【インタビュー】愛媛プロレスが新型コロナウイルスに負けずクラウドファンディングで無観客試合配信!キューティエリー・ザ・エヒメ代表が真意を語る!

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 4月12日に開催するビッグマッチをクラウドファンディングを用いた無観客試合ライブ配信を行うことを発表した愛媛プロレスの代表、キューティエリー・ザ・エヒメに話を聞いた。

 愛媛プロレスとは、2016年に”四国初のご当地団体”として旗揚げされたプロレス団体。キューティエリー・ザ・エヒメ代表のもとで『プロレスで愛媛を元気に!』をスローガンに掲げて活動し、地域に根ざした社会人プロレス団体として成長を続けている。
 愛媛プロレスは2018年の西日本豪雨で被災した愛媛県のために、被災翌日から地元企業の支援のもと1週間毎日被災地へ物資を届け、浸水した家屋の清掃及び撤去作業に従事するなどのボランティア活動を行うなど、地域貢献に力を入れてきた。全国的に知名度も上がり、愛媛をPRするコンテンツとして評価され、エリーが愛媛の情報発信や観光イメージ向上を担う70人目の「伊予観光大使(愛称・いよかん大使)」に就任するなど地元住民たちにも愛されている。

 愛媛プロレスでは商業施設や商店街などでのイベントや、災害復興支援のチャリティープロレスなど基本的に無料での大会を開催しており、2019年には118回のイベントで101,087名の観客動員数を記録。地道な活動から徐々にファンを増やしていき、2017年からは年に数回のビッグマッチとして有料でチケットを販売しての自主興行を開催してきた。
 しかし、昨今の新型コロナウイルス感染拡大や、愛媛県内でも感染者の報告があったことなどを鑑み、既に500枚以上のチケットが売れていたにも関わらず今大会を無観客試合で行うことを発表。
 そして、新たな試みとしてクラウドファンディングでの大会の開催支援を募り、リターンとして大会の模様をライブ配信することを決断した。


 バニーガール風のコスチュームを身にまとい、他団体の選手との試合ではセコンドとして対戦相手をその色香で惑わすなどの活躍をするエリーだが、表からは見えないところで奔走する愛媛プロレスの“代表”としての姿に迫った。

【コロナで中止させない!【愛媛プロレス5周年興行】無観客試合配信!】
https://camp-fire.jp/projects/view/245514

――まず、愛媛プロレスとはどういった団体なのしょうか
「私が元々愛媛県出身で、東京に出て就職したのですが、地元をなんとか盛り上げられないかとUターンして戻ってきて地域活性化になにか貢献できないか模索していました。でも、愛媛でなにかイベントをやろうとしたときに集客の目玉として東京のエンタメを持ってくると、そのお金は愛媛県ではなく東京に流れてしまいます。だから地方オリジナルの集客力の有るエンタメを創って、他県からそれを観にお客様が来てくれるようになったら、内需と外需の両方を拡大することが出来て愛媛に貢献できるのではないかと思って立ち上げた団体なんです」

――愛媛県活性化の手段としてプロレスを選んだ理由はなんだったのでしょう
「元々、プロレスに出会う前は商店街でキッズダンスコンテストやパフォーマーを集めたライブショーなどを手掛けていたんですけど、そこで偶然プロレスに出会ったんです。それまではプロレスは全く知らなかったんですけど、老若男女に愛される、子供がヒーローショーを見るように夢中になれる、ストーリー性がある……といった私が求めていたエンタメの条件に全部合致していたんです。ちょうどその頃、島根県や鳥取県で“ご当地プロレス”が人気になっていて、『プロレスは愛媛県独自の魅力的なコンテンツになり得る』と確信したというのがプロレスを選んだ理由です」

――プロレスを全く観たことがなかったというエリーさんが愛媛プロレスの代表になろうと決意されたきっかけは
「全く未知の業種ということで最初は自信がなかったんですけど、いざレスラーを募集してみたら県内各所から60人以上から応募があったんです。その中から5人の選手が入団に至ったんですけど、選手たちの熱い気持ちを聞いて、『プロレスは誰かの夢が叶い、その姿が地域を元気にできる希望になるかもしれないものだ』と思ったんです。だから、私はみんなの夢をサポートして行こうと思い、代表になる決意を固めました」

――愛媛プロレスの所属選手たちは皆ゼロからプロレスを始めたということですが、どのような選手たちが集まったのでしょう
「例えば、今は全日本プロレスさんに武者修行に出ているライジングHAYATOは、当時17歳の高校生で『高校を卒業したら東京に出てプロレスラーになりたい』という夢を持っていたのですが、『愛媛にプロレス団体が出来るなら地元で夢を叶えたい』と入団してくれました。石鎚山太郎は、『30歳になったのを機に自分を変えたい』と大手企業の営業マンを辞めて全く知らなかったプロレスの世界に飛び込んできて、凡人パルプは子供の頃の『プロレスラーになりたい』という夢を40歳で叶えて、生まれ育った四国中央市の観光大使になりました。年齢もバックボーンもみんな違うんですけど、みんな愛媛県が大好きで、愛媛県を盛り上げていこうという気持ちは1つなんです」

――ゼロからのプロレス団体旗揚げということで、最初は苦労もあったと思います
「資金もゼロ、レスラーもゼロ、道場も無くて、スポンサーもゼロという全くのゼロからのスタートでした(笑)でも、選手もスタッフも全員“プロレスで愛媛を元気にしたい!”という熱い気持ちだけは持っていて、地元の不動産会社様がその気持ちだけを信じてリングを贈呈してくださったんです。選手たちも、最初の方の試合はとても見せられるレベルのものではなかったと思います。でも、色んな団体の選手の方を呼んで指導をしていただいて徐々にレベルも上がってきたと思います。それでもまだ技術を誇れるレベルではないかも知れませんが、いつも無我夢中で、目の前のお客様を楽しませることへの気持ちだけはどこの団体にも負けることがなかったと思います。その気持ちが少しずつ愛媛の皆さんに届いて、毎年イベント・大会の数は増え続けています。ありがたいことですよね」

――そんな中、年に数回のビッグマッチが無観客試合となってしまいました
「今回の大会も中止するかしないかすごく悩んだんです。今はこういうご時世ですし、刻々と状況が変わっている中で皆が解決策を模索している状況なので、多分正解はないんだと思うんです。今日の判断と明日の判断は違うと思いますし、(感染報告などの)出てくる数字も変わっていて、日本だけじゃなくて世界全体が毎日違う状況じゃないですか。政府からも3月末までイベント自粛要請が出ている中、大会を開催するのか、中止するのか、綿密な情報収集や、最終的な判断を下すリーダーシップが問われる場面ということで、私自身とても悩みました。
 色々考えた末に、4月12日の時点ではお客様が安心してエンターテイメントに集中する状況になってないという判断を下して、有料観客試合を諦めました。私達としては悔しいですけど、この新型コロナウイルス問題を収束に向かわせることが第一だと考えたんですね。愛媛プロレスの場合、老若男女すべての世代の方に楽しんでいただけるエンターテイメントを目指していますし、お客様には家族連れも多いんです。そうしたすべての世代の方が安心して見ていただける状況になるまではお客様を入れての大会は決行出来ないと。苦渋の決断でしたけど……」

――今回、クラウドファンディングで資金を募っての無観客試合配信というのはプロレス界でも斬新な試みかと思います。これに踏み切った理由についてお聞きできますか
「事情が事情なので、会場からもご理解を頂いてキャンセル料はいらないと言っていただいて、そのまま中止にすれば実質的な損失はなかったんですよ。でも、今エンターテイメント業界、パフォーミング業界は大打撃を受けています。プロレス業界もその例に漏れず、全国各地で色々な団体さんの大会が中止や延期になってしまっています。
 プロレス業界の経済の冷え込みに拍車をかけない形でなにかできないかと思ったときに、無観客大会をライブ配信するという形を取って開催できれば、リスクを回避しつつ選手にギャランティが払えるんじゃないかと思ったんです。愛媛プロレスのビッグマッチはお祭り的な大会で、全国から有名な選手たちをお呼びして、愛媛の皆さんに『愛媛でもこんなスゴいカードが見られるのか!』という試合をお見せしたいというものなんです。プロレスに限らず、ライブ配信でのイベントだと出演者のギャラを下げるケースがあると聞くんですけど、それは趣旨に反するのでしたくなかったんです。そうなると、資金をどこから集めるかということになるんですけど、こういうときにこそクラウドというシステムが利用できるのかなと思って利用に踏み切りました」

――このクラウドファンディングに対して、選手たちの反応はどうだったのでしょう
「嬉しかったのが、この大会に出場する愛媛プロレスの所属ではないレスラーの方々も、このプロジェクトを説明したら全員が協力してくれたんです!田中稔選手もクラウドのことを知って『協力させてください』とリターンに私物を提供してくださっていますし、なべやかん選手もご自身がクラウドのリターンを買って協力してくださったんです。スペル・デルフィン選手も初代タイガーマスク選手との記念のゴルフボールを提供くださったり、ほかにも多数の選手の皆様からご協力頂きました。選手の皆さんの温かさをとても強く感じることが出来て、頭が下がる思いです。愛媛プロレスは、始まったときから他の団体の協力なしでは成り立たないモデルなので、私達は人の温かさに支えていただいているんだなと改めて思いました。レスラーの方は『試合をしたい』という希望を持っているので、私達がお返しできるのはその試合の舞台をご用意することなんだと思いました」

――今回はクラウドファンディングの開始から24時間で50万円以上集まり、良いスタートを切れたと思います
「ありがたいことですよね。リターンは1000円からのメニューを設けているんですけど、私が昔被っていたマスクが付く5万円のリターンや、練習生の私物のギターやレガースが付く1万円のリターンは開始1時間でソールドアウトになったんです!まだまだ目標金額の250万円への道のりは遠いんですけど、今回はオール・オア・ナッシング方式(※目標金額に未達の場合は投資者に全額返金)なので、未達成だった場合は大会が開催できなくなってしまいます。大会を開催して、それを成功させるために私達は出来ることを1つずつ確実にやっていこうと思います」

――最後に、ファンに向けてメッセージを
「私たちはまだ4年しかやっていない、愛媛の小さな小さなご当地プロレス団体です。でも、愛媛からでも声を上げることは出来るし、クラウドファンディングを使った無観客試合配信という手段でプロレスを愛媛の皆さんに、そして全国の皆さんにお届けすることが出来るんです。私たちがこの大会を成功させることで、ファンの皆さんに元気と勇気を与えられたらと思います。小さな私たちの大きな決断を応援してくださったら嬉しいです」


【コロナで中止させない!【愛媛プロレス5周年興行】無観客試合配信!】
https://camp-fire.jp/projects/view/245514

『愛媛プロレス ビッグマッチ』
日程:2020年4月12日 (日)
開始:15:00
会場:松山市総合コミュニティセンター文化ホール(キャメリアホール)

▼練習生マッチ
ヤングオレンジ杯勝者の練習生2名

▼タッグマッチ
凡人パルプ/なべやかん(ベストボディジャパン・プロレス)
vs
間取り太郎/キスパンマン

▼6人タッグマッチ
“Cock Robin”the PSYCHO(フリー)/土屋クレイジー(エゴイストプロレス) / KOSHI withブラッディ・オレンジ
vs
メイプル・グリズリー/マツヤマ・ウォリアー/鬼王丸

▼どたばたばたばたバトルロイヤル

▼タッグマッチ
ライジングHAYATO/カーベル伊藤(全日本)
vs
田村男児(全日本)/大森隆男(全日本)

▼タッグマッチ
ザ・グレート・サスケ(みちのく) / 新崎人生(みちのく)
vs
スペル・デルフィン(沖縄) /イマバリタオル・マスカラス

▼四国統一ヘビー級選手権試合
【王者】KURUSHIMA(王者)
vs
【挑戦者】石鎚山太郎 withキューティエリー・ザ・エヒメ

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