格闘技ジム代表がドーピング&選手への薬物販売バイヤーであることを自白!購入した選手は検査陰性もRIZINが「罰則強化・啓蒙講習会などアンチドーピングに格闘技界で取り組む」
5日、RIZINが平本蓮のドーピング疑惑に関する記者会見を開催。会見には榊原信行RIZIN CEOの他、RIZIN医療部部長・諌山和男先生、副部長・川口慶先生、金成道先生の3人が登壇した。
7・28『超RIZIN.3』さいたまスーパーアリーナ大会のメインイベントで平本蓮vs朝倉未来の試合が行われ、1R2分18秒で平本が左フックからのパウンドラッシュで未来をKO。この結果により未来は格闘家を引退したが、試合から2週間ほどたつとSNS上で平本の真偽不明のドーピング疑惑が浮上する事態に。
様々な格闘系インフルエンサーが便乗して炎上したが、その中でDEEPやパンクラスなどに参戦していたTRISTAR GYM日本館代表の赤沢幸典が「海外に10年いてまわりの格闘家は当たり前のようにサプリメント感覚でドーピングをしていた。みんながやっているので罪の意識が薄れてしまい、僕もドーピングをしてしまいました」「僕自身は平本のドーピングに加担した」「音声証拠を撮り、平本と僕の共通の知人や記者に渡すことにしました」と突然の自白と暴露。
ドーピングのやり方を平本に指南したという音声データと、『SARMs』『ノルバデックス』といった薬物を赤沢が平本に販売した振込履歴をSNSに投稿し、平本のみならず赤沢に関わっていたTRISTAR GYM所属選手や練習を一緒にしていた選手たち全てにドーピングの疑いが及ぶような格闘技界を揺るがす事件となっている。
9月2日に平本が記者会見を開き「自分は一切ドーピングやってもいませんし、自分からお願いしたような事実はありません。風邪薬でもドーピング違反になることがあるから使わないほうがいいと指摘され未使用のまま保管されている」とドーピングを完全否定。
5日にRIZINが会見を開き、7月28日に採尿された尿検査により朝倉未来・平本蓮両選手ともに陰性であった事が報告された。
SNSでは毛髪検査や血液検査までやるべきだという声があがっているが、諫山先生は「現在のWADA(世界ドーピング防止機構)での検査を実施している検体の9割は尿検査です。2022年のデータで言えば手元で約23万件の検体に対して陽性だった検体は381検体。231,313件中381検体。陽性率は0.16%という結果が出ています。対しまして血液検査をおこなった件数が22,708件ありました。陽性だった検体数は13件。これは0.0005%と尿検査より低率でした。このことにより採尿による検査で充分に陽性者を判断できています。採血による腕の神経根損傷、また痛みによって迷走神経反射など考えますと非常に不適切です。毛髪検査は覚せい剤検知とかで、全くWADAの検査項目にも入っておりません。検査結果を主催者が隠微、捏造するのではないという見方をする方がいるようです。我々医療部のドクターは、選手の健康、選手の生命を第一に考えます。主催者側とは独立した部門であります。もし主催者側が捏造するようなことがあれば、結果を最初に知る私たちは医療倫理、アンチドーピングポリシー、公平性、スポーツマンシップにのっとり告発することになります。加えてWADAの検査機関の一つであるSMRTLが二度と検査を引き受けてくれなくなることや、この機関からむしろ告発されることもあるでしょう」と時折厳しい口調で説明する。
榊原CEOもこれを受けて「ルールを抜本的に見直す。これまで以上に検査体制を厳しくする形のドーピング規定の見直しと、新しいドーピングポリシーの策定に入ります。まず日本国内の団体の皆さんに声をかけて全体的にレベルアップをするドーピング基準を設けていけたらいいなと思ってます。先生方とか有識者の方にドーピングに対する意識の啓蒙と、何が具体的にドーピングになる可能性があるかっていうことを選手関係者に伝えていく講習会などを行っていきます。また一番効果的な、こんなこと本当はしたくないけど罰則を厳しくします。罰金とか選手に対しての規制を強化する。契約書ベースで言えば今までに書いてある文言以上にドーピングに対する厳しい制約とか、約束を選手とさせていただくことを交渉の中で進めていきたいし、その約束が守れない、契約書にサインできないという選手とはこれからRIZINに出場してもらえないということになります。強くなることを標榜するのであれば、アンチドーピングを新たにこの場でこの機会に誓ってほしい」とメッセージを送った。
RIZINを巻き込んだ一人の男の自白が、格闘技界全体を巻き込むアンチドーピングへの1歩となった。業界にどの程度ドーピングが蔓延しているか見当もつかないが、たとえ相手がジムの代表やトレーナーであっても怪しい薬を勧められたら購入するのは控え、意図しないドーピングに手を出す事のないように気をつけて格闘家生活を送ってほしい。