修斗第5代ライト級王者の矢地祐介が公開練習!「相手はUFCじゃないローカルな団体の選手では上」

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 4月12日午後、都内大田区のYSAで、矢地祐介(KRAZY BEE)が公開練習をおこなった。パンクラス2戦目の矢地は、「PANCRASE 277」(4月24日、ディファ有明)でクレベル小池(BONSAI JIU-JITSU)と対戦する。
 矢地は修斗第5代環太平洋ライト級王者にして元PXCフェザー級王者だ。2013年8月からPXCで5戦3勝2敗の成績を残している。パンクラスには今年1月の「PANCRASE 275」に初参戦。UFC Fight Night 56ブラジル大会にも出場しているロドルフォ・ルビオ (Entram GYM)に判定勝ちを収めている。しかし、本人は判定での勝利に苦い顔を見せた。

 「前回の試合を思い返してみれば、固くなりましたね。前々回負けて、ベルトを失ったっていうのもあっただろうし、久しぶりの日本で、ちょっと気合いが入り過ぎたかなと思います。いいところを見せようと思ってましたけど、その気持ちと、負けた怖さが入り交じって、複雑な心境で試合をしました」と、率直に振り返る。日本のファンや友人にいいところを見せたい反面、UFCを目指す者としては1戦たりとも負けられない。その気持ちで慎重になり過ぎたようだ。
 「打撃なり寝技なりで攻めて、KOとか1本で勝つというのは常に目指していますけど、特に前回は、“行くぞ”という時に“いいや、行かなくていい”と安全な方、安全な方を選択してしまいました。思い切って行けなかった場面がいくつかありますね」と反省した。
 試合後のケージ内で、会場の雰囲気に戸惑ったと話したが「甘えだとは思いますけど、海外とあまりに雰囲気が違って。海外だと、1発のハイキック、1発のテイクダウンで会場がドーンと沸きますよね。あの感じに良くも悪くのなれていたので、久々に日本でやって、何か戸惑ってしまいました。もちろん、日本人をも沸かせる試合をしろって話なんですけど、あの静かな空間にちょっと戸惑ってしまいましたね」と改めて振り返った。

2016-04-12_矢地公開練習2 2戦目ではスッキリ勝ちたいところだが、相手は柔術黒帯、総合でも実績を誇る小池だ。寝技の強さは群を抜いており、矢地はさらに手強い相手と闘うことになる。小池についてはどのようなイメージを持っているのだろうか。
 「戦績もいいですし、強い選手だと思います、いくつか映像は観ましたけど、あまり参考になるものがありませんでした。でも、いやな相手です。1つ得意分野や抜きん出るものを持っていますから」と警戒する。打撃を得意とする矢地は、どのように闘うつもりなのだろうか。「今まで彼と闘った選手も寝技の強さを解っていて、それでも同じのを取られちゃった感じじゃないでしょうか。だから、やはりそこの土俵には上がらないようにしようと心に決めています。スタンドで触らないくらいの勢いで、テイクダウンも切って、四つにもならないぐらいのイメージで行こうと思っています」と、徹底的にスタンドで闘う作戦だ。
 「もちろん、テイクダウンして攻められるチャンスがあれば攻めたいです。でも、基本的には打撃で行くのが安全だと思います。俺もそこまでド素人じゃないですけど、寝技単体で見たら俺より強いと思うので、できるだけ避けます」と、“勝つため”の闘い方を選ぶ。
 そんな2人の対戦は、どんな試合になるのだろうか。「わかりやすい試合になるのかなと思います。あっちは寝技、こっちは打撃で、そこがうまく噛み合えばいいけど、下手すると噛み合わない変な試合になりかねないとも思います。何しろお互いの土俵が違い過ぎて。でも、ただ勝っているだけじゃ上には行けないので、リスクを冒してでも相手を極めに行く気持ちでやりたいと思います」と言う矢地。「思い切ってやらないと、いつまでも判定で勝ちとか、相手が強いからって渋い試合ばかりしていたら、上は見えませんよね。思い切ってやりたいと思っています」と勝利への執念をうかがわせる。
 さらに「向こうは、UFCじゃないローカルな団体に上がっている選手では上にいるんじゃないですか。戦績もバケモンみたいにすごいですし、俺より自分の方が格上だと思ってるんじゃないかな。だから、挑戦する気持ちですね。だけど、考えてみれば、UFCでは黒帯を巻いて打撃も出来て、なんていう選手はゴロゴロいるわけで、そういう中で勝っていくには、今回みたいな相手にも勝っていかなくてはならないですから」と話す。
 少し小さい声で「パンクラスのインタビューなのに申し訳ないですけど…」と遠慮がちながら「僕はUFCに出るのが目標じゃなくて、UFCで勝ち残ってチャンピオンになるのが目標なので、相手を選んでいたら強くなれません。そういう意味で、今回の相手は久々にスゲー嫌な相手です。本当にやだな、こいつ面倒くさいな、っていうのが本音ですけど、でも、いいチャンス。ステップアップのための糧として闘いたいです」とこの試合への強い意気込みを語った。現在のパンクラスは「世界標準」を掲げ、選手たちにUFCへの道をつけることを謳っている。遠慮なく、思い切り闘ってもらいたい。
 「今度は、勝利後、心地よい空間と感じたいですね。周りは関係なく、自分のやりたいようにやればいける、自分の力を見せられると思っています。今回は“日本だからいいところを見せたい”とかじゃなくて、自分のパフォーマンスを出せば自ずと結果はついてくるだろうと思っています。あまり気負わないようにします!」
 真摯に反省点を顧み、それを隠そうせず率直に話す姿に好感が持てた。大きな夢をかなえるため、どのように闘うのか楽しみだ。

(写真・文/佐佐木 澪)

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