【試合詳細】7・28 PANCRASE大阪大会 秋葉太樹vs氏原魁星 名田英平vsシュウジ ヤマウチ 遠藤来生vs中村晃司

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『PANCRASE BLOOD.3』
日程:2024年7月28日(日)
会場:大阪・住吉区民センター大ホール
開始:13時45分

【試合結果】

<プレリミナリーファイト>

▼第1試合 バンタム級戦 5分3R
●前田 海(総合格闘技道場コブラ会イースト)
2R 0分29秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○山木麻弥(ALIVE)

▼第2試合 フライ級戦 5分3R
○今井健斗(マーシャルアーツクラブ中津川)
判定3-0
●松原聖也(Team FreeStyle)

▼第3試合 バンタム級戦 5分3R
○千種純平(パンクラス大阪稲垣組)
1R 4分20秒、チョークスリーパー
●田中千久(宇留野道場)

<メインカード>

▼第4試合 女子フライ級戦 5分3R
●ライカ(RIGHT THING ACADEMY)
判定0-3
○和田綾音(ALIVE)

▼第5試合 ストロー級戦 5分3R
○植松洋貴(NEVER QUIT)
判定3-0
●尾崎龍紀(総合格闘技道場コブラ会)

▼第6試合 フェザー級戦 5分3R
○遠藤来生(Power of Dream Sapporo)
判定3-0
●中村晃司(パンクラス大阪稲垣組)

▼第7試合 コーメイン フェザー級戦 5分3R
●名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
1R 2分29秒、腕十字固め(タップアウト)
○シュウジ ヤマウチ(TEAM YAMAUCHI)

▼第8試合 メインイベント フライ級戦 5分3R
○秋葉太樹(パンクラス大阪稲垣組)
2R 2分16秒、TKO(タオル投入)
●氏原魁星(ボンサイ柔術)

秋葉太樹が5年ぶりの勝利を収め王座戴冠に向け再起!を決めた!ブラジルから日本に移住したシュウジ ヤマウチが鮮烈勝利でフェザー級戦線に旋風!

第1試合


 1R。お互いプレッシャーをかける。山木がミドルを入れ、組んでケージへ押し込む。前田が入れ替えるが、山木がすぐに戻す。さらに前田が入れ替えるが、山木が投げてテイクダウン! ヒジ、パウンドを落とす。
 前田が下から足を取るが、山木抜いて立った。バックを取った山木。ケージへ押し込み、崩す。前田が立ち上がると、山木はケージへ押し込む。
 ケージ際で前田が左右パンチ。両者離れて、パンチを打ち合って終了。
 ジャッジは3名とも10-9山木。

 2R。前田がパンチ。山木もパンチで出ていく。ケージに追い込み、パンチのラッシュ! 前田は距離を取るが、山木は追い詰めて右ハイ、そして左右パンチ! 前田がしゃがみこみ防御一方になり、レフェリーが止めた。

第2試合


 1R。松原がロー。今井はフックを放つ。次いで遠いタックルからケージへ押し込むと、投げてテイクダウン、サイドにつく。肩パンチ。松原が回ってカメになると今井がバックを奪い首を狙う。伏せ腕いる松原。しかし今井は腕を抜いて殴る。
 立ち上がった松原。今井は正対してケージへ押し込んだ。今井が投げて上に。肩パンチを打つ。さらにチョークを狙うが松原外した。松原が立つと今井がケージへ押し込むが、両者離れた。
 残りわずかで松原パンチで出ると、今井が組んでケージへ押し込んだところで終了。
 ジャッジは3名とも10-9で今井。

 2R。松原がパンチで出ると、今井は組み付く。バックに回る。さらにバックマウントになりパウンド。ガッチリかかえ、仰向けになって殴る。脱出したい松原だが、なかなか抜けられない。しかし、松原が返して上に。ヒジを落とす。さらに、立ちぎわにパンチ。さらにパンチを放つが終了。
 ジャッジはこのラウンドも3名10-9で今井。

 3R。お互いロー。松原が飛び込んでパンチ。さらに右ハイキック、パンチを打つ。しかし今井は低いタックルからガブった。バックに回る。正対しようとした松原だが、今井は許さない。腕十字を仕掛ける今井だが、松原が抜けて立った。
 今井がタックルからケージへ押し込む。松原ヒザ。今井が引き込んで松原に尻もちをつかせたが、試合終了。
 ジャッジは3名ともに30-27、3-0 で今井が勝利。

第3試合


 1R。千種が右ハイ、ジャブ、ミドルと攻める。田中もパンチで出る。追い詰めてケージを背負わせパンチを打ち込む。しかし入れ替えた千種がケージへ押し込む。引き込んでテイクダウン。立ちあがろうとする田中だが、千種はバックを取りチョーク! ガッチリ極まり、田中がタップアウト。

 今回がパンクラスデビュー戦となる千種だが、見事な一本勝ち。期待の若手が出てきている稲垣組、今後も楽しみだ。

第4試合


 ライカは数々の輝かしい戦績をもつ元プロボクサー。MMAに転向し、2014年、プロデビュー。その後、DEEP、REALに参戦し、2015年、パンクラスに初参戦。
 翌年、中井りんと闘うもTKO負け。その後しばらくパンクラスに上がることはなくDEEP、ROAD FCに舞台を移したが、2018年よりパンクラスに再び参戦。その後はコンスタントに試合を行っている。前回は今年3月
杉山しずかに判定負けを喫している。

 対する和田はこれがデビュー戦。名古屋の名門・ALIVE所属で、どのような闘いを見せるのか期待がふくらむ。

 1R。和田が先にパンチを振って出る。右ハイキック。ライカは様子見のパンチを返すが、和田が組み付いてケージへ押し込む。
 ライカが入れ替えてヒザ。和田、効いたか。さらにヒザを入れるライカ。和田もヒザ。壁から離れたい和田だが、ライカは押し込んでヒザ。しかし和田が入れ替えた。投げでバックマウント! パウンド連打。
 ライカが上を取り方パンチ、さらに殴る。和田が下から仕掛けるが終了。
 ジャッジは3名とも10-9和田。

 2Rも先に飛び出す和田。パンチから低いタックル。バックを取りすぐマウントに移行した。パウンド連打! さらにバックマウントから首を狙うが、これは不十分。しかし和田はさらに腕へ。
 腕を抜いたライカ。ハーフマウントから殴って終了。
 ジャッジは3名ともい10-9和田。

 3R。攻め手が少ないライカ。このラウンドで取り返すしかない。
 和田がパンチで出る。ライカは和田の蹴り足をつかみテイクダウン! しかし、和田は下から腕十字! ライカはヒジ、パンチ連打。和田は暴れてケージへ押すと、ライカの両足を引いて尻もちをつかせた。そのまま押し込んでいく。
 しかし、ライカが立ち上がった。残り1分。突き放したいができない。両者ヒザを打ち込み合って終了。
 ジャッジは2名が29-28和田、1名が30-27和田、3-0で和田がデビュー戦で4位を下した。

第5試合


 4位の植松は2021年より参戦し、翌2022年NBT同級優勝を飾っている。直近では2023年3月、リトル戦でドロー、同年7月、野田遼介にTKO負け、今年3月、増田大河にスプリット判定勝ち。連勝で波に乗りたいところだ。

 一方の尾崎は2013年発参戦。大阪大会に参戦しながら力をつけ、2019年NBT同級で優勝している。しかし、このところ3連敗を喫しており、ランカーを下して殻を破りたい。

 1R。尾崎が強いロー。さらにパンチで出る。植松が組んでケージへ押し込んだが、すぐに離れた。離れ際に尾崎がパンチ。気合いがみなぎっている。
 植松がケージへ詰めてパンチ連打! さらに押し込んでいく。しかし離れた。お互いパンチを出すが、植松がまた組んでケージへ。ヒザを打ち込むがブレイくがかかった。
 再開。パンチで出た尾崎。組んだ植松。尾崎がケージへ押し込もうとするが、植松が強引に押し込む。尾崎は入れ替えてボディを殴る。次は植松が入れ替ヒザ連打。しかし、これがローブローとなりタイムストップ。
 尾崎のダメージは少なくすぐ再開された。植松がケージへ押し込んでヒザ。離れると「来い!」と煽る植松。ここで終了。
 ジャッジは1名が10-9植松、2名が10-9尾崎。

 2R。すぐケーキへ詰めていく植松。尾崎はロー。組んだ植松はケージへ押し込んでヒジ! 離れると、尾崎がパンチで出て打ち合いとなる。
 しかし尾崎が組んでテイクダウン! 植松は尾崎の頭部を引きつけるが、蹴って立ち上がる。
 植松がケージへ押す。抜けたい尾崎、しかし植松はさらに押し込む。離れて打ち合う! また植松が組んでケージへ押し込むが、ブレイクとなった。尾崎はパンチを振るが、植松は押しこむ。離れたところで終了。
 ジャッジは1名が10-9尾崎、2名が10-9植松。

 イーブンで迎えた3R。両手を大きく打ち合わせて気合いを入れる植松。両者出るとパンチを打ち合う! 尾崎が跳びひざ。植松がパンチを合わせると尾崎がバランスを崩し、植松がすかさず上に。ハーフマウントから殴る。壁を使って立ちたい尾崎は、両足で植松の右足をはさんでいる。
 肩固めを狙う植松。尾崎は防いでいる。植松はガッチリ押さえ込む。エビで返そうとする尾崎。ボディを連打し、引き剥がして立ち上がった! パンチの打ち合いとなる。お互い「来い!」とアピールし合い、殴り合って終了。
 ジャッジは3名とも29-28、3-0で植松が勝利。

第6試合


 遠藤は2021年より参戦中。NBTにはエントリーしていないが、内村洋次郎、Ryo、高木凌、平田直樹と注目の選手と試合を重ねている。しかし、直近は3連敗と苦杯をのむ。ランカーの意地を見せるか。

 対する中村は2009年デビュー。豪快な打撃スタイルが身上で、特にハイキックでの鮮やかなKO勝利が印象深い。2018年12月以降、しばらくマットを遠ざかっていたが、2022年4月に復帰。今年2月には岩本達彦にKO勝ちを収めている。今回も地元で大暴れするか。

 1R。お互いローデ様子をうかがう。中村が左ハイキック。これをブロックした遠藤が左右パンチ。やや距離を取っている中村に対し、遠藤は距離を積めてくる。ミドル、入ってパンチ。中村もパンチを返す。
 中村がハイ、ミドル。遠藤が中村の蹴り足をつかみ、パンチを入れたところで終了。
 ジャッジは1名が10-9中村、2名が10-9遠藤。
 倒せる力を持っている両者だけに、緊張感が漂う。中村は手数を増やしていくか?

 2R。中村は距離を保ちながらジャブ。遠藤が右ミドル。中村が入ってジャブ&左ボディ! さらにロー。両者、距離を詰めて打ち合いに。遠藤の右ハイキック、中村がカット。遠藤がミドルを入れていく。中村のジャブがヒット! さらにヒザ、ジャブ。中村のジャブが当たっている。遠藤がパンチで出たところで終了。
 ジャッジは1名が10-9中村、2名が10-9遠藤。このラウンドもヒリヒリした緊張感。

 3R。中村はまだ距離を保っているが、遠藤が出てミドル、ロー。中村はジャブを当てていく。左ハイキックからワンツー! 手数を増やしている中村だが、倒すにはまだ足らない。
 遠藤がパンチ、ミドル。中村が組もうとすると、遠藤はさせない。再び中村が組むとテイクダウン! しかし遠藤はガブリを振り切って立ちサイドに。さらにマウント! パウンドを連打。カメになる中村。遠藤はさらにマウントを取り、パウンド、ヒジを落とす。
 意地を見せ抜けて立ち上がった中村だが、消耗している。遠藤が前に出てタイムアップ。
 ジャッジは2名が29-28遠藤、1名が30-27遠藤、3-0で遠藤が判定勝利。

第7試合


 名田は2017年よりパンクラスに参戦中。初期は大阪大会で闘っていたが、2019年NBTフェザー級優勝。その存在感を見せつけ、東京でもお馴染みの顔となっている。しかし、現在はRyo(2023年7月)、キム・サンウォン(同年11月)、三宅輝砂(今年2月)と、競合相手とはいえ手痛い3連敗中。地元・大阪で勝利し、勢いをつけたい。

 一方のヤマウチは2022年12月に初参戦、雑賀ヤン坊達也にTKO負けを喫している。2度目の参戦は勝利をつかみたいところだ。

 1R。なだがジャブ。プレスしていく。ヒザを入れて組んだヤマウチ、ケージへ押しこむ。ももを殴る。ゆっくりと入れ替えた名田。ヤマウチはすぐ入れ替えてロー、肩パンチ。一気に離れようとする名田だが、ヤマウチは逃さない。
 もぐって下から腕を狙うヤマウチ。しかし名田は外した。ヤマウチが三角を狙うが、名田が頭を抜いた。名田がパウンドを落とすが、ヤマウチが再び腕十字! ガッチリ極まり、名田がタップアウト!

【ヤマウチ ケージ上コメント】

「こんにちは。もう一度呼んでくれて本当にありがとうございます。今、ブラジルから日本に移住して、自分の夢の総合格闘技で活躍するために、まずパンクラスのイベントに来ています。皆さん、自分は絶対諦めない選手です。自分の強さしっかり見せるので、皆さんの応援をよろしくお願いします」

【ヤマウチ 試合後コメント】
――おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか。
「今、幸せな気持ちでいっぱいです。この大会のために練習したことを全て出せたので、とても満足しています。 このイベントに呼んでいただけて、ほんとに感謝しています」

――相手の印象はいかがでしたか。
「相手は思ったより力も合って強かったです」

――階級をフェザー級に変更して、これが適正階級とおっしゃっていた通りの動きだったと思いますが、ご自身ではどういった感触でしたか。
「そうですね、本来、自分はフェザー級の選手なんですよ。前回のパンクラスではライト級で出てくださいとお願いされました。(本来の階級ではないけれども、試合ができることは)チャンスだと思ってお受けしました。でも、今日フェザーで試合をやって、やはりこの階級が自分の階級で間違いないということがわかりました」

――ヤマウチ選手が加わることで、パンクラスのフェザー級戦線がさらに面白くなると思いますが、ご自身ではいかがですか。
「はい、この階級のランキングに入ることを自分もすごく楽しみにしています。もちろん強い選手がいっぱいいるので、リスペクトしながら皆さんとの試合に取り組みたいと思っています」

――先ほど、ケージで日本に移住して格闘技をやっていくとおっしゃってたんですけど、日本で格闘技をやると決められた理由はどういうことでしょうか。
「今までブラジルでいろんな総合獲得の試合をやってきました。でも、やはりこの日本という国は格闘技の国なので、ここで活躍して、日本の総合格闘技のイベントを盛り上げることができると思っています。そのために移住を決めましました。
自分は日本のおかげで格闘技を始めたんです。日本の昔の格闘技を見て、自分がやりたいことはこれだ! と思って、子供の頃、絶対に日本で格闘技をやると決めました。なので、ここ日本で試合できることは幸せでいっぱいです」

――日本の中にはいろいろな格闘技の団体がありますが、パンクラスを選ばれた理由は何だったのでしょうか。
「パンクラスは、日本の中でも一番歴史のある団体です。だから、自分は日本に行ったらパンクラスで闘いたいと決めていました。自分の中ではパンクラスは世界のトップ5のイベントの中に必ず入っています。そして、絶対パンクラスのチャンピオンになりたいということも決めて日本に来ました」

――ありがとうございます。今後の展望をお聞かせください。
「これからこのフェザー級のベルトを狙っていきます。もちろんランキングに入っている選手はみんな強いので、一人ひとり倒してあのベルトまでいきたいと思います」

第8試合


 秋葉は2015年よりパンクラスに参戦中。3年ほど関西の大会で闘い、力をつけてきた。2018年3月、東京進出。安永有希、荻窪祐輔、神酒龍一ら実力者たちを撃破。一気に株を上げた。しかし、現在は5連敗中。とはいっても、小川徹、鶴屋怜、伊藤盛一郎、ムハンマド。サロヒディノフら厳しい相手に揉まれてきている。必ず勝って、今後へのステップにしたい。

 対する氏原は今年2月に初参戦の19歳。初戦はチョークで一本勝ち、2戦目は判定負けと、これからの選手だ。もともとこの試合は菅歩夢が対戦相手として組まれていたが、怪我による欠場で宇治原が急遽の代役となった。本来はストロー級の氏原。フライ級の実力者にどう立ち向かうのか。

 1R。パンチで出る氏原。秋葉はスリップでバランスを崩すが、すぐ立ち直る。秋葉がパンチで前に出ていく。回る氏原に対し、秋葉はジャブ、右フックをヒットさせる。
 氏原がタックルに入るが、秋葉は付き合わない。逆にケージへ押し込んで大きく足を踏む。氏原はヒザを連打して離れるが、秋葉のパンチがヒット! 氏原効いたか。
 秋葉がケージへ押し込んで上になるパウンドを落とす。防いでいる氏原。秋葉がヒジ連打、氏原が顔から出血している。さらに秋葉がヒジを打ち込んで終了。
 ジャッジは3名10-9秋葉。

 2R。距離を詰めていく氏原。秋葉が左ハイキック! 氏原はこの蹴り足をキャッチしたが、アキバが投げて上に。パウンドを落とす。氏原が下から三角を狙うが、秋葉が頭を抜く。しかし氏原が腕十字! 秋葉が防ぐ。
 氏原はガードポジション。秋葉はボディ、肩パンチから鉄槌連打! 氏原がさらに出血しているようだ。青コーナーからタオルが投げられ、秋葉がTKO勝ち。5年ぶりに勝利を挙げた。

【秋葉 ケージ上コメント】
「ありがとうございました。2週間……10日ぐらいですかね、氏原選手、仕上げてくれて、試合をすることができて、すごく嬉しいし光栄です。氏原選手、ありがとうございました。
こうやって関西で、大勢の人が応援に来てくれてる中、TKO、こんな感じになってしまったこと、すいませんとは言わないですけど、勝つことができました。
今、僕は、稲垣組で揉まれて、北方大地、そして親父の稲垣さん、稲垣組のメンバーのおかげで上に上がれてきてる自信があるんで、もう一丁やったるんで、これからも応援してくれると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました」

【秋葉 試合後コメント】
――勝利した、今のお気持ちをお聞かせください。
「久しぶりっすね。5年ぶりの勝利なんで、やっと勝てたんやなっていう感じですね」

――その5年間という時間、長かったですか、短かったですか。
「あっという間ですね。ほんとあっという間でした」

――対戦相手の氏原選手の印象はいかがでしたか。
「緊急で出てきてくれた選手だけあって、根性があるというか、腹をくくって出てきてるんやなって思うぐらい、打たれ強くて、我慢強くて、タフな選手でしたね」

――全体的に危ない場面はなかったように思いますが、試合としての感触はいかがでしたか。
「そうですね。急にファイトスタイルが真逆のファイターになったんで。でも逆に言えば、絞る展開が1か所だけだったんで、もうクローズドでハイガードで三角で、十字で、三角もどっち狙いかっていうのも単調だったんで、そこをしのぐだけだったんで。で、削るように削るようにしてフルラウンド闘う予定でいたんで。その中で、スタンドのテイクダウン、スタンドのKO、もしくはグラウンドで削って削って、テイクから肘、肘、肘で削り終わっていました。最終はどっかでフィニッシュができるようなっていうイメージだったんで。ただ、思ったよりも自分がバテてしまいそうになってたっていうのはありましたね。そこだけですかね」

――相手がカットしていたのはヒジですか。
「右ヒジじゃないんですかね。多分ヒジだと思います。結構血が出てたなと。削って、もうヒジで切るっていうのを意識してたんで、それをスタンドでも飛びつきクローズとかの展開が多かったんで、スタンドでも壁でも削って。で、色々他の展開もあったんですけど、やっぱり思うようにいかないのが試合ですよね」

――試合後、納得できないというような表情をされてましたよね。
「そうですね。やっぱりタオル投入っていうのは、セコンドが試合を止めるっていうことじゃないですか。そうじゃなくて、やっぱり一本とかKOとか、そういう勝ち方をしなきゃって思っていたので。今日の試合、思ってる勝ちと全然違うんで、なんか“勝つ”とは程遠い感覚なんで、理想の勝ちにたどり着くようにまた頑張っていくだけですね」

――今日は、うまくピースがハマっていい流れができていた感じがします。でも、秋葉さんは別に以前弱かったわけじゃなくて、ずっと強かったと思うんです。でも、いろいろなものを持っているのに、それがうまく回っていかなかったような感じだったと思うんですけど、今回はそれがいい感じで行ったのかなというふうに見えました。
「そうっすね。今まで、なんか自分勝手に格闘技をしてたんですけど、今回の試合前から、前回(試合が)なくなった前くらいから、しっかりと自分のファイトスタイルっていうのを構築するところから始めて、で、それがやっと形になってきたかなっていう感じですね」

――1つ1つの技がどうのこうのってことじゃなくて、全体的に自分のスタイルができてきたと。
「はい。土台を大きくしたというか、なんかもう足元が細いのに上のパーツばっかりでかくなりすぎてて。だからやっぱ諸刃の剣じゃないですけど、ハマてば強いけど、崩れるところはもろく崩れて。そこを見抜かれたらただの雑魚、みたいな感じも自分で薄々気づいてて。でも、それをしっかり教えてくれる仲間がいるんで。やっとですね。今から楽しみにしててください」

――途中、氏原選手が腕を狙ったシーンがありました。実況解説で、前田吉朗さんが「よくやった」とものすごく褒めてらっしゃいましたが。
「腕は全然決まってなかったんですけど、褒めてもらえたのはそれが多いっすね。嬉しい限りです」

――前田さんは、秋葉選手にとって師匠のような感じなんですか?
「吉朗さんは僕が入るタイミングでちょうど独立されたんですね。はい。僕は(吉朗さんの道場に)で行かせてもらってる時にお世話になりました」

――では、今後の展望をお聞かせください。
「やっぱり僕が欲しいのはパンクラスのベルトだけなんで。そこを目的に今ずっと総合格闘技の道を歩んでます。でも、そこにたどり着くために1個出遅れてるなって自分で自負してたんで、これを機に再浮上するために、またイチから積み上げていきます」

 長かったトンネルをようやく抜けた秋葉。こんなトンネルに入ることは、もしかしたら、これからもあるのかもしれない。しかし、稲垣組の仲間がいれば、そのトンネルは長くはないだろう。MMAは個人競技であって個人競技ではないのだから。
 久しぶりの勝利を挙げた秋葉は、パンクラスで闘い始めた頃よりもずっと落ち着いているように見えた。それは年齢を重ねたからではなく、自分の場所を見つけたからではないだろうか。
 苦しかった5年を経て、秋葉は人間としても成長したように思う。その人間力と仲間を武器に、勝ち上がっていくのが楽しみだ。

(写真・文/佐佐木 澪)

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