【インタビュー】「楽しい雰囲気づくりのため、僕はスープを下の方からかき混ぜます!」格闘技界随一のトークスキルを持つ大沢ケンジさんインタビュー!

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修斗やDREAMなどで活躍した大沢ケンジは2010年に和術慧舟會HEARTSを立ち上げ後進の育成を行っている。RIZINに出場している中田ザ・リッチや魚井フルスイングがどのような場所で学び育っているのか、大沢に話を聞いた。

――今日はよろしくお願いします。早速ですが、ここ数年格闘技ジム、フィットネスジムは店舗数が増え続けていると聞きます
大沢ケンジ(以下大沢)「こちらこそよろしくお願いします。確かにコロナになってからジムを新規OPENしたり店舗を増やす人も多いんですよ。お客さんも格闘技ファンっていう層に限らず女性や若い人も増えてます。うちは2店舗ですけど、7月あたりから今までにないぐらい会員さんが急増しましたね」

――学生なんかは遊びに行くことも減りましたし
大沢「そうですね。やっぱりお金使うことも減って時間もあってとなると、身体動かしてみようかなってなるでしょうし、うちも大学生は増えました(特に駒沢スタジオは駒澤大学にほど近いロケーション)」

――集客はどんな形で実施されてますか
大沢「集客はSNSメインですね。SNSに広告出したりもしたんですけどあんまり効果はなかったんですよね。まあうちはあんまりお金もかけてないですけど(笑)。SNSとかネットでの発信を頑張れば集客につながってる感じがします」

――ネットでの発信といえば大沢さんのYouTubeチャンネル、めちゃくちゃ面白いです
大沢「ほんとですか、ありがとうございます!」

――「女子制服格闘技」なんてもう、ぶっちぎりの企画でしたよね
大沢「実はこの前、ゆずぽん(愛川ゆず季)と撮影したんですよ。めっちゃ面白かったんですよ!新作「女子私服格闘技」!ゆずぽんにぴちぴちのタートルネック着てもらってバッグ斜め掛けにしてもらって!」

――悪いですね~(笑)
大沢「で、対戦相手の三浦綾香選手にはぴちぴちの白Tシャツとスキニーデニム履いてもらって(笑)。ビッグジョーに「オッパイスゴイネー!」とか「アメイジ~ング!」って言わせて。でも僕が某1,000万円企画の解説やってるときにビッグジョーからLINEが来て「my wife is so angry…」って。残念ながらお蔵入りですよ!(笑)」

――めちゃくちゃ面白そうです!
大沢「ゆずぽんはプロレス転向の時にうちのジムに通ってくれてたんですよ。プロレスに使えそうなテクニックとか教えたり。でまたノリがイイんですよ、今回も胸ピンと張ってくれて(笑)。ジョーが二人を押さえ込んで二人がもがいてるとかも、スッゲエ面白かったんですけどね~」

――かなりハネそうですけどね~(笑)
大沢「僕も体張ってんですよ。菊野君(菊野克紀選手)とブレイキングダウンルールで戦ったり。最初に投げられて半月板やっちゃって全然歩けなくなって。ひと月ぐらい足ひきずってました。体張ってんですよ(もう一度)」

――いろんな選手のインタビュー動画も面白いです。中でも藤野恵美選手の回が
大沢「藤野恵美、40歳ぐらいでバチバチで殴り合う硬派な女子格闘家、パンクラスのチャンピオンですね。あいつ、実家はめちゃくちゃお金持ちなんですよ。お嬢様学校で全寮制の女子高に入ったんですけど、入学1週間でエロ本持ち込んだのがバレて親呼び出しですよ。スゴくないですか?あとプロになってからめっちゃくちゃキツイ合宿の時、朝とにかく走り込むんですけど、その走り込みにやってきた藤野が酒臭いんですよ。前日夜中2時まで呑んでたっていう。「お前、スゲエな!男だな!」って」
※藤野選手の魅力が詰まった対談動画はこちら

――大沢さんはいつも選手の面白いところ見つけたり、引き出すのが素晴らしいなと
大沢「格闘技やるような人って球技出来ないとかチームプレイが苦手とか、流れ流れてやってくる感じの人も多いんですよ。得意なものはないけどやってみたら格闘技は出来るな、やれるなって人が。で、話してみて違和感を感じるとこを見つけて掘り下げていくと、どんどん面白いものが出てくるんですよ。実はみんな何かしら考え方とか習慣とか普通と違ってるところが必ずあって、「え?それ普通と違うよ」「なんでそうなったの?」とかって聞いてくと面白いところが出てくるんですよ(笑)」

――大沢さん、今めちゃくちゃイイ顔されてます(笑)
大沢「うちのインストラクターで最近RIZINに出た「中田ザ・リッチ」って選手がいるんですけど(2021年11月28日、RIZIN TRIGGER 1stで堀江圭功選手と対戦)、育ちも良くて高校時代はスイス留学とかいろいろいい環境与えてもらってたけど、問題起こして退学、大学も留年して、何も続かないみたいな状態で。何というか落ち着きが無いんですよ、とにかく。インストラクターミーティングでも「おおい、聞いてんのか?」って感じで(笑)。いろいろ説明しても分かんない時は目がどっか飛んでんですよ。不器用で顔にすぐ出ちゃうし、男前なんですけどこんな時はほんとヒドイ顔してますよ(笑)」

――『あ~、今の分かんないな~』って顔しちゃうんですね
大沢「でも分かりやすいこと言うと、中田はスゲー頑張れるんです。最初はテクニック的なことも言ってたんですけど試合で考えこんじゃうんですよ。2021年5月に、UFCにも出場した田村一聖選手とパンクラスで試合があって「パンチ見えてりゃ倒れない。おんなじ体重だから。俺は中一の時に中三に殴られたりしてたけど倒れたやつは見たことない」って言ったんですよ。「田村選手の右は強い。でも3発耐えたらお前は勝てる。田村選手は自分の思ってたもので倒せなかったらパニックになるはず。もらうつもりで行ってこい」と。中田は信じる力がスゴイんです。すると5発ぐらい耐えたんですよ。開始早々1発目はフラッシュダウンしたんですけど、2発目ぐらいから中田は耐えられると思ったみたいで笑いながら前に出始めたんですよ。田村選手は慌てて右連打し始めて1R後半バテたんですよ(結果1R 3:36中田ザ・リッチ TKO勝利)。そっから『相手をバテさせたら勝てる』ってなりはじめて。そういう選手の特性を見つけるのが得意なんですよ」

――RIZINで堀江選手と対戦した時もセコンドの大沢さんが「前でつぶせ!前出ろ!」っておっしゃってました
大沢「堀江選手がパンチ振ってくるなら、打ち合いになったら気持ちを剥がせるなって思ってたんですよ。でも堀江選手の気持ちが剥がれたのは3R後半だったんで、あれが前半の方に実現できてたら勝機あったなと。うまく戦われちゃったな~。2R堀江選手にグラウンドで上取られてると時に中田が「ハハハハ」って笑い出したんですよ。試合中にですよ?堀江選手に更に押さえ込まれてましたけど」

――RIZIN公式のyoutubeで見返したいポイントですね(後に確認するとほんとに笑ってました)。選手兼インストラクターの方が個性的というのもこのジムの特徴のひとつですね。
大沢「格闘技選手って性格診断的ないわゆる星型のグラフだとどこか一個突出してる人が多いと思います。でもそんな風に格闘技を本格的にやりたい人もフィットネス感覚でやりたい人も、うちの新宿のジムは同じ場所に二つのブランド、本格志向の“HERATS(ハーツ)”とフィットネス志向の“HEARTS KIX(キックス)”がありますから共存できると思います。練習内容によってクラスをまたがって利用してる人も増えてますし、格闘技を楽しみたい人、新宿であればうちに来てくれればいいなと思っています」

――実は僕の知人が“HERATS”に通ってまして「大沢さんめちゃくちゃ面白いですよ」って教えてくれたんです。すごく楽しんでるなって思いました。
大沢「僕が面白いかどうかは別として、うちは学校みたいな感じなのかもしれないですね。例えばジムの代表が存在感ある人だとその人のカラーになりやすいと思うんですけど、うちはいろんなタイプの人がいるんですよ。クラスの人気者タイプ、ガリ勉タイプ、ヲタクタイプとか、外国人も多いし。僕、みんなの話を聞くの好きなんですよ。僕自身ずっと格闘技やってきて社会に出てないからいろんなジャンルの話に興味が沸いちゃうんです。で、面白い人を見つける、そこ普通じゃないよってところを見つける(笑)」

――人物像が見えてくると同じクラスの人たちも安心しますね
大沢「僕自身はあんまり「この人と合う・合わない」って考えないんですよ。なるべく会員さんともみんな喋るようにしてますし、楽しい空気は作れてると思います。同じクラスの時間共有しながら何も考えてないってこともないですから、おとなしい人だなっていう人が実はめちゃくちゃ面白かったりしますしね。仕事って同じような思考とか経験者が集まりますけど、格闘技に限らず趣味に集まる人たちって年齢や仕事も収入も違えばとにかくいろんな人が集まるわけじゃないですか。いろんな人からいろんな話を聞きたいし、それが面白いところでもありますよね」


――会員さんもまめに話かけられたり、アドバイスもらうとやる気も出ると思います。
大沢「部活でも顧問の先生はアイツばっかり話してんな~とか覚えてるもんじゃないですか。まんべんなく話す意味では、僕はいじるときはむしろ普段おとなしい人をいじるんですよ。普段おとなしい人に光を当てるとクラス全体が明るくなるというか。これは「スープの下の方からちゃんとかき混ぜてる」っていうイメージなんですよ(笑)。僕のいじりに対してそのおとなしい人がツッコミ入れるだけで俄然面白くなりますし、絶対美味しいスープになるんですよ」

――分かりやすい!
大沢「でも僕が良い空気感を作らずにいじりに行くと、それこそただのいじめになっちゃいますから、絶対にダメですよね。ちゃんと「いじられていい隙」を作っとかないと。よく話す人は僕にツッコミ入れてくれますけど、おとなしい人が僕に口ごたえするだけでいつもより笑いが大きくなったりするんですよ。これはクラス全体の雰囲気を良くする意味でもやった方がいいと思うんですよね」

――会員さんみなさん楽しいと思います。
大沢「でもやりすぎて笑いばっかりの日にならないように気を付けてます(笑)。カリスマ的に指導していくならこんなこと必要ないんですけど、クラスの雰囲気を良くする、楽しくするのは大事だと思ってます」

――会員さんの継続率も高そうですね
大沢「性格もあるので同じところまでやれなくても、インストラクターには声かけるように気をつけてもらってます。実は初心者向けにずっと長くやってると、長くやってる人が物足りなくなってくるのでマススパーとか取り入れたり、少しづつ内容変えていかないと継続されないんですよ。例えば、トイカツ道場なんかは駅近の立地で入りやすくして、でも「マスはいっさいやらない、あくまで初心者向け」とか絞ってますね。継続率は高くなくても入会者は多いんじゃないかなと思いますね」

――ターゲット選定は難しそうです
大沢「入会希望者には最初にどういう目的で入会したいですかって聞きます。格闘技ジムはやりたいことがはっきりしてる人、技術学びたいとか、コミュニティだけ参加したい人とかターゲットの幅が広いんです。僕は強い選手を育てたいというのもあるし、格闘技を通して「いい人生を送れたな」って思ってもらえると嬉しい。一番やりたいのは選手育成なんですけどね。でも、本気でプロ目指したい人に絞ると会員さんは増えないし、ほんとターゲットの選定は難しい」

――クラスの練習時間にずっと通っててそこから選手を目指す方もいらっしゃいますか
大沢「クラスの時間で選手が育つような練習はしないので、格闘技色強くしたと言ってもライトな方なんです。プロ志望の人は最初からプロ練(プロ練習)に来てもらってます。3年前まで厳しくやってたんですけど、怒鳴ったりとか。ピリピリした雰囲気でプロ練する方がいいと思いますけど、ピリピリの度合いを僕が作り出すんではなくて、選手から作られるといいですね」

――中田選手・魚井選手のように、選手もストロングポイントを伸ばしてもらえるのは嬉しいと思います
大沢「うちの選手って面白くないですか?ジムごとに特色はあると思いますけど、うちはみんなにキャラ付けしてあげるというか方向性を示してあげるようにしています。本人もいいところを伸ばすように傾倒してくと言うか。例えば、「いつも女の子に優しいね」と言ってやると、『あ、俺って女の子に優しい人間なんだ』と思って不思議とどんどん女の子に優しくなっていくし。「いつもちゃんと靴そろえてくれるよね」って言うと、どこ行ってもちゃんとみんなの靴そろえる人になってくれるし。さっきの星型グラフのじゃないけど尖ったところをポジティブに伝えてあげるんです。その人がどんどん変わっていくのがまた面白いんですよ。あれ?俺が楽しむためにやってるのかな?(笑)


――でも言われた側も楽しんでやれてるんだと思います
大沢「『これは良いことだ』と思ってやってる人間よりも『これ楽しいな』と思ってやってる人間は続きますよね。ボランティアでお金が出てないことでもそれが『楽しい』って思ってやってる人は、その利害関係の「利」が「楽しい」で一致するとずっと続けていけるというか。楽しんでやってる人間は強いですよ。あ、なんかイイこと言ってるな」

――そうですね。しかし前半なんてぴちぴちのタートルネックの話してました
大沢「ゆずぽんにぴちぴちのタートルネック着てもらってバッグ斜め掛け、大きな山の谷間に川が流れてるがごとく、そこはもう大自然ですよ(笑)」

――話は変わりますが、入会者急増中とのことで運営面での工夫させていることはありますか。
大沢「うちも「会費ペイ」を使ってるんですけど、事務作業はスゴイ楽になりましたよ。例えば既存会員さんでもクレジットカードとか振替口座を変えたいって人とかは全部会費ペイに移行してもらってます。もともと別のサービス使ってましたけど、紙の振替依頼書が必要だったり、引き落とし結果もわからなかったり、イマイチ不便だったんですよ。他にも未入金の管理って重要じゃないですか。会費ペイは未入金の人には自動督促してくれるんでコンビニ決済で終わらせてくれてたり。格闘技業界はまだまだ情報不足なんですよ。楽そうだなって分かればどんどん採用されてくんじゃないですかね。あと、会費ペイって名前がそのまんまで分かりやすいですよね。「魚井フルスイング」的で(笑)」

――だからより親和性があるのかもしれませんね(笑)。本日はありがとうございました!

■大沢ケンジ
2014年までプロの総合格闘家として活躍し、各団体の王者クラスに勝利した実績を持つ。現役時代から技術力は高く評価され、引退後は格闘技中継のテレビ解説も数多く務めるなど、トークスキルは格闘技界でも随一。笑いあり涙ありの指導にも定評がある。私生活では愛娘を溺愛するよきパパ。

Twitter:@kenjiosawa
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCVkzeTriHmHSchge_lKA7DA/featured
HP:https://hearts-mma.com/
・和術慧舟會HEARTS(新宿)
・HEARTS KIX(新宿)
・HEARTS KIX(駒沢)

■取材を終えて
いつもインタビューはパソコンで打ち込みながらお話を聞くんですが、今回は一部手が止まってしまう面白さでした!今後のYouTubeチャンネルも必見です!
(聞き手:スレンダー川口 https://twitter.com/ajslendertokyo

■「会費ペイ」の概要はこちら
入会申込・会員管理・会費の集金をワンシステムで提供
https://lp.kaihipay.jp/2/?argument=wxkoFDgp&dmai=a61b704aa50c4e

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