【インタビュー】我孫子市議選3選を果たした“売名王”澤田敦士が心臓手術を経て3年9ヶ月ぶりのプロレス復帰!政治とプロレスの師・アントニオ猪木さんへの思いと“ストロングスタイル”について熱弁!
- 2023-12-6
- コラム, ニュース
- リアルジャパンプロレス
12月7日に後楽園ホールにて行なわれる『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.27 ―力道山先生没60年追悼興行―』で約3年9ヶ月ぶりのプロレスラー復帰を果たす澤田敦士にインタビューを行った。
澤田は明治大学在学時に全日本ジュニア柔道体重別選手権大会100kg級で優勝するなどの実績を挙げ、小川直也に師事してプロレスラーの道へ。2007年にアントニオ猪木さん率いるIGFでデビューし、数試合でプロレス大賞新人賞を受賞するなどの活躍を見せる。
“売名王”の異名を取ってリング内外を騒がせてきた澤田だが、2015年に千葉県・我孫子市議に当選。今年11月19日には3選を果たし、盤石な地盤を築いている。
プロレスラーとしては、2選目の当選を果たした直後の2019年12月にストロングスタイルプロレスのリングで約2年2ヶ月ぶりに復帰。しかし、2020年3月に同団体のリングで船木誠勝との一騎打ちを行った際に三角絞めで敗れ、その後は意識が朦朧となって緊急搬送されるという事態に見舞われた。なんとか大事には至らずに済んだ澤田だったが、その後はプロレスラーとしてリングに立つことはなく年月が経過。
今大会では、スーパー・タイガー&船木誠勝vs村上和成&Xのタッグマッチが行なわれることが発表されていたが、Xの正体は澤田であることが電撃発表。澤田は約3年9ヶ月ぶりの復帰戦を行うことになった。
澤田と船木の因縁は先述の通りだが、スーパーと村上にも浅からぬ因縁がある。
2013年3月に当時レジェンド王座を保持していたスーパーに村上が挑戦するも、村上の狂乱ファイトから試合が不成立となり6分20秒でノーコンテストという結末に終わった。
その約8年後の2021年4月には、村上が「お前の試合には牙が無い牙が。俺がいつでもお前のその牙復活させてやる」という宣戦布告とともにスーパーのレジェンド王座に挑戦表明したが、その試合は実現せぬまま今日に至る。
4人の男たちが紡いできた歴史の糸が一本に交わることになるこの試合、澤田はどのような意気込みで臨むのか。公務を終えたばかりの澤田に直撃した。
■「心臓が2倍くらいに腫れて破裂しそうになってた」――試合後に救急搬送され心臓を緊急手術。約3年9ヶ月ぶりの復帰
――まずは我孫子市市議会議員選挙の3選、おめでとうございます!
ありがとうございます!あっ、“さんせん”ってプロレスの参戦?(笑)いやいや、本当にどちらも心から御礼申し上げます。
――約3年9ヶ月前、船木誠勝選手との試合後に緊急搬送されました。あのときはどういう状況だったのでしょう?
あのあとすぐに心臓を手術しました。心臓が破裂しそうになってたんで。2倍くらいに腫れてたって話で「今すぐ手術しなきゃダメだ」と。そこから完治までに……2年くらいかかりましたかね?投薬治療とかリハビリとか色々やって、ちゃんと動けるようになったのは2年くらい経ったあとだったと思います。
――政治家としては、やはり支持者の方からお叱りの声などありましたか?
まあ、そりゃあね。僕も公人として活動してますから。直接言ってくる方はいなかったですけど、そういった目で見られてたんだろうなと。あの件に関しては、レスラーとしても、議員としても、1人の人間としても反省しないといけない試合だったなと思ってます。
――「完治まで2年かかった」という言葉がありましたが、その後すぐに復帰しなかったのはリングからしばらく離れようという考えがあったのでしょうか
離れようとは思ってないですよ。僕は生涯プロレスラーを貫いていきたいんで。でも、タイミングがなかなかなかったかなと。そもそも、僕を使おうという団体は無いと思いますよ。心臓で倒れてますから、いくら僕が「治ったから」って言っても他の団体さんは僕を使うのは怖いでしょう。そんな中で今回、平井社長(ストロングスタイルプロレス)が声をかけてくださった。前にストロングスタイルプロレスで恥を晒した人間にまた手を差し伸べてくださった。こんなありがたい話は無いので、お話があったときには「是非ともやらせてください!」って二つ返事でお受けしました。
――前回の復帰の際には「猪木会長の遺伝子が受け継がれている佐山先生の団体しかない」とストロングスタイルプロレスのリングを選びました。今回も同じ思いでしょうか
そうですねえ。 「元気があれば何でも出来る」と「迷わず行けよ、行けば分かるさ」の精神を胸に議員活動・選挙活動をやってきたわけですから。それは議員としてじゃなくて、プロレスラー人生でもこれをテーマに活動していかなきゃいけないなと思っていますから。僕がリング復帰するとしたらここのリング以外には無いかなという思いはありましたよ。
――過去2回の当選直後には、それぞれプロレスに復帰して敗れるというジンクスが2回続いています。今は試合前ですが、負けることは考えていますか?
出る前に負けること考える馬鹿いるかよッ!出てけコラッ!……絶対これ言わせたかっただけでしょ(笑)でも、僕もアマチュア柔道とかやってましたけど、ホントそうなんですよ。やる前から負けること考えませんよ。プロレスだって政治だって選挙だってそうです。やる前に負けること考えるなんて馬鹿ですよ。
■船木誠勝との再戦にかける思い、初タッグの“平成のテロリスト”村上和成との意外なエピソード
――久々の試合、対角にはあのときと同じ船木選手がいます。船木選手にはどういう気持ちを抱いていますか
本音を言うと、「受けていただいてありがとうございます」ですよ。4年前の話なんであんま言いたくないですけど、今思うとあのときは体調が万全じゃなかったんですよ。コンディションが悪いというか、無理して出て行って入場から記憶が無い中での試合になって、あんな醜態を晒して……。本当になにも覚えてなくて、僕の中では“醜態を晒した”以外になにもない試合。それで、僕が試合後に病院に担ぎ込まれて心臓を手術したことだって船木さんも知ってるわけですよ。よくもそんな相手との試合を受けてくれたなと。本当にありがとうございます。純粋にそういう気持ちです。
――船木選手とはどういう試合をしたいと思いますか
試合になったら本気で船木さんにぶつかって倒していくだけです。それだけですよ。選挙中も朝3時に起きて稽古してたんで。体力的なところは心配してないです。今度こそ、倒してみせます。「潰しに行く」とかホントそんなんじゃなくて、とにかく僕の本気の思いをぶつけていきたいと思います。
――今回のパートナーは村上和成選手です。過去に組んだり闘ったりしたことはあるのでしょうか?
無いですね。初めてです。リングで絡んだことも無いですし、話したことも……。いや、1回あるな。小川直也さんを通じて、1回会ったことがありました。「はぐれ小川軍の村上さんじゃないですかぁ~!」って言ったら否定はしてなかった気がする(笑)
――スーパー・タイガー選手についてはどういう印象を持っていますか
いや、スーパー・タイガーは強いですよ。動き見てれば分かる。アレは本当に強い人の動きですよ。そりゃあリングの上で会ったら全力でぶつかっていきますけど、道端とかで絶対に喧嘩したくない。絶対に避けて通る。そういう怖さがあります。オーラがありますよ、オーラが。「あっ、こりゃあヤバいわ」みたいな強者のオーラってやつですかね?タイガーマスクの遺伝子からオーラが出てるんですよ、多分(笑)でもリングで闘えるってことは純粋にワクワクしますよ。
■「そもそも猪木さんは“ストロングスタイル”なんて言葉は使ったことない」――プロレスと政治の師・アントニオ猪木さんから学んだ生き様と覚悟
――澤田選手は猪木イズム、闘魂の継承者の1人だと思います。プロレスラー業を休止している間に猪木さんが亡くなったことについてどのように思いますか
「あぁ、ついにそのときが来たんだな」って。ショックというのは正直あったけど、僕の中で覚悟はしていたかなって。会長に頼り切っていた議員生活でしたし、猪木会長は僕の人生を変えてくれた人ですから。プロレスの世界にも政治の世界にも導いてくれたのは猪木さんですからね。亡くなられて……覚悟が生まれたかなって。自分は猪木さんの思いというものを背負って生きていかなきゃいけないなと、そういう覚悟が。政治家としてもプロレスラーとしてもそうですよ。「感謝、感謝、感謝」。猪木会長にはそれだけしかないです。ご遺体を眼の前にしたときにも「感謝、感謝、感謝」しか無かった。覚悟が生まれましたよ。人生の覚悟が……。
――本当の意味で独り立ちする覚悟が生まれたと
そうですね。“猪木イズム”とか、それは僕らが言うことじゃなくて、マスコミさんとか第三者が言うことで、そういう評価をするのは第三者。1つ言えるのは、猪木さんはずっと僕のことを思っていてくれたということです。亡くなる寸前まで「澤田は大丈夫か」って言ってくれていたので。個人としてもプロレスラーとしても強く生きていかなきゃいかんなと、そう感じています。実は今日締めているネクタイも猪木さんの形見です。猪木さんが見ていてくださると思ってやっていきます。
――この4年弱でストロングスタイルプロレスは大きく変わりました。澤田選手が最後に参戦したときに始まった女子マッチも今や大会の半分を占めるようになりましたし、以前よりも増して『ストロングスタイルとはなにか』と世に問う団体になっています。このリングで澤田選手はどのようなものを見せたいと思いますか?
ストロングスタイルプロレスはすごいと思いますよ。「本物のプロレスとはなにか」と佐山先生、新間先生が未だに追究している。プロレスというものに常にまっすぐ向き合い続ける姿勢には本当に頭が下がりますよ。佐山先生が思うプロレスを見せて、少しでも納得していただけるような試合をしたいなと思いますよ。なによりも、お客さんの前でどういう試合をするか。多分ね、求められてることは媚を売らないってとこですよ。リングの上に上がったら自分との闘い。すなわち客との闘い。対世間。「プロレスとはなんなのか」と考え続けることが現代の猪木問答ならぬ佐山問答なのかなって思います。
――澤田選手にとっての“ストロングスタイル”とはどういうものなのでしょう?
「ストロングスタイルってのはなにか」っていう質問をされたら、僕の答えは「分かりません」の一言です。「猪木さんはストロングスタイルだ」って誰かが言っただけで、そもそも猪木さんは“ストロングスタイル”って言葉は1回も使ってないんですから。だから僕の答えは「分かりません」になるんですよ。
――猪木さんの生き様が「ストロングスタイルだ」と評されることがあっても、決して“ストロングスタイル=アントニオ猪木”ではないと
猪木さんがいつも言っていたのは「強さを追い求めなさい」「プロレスラーは心も身体も強くなきゃいけない」って言葉です。1つ言えるのは、“プロレスとは闘いである”と。相手との闘い、客との闘い。世間と闘っていくことが今のプロレスに最も足りないところだろうと思います。佐山先生だって、若いときから今に至るまで常に世間と闘ってきた人でしょう?その姿をファンに見せてきた人じゃないですか。“ストロングスタイル”ってものがあるんだとしたら、それは言葉じゃなくて生き様なんだと思います。まあ、猪木さんの教えはシンプルに「プロレスラーは強く在れ」ってことなんですよ。
――先程「世間との闘い」という言葉がありました。世間に影響力のある議員レスラーだからこそプロレス界に貢献出来ることはあると思いますか?
そんな大それたこと考えてないですよ。貢献だなんておこがましい。ただ1レスラーが1議員になっただけで、1議員がプロレスをやっているだけで。謙虚な気持ちを持たなきゃいけないと思ってますよ。議員としてプロレスの価値を上げるなんてことは、アントニオ猪木以外に出来ることじゃないです。スポーツ外交しかり、北朝鮮やイラクの問題もしかり。あれは“プロレスラー・アントニオ猪木”だから出来たことで、猪木さんがプロレスラーっていうものの価値を上げてくれたって言えると思うんです。「貢献する」っていうのはそのレベルの話だと思ってるんで、それに近付きたいだなんておこがまくて軽はずみに言えないですよ。僕は僕の出来ることを謙虚に、謙虚に積み上げていくだけです。
――では、“我孫子市市議会議員プロレスラー・澤田敦士”にしか出来ないことはあると思いますか?
「プロレスで地元を盛り上げます!」なんてちっちゃいこと言ってもしゃーないし、地元を盛り上げるなんてのは当たり前で、議員は全員そうだから。プロレスラー議員だからこそ出来ることってのがあるんですよ。発信力もそうだし、僕はプロレスラー時代の色んな人脈を使わせていただいてます。千葉ロッテマリーンズの監督をしていらした井口監督もIGFによく来てくれていたんで交友があって、我孫子で野球教室をやっていただいたり。あとは小川直也さんが我孫子市役所に表敬訪問にいらして我孫子の魅力を発信してくださったり、ボブ・サップさんが小学校で英語の授業をやってくれたり。他には議員になる前から個人的なパイプがあるマスコミの人に我孫子の魅力を発信する記事をYahoo!ニュースとかに載せていただいたりとか。行政の課題がどうのこうのと考えるのは議員なら当たり前なんで、それ以外でプロレスラー議員としての役目がある。それが我孫子で僕にしか出来ないこと。他のレスラー議員にもそれは伝えたいですね。
――そういったプロレスラー議員としての精神も猪木さんから教わったのでしょうか
もちろんです。東京オリンピックのときには我孫子でスロベニアの柔道選手たちの事前キャンプを受け入れたこともありましたけど、それも猪木さんが闘魂外交で培ってきたものがベースですから。
――最後になりますが、3年9ヶ月ぶりの復帰戦に向けてファンにメッセージをお願いします!
まあ、今回の参戦発表があって有権者の皆さんもビックリしてましたよ。「えっ?!選挙後に試合やんの?!」って(笑)まさに「一寸先はハプニング」ってやつで(笑)僕の参戦発表のニュースとかもかなりバズってたのを見たんで、期待はしていただけているのかなと思います。今回はしっかりとコンディションを整えて、お客様にも佐山先生にも見せて恥ずかしくない試合をしたいと思いますので、どうぞ皆さん応援に来てください!宜しくお願い致します!
大会を約2週間後に控えた段階で電撃発表された澤田敦士の参戦。
プロレスと政治の双方で猪木さんに師事してきた澤田は、最もストロングスタイルプロレスのリングにふさわしい選手の1人であることは間違いない。
プロレスラー議員としての誇りを強く持つ澤田が久々のリングでどのような闘いを見せてくれるのか、船木との再戦の行方はどうなるのか。そして全くの未知数となる村上との“売名王&テロリスト”のタッグがどのような化学反応を見せてくれるのか。
その答えが出ることになる12月7日の『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.27 ―力道山先生没60年追悼興行―』は注目必至だ。
『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.27 ―力道山先生没60年追悼興行―』
日程:2023年12月7日(木)
開始:18:30
会場:東京都・後楽園ホール
▼シングルマッチ 30分1本勝負
尾崎妹加(フリー)
vs
石川奈青(フリー)
▼タッグマッチ 30分1本勝負
日高郁人(ショーンキャプチャー)/阿部史典(格闘探偵団)
vs
宮本裕向(666)/佐藤光留(パンクラスMISSION)
▼シングルマッチ 30分1本勝負
ダーク・チーター(DarkerZ)
vs
櫻井裕子(COLOR‘S)
▼タッグマッチ 30分1本勝負
スーパー・タイガー/船木誠勝(フリー)
vs
村上和成(フリー)/澤田敦士(フリー)
▼力道山先生没60年追悼セレモニー
▼レジェンド選手権試合 60分1本勝負
【王者】間下隼人
vs
【挑戦者】関根“シュレック”秀樹(ボンサイ柔術)
※第17代王者は2度目の防衛戦。
▼SSPW女子タッグ王座初代王者決定トーナメント決勝戦 60分1本勝負
[CRYSIS]ジャガー横田(ディアナ)/藪下めぐみ(フリー)
vs
タイガ-・クイーン/梅咲遥(ディアナ)
※勝者が初代タイガーSSPW女子タッグ王者となる。