東京女子実験興行で初ハードコア戦の乃蒼ヒカリが山下りなの前に玉砕も「世界一のデスマッチファイターになりたい」
東京女子プロレスが4月1日、東京・新木場1stRINGで第1回「TJPW INSPIRATION」を開催。メインイベントを託された乃蒼ヒカリは、山下りな(フリー)と初のハードコアマッチに臨んで玉砕したものの、今後もこのスタイルでの闘いに強い意欲を見せた。
「TJPW INSPIRATION」は団体として、パフォーマンスの幅を広げ、さらにステップアップするための新しい可能性への挑戦として、通常興行と別に数カ月に1度の割合で開催していくもの。出場選手数、試合数を絞る代わりに、チケット料金を通常より安く設定した実験的な興行だ。
今大会では、第1試合で瑞希VS渡辺未詩、第2試合で辰巳リカ(プリンセス・オブ・プリンセス王者)VSらくが組まれ、メイン(第3試合)をまかされたのが乃蒼だ。「アップアップガールズ(プロレス)」のメンバーとして、プロレスラー兼アイドルとして活動する乃蒼はかねて「デスマッチ大好き」と公言しており、昨年12月23日に東京スカイツリーで行われたDDTの路上プロレスでは、ラダーを巧みに使った攻撃を見せるなど、ハードコア戦での潜在能力の高さを垣間見せていた。
大会のオープニングでは、ふだん通り、アイドルとして、渡辺、らくと歌を披露した乃蒼は、ハードコア仕様のニューコスチュームで登場。対戦相手の山下は男子選手ともハードコアで闘うなど、この試合形式ではエキスパートだ。
リング上にはサイリウムが張られたボード、ラダー、イス、凶器が入ったかごが設置された。乃蒼は開始早々、かごに入っていたCDなどをばらまき、その上でローリング・クレイドルを繰り出したが、山下はボディスラムで反撃。5分過ぎ、戦場が場外に移ると、山下はマットをはがしてボディスラム、立てかけたテーブルの上にファイアーサンダーを見舞い、金具を乃蒼の額に突き立てて猛攻。ペースをつかんだ山下はラダー上へのボディスラム、背中へのイス攻撃、投げ捨てジャーマンなどで攻め立てた。15分過ぎ、激しいイスチャンバラから、乃蒼はトラースキック、裏投げ、テーブルの破片での攻撃で逆襲。トップロープに上ると、ゴーグルを装着して、葛西純ばりのパールハーバー・スプラッシュを決めるもカウントは2。ここで反撃に転じた山下は、バックドロップ、ラリアットとたたみかけ、イス盛りの上への豪快なスプラッシュマウンテンをさく裂させて3カウントを奪った。
マイクを持った山下が「乃蒼ヒカリ! 初めてのハードコア、どうでしたか?」と振ると、乃蒼は「痛かったし、つらかったけど、楽しかったです! 初めての対戦相手が山下選手でうれしかったです。でも、楽し過ぎちゃいました! 楽し過ぎたんで明日もやってもらえませんか?」と返した。山下は「明日は忙しいです。明日はできません。でも、また呼んでくれたらいつでもやります。明日もやりたいって、正直頭どうかしてる。ハードコア、デスマッチ向いてると思う。私も楽しかった。 デスマッチとハードコアは乃蒼ヒカリを歓迎してます」と言うや、その健闘を称えて握手を交わした。
一人、リングに残った乃蒼は「最初聞いたとき、エイプリルフールでウソかなって思ったんですけど、4月1日に乃蒼ヒカリの夢が一つ叶いました。でも、私はハードコアでは足りなくて、デスマッチがやりたいです。なのでこれからも乃蒼ヒカリに付いて来てください!」とアピールして締めくくった。
バックステージで乃蒼は「聞いたのが1カ月前とかで、『まだかなまだかな』って、ずっと楽しみにしてたんですけど、いざ近くなってくると不安とか怖さとかがやっぱりあって。どうなるんだろうって思ってたんですけど、すごい楽しかったです。最初『デスマッチやりたい人だったら誰?』って聞かれて、山下選手の名前を出させていただいて。今日の試合が本当に楽しみで。でも私は山下さんに勝ててないし、まだまだだから。もっと強くなって、いつかは山下さんのライバルになれるようなレスラーになりたいし、東京女子のデスマッチファイターになりたい。これからもまたチャンスがあればと言うか、自分からいっぱいやっていきたいなと思います」とコメント。
さらに、乃蒼は「ハードコアも楽しかったんですけど、私の夢はデスマッチなので。ちょっと血が出たんですけど、こんなもんじゃ私はまだまだ。1回やっちゃうと、もっともっとってなっちゃうのがプロレスだと思うし。私はもっと刺激的なプロレスがやりたいです」と話した。
続けて、乃蒼は「私は葛西純さんみたいなカッコいい背中がほしいんですよ。だから、もっと血を流して。自分的にテンションが上がったので。私の好きな凶器は有刺鉄線なので。有刺鉄線は人を痛めつけるためのアイテムなんですよ。だから私は有刺鉄線を使ってデスマッチクイーンになりたいです。ハードコア、デスマッチの女子がいろいろいると思うんですけど、世界一のデスマッチファイターになりたい。葛西純さんを超えたいです!」と目を輝かせた。
一方、山下は「結論から言うと、乃蒼ヒカリはメチャクチャおもしろい。私は今日スタンダードなハードコアで、イスとテーブルがあればいいやと思ったけど。彼女らしいアイテムを考えて来たし、ハードコア、デスマッチが好きなんだろうなっていうのが伝わってきました。彼女が目指す選手がもっと上にいると思うんですけど、それに向けてどんどん私とかは踏み台にしていってくれたらと思います。ちょっと頭おかしいからハードコアに向いてますよ。技とか凄くいいですよ。小さいなと思ったけど、忍耐力あるし、技も迫力があるし。凶器映えするような技というか。一発一発しっかりしてるし。私みたいなデカいのとやっていきたいなら、男子選手とこれから当たっていくこともあるんじゃないかという可能性を考えたら、パワーじゃ絶対に厳しくなると思うんで。どんなアイテム持ってくるかとか、その辺を使えばどんどんのし上がれるんじゃないですか? 東京女子の中で頭ひとつ飛び出した選手になれるんじゃないですか? (フィニッシュは)素晴らしいハードコアで刺激をくれたんで、おみやげです。いつかスプラッシュマウンテンを返してくれるんじゃないかって、期待を込めて初戦からスプラッシュマウンテンで決めました。ハードコアを代表する女子選手になってくれると期待を込めました」と乃蒼を評価していた。
なお、第2回「TJPW INSPIRATION」が7月1日に新木場で開催されることが決まった。