「12年前に闘った棚橋弘至に外敵として社長業に専念させてやりたい」オカダ・カズチカが新日本プロレス所属ラストマッチで王座防衛し涙のマイク!
24日、東京都・後楽園ホールにて新日本プロレス『Road to THE NEW BEGINNING』が開催。オカダ・カズチカが新日本所属としてのラストマッチを行った。
オカダは2004年に闘龍門でデビューするも、その後新日本でヤングライオンからやり直して2008年4月に再デビュー。TNAでの海外修業を経て2011年に凱旋帰国。その後、2012年2月に当時24歳で棚橋弘至を撃破してIWGPヘビー級王座を戴冠した“レインメーカーショック”は現在まで続くプロレスブームの走りとなったと言える。
衝撃的な世代交代を果たしたオカダは新日本のアイコンとして君臨。G1 CLIMAXおよびNEW JAPAN CUPの歴代最年少優勝記録更新、IWGPヘビー級王座の歴代最多連続防衛、最長保持期間記録、最多通算防衛記録など数多の金字塔を打ち立ててきた。
今月19日には、新日本プロレスよりオカダが2024年1月31日を以て契約満了により新日本を退団することが発表。
2月11日の大阪府立体育会館大会、23日&24日の北海きたえーる大会にはフリーとして参戦することが決まっているが、新日本所属としての試合はこの日が最後。
オカダの新日本ラストマッチは、オカダ・カズチカ&棚橋弘至&石井智宏vsマイキー・ニコルス&シェイン・ヘイスト&藤田晃生のNEVER無差別級6人タッグ王座戦。
この試合は今月5日の試合後に藤田がオカダに喧嘩を売る形で実現したものであり、藤田にとっては“新日本のオカダ・カズチカ”を超える最後のチャンス。まだデビュー2年半、まだ21歳の藤田がタイトル初挑戦となるこの試合でレスラー人生を変えることにも期待が集まっていた。
オカダが入場すると大・オカダコールが沸き起こり、オカダが涙をこらえながら選手コールを受ける。
試合はオカダと藤田の注目の対面で始まり、鋭いエルボー&逆水平チョップで先制する藤田に対してオカダは場外に放り出してのボディスラムと手荒い反撃。そのまま棚橋&石井がタッチを回しながら藤田をじっくりといたぶっていく。
藤田が棚橋のお株を奪うドラゴンスクリューを見舞って生還すると、ニコルス&ヘイストが怒涛のコンビネーションで王者組を圧倒。石井に裏摩周を見舞って仕留めに行くもオカダが救出して2人まとめてDDT。打って変わってニコルスがピンチに陥るが、今度は藤田が飛び込んできて3人を相手に大立ち回りを展開。援護を受けたニコルス&ヘイストが石井にハイウェイ・トゥ・ヘルからタンクバスター。完璧に決まるも、石井が根性のキックアウトを見せる。
再びタンクバスターを狙うが、棚橋が決死の救出。棚橋&石井がドラゴンスクリューの競演を見せてニコルス&ヘイストを蹴散らし、最後の勝負はオカダと藤田に託される。
藤田は感情むき出しのエルボー連打。オカダは歯を見せてニッカリ笑いながら受け止めるも、怒りの藤田が顔面を挑発的に蹴りつけるとオカダが鬼の形相で反撃開始。これを絡め取った藤田が足を固めながらのキャメルクラッチで絞り上げてからジャーマン・スープレックス・ホールド。オカダがお返しのジャーマン・スープレックス・ホールドから伝家の宝刀・ドロップキックを叩き込み、ショートレンジ式ラリアット連打から天に向けて雄叫びを上げてレインメーカーを発射。これをかわした藤田がレッグロールクラッチで丸め込むも反撃はここまで。既に藤田には追撃に行く力は残されていなかった。
最後は棚橋がスリングブレイド、石井がスライディング・ラリアット、オカダがドロップキック、ダイビング・エルボードロップ、レインメーカーと猛連撃を叩き込んで3カウントを奪った。
8度目の防衛成功という有終の美を飾ったオカダは、石井にベルトを腰に巻いてもらった後にニコルス、ヘイスト、そしてザック・セイバーJr.とも抱擁を交わす。
マイクを取ったオカダは、「もう泣きたくないですよ。散々泣いたから。でも17年間熱い熱い熱い歓声……本当にありがとうございました!」とこらえきれずに泣きながら絶叫。
そして、「石井さんにこのベルト巻いてもらいましたけども、今日で返上します。でも、このタッグのベルトってのはIWGP世界ヘビー以外で獲れたベルトなんで、石井さんと棚橋さんには本当に感謝しかありません。ありがとうございます!今日で所属としてはおしまいですけども、まだ大阪、札幌、3試合ありますんで。外敵としてしっかり闘いたいなと思います。まだまだこれでおしまいじゃないですし、サヨナラでもないですし、まだメインイベントもありますし、新日本プロレスを楽しんでいってください。本当に新日本プロレス、選手・スタッフ、そしてファンの皆様、お世話になりました。また必ず会おうと思いますので、そのときはオカダ・カズチカを、レインメーカーをよろしくお願いします。本当にありがとうございました!」と挨拶し、リングを後にした。
バックステージに戻ったオカダは「2007年、僕が19歳のときからですかね。本当にいろんな先輩に怒られたし、たくさん学ばせてもらって。本当にメキシコから帰ってきて、どうしようもないガリガリのどうしようもないレスラーでしたけど、ここまで一人前にしてもらって、そしてしっかりと送り出してもらえる。本当に感謝しか無いです。この新日本プロレスで学んだことをしっかりとまた次の場所でも活かして闘っていきたいと思います」と感謝の言葉を述べつつ、最後は「12年前に闘った棚橋弘至に外敵として社長業に専念させてやりたいなと思います」とかつてのオカダを感じさせる不遜な言葉遣いで棚橋へエールを贈った。