【インタビュー】『PANCRASE 335』でデビューの現役高校生・鈴木悠斗、メインを飾る高木凌が属するパラエストラ八王子に突撃!「ド派手にKOしてメインの高木先輩につなげたい」「UFCで闘える選手になりたい」
開催まで5日と迫った『PANCRASE 335』(9日/ニューピアホール)。第1試合とメインは、ともにパラエストラ八王子所属の期待の若手だ。
第1試合を務める鈴木は、これがデビュー戦。昼間はバイトとジムでの練習に明け暮れ、夜は夜間高校に通う17歳の現役高校生だ。178cmの長身に加え、まだ高校生とは思えないガッチリした体格で、「大きい!」という印象。しかし話してみると気さくで礼儀正しく、よく笑う明るいキャラクターだ。
話していて特に感じたのは素直さ。強くなるのは、素直に人の意見を受け入れられる選手だという。まずはデビュー戦でどのような闘いを見せるか。
メインで大会を締める高木は、2021年よりパンクラスに参戦中。6戦5勝4KOと、ファンの期待が大きく高まっている選手だ。昨年12月、新居すぐるにアームロックで初の黒星をつけられたものの、今年3月には遠藤来生に2ラウンドKO勝ちで波に乗る。
打撃の印象が大きいが、練習ではもちろん組み技にも力を入れる。フルラウンド闘ったのは1試合しかない高木。ほとんどの試合で早く決めてしまうため、試合ではなかなか見られない粘り強さが見られ、このようなところにも、技術やパワーだけではない高木の強さが秘められていると感じられた。
試合直前、プロ練習を終えた鈴木と高木に現在の心境を聞いた。
(7月4日、パラエストラ八王子にて)
【鈴木悠斗】
――パンクラスデビュー戦です。意気込みを聞かせてください。
鈴木「はい。1試合目ということなんで、ド派手にKOしてメインの高木先輩につなげたいですね」
――まだ17歳の鈴木選手ですが、格闘技を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
鈴木「そうですね、簡単に言えば、やっぱり強い男ってかっこいいから。そう思って始めました」
――格闘技自体はいつ頃から見るようになったのですか?
鈴木「そうですね、中学校1年生ぐらいから興味を持ち始めましたね」
――これまで、どんな格闘技を見て来られましたか?
鈴木「そうですね、最初はキックボクシングを見てたんですけど、そのうち総合の方が面白いかなと思うようになりました。最強を目指すなら、全部できてこそかなと思って」
――格闘技を始める前に、他のスポーツはされていたのでしょうか。
鈴木「中学校1年生から3年生まで、部活動で野球をやっていました」
――それでも、格闘技の方が面白かったですか?
鈴木「そうですね、格闘技の方が面白かったですね」
――実際に格闘技を始めて、このパラエストラ八王子に入ることになったきっかけは何だったのでしょう。
鈴木「いろんなジムを見させていただいたんですけど、青木真也さんとか有名な選手がいっぱいいて、ちゃんとしてそうなジムだったので決めました」
――ご自宅は近いんですか?
鈴木「いや、そんなに近くはないですね。自転車で50分とか、そのくらいですね」
――えっ、そんなにかかるんですか!?
鈴木「ジムに通うのも体力づくりになってるかもです(笑)」
――さて、こうして本格的にMMAを始められたわけですが、これまで練習をやってきて、得意なことは何でしょうか。
鈴木「打撃が得意ですね。KOってかっこいいなと思っていて。打撃でいきたいなと思いますね」
――そして今回デビューされるわけですが、闘いの舞台としてパンクラスを選んだ理由は?
鈴木「そうですね、やっぱり世界に行きたいので。それでパンクラスさんを選びました」
――デビュー戦で、どんな勝ち方をしたいですか?
鈴木「KOでいきたいです!」
――少し気が早いですが、将来の目標を教えてください。
鈴木「最終的な目標はUFCチャンピオンです」
――今とても充実されているようですが、バイトをしながら学校にも通って、格闘技もやって、というのは大変ですね。
鈴木「大変ですね。もう学校、イヤになっちゃいます、アハハ! 格闘技だけやっていたいですね(笑)」
【高木 凌】
――試合が迫ってきましたが、コンディションはいかがですか。
高木「いい感じですね」
――今度の相手は、2位の中田大貴選手です。試合が決まった時の心境はいかがでしたか。
高木「うーん、なんだろう。自分の先輩の亀井(晨佑)さんもやってますし(※2022年3月)、やり応えのある選手なんじゃないかなと思います」
――試合を見て、中田選手にはどのような印象をお持ちでしょうか。
高木「前に出ますよね。相手の懐に入って闘っていく選手なのかなって思います」
――その中田選手に対して、特に強化してきたことや特別にやってきたことはありますか。
高木「あんまり……多少はありますけど、試合だからっていって強度を上げるとかじゃなくて、普段の練習から常に全て、打撃、レスリング、柔術、いろいろちゃんと成長できるように意識しています」
――高木選手というと、やはり打撃のイメージが強いと思います。でも、先ほどの練習を拝見していて、組み技の粘り強さみたいなところを感じたのですが、そういった部分も見せていきたいという気持ちはありますか?
高木「うーん……まあ、その機会があれば寝技も出したいとは思うんですけど、やっぱり自分の一番の強みは打撃なので。寝技を見せたいっていうのはちょっと違う感じがします。
やっぱり、自分の一番強いところで闘って、それでも分が悪くなったら混ぜようかなとは思っています」
――あくまで打撃で勝負したい。
高木「はい。一番強いところで勝負したいです」
――ここで、少し高木選手自身のことをおうかがいします。まず、格闘技を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
高木「シンプルに、強くなりたいと。知人に格闘技をやっている人がいるんですけど、僕がまだ格闘技をやっていない頃にその人とスパーリングしたら、めちゃくちゃボコボコにされて(笑)。それで、格闘技ってめっちゃカッコいいなあと思ったんです。それで、自分も強くなりたくて始めました」
――それはいつ頃だったんですか?
高木「高校生の頃ですね。その後、大学に入ってからもやりたいなと思って始めた感じです」
――格闘技以前に何かスポーツはされていたのでしょうか。
高木「ずっと野球をやっていました。高校3年生まで」
――それでも、格闘技の方がよかったですか?
高木「格闘技の方が全然楽しいですね」
――実際に始めたのはいつ頃でしょうか。
高木「学生時代はジムとか入ってなくて、卒業してから入りました」
――パラ八を選ばれた理由は何だったのでしょうか。
高木「それは本当に運で。自宅から近いというのもあったし、自分がここがいいっていう直感を感じて『ここにしよう!』って。そうしたら良いジムが当たったなって感じで(笑)」
――たとえば憧れの選手がいたとか、強い選手がいたとかではなかったんですね。
高木「青木真也選手が指導されているっていうのはありましたね。青木さんのことは知っていたので。青木さんが指導されてる、ってことはちゃんとしてるんだなと思って。見学に来たら楽しくて、そのまま始めた感じですね」
――パラ八は、青木選手の他にも有名選手、強い選手がたくさん所属しています。すごく刺激があったのでは。
高木「そうですね。入った時は、徳さん(徳留一樹)はじめ、プロの人たちが自分にいろいろなことを与えてくれました。だから、自分もそれを受け継ぐというか、下の世代の子たちにいっぱい練習している姿を見せつけるって言ったら変ですけど。そして結果を出せば、自分のことを信じてついてきてくれている人たちが安心すると思うので、そういう背中みたいなのを見せたいですね」
――前回、試合後に「亀井さんにつなぎたい」とおっしゃっていました。そういう、先輩から後輩へと続いているものがあるんですね。
高木「あると思います」
――格闘技をやってきて、気持ちの変化って感じますか? たとえば、自分がどんな人間なのかわかってきたとか。
高木「一丁前に昔から気は強かったんですよ。でも、心の度量みたいなのが、その気の強さについてきてなかったなって思います。でも、格闘技をやり始めて、心の余裕ができたというか。試合とは関係ないんですけど。やっぱり、強いっていいなって思いますね(笑)」
――強くなると、気持ちにも余裕が出てくるんですね。
高木「はい。楽です。余裕が少し出てきますね」
――格闘技は、自分で自分を理解していくような部分もあったんですね。
高木「はい、はい(うなずく)」
――どちらかというと無口なイメージがあったんですけど、そうではなくて意外でした。
高木「めちゃくちゃベラベラ喋る方です(笑)。でも、無口そう、喋らなそうってよく言われます」
――では、試合の話に戻ります。今回、2位の中田選手に勝ったら、以前、中田選手に勝っている亀井選手と試合……なんてことはありませんか!?
高木「亀井さんと試合!?(驚く)え、どうなんでしょう。ないんじゃないですか(笑)」
――同門対決は禁止とか?
塩田歩・パラエストラ八王子代表「禁止っていうわけじゃないですけど、現実的にはタイトルマッチ以外はないですね。本人同士がやりたいと言うのであれば、その時考えます(笑)。たとえば8人トーナメントとかに出ていて決勝で当たるとかだったら、もうしょうがないかなと思いますけど」
――そうなんですね。では、今回の試合で、見せたいもの、伝えたいことってどんなことでしょうか。
高木「そうですね。応援してくれる人たちとジムの仲間である後輩、先輩に、練習は嘘をつかないって言いますけど、このジムでは自分が一番練習していると思うんで、自分を見ている子たちを安心させてあげたいです。そして、勝って次に行きます」
――最終的な目標はどこに置いているのでしょうか。
高木「徳留さんからUFCのグローブをもらったんで、これは自分も行かないとなと思って。最終的にはそこを目指してますね。そこで闘える選手になりたいです」
――まずその前に、パンクラスのベルトですね。
高木「うーん、そうなんですけど、結局、流れだと思っていて。その時に良いお話があれば、という感じですね。
どこにも執着していないと言うか。どこでもお話があれば、全力でやるという感じです。勝っていれば、お話は来るんじゃないかなと思うので」
――その時どきで良い話が来れば、挑戦したいと。
高木「そうですね。あまり先のことは考えない派なので。まずは目の前の中田選手をしっかりと良い形で倒せば。中田選手は、誰にもKOされてないじゃないですか。そこで自分がKOすれば、本物のストライカーとして認めてもらえるんじゃないかなと思います。
もちろん、そこが最終目標じゃないですけど、まずはそこを倒して認めさせたいです。自分はあんまりデカい目標を掲げるタイプではないので」
――堅実ですね。
高木「アハハ、そこはそうですね。まずは今回の試合を頑張ります」
塩田代表は「今回の試合は、高木にとって非常に重要なステップアップになる試合だと思う。ただ、もう一段階上のステージで闘える実力はついていると思うので、それを証明してほしい」と話した。
「高木のストロングポイントは打撃だが、組み技でも負けるとは思っていないし、MMA全体を使えれば、打撃にこだわらなくてもいい。当てることもできるし、逆に組んでもやれる」と期待を寄せる。
「とはいえ、あまり数を出さなくても一発で失神させる打撃が高木の天性の魅力。そこにぜひ期待してください」とのこと。パラ八2選手は、オープニングとメインで決めることができるか。当日が非常に楽しみになってきた!
(写真・文/佐佐木 澪)