「全く悔いが無い最高のプロレス人生を送ってる」引退を控えるカズ・ハヤシが世界ジュニア王座奪取ならず!ライジングHAYATOに熱い思いを託す
12日、神奈川県・横浜BUNTAIにて全日本プロレス『チャンピオン・カーニバル2024【優勝決定戦】』が開催。ライジングHAYATOがカズ・ハヤシを破って世界ジュニア王座の2度目の防衛に成功した。
ライジングHAYATOは17歳のときに愛媛プロレスでデビューし、当時の全日本首脳の目に止まったことから全日本へ武者修行する形でレギュラー参戦。2022年1月には史上初の愛媛&全日本のダブル所属となり、ローカルインディーの星として話題を呼んだ。
伸び悩んだ時期もあったHAYATOだったが、熱血キャラから色気たっぷりのビジュアル系にキャラクターチェンジしてから覚醒。身体に刻まれるタトゥーの数が増えるのに比例するかのように実力も伸びていき、今年3月には悲願の世界ジュニア王座初戴冠。名実ともに全日本ジュニアの顔となるまでに成長した。
3月の大田区総合体育館大会にてMUSASHIを相手に初防衛に成功したHAYATOは、「俺にとってプロレスっていうのは、リング上で心の中のぐちゃぐちゃのドロドロのどす黒い何かをぶちまけるものだと思ってるんだよね。俺の知ってるレスラーで一番どす黒いのは、カズ・ハヤシだよ」と、世界ジュニア最多防衛記録を持っているカズ・ハヤシを次期挑戦者に指名。
カズは「俺今年7月に引退するんだよ。ここで俺がベルト獲ったら、そのまま持ったまま引退するよ?HAYATO選手にとって、勝って当たり前。負けたらA級戦犯とずっと言われるからね。そのリスクと覚悟があるんだったら俺とやろうじゃねーか」とギラついた笑みを浮かべながらこれを受諾した。
全日ジュニア世代交代に向けて新時代を作り始めたHAYATOが、歴史と記録を持つカズの引退前に全日本プロレスでのピリオドを打つことが出来るのかどうかに注目が集まっていた。
試合が始まると、HAYATOは鋭いチョップやアクロバティックな動きでカズを翻弄。
しかし、カズは場外戦でHAYATOの空中技を鉄柵に自爆させるなどの頭を使ったベテランの妙技でじわじわ削っていき、ロープの上に寝かせたHAYATOにライオンサルトを見舞うなど全盛期の動きを彷彿とさせる空中技も繰り出していく。
HAYATOの必殺技であるシド・ヴィシャス(※トップロープからのライオンサルト)を剣山で迎撃したカズはパワープラントでぶっ刺してからファイナルカットを狙うが、これを人でなしドライバーで切り返したHAYATOがシド・ヴィシャスを決めて3カウントを奪った。
試合後、2人は握手&抱擁。カズはHAYATOの耳元でしばらく何かを語りかけてから退場していった。
試合を終えたカズは、「んあ~……死んじゃう、死んじゃうよ、死んじゃう。あぶねえ」とうめきながらボロボロの状態でバックステージに登場。
しかし、その後は「いんやぁ~出し切った!本当にHAYATO選手、逆指名してくれてありがとうございます。こんなに嬉しいことは無い。プロレスラーはやっぱりどこでやるにしてもライバルを作って、仕事もらって、皆の前で試合をして、必死で闘って、そしてプロレスというリングの上で『またこの人とこの人が闘うところを見たい。見ていきたい』と思わせなくちゃいけない。それをね、HAYATO選手はありがたいことにチャンピオンという立場でありながら、7月1日に引退を控えている僕に対して『タイトルマッチを挑んでこい』と言ってくれた。僕は今までのプロレス人生……まだ続くけど、今日まで全く悔いは無いし、最高のプロレス人生を送ってる。僕の残っている試合全て、次に繋がるような、また見たくなるような試合はずっとしていきます」と清々しい表情で語った。
対するHAYATOは、カズへの深いリスペクトを述べた後に「世界ジュニアのイメージ・伝統・歴史、俺が全部1回ぶち壊させてもらうよ。俺も壊さなきゃいけない理由は分からないけど、なぜかそう思ったんだ。壊して、壊して、壊し尽くした先に何か新しい光があるんじゃないかって思ったんだ」と世界ジュニアの大胆な革命を宣言。
試合後のリング上でカズにかけられた言葉の内容を問われると、しばらく考えた後に「答えは、『言いたくない』でいいかな。内容は俺とカズ・ハヤシにしか理解できないものだから」と語り、熱い思いを胸の内にしまい込んだ。