「俺はお金に興味がない。プロレスに興味があるんだ!」ブライアン・ダニエルソンから“世界一”の称号を受け継いだザック・セイバーJr.が語るプロレスへの信念

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 11日、大阪府・エディオンアリーナ大阪にて新日本プロレス『THE NEW BEGINNING in OSAKA』が開催。ザック・セイバーJr.がブライアン・ダニエルソンとのシングルマッチに勝利した。

 ブライアンは新日本プロレスLA道場出身であり、2002年から新日本マットへ継続参戦。その後はROHからWWEへと渡り、現在はAEW所属。
 昨年勃発したアメリカでのオカダ・カズチカとの因縁から新日本へ再上陸。様々な因縁を乗り越えて今年1月4日の東京ドームでオカダと対戦したブライアンは、試合には敗れるもオカダと向き合って互いに座礼。
 ブライアンは「負けたけれども凄く自分にとってはいい気分だ。ここ13年間、求めていた物がここにあったと思う。新日本プロレスっていうのは、今も目を閉じて考えると夢のようなんだ。プロレスを始めた時に自分が行きたいと思っていた夢の場所であり、自分のヒーローたちの住まう場所。アメリカやカナダのプロレスラーたちは、ここで育ち、そしてここから旅立ってトップになっていったんだ。自分自身ももちろんここで学び、そして日本で長い間プロレスをしたいと思っていた。当時はそういう結果にはならなかったけれども、今またここに戻ってこられたというのは何か夢を叶えたような、また夢の中にいるような気持ちだ」と思いを語っていた。

 今大会では、ブライアンとザック・セイバーJr.のシングルマッチが実現。
 ブライアンは「2008年に小さな開場の45人ほどの観客の前でまだ子どもだった痩せたザックとやったことを覚えているが、とても良かったことを覚えている」と語っており、ザックも2002年1月にNWA-UKで始めてのプロレスのトレーニングの日に会ったことを記憶しているなど、2人の関係は22年以上にも渡る。昨年10月にはAEWのリングで対戦し、その際にはブサイク・ニーを叩き込んだブライアンが勝利した。
 これについてザックは「お前はサブミッションで俺に勝ったんじゃない。俺から逃げた。リマッチで世界最強のテクニシャンを決めよう」と再戦を要求していた。


 ゴングが鳴ると、途切れることのない流麗なチェーンレスリングが展開されていき、読み合いの末に奇しくも同じ構えになるなど世界最高峰の闘いが展開されていく。
 ブライアンの執拗なヒザ攻めでザックが左足を痛めると、ブライアンが膝裏への低空ドロップキックで倒し、サッカーボールキックやドラゴンスクリューなどで猛攻。ザックは片足立ちで闘うほど重いダメージを負う。
 ザックは一瞬の隙を突いてのネックツイストで流れを変え、猛攻をかいくぐってコブラツイストからオクトパスホールド。ブライアンがヒールホールドで切り返すとザックもヒールホールドに切り替えて睨み合い、そのまま顔面をバチバチと張っていく意地の張り合いへと突入。
 ブライアンが場外へと誘い出して脱出し、ブライアンのダイビングニードロップをキャッチして三角絞め。そのままクラーキー・キャットから目まぐるしい変形の末にクロスヒールホールドに捕らえるがブライアンが必死のロープブレイク。
 真っ向からのエルボー合戦ではエルボー同士が幾度も正面衝突。ブライアンが顔面へのバズソーキックを叩き込み、コーナートップからの雪崩式バックドロップ。ザックも負けじとザックドライバーから三角絞めに引き込もうとするが、ブライアンもルベル・ロックを釣り餌に左ヒザへのニーロック。
 ブライアンはサッカーボールキックを連打も、ザックは敢えて正面からすべて受け止めて雄叫び。ブライアンがルベル・ロックを狙っていくがザックは30分以上闘い続けているとは思えない高速機動で翻弄。ブライアンがカウンターのブサイク・ニーを叩き込むも、2発目をかわしたザックが熾烈なヨーロピアンクラッチの掛け合いから一瞬の隙を突いての十字架固めで3カウントを奪った。

 試合後、ザックはブライアンに握手を求める。ブライアンは悔しそうな表情で首を横に振り一度は立ち去ろうとするも、戻ってきて握手を交わしザックの手を掲げあげて勝利を称えた。

 バックステージに戻ったザックは「それまでハードコアなデスマッチなどのプロレスが支持されていて、プロレスにはアイデンティティがなかった。俺は日本のプロレスに夢中だった。2008年、イギリスのヒョロヒョロに痩せたティーンよりも痩せたハタチの俺が、不思議な縁で世界一のテクニカルレスラー、ブライアン・ダニエルソンと試合が組まれた。トリプルXレスリングのコヴェントリーでの大会だ。45人程と数匹のペットが観客だったと思う。ブライアン、お前は5分で試合に勝って、すぐにその場を去ることができたはずなのに、人生で一番のレッスンを与えてくれた。俺のキャリアの方向がそこで一変したんだ。その場で。その試合で。そしてブライアンはまた一歩先に、世界最大のプロレス団体に向かった。俺たちのプロレスをプロレスではないと拒否する団体だ。ブライアン、それでもお前はどんな逆境の中でも、団体にとってなくてはならない存在になってきた。そしてプロレス界全体においても、ブライアンが成し遂げてきたことは大きな意味を持つんだ。ブライアンが世界最大のプロレス団体で活躍し億万長者になっていた頃、俺はどのメジャー団体からのオファーも断り続けた。まだ成し遂げられていないプロレスの未来へのビジョンがあったんだ。俺はこれからも人生の全てをこのスポーツに捧げるつもりだ。感謝も祝福も期待していない。そしてある日忽然と姿を消すだろう。その日まで、俺は毎日新日本プロレスにいるだろう。日々、プロレスの概念を覆すために働き続けるだろう。そして1人、また1人と億万長者が増えていくたびに、俺はここにいる決意が強くなる。それは愚かなことだと思うからかもしれないし、資本主義を信じないからかもしれない。そしていつの日か、俺はここを平等な社会主義な組合に変えてやる。俺はお金に興味がない。プロレスに興味があるんだ。2024年、俺はIWGPヘビー級王座を獲って、プロレス界を一変させてやる。1人でやるんじゃない。ここにいるアホどもと一緒にだ」とブライアンへの感謝の気持ちとTMDKの仲間たちとプロレスを究めていく覚悟を語った。

 一方、ブライアンは「俺の目も腕も100% 完治している。そして今夜、俺は魂を100%尽くした試合をした。魂を100%尽くしたんだ!それにも関わらず、アイツ、ザック・セイバーJr. は俺に勝ちやがった。俺はアイツと握手を交わし、リスペクトを見せることしかできなかった。そして、俺が持っていた称号を譲るしかなかった。“世界一のテクニカルレスラー”はもう俺ではない。それはザック・セイバーJr. だ」と最強の称号をザックに譲った。

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