リングの貴婦人様、台風に苦しむ庶民へ揚げ玉トッピングを振る舞う
この日の貴婦人様は、台風にも負けない大荒れだった。
女子プロレス団体STARDOM(スターダム)に所属する“リングの貴婦人”こと桜井まい様が育った街品川で、6月2日に行われたのは『パッション注入マッチ』という品のない題がついた戦い。“庶民レジェンド”と呼ばれる高橋奈七永が、戦時中のような庶民の根性論を貴婦人様に叩き込むと意気込んでいた。
いつものように優雅に入場した貴婦人様だったが、試合が始まるなり荒々しく奈七永に殴りかかり、顔面にその美しいおみ足を叩き込む。嫉妬か興奮か、奈七永は執拗に美しいおみ足を痛めつけ、さらに場外に叩き出すと「何が貴婦人だ!」と大暴れ。
フェリス女学院卒の貴婦人様は、育ちの良さから路上のような場所での戦いには苦戦してしまうものの、リングに戻ればアクアパーク品川で優雅に飛び跳ねるイルカのようなダイビング・エルボードロップ、富士そばが新作の商品名にも選んでしまうような貴婦人様の愛称がついた必殺技MPR(マイパンロール)で勝利に迫る。
しかし奈七永も伊達に長く生きてはいない。美しさと優雅さを兼ね備えた“飛翔天女”豊田真奈美から受け継いだ一欠片の上流階級技、クイーンビー・ボムで貴婦人様から3カウント。
シュプレヒコールのように「パッション」を叫ぶ奈七永は自らの顔写真が入ったタオルを差し出すが、貴婦人様は「庶民が移るじゃない!」と拒否して足蹴に。
しかしそれでも貴婦人様に勝利し、庶民レジェンドとして認めた相手。「私から勝ったということで、今度富士そば様から新発売するカレーパン丼(まいぱん丼)、わたくしと一緒に一番先に一緒に食べに行ってもよろしくてよ」と、庶民の代表者として奈七永の同行をお許しになった。
もちろん貴婦人様の優しさはそれだけではない。台風で新幹線も止まる中で会場に来場した我ら庶民全員へ、なんと『名代 富士そば』品川店で揚げ玉トッピングを無料サービスしていただけることに。
貴婦人様の虜になった富士そばを自らへの利益のために従えるのではなく、我ら下々の庶民に分け与えるべく行動する姿はまさに貴族の振る舞いノブレス・オブリージュ。
試合には負けたものの、この日の貴婦人様の優しさは庶民の心に染み渡り、子々孫々へと受け継がれていくことだろう。