【コラム】3月14日・後楽園ホールで全日本プロレスの歴史が変わる!?ヨシタツと西村修が新日本プロレス式合同特訓!謎の『王道ストロングスタイル』とは?
飾り気のない黒のショートタイツに素足。運動の回数を数える声と、気合と、苦しさに漏れ出すうめき声。それ以外には何一つとしてない…『全日本プロレス』の道場において、ヨシタツと西村修の原点である『新日本プロレス』式合同特訓が繰り広げられた。
トランプの出た目の数倍の回数を延々と繰り返す、ヒンズースクワットとプッシュアップ。タオル引き。ブリッジ。腹を踏み合う腹筋。首押し。差し合い。さらには、かつて彼らの師がパラオの海岸でおこなった槍での攻撃をよけての反射神経を磨く訓練。関節を取り合うスパーリング。ロックアップからの押し合い…などなど。ただ黙々と汗まみれ。二人の合同特訓は3時間以上に及んだ。
今回の合同特訓のきっかけを、ヨシタツはこのように語る。
ヨシタツ「こんど諏訪魔の三冠へ挑戦する(3月21日京都大会)にあたり、その前哨戦(3月14日後楽園大会・諏訪魔&佐藤光留vsヨシタツ&西村)で自分と組んでいただきありがとうございます。後楽園で組ませていただくのは自分にとって凄く感慨深いです。西村さんは覚えてないかもしれませんが、西村さんの新日本でのラストマッチが、まだヤングライオンだった自分と後楽園で組ませていただいた試合なんです。そんな西村さんと自分が再び後楽園で組むのは感慨深いものがあります。そんな意味合いもあり、今回の合同特訓をお願いさせていただきました」
それに対し西村は
西村「我々の出自である新日本プロレスが同じ釜なんで。その後、紆余曲折を経てお互い違う道へ行きましたけれど。スタートは、お互い山本小鉄さん。あなた(ヨシタツ)が高い壁に臨んでいる姿を見て、いてもたってもいられなくなりました。死ぬ気で頑張っていただきたい。あなたの集大成の全てをぶつけていただきたい。これはあなた自身の戦いでもあるし。また、いまのこの激動のプロレス界の未来へ向けたメッセージというものを、ヨシタツ流で見せていただきたい」
いまヨシタツは『王道』と称される全日本プロレスのリングに、自らの出自である新日本プロレスがかつて唱えていた『ストロングスタイル』を導入した新たなるスタイルの確立を目論んでいる。西村の言う、ヨシタツの目指す『高い壁』とは、そのことを指しているのだ。
ヨシタツ「王道は馬場さんで始まり、馬場さんで終わっている。闘魂も、猪木さんで始まり猪木さんで終わった。なのでオレはオレ独自の、王道とストロングスタイルの両方のいいところを混ぜ合わせた独自のスタイル確立を目指します。そんな自分に対し、もっと全然批判だって起こしてほしい。あくまで自分は2つをミックスした、進化した王道であり、進化したストロングスタイルを自分なりに確立させ、世間に認めさせるつもりです」
そのためにもヨシタツは、かつて師がストロングスタイル確立の道のりにおいて実践した『異種格闘技戦』を全日本の3月シリーズ中におこなうことを宣言。さらにはその先に、このような展望を描いていた。
ヨシタツ「今度の三冠戦は、いまの全日本の流れをガラッと変えるというか。もしも自分が三冠を獲ったら、全日本プロレスの歴史が変わる。ストロングスタイルという言葉を口にする者が三冠を獲ったら…これは革命的な出来事です」
ヨシタツ革命後の全日本プロレスに、西村が寄せる期待も実に大きい。
西村「これまで60年代や70年代に活躍した色々な人たちの教えを受けてきましたが、どこへ行こうが誰から教わろうが、プロレスというものはエンタメだとかショーだとかの全てを超越した戦いであると。6m四方のリングに戦いがあります。常にブレることのなかったこれまでの師匠たちが、そのことを自分に教えてくれました。何十年経とうと、プロレスとは戦いであるという部分からは微塵たりともブレてはいないし、ブレてはほしくないという部分で、これからの全日本に期待したいです」
全日本プロレスの『王道』と、新日本プロレスの『ストロングスタイル』。そのどちらをも熟知するヨシタツだからこその革命宣言。その実現に力を貸した西村修。二人の迫真の特訓の模様は、全日本プロレス公式Youtubeチャンネルにて絶賛公開中だ。3月14日・後楽園ホール。京都での三冠戦を前にしての前哨戦。全日本プロレスの歴史を、新日本プロレス育ちの二人が大きく変えてしまう可能性が出てきた。
文…日々樹アキラ