PANCRASE294に出場する井上雄策が公開練習!本格的なMMA復帰に向け全力追い込み!「見ている人の心を打つようなセンチメンタルな試合がしたい」

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 2月27日午後、都内千代田区の「エニタイムフィットネス秋葉原店」で、井上雄策(リバーサルジム川口REDIPS)が公開練習をおこなった。このジムは井上の職場で、普段はインストラクターを務めているという。
 井上はシャドーを披露したあと、ジムのランニングマシンでランニング。また、同僚でパンクラスに参戦中の三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.MA)をリフトしながらのスクワットを見せるなど、サービス精神旺盛なところを見せた。

 井上は「PANCRASE 294」(3月11日、スタジオコースト)でトム・サントス(Team Brazilian Thai)と対戦する。ケージ外ではいつも穏やかに笑っている井上だが、パンクラスでは2戦とも秒殺KOで勝利。アグレッシブなファイトが持ち味だ。対するサントスは、GLADIATOR王者・岸本泰昭を破っている。また、DOAD FC1億円トーナメントでベスト8に入っている実力者だ。
 試合まで2週間を切った井上に話を聞いた。

——現在のコンディションはいかがですか。
「万全です。いつも、試合ギリギリまで追い込みをするので、今は追い込みの真っ最中ですね」

——相手のトム・サントス選手について情報はありますか?
「あんまり分からないです。映像をいくつか見たくらいで、詳しくはわかりません」

——情報が少ない中、どのような練習、対策をしていますか。
「いつも通りですね。そこまで特別に増やした練習とかはないです」

——外国人選手が相手ですが、いかがでしょうか。
「外国人選手との試合は何回かありますけど、ブラジル人は初めてです。怖えー!って感じですね。ブラジル人も色々いて、日系の人なんかもいますけど、今度の相手はゴリゴリのブラジル人で、見た目も怖いです」

——今回はシャドーなどを見せていただきましたが、ヒジやヒザが印象的でした。
「膝蹴りが得意ですね。柔道、レスリング、サンボ、柔術をやってきたので、プロデビューしてからは打撃を練習してきました。もともとは組み技が得意で、同じ階級なら組み技は誰にも負けません。レスリング力には自信があります」

——練習は所属ジム(リバーサルジム川口REDIPS)以外ではどこでされていますか?
「同じリバーサル系列 のスタンドアウトとかMe,Weに行っています。あとはここでウェイトとかランニングをやっています」

——さて、パンクラスでもお馴染みになってきた井上選手ですが、まだ井上選手の歩みについて知らない人もいると思うので、これまでのことを伺います。修斗でデビューした後、格闘技をお休みしていますよね。この理由は何だったのですか?
「うーん、色々ありました。一番は仕事ですね。格闘技に集中できる仕事になかなか巡り会えなくて。格闘技を続けるためにしっかり仕事をしなくてはと、23〜24歳の時に就職したんです。でも、そのうち格闘技と仕事の両立が難しくなってしまいました。それで、試合をしていない時期が3年半くらいあったんですけど、格闘技を辞めたつもりは全然ありませんでした」

——しばらくのお休みのあと、総合ではなくて巌流島に上がられたのはなぜだったんでしょうか。
「これは、実はよく覚えていないんです。休んでいる間も、いつまた試合ができるかな、と虎視眈々とチャンスを窺っていたので、そこへお話をいただいて出場、という感じだったんじゃないかなと思います」

——そして、本格的にMMA復帰されるわけですが、その舞台になぜパンクラスを選ばれたのですか。
「僕は“PRIDE世代”で、子供の頃から格闘技が好きだったんですけど、その頃からパンクラスは一つの憧れで、僕の中で大きな存在でした。それまで上がらせていただいたことがなかったですし、これからの格闘技人生を逆算してみた時に、何をやって行こうか考えると、パンクラスの勢いはすごいですし、ここでチャンピオンを目指すことは、格闘家として価値のあることだと思いました。それで、こちらからラブコールをしました」

——井上選手みずから出場したいとアピールされたんですね! そして、昨年4月に初参戦されました。
「休んでいた時期があったので、結果を残さなかったら終わりだと覚悟して上がりました。もちろん、いつも負けられないという気持ちはありますが、この時は特にその気持ちが強かったです」

——実際に上がってみて、パンクラスの雰囲気はいかがでしたか?
「やっぱりカッコいいと思いました! 他の団体と雰囲気が一味違いますね。もちろんレベルも高いんですけど、ちゃんとエンターテインメント性もあって、他の団体と違う空気を感じました。初めて見る人でも、面白いと感じるだろうなと思いました。格闘技としてしっかり確立した上でエンターテインメント性もあるので、闘いやすいですし、居心地が良いです」

——さて、いつもニコニコしているイメージがある井上選手ですが、どのようなお人柄なのでしょうか。
「そうですね……実は、あまり闘うことは好きじゃないんです」

——えっ、そうなんですか。
「優しくしたいし、優しくされたい。みんな仲良くやっていきたい方なんです。闘いというか、争いですね。日常生活では人と争いたくないですね」

——そんな井上選手が格闘技を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
「子供の頃、父の影響で柔道をやっていたこともありますし、格闘技を見るのが好きで、PRIDEとか見て自分もやりたいなと、中学生の頃から憧れていたこともあります。桜庭(和志)選手とか好きでしたね。自分もやろうと思ったきっかけは、田村潔司選手VSボブ・サップ選手の試合(※PRIDE.21/2002年6月)を見たことですね。すごい早い試合でした」

——井上選手にとって、格闘技はどんなものですか。
「今の世の中、闘う必要はないと思うんですけど、私は精神的に弱くて、人間的に未熟です。ですから、自分が弱い分、闘って、苦しい思いをしなければという思いがあります。今も、試合前なのでキツイですし、ナーバスにもなっています。でも、そこで闘って、弱い自分にも勝負にも勝つことで、自分は強くなれると思います。私は、格闘技というのは弱い人がやるものだと思っています。強いならやる必要がないですから」

——格闘技を通して、成長を実感していますか?
「はい。毎試合、毎試合、成長を感じています。復帰後の試合は特にそうですね。私も今年30歳になるので(※1988年12月30日生まれ)、人間的にももっとしっかりしないといけません。格闘技は、私生活においてもすごくプラスになっていますね。これまで15戦やってきてコツもつかめていますし、いろんなことに関して成長していると、身をもって感じています」

——さて、パンクラスは今年から会場が変わり、新しい観客層も増えているようです。どんなものを見せたいですか?
「今の格闘技は、ひと昔前とは違います。女性のお客さんも増えましたし、スタジオ・コーストはかっこいいです。色々なイベントがあったり、食べ物の屋台が並んだり、私が子供の頃に見ていた雰囲気とは全然違います。どんな人が来ても楽しめる空間なので、そこでいい試合をできるように準備しています。ぜひ楽しみにして来場してほしいです」

——この試合のテーマは何でしょうか。
「はい、テーマは“センチメンタル”ですね」

——センチメンタル、ですか???
「はい。見ている人の心が動くような試合をしたいんです。私は子供の頃から格闘技を見て感動してきました。だから、私も見ている人の心を打つような試合がしたいんです」

——地上波でも中継がありますし、たくさんの人に伝わるといいですね。井上選手の試合を見て格闘技を志す人が出てきたりとか。
「そんなことができたら最高ですね!」

——今年最初の試合となりますが、2018年の目標は?
「今は本当に格闘技が楽しくて、仕事も楽しくて。楽しく健康にやっていきたいです。試合はもちろん勝つことが大前提です。試合をして全部勝つ。そうして青春を謳歌していきたいです」

——ベルトも。
「はい。現王者(※久米鷹介)がバケモノみたいに強いので、本当言うとやりたくないですけど(笑)、久米選手がいて、アキラ選手がいて、常にベルトのことは頭にあります。そのために、1つ1つ勝っていきたいです」

 自分のことを「私」と言い、真面目で謙虚な人柄が感じられた。ただ話しているだけなら、格闘家とは思わないかもしれない。「弱いから格闘技をやる」と言う井上。井上にとって格闘技は、精神修養の場でもあるのだろう。
 この試合を通して、井上は何をつかむのだろうか。今後の成長を見守っていきたい。

(写真・文・佐佐木 澪)

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