、いくらバキバキの身体でボディビルダーの人でも強さがなかったら勝てないと思います。お客さんも身体だけだなと思うかもしれないし、どう見せてくれるのかすごい楽しみではあります。でもダムネーションに行っちゃいましたからね。どうなるかわかんないですよ。佐々木さんよりすごいヒールの持ち主でリーダーになっちゃうかもしれない(笑)」
――今回舞台で初めて飯野選手を知った人も、2.5次元俳優のデビュー戦があるので12月の両国には是非来て欲しいですね。では最後に改めて舞台も含めて意気込みをお願いします
「僕は両国の前の12月22日の後楽園ホール大会で石井智宏と闘うので、本当に肉弾戦、ザ・ヘビー級としての試合をしたいと思います。そこで勝って一株上げてDDTのヘビー級に飯野がいるぞって見せたいと思います。その先にKO-D無差別級を目指します。ぐらんぶるはもうとにかく日々全力でやって舞台に臨んで100%、120%以上の力を出して10公演頑張りたいと思います!ぜひDDTファンは見に来てください!」
舞台『ぐらんぶる』
日程:11月13日~17日(全10公演)
会場:池袋・Theater Mixa
出演者:高本学(北原伊織役)/佐伯亮(今村耕平役)/立花紫音(古手川千紗役)/横野すみれ(古手川奈々華役)/ 河本景(吉原愛菜役)/飯野雄貴(時田信治役)/君沢ユウキ(寿竜次郎役)/松永有紘(野島元役)/織部典成(御手洗優 役)/ゲスト:ぐんぴぃ(春とヒコーキ)
公式HP:https://officeendless.com/sp/grandblue_stage/
チケット:https://l-tike.com/play/mevent/?mid=727349