「10年前の約束の相手じゃありませんでした。人違いでした」高橋ヒロムが剣舞のマスクを手にAMAKUSAと史上初の王者対決も、戦後に哀しき独白

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 21日、東京都・東京ドームにて、プロレスリングNOAH『chocoZAP presents KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』が開催され、IWGPジュニアヘビー級王者の高橋ヒロムがGHCジュニアヘビー級王者のAMAKUSAから勝利した。

 史上初の現IWGPジュニア王者とGHCジュニア王者の対戦。試合名が『TOKYO TORNADO』となっているが、かつて高橋ヒロムがイギリス遠征に繰り出していた時代、AMAKUSAの前世と噂されるみちのくプロレスの剣舞とタッグチーム『トーキョートルネード』を結成していた。
 当時の2人は再会と再戦を約束していたが、ヒロムはその後メキシコに移動しカマイタチへ名前を変え、日本に帰ってきた剣舞も2019年に消息不明に。
 今回の試合ではヒロムが常に剣舞との戦いを視野に入れているが、AMAKUSAは「愚問」と別人であることを主張していた。

 試合前から額を突き合わせて睨み合った2人は、ゴングが鳴ってもしばらく動かずじっと見つめ合う。
 互いの攻撃を読み合いかわし合うスピーディな攻防が展開され、AMAKUSAがスワンダイブ式のティヘラからトルニージョで先制。ヒロムも追撃をかわして串刺しラリアットから顔面へのドロップキックでやり返す。
 ヒロムはぶら下がり式首4の字固め、エプロンから場外へのショットガンドロップキックと畳み掛けるが、AMAKUSAはヒロムのパワーボムをティヘラで切り返し、コーナーから場外へのトルニージョ、ファイヤーバードスプラッシュと一歩も引かず。突っ込んでくるAMAKUSAをヒロムがターンバックルへの投げっぱなしフロントスープレックスで迎え撃つ。
 互いに雄叫びを上げながらのエルボー合戦 AMAKUSAが強烈なビンタで止めるも ヒロムが倒れずヒロムちゃんボンバーを叩き込む。

 するとヒロムはAMAKUSAに剣舞のマスクを突きつけ、「立て!剣舞!」と叫びながら殴りかかるが、AMAKUSAはトラースキックで吹き飛ばす。AMAKUSAはマスクを拾い上げるとロープに飛び、高く飛び上がって下へと打ち下ろす形のダブルニーアタック。これは剣舞が使っていた必殺技・厳鬼とまったく同じ形の技だ。
 マスクを放り捨てたAMAKUSAが変幻自在の丸め込みで試合を決めにかかるが、ヒロムがぶっこ抜いてTIME BOMB。さらにヒロムちゃんボンバーからのTIME BOMB IIで3カウント。2人は固く握手を交わし、ヒロムは剣舞のマスクを放り捨ててから去っていった。

 バックステージに戻ったヒロムは、「ずっと剣舞、剣舞、剣舞、剣舞って、剣舞だと思ってた。完全に『TOKYO TORNADO』ってタイトルがついてたからね。これは確定なんだと、相手は剣舞なんだと、そう思いながら。でも、それでも剣舞って言っちゃうのはきれいじゃないなと思って濁しながらやってきました。あおってきました。もちろん試合始まって途中まで剣舞だと思って試合しました。だから剣舞、剣舞と何度も叫びました。でもさ、戦ってるうちにわかったよ。剣舞じゃなかったな。あれは正真正銘のNOAHのジュニアチャンピオン・AMAKUSA選手でした。マスクまで持ってきたんだけどさ、もう剣舞選手の手がかりも何もないですよ。ずっと剣舞だと思ってたからね。だからリングに置いてきました。もう俺にはいらないです。俺10年間持ってました。でももういらないです」と独白。
 そして、「AMAKUSAさん、面白いな。剣舞じゃなかったけど、俺は好きだよ。あの人が好きだ。だから最後、握手なんかしちゃったよ。返答は何もなかったけどさ、一応聞いてみちゃった。『俺と今度はタイトルかけてやりましょう』。そしてもう一つ、『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン入りませんか?』って勧誘しちゃった。でも、そうか。NOAHの人だ。NOAHの人だから引き抜きになっちゃうのかな。怒られちゃうのかな。また勝手なことしちゃった。でも、それぐらい興味持っちゃったんだよ。伝えたくなっちゃったんだよ。何も返答してくれなかったけど、そりゃそうか。試合後だもんね。でも10年前の約束の相手じゃありませんでした。AMAKUSA選手、申し訳ないです。人違いでした」と感傷に浸りながら会場をあとにした。

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