安生洋二引退興行3.19後楽園大会 ゴールデンカップスvs.船木&鈴木&菊田の時間無制限三本勝負
安生洋二 引退試合大会
〜Y.A IS DEAD〜
日時:2015年3月19日(木)
開場:18:00 開始:19:00
会場:東京・後楽園ホール
観衆:2127人(超満員札止め)
▼第1試合 シングルマッチ 15分1本勝負
○MAX宮沢
4分03秒 ヒザ十字固め
●服部健太
▼第2試合 シングルマッチ 20分1本勝負
○入江秀忠
6分01秒 カカト落とし→KO
●エドアルド・ホンダ
▼第3試合 ハードコアルール タッグマッチ 20分1本勝負
○佐野巧真/長井満也
9分22秒 ノーザンライトボム→体固め
金村キンタロー/●黒田哲広
▼第4試合 Uインタールール 20分1本勝負
○中野巽耀【D0E0】
4分44秒 しゃちほこ固め
●岡田考【D1E1】
▼第5試合 Uインタールール 20分1本勝負
○上山龍紀【D0E2】
14分26秒 スピニングチョーク
●中村大介【D3E1】
▼第6試合 タッグマッチ 45分1本勝負
○ミノワマン/金原弘光
13分06秒 ヒールホールド
藤原喜明/●松井大二郎
▼第7試合 安生洋二引退試合 時間無制限3本勝負
●安生洋二/髙山善廣/山本健一
0-3
○船木誠勝/鈴木みのる/菊田早苗
<1本目>
●安生洋二/髙山善廣/山本健一
13分19秒 アンクルホールド
○船木誠勝/鈴木みのる/菊田早苗
<2本目>
●安生洋二/髙山善廣/山本健一
16分47秒 アキレス腱固め
○船木誠勝/鈴木みのる/菊田早苗
<3本目>
●安生洋二/髙山善廣/山本健一
23分03秒 ゴッチ式パイルドライバー→体固め
船木誠勝/○鈴木みのる/菊田早苗
“Mr.200%男”安生が引退試合でゴールデンカップス再結成!三本勝負で三本とも敗れる
引退セレモニーには桜庭、長州も駆け付け、安生は「もう何も残ってねぇ。0%だよぉ」
オープニング
場内が暗転し、「開会宣言、大物Xはこの方です!」とアナウンスされると『キャプチュード』が鳴り響く。大「前田」コールの中、登場したのは黒いショートタイツにリングシューズ姿のレイザーラモンRG!
リングに上がったRGは「どうも前田日明です。もうごちゃごちゃ言わんと、Uインターあるある歌わせてください!」と挨拶すると、ハウンドドックの曲に乗せてUインターあるあるを披露。「♪Uインターの練習生は夜逃げしがち〜」というオチで爆笑を誘ったRGだが、そこに高田モンスター軍の島田二等兵が乱入。
懐かしのブーイングが飛ぶ中、島田二等兵は「もうお前があがるリングじゃないんだよ。開会宣言は俺がいて、安生洋二さんの引退試合ということは、もうあの人しかいないんだよ。男の中の男……アン・ジョー司令長官出てこいや!」と呼び込む。
そこに現れたのは真っ赤なUインターのジャージを着た安生。「本日はアン・ジョー司令長官で開会宣言しようと思ったんですが、あのメガネをなくしてしまいました!」と吐露。しかしメガネを探している最中にこのジャージを見つけたということで、「今日の引退試合、200%勝ちます!」と宣言。
するとRGがまたもハウンドドックの曲に乗せて「安生洋二あるある」を披露することに。「♪道場破り、失敗しがち〜」と高らかに歌い上げると、怒った安生がアトミックドロップを決め、『ハッスル』名物だった飛び上がりを披露したRG。
そこに今度は『ハッスル』のエースだったレイザーラモンHGが登場。ハッスル時代は敵同士だったアン・ジョー司令長官と握手をして和解すると、安生がHGに開会宣言を依頼。HGは「5年ぶりくらいですかね? ハッスルが潰れて」とぶっちゃけたHGが音頭を取り、リング上の4人と総立ちの観客と一緒に「いくぞー! 3、2、1、ハッスル、ハッスル! フォー!」と開会宣言した。
第1試合
安生曰く「キングダムを救ってくれた日本人選手」というMAX宮沢がオープニングマッチに登場。花鳥風月所属でハードヒットなどにも参戦している服部はまずはタックルを仕掛けていきテイクダウン。ヘッドシザースに捉えた宮沢だが、倒立から首を抜いて脱出した服部。
ローを蹴っていく宮沢だが、掌底をかわした服部はドロップキックで倒すとレッグスプリットに捉える。
ロープに逃れた宮沢は左右の掌底から首相撲に捉えるとヒザを入れてからスロイダーで投げる。ヒザ十字固めを狙う宮沢だが、逆にアキレス腱固めを決めた服部。宮沢もヒールホールドにスイッチすると、服部は慌ててロープに脱出。
服部のタックルを切った宮沢はロー。右足に絡みついた服部は、ロープを掴んだ宮沢をジャーマンで投げ捨てるが、立ち上がった宮沢は服部をドラゴンスクリューを返すとヒザ十字固めを決めてギブアップを奪った。
第2試合
ホンダは黒い柔術着姿で入場。そして安生がかつて立ち上げた団体「キングダム」の名をいまでも受け継ぐ入江秀忠は、キングダムのテーマにキングダムのジャージ姿で入場。もちろんキングダムが当時導入したオープンフィンガーグローブを着用。
すると入江は青い柔術着(上着)を着用。相手の土俵で勝負することに。いきなり組み付いて背負い投げで投げたホンダは、サイドポジションからアームロックを狙う。マウントにスイープしたホンダはジワジワと腕十字の体勢へ。
クラッチが切れた入江だが、うまく体を捻って脱出。猪木-アリの体勢から側転パスガードを見せた入江は、ジャックナイフパスガード。そこを捕まえようとしたホンダだが、辛くも逃れた入江。しかしホンダは下から足をすくって倒すと胴絞めスリーパーに捉える。
体を回転させて脱出した入江は、自らマットに寝転んで挑発。両足を使ってホンダを下からコントロールした入江はヒザ十字固めを狙う。極めさせなかったホンダはオモプラッタからのパスガードを狙う。
だが、下から蹴り上げて阻止した入江は胴タックルでコーナーまで押し込むと、バックを取って強引に投げていく。ここで入江が道着を脱ごうとするが、そこに襲いかかったホンダは、道着が引っかかって両腕が使えない入江を殴る蹴る。
これに怒った入江は強引に道着を脱ぎ捨てると、蹴りの連打から脳天へカカト落とし。これでホンダは前のめりにダウンし、和田良覚レフェリーが試合をストップ! 勝った入江は三グラスをかけると、キングダム・エルガイツのフラッグをアピールした。
第3試合
かつてゴールデンカップスと激闘を繰り広げた冬木軍出身の金村&黒田が、U出身の長井&佐野と対戦。ブリブラダンスを踊りながら入場した金村&黒田。すると金村が「こんばんは、金村キンタローです。ハゲ! ハゲ! 俺と黒田は20年以上ずっとデスマッチやってきたんや。最近では普通のプロレスのルールも忘れてきたわい! そんな俺がUWFルールなんて出来るわけないだろ! 100%、いや200%勝てるわけがないだろ! ハードコアルールだったらやる。UWFルールだったら俺と黒田は試合せえへん!」と和田良覚レフェリーにアピール。
和田レフェリーは即答を避け、運営側に確認を取ると約束。そこに佐野&長井が入場すると、本部席の鈴木健氏がハードコアルールにGOサインを出したため、ハードコアルールで行われることに。場外カウント&反則カウントなし。3カウントかKOのみとなる。
金村が「来い、ハゲ」と長井を挑発。長井がミドルキックを叩き込んでいくと、胸を突き出して受け止めた金村だったが、「痛い!」と崩れ落ちる。しかし長井がロープに飛んだところで背後から黒田が蹴っていき、場外に引きずり出す。金村も佐野を場外に連れ出して客席に投げつけていく。
黒田は長井を南側の通路まで連れていくと、通路ダッシュ・ラリアットをお見舞い。「もう一丁」コールを受けてダッシュした黒田は通路ダッシュ・ラリアット3連発。しかし3発目をフロントキックで迎撃した長井は、逆に通路ダッシュ・フロントキック。
その間弐金村はリングサイドでテーブルの上に乗せた佐野にボディプレスを投下してテーブルクラッシュ。真っ二つになったテーブルをリングに上げた金村は、佐野をコーナー下に座らせるとテーブルを急所にぶつけていく。さらに黒田とのダブルエルボー→キス→ダブルのエルボードロップと連係攻撃。
黒田が逆片エビ固めに捉えると、続いて金村が串刺し攻撃を狙ったが、かわした佐野はハイキックを叩き込んで長井にタッチ。キャプチュードで金村と黒田を連続で投げた長井は、合体攻撃を狙った金村&黒田をダブルラリアットで迎撃。
さらに金村に串刺しランニングエルボーからブレーンバスターを決めると佐野にタッチ。走り込んできた黒田をソバットで迎撃した佐野は、コーナー二段目からのダイビング・フットスタンプ。しかしバックを取った佐野に急所蹴りを見舞った黒田は、金村はトレイン攻撃。さらに佐野をコーナーに乗せると、黒田が哲っちゃんカッター。
対角線ダッシュ・ラリアットでカウント2まで追い込むと、金村が爆YAMAスペシャルを投下。辛くも長井がカットに入ったが、テーブルの破片を手にした黒田が殴りかかる。どうにかキャッチして奪い取った佐野は、そのテーブルの破片で黒田と金村を殴打。
そこから黒田にソバットを叩き込んだ佐野は、ダメ押しのノーザンライトボムで叩き付けて3カウント。試合後、マイクを持った金村が「佐野、長井、こんくらいで許しといたる」と言うと、佐野と長井がリングを降りて飛びかかろうとしたが、金村はもの凄い速さで逃走した。
ゲスト挨拶
『UWFメインテーマ』が流れる中、元UWFインターナショナルの鈴木健氏がリング上へ。「このUの文字、自分は20年ぶりにこのリングに上がれて、故郷に帰ってきたみたいで嬉しいです!」と挨拶すると、俳優の川野太郎さんとシーザー武志会長を呼び込む。
シーザー会長は「Uファンの皆さん、こんばんは。安生洋二君、ご苦労さんでした! お疲れさん! 彼とは彼がまだ選手になる前にうちに来てずっと練習をやっていました。思い出すのは横浜文体でマンソン・ギブソンと安生洋二の無制限一本勝負。あれもドローに終わりまして……。安生がプロレスを辞めるのは寂しいですね。焼き鳥屋のほうには必ず行きますのでよろしくお願いします」と挨拶。
公私ともに安生と仲がいいという川野氏は「ちょっと場違いですかね? この市屋苑の焼き鳥屋で鈴木さんにお世話になり、安生さんと出会い、本当に気さくで人なつっこい笑顔が印象的です。私は役者をやっていますが、舞台というのは本当にいつかは終わりが来る。千秋楽のない舞台はありません。全身全霊を込めれば込めるほど、千秋楽の舞台が開けたとき言葉には出来ない気持ちがあります。今日は安生さんのプロレスラーとしての千秋楽です! 思い残すこと、後悔がないように頑張ってもらいたいと思います。ガンバレ、安生洋二!」とエールを贈った。
最後は鈴木氏が「最後の闘いをどうか目に焼き付けて、皆さんのパワーで応援してやってください」と盟友に檄を飛ばした。
第4試合
第4と第5試合はロストポイント制が初めて導入されたUWFインターナショナルルールで行われるため、試合に先立ちルールがアナウンスされる。
真っ赤なタオルを羽織り、『あしたのジョー2』のテーマ曲で入場してきた中野はまったく変わらない佇まい。ローから掌底を打っていく岡田だが、憮然とした表情で受け止めた中野は、蹴り脚をキャッチして押し倒す。
立ち上がった岡田に組み付いてロープに押し込んだ中野はローキックの連打でダウンを奪う。これで岡田はロストポイント1。岡田は組み付いていき強引に投げてテイクダウンを奪うと、マウントから腕十字を狙う。しかしサイドにスイープした中野はボディにパンチを落とすとアームロックへ。
完全に極められる前にロープにエスケープした岡田。これでロスポイント2。蹴り脚をキャッチして倒した中野だが、下から絡みついた岡田は上になったパンチを落とす。中野も下からアキレス腱固めを仕掛けるが、下になった岡田は三角絞め。
しかし顔面への掌底で脱出した中野は、フロントネックロックに捉える。そのままバックに回った中野はフルネルソンスープレックスで投げていく。岡田も立ち上がってクローホールドSTOでなぎ倒すとフットスタンプを投下。しかし、うまくズラした中野は倒れた岡田の背中に乗ると、逆片エビ固め式のシャチホコ固めに捉えてギブアップを奪った。
大歓声を受けた中野はトレードマークの鼻血を出しながら勝利のガッツポーズ。
第5試合
『西部警察』のテーマ曲で入場した中村は師匠・田村潔司ばりに四方に一礼。上山は気合いの入った様子で入場。ともにUイズムの継承者にして総合格闘技でも活躍する選手だけに、いきなりハイスピードでのバックの取り合いから“回転体”の攻防を見せる。
一気に場内が沸き上がる中、スタンドになると中村がミドルで前に出たところに上山が左右の掌底。さらに中村のミドルをキャッチした上山は逆にミドルを叩き込む。カニ挟みで飛び付いた中村はサイドにパス。
腕十字を仕掛けた中村だが、上山はバックに回る。アームロックにスイッチしようとした中村は、意表を突いてビクトル投げ。しかし上山が逆にクロスヒールホールドを仕掛ける。中村もアキレス腱固めで対抗すると、カメになる上山のバックマウントを取る。
ニーロックを仕掛けた中村を腕十字で切り返した上山。しかし極めさせない中村はヒザ十字を狙う。立ち上がった上山はサイドにパスするとスリーパーに捉えるが、中村は腕十字で切り返す。
クラッチした上山は後転すると腕を抜いてバックに回る。しかし中村もバックを取り返すとジャーマンの体勢に。投げられる前にビクトル投げからヒザ十字に捉えた上山。これで中村がロープエスケープしてロストポイント1。片足タックルからバックを取った上山だが、中村はアンクルホールドに捉えると、そこから強引にヒザ十字固めへ。
防御した中村は逆に腕十字を仕掛けるが、上山はクラッチ。一旦離れてスタンドになると、中村がヒザ蹴りで飛び込むが、上山は左右の掌底から首相撲。コーナーに押し込んで払い腰で投げた上山だが、中村はワキ固め。前転して防御した上山が逆に腕十字を仕掛けていく。
中村もうまく防御するとアームロックの体勢から回転してから腕十字にスイッチ。しかし上山も極めさせず10分が経過。打撃で前に出てきた中村だが、ヒザ蹴りで迎撃した上山がダウンを奪う。これで中村はロストポイント2。中村の腕を取った上山だが、中村はヒザ蹴りで連打。
しかしうまくガードした上山が逆にボディへのヒザでダウンを奪い、中村はロストポイント3。ヒザ蹴りで飛び込んだ上山だが、逆に足に絡みついた中村はアンクルホールドへ。うまく防御した上山だが、中村は側転パスガードから腕十字へ。
クラッチが切れて上山の腕が伸びたが、ロープに足が届く。これで上山はロストポイント1。首相撲からヒザを入れる上山だが、中村はハイキックを返す。しかしブロックした上山はボディへのミドルキックでダウンを奪い、中村はあと1回のロストポイントで負けとなる。しかし中村が電光石火の飛び付き腕十字。クラッチが切れた上山だが、どうにかロープにエスケープ。
これで上山はロストポイント2。中村は片足タックルを仕掛けるが、切った上山はスピニングチョーク。しかし中村はどうにか首を抜き、上からボディに掌底を打ち込んでいく。だが、下になった上山はもう一度スピニングチョークで捕獲。これで中村はタップアウト。
Uインタールールらしい最後までどちらが勝ってもおかしくないスリリングな攻防の末、最後は上山が勝利。お互いに健闘を称え合って正座をしながら一礼すると、観客からは大歓声が飛んだ。
<試合後コメント>
上山龍紀
――安生選手の引退興行に出場されたわけですが?
「Uインターの頃から育ちまして、安生さんが引退されるという事で。最近Uの先輩方がどんどん引退されていってるんで、自分はまだまだ動けるし、結果も残していけると思いますんで。昔のUインター、自分は若手でしたけど、DEEPでベルトを獲って、総合で。バリバリやってるんで、ちょっとでも先輩方に強くなった姿を見せられたかなと思います」
――UWFの回転体と言われる試合は安生選手と田村選手がルーツだと思うので、今日上山選手と中村選手の試合があって良かったなと思いましたが?
「そうですね。いい試合をして、勝つというのが目標だったので。中村大介も動ける選手なんでそれに付いてきてくれて。かみ合ったかなと思います」
――結果的にそういう試合が見せられたと?
「そうですね。自分的にはもっといい試合を見せられる自信があるんで、まだまだですね」
第6試合
Uインター出身の金原と松井が、それぞれUWFの重鎮・藤原、そしてパンクラス出身の超人・ミノワマンをパートナーにして激突。この試合からPRIDEで活躍した太田真一郎リングアナがコール。
松井、金原、藤原、ミノワマンの順に一人ずつ入場。金原が藤原を指名するが、ミノワマンが強引に金原を下げて先発を買って出る。藤原と相対したミノワマンは片足タックルでテイクダウンを奪うとアキレス腱固めへ。
だが、藤原もアキレス腱固めで対抗。しかし先にロープに逃れたのは藤原。ここで藤原は松井にタッチし、一瞬気を抜いたミノワマンを電光石火のワキ固めに捉える。不意を突かれたミノワマンは金原にタッチ。金原はローからミドルを叩き込むが、組み付いた松井は投げていく。
しかし背後に回った金原はスリーパー。背負い投げで逃れた松井だが、金原はフェイントからカカト落としを脳天に叩き込むと、倒れた松井にニードロップを落としてダウンを奪う。
立ち上がった松井を相手コーナーに投げつけた金原は藤原に向かって手招き。タッチを受けた藤原はニヤリと笑うと、金原のハイキックを辛くもブロック。そこにタックルを仕掛けた金原だが、腹固めで切り返した藤原はワキ固めにスイッチ。ロープに逃れた金原だが、すとんピングを落とした藤原は一本足頭突きでダウンを奪う。
藤原をコーナーに追い詰めてミドルキックから掌底を叩き込んだ金原だが、体勢を入れ替えた藤原は張り手をお見舞い。脇の差し合いからロープに押し込んだ藤原はまたも張り手。金原もオーバーハンドの掌底を返してダウンを奪うとミノワマンにタッチ。
ミノワマンのドロップキックをかわした松井は逆にドロップキック。ミノワマンもかわしてドロップキック。これもかわした松井はバックを取るが、ミノワマンはアキレス腱固め。松井がそのままタッチすると、藤原が元祖アキレス腱固めに捉える。今度はミノワマンがそのままタッチするが、藤原は金原にもアキレス腱固め。
金原がロープに逃れると藤原は松井にタッチし、ダブルでスタンディングのアキレス腱固め。さらに松井がドロップキックを叩き込むが、金原もタックルでテイクダウンを奪うと腕十字を狙う。松井はアキレス腱固めで切り返すが、金原はミノワマンにタッチ。
今度は金原とミノワマンがダブルのアキレス腱固めを極めていく。ミノワマンはボディへのソバットから水車落としで叩き付けると、腕決め袈裟固めを狙うが、松井は腕十字で切り返す。10分が経過し、うまく脱出したミノワマンは金原にタッチ。松井とタッチした藤原はボディブロー。
金原が張り手を返すと、藤原は朦朧としながらもワキ固めに捉える。ロープに逃れた金原だが、藤原は一本足頭突きから松井にタッチ。ヒザ十字固めに捉えた松井だが、金原はロープに逃れると掌底からカカト落とし。
これをかわした松井はタックルでテイクダウンを奪うが、金原とタッチしたミノワマンがバックを取る。ロープを掴んで投げられるのを阻止した松井は逆にバックを取ると強引にジャーマンで投げ捨てる。ダウンしたミノワマンだが、カウント8でどうにか立ち上がる。もう一度バックを取った松井だが、ミノワマンはビクトル投げからヒザ十字固め。
藤原がカットに入ろうとしたが、その前にミノワマンがヒールホールドにスイッチしたため松井がタップ。勝ったミノワマンは警戒しながら藤原とも握手を交わすと、S.R.F.8回(スタンディング・リアル・フィスト)。金原も一緒になって拳を突き上げた。
<試合後コメント>
金原弘光&ミノワマン
――ミノワマン選手見事勝利を収めましたが。
ミノワマン「安生選手とは直接の接点とかはなかったんですけど試合とかは。色々会場の中で、高校生の時とかのまだプロになる前から選手としてすごい尊敬する選手で見ていまして、その選手の引退興行ということで参加させていただいでほんとに、思わずファン心が出てしまうようなほんとありがたい感謝です」
――藤原さんはどうでした?
ミノワマン「今回、金原さんとか松井さんとかリングで初めてお会いする方々で、皆さん初めてな分緊張したんですけど、特に藤原さんの、アキレス腱固めですか。僕は高校の頃に藤原さんの関節技講座というビデオを見て、それでアキレス腱固めをそれで勉強して、僕自身のアキレス腱固めが藤原さんの、基本は藤原さんのアキレス腱固めですので、それをこう真っ向から勝負できたっていうのは嬉しかったんですけど、でもやっぱり、ちょっと頭の使う方としては、一枚も二枚も上手でした。ちょっと隙を突かれて脇固めをやられてしまったので、今回はまた脇固めを盗んでいきたいなと」
(金原がインタビュースペースへ)
金原「どう? 藤原さんはどうでした?」
ミノワマン「ちょっと、頭を使う感覚で一枚も二枚も上手で、真面目にやってもスカされて、それをお客さんもやっぱりわかってて、それがお客さんを惹きつける力とか、それはそうでしたね」
――金原さんは安生さんの引退に関しては?
金原「やっぱ寂しいですよね。控室で一緒で今までずっと一緒だったんで、なんか寂しいというか。まあ何十年かぶりに同じ控室で、すごい懐かしい気持ちで嬉しかったんですけど、これで最後かなと思うと寂しいですね」
――その試合で勝利出来ましたが。
金原「そうですね、それはミノワマンの活躍が大きかったんで。(ミノワマンとは)楽しいですけど、試合やりたいですよね。当たったことないんで」
ミノワマン「そうですね。タイミング合えば」
金原「藤原さんは一回、今回で僕二回目なんですけど、なんかすごいやっぱ、グラウンドやりたかったですけどね、あんまりグラウンドするの、すぐ最初ぱっぱととられてしまったので。グラウンドの攻防したかったですね」
藤原嘉明&松井大二郎
松井「組長、まだ全然衰えていないですね! 金原さんから獲るって」
藤原「その気になるじゃないか(笑)」
――今日の試合を見てゴッチさんが言っていた「コンディションが最高の武器」という言葉を思い出しました
藤原「そうですね。コンディションは大丈夫です。彼が頑張ってくれたんで。」
――安生選手は入門時から知っていると思いますが、引退については……
藤原「あぁ、早いなと思って。でももう50(歳)? 要するに今のうちにやめておかないと、俺みたいにダラダラダラダラとプロレスしかなくなっちゃうからね。だからちょうどいいんじゃないの?」
――藤原選手の元気な姿は同世代のファンの励みになっていると思いますが?
藤原「いや、俺らの世代ってみんな元気いいんだよねぇ。なんでかなぁ? やっぱり地獄の特訓かね?」
松井「僕らが想像しているよりも厳しい練習が糧になっているんだと思います。」
藤原「ありがとうございます。ウ○コしてくれて、あぁ代弁(だいべん)してくれてありがとうございます。……ちょっとつまんなかったね(笑)。ありがとうございました!」
第7試合
“Mr.200%男”安生洋二の引退試合は、安生が一番楽しかったという高山善廣、山本健一とのゴールデンカップスを18年ぶりに再結成し、船木&鈴木&菊田というトリオと対戦する。船木、鈴木は新生UWF時代の後輩でありライバル。菊田のことはスーパータイガージムに通っていた頃から知っていて、Uインターに入門したがデビューできなかった菊田との対戦は“忘れ物”だと語った安生。
菊田、鈴木、船木の順に一人ずつ入場。鈴木はGHCヘビー級のベルトを手に登場。そしてスクリーンには高田延彦が映り、「安ちゃん、30年間お疲れ様。じゃあ行くか。男の中の男、安生洋二、出てこいや!」と呼び込むと南側客席の最後方からゴールデンカップスの3人が登場。200%男コスチューム姿の安生が最後にリングインすると、ゴールデンカップスは「ウィアー、ゴールデンカップス!」と決めポーズ。
安生が先発を買って出ると、船木が相対する。ローの蹴り合いから組み付いていった安生。ロープに押し込んだ船木は慎重にクリーンブレイク。バックを取った船木だが、安生が相手コーナーに押し込むと、鈴木が勝手に船木とタッチ。
不適な笑みを浮かべて安生に近づいていった鈴木はコーナーに押し込んでいくと、離れ際に張り手。しかし読んでいた安生はかわしてみせる。鈴木に「来いよ!」と言われた安生は高山に向かって「お前が来いよ!」と指示するが、高山はまだタッチを受けない。すると鈴木はスカすように菊田にタッチ。
掌底から組み付いた菊田だが、安生はロープを掴んで必死に抵抗。ここで山本がタッチして組み付きながらヒザを入れていく。しかし菊田は足に絡みついてヒールホールド。すぐにロープに逃れた山本はボディスラムで叩き付けるが、菊田は背後から絡みつく。肩固めを仕掛けた菊田だが、うまく抜けた山本は高山にタッチ。
タックルから背負い投げで投げた菊田は下から腕十字を狙う。だが、そのまま持ち上げた高山はバスターで叩き付けて脱出。立ち上がった菊田はチョップで向かっていくが、ハンマーを振り下ろした高山は高々とバックドロップで叩き付ける。
堪らず鈴木がカットに入るが、菊田にストンピングを落としていき、菊田と小競り合い。その間に船木がリングインして高山に腕十字を仕掛けていくが、安生がカット。鈴木と菊田はなおもコーナーで揉み合っているため、高山は安生にタッチ。スリーパーに捉えた安生だが、船木はロープに脱出。
船木は蹴りを返すと鈴木にタッチ。鈴木は控えの山本に唾を吐きかけてからレフェリーをそっちにいかせると、安生にサミング。そこに菊田を呼び込んだ鈴木はダブルのアキレス腱固めを極めていく。
しかし高山と山本が入ってきてカット。鈴木はなおも安生にサッカーボールキックを叩き込むと、控えの高山と山本にもフロントキック。怒った高山がリングに入っていくが、エルボーで蹴散らした鈴木は愚な気にタッチ。組み付いた船木にビクトル投げから必殺のグランドクロス200を極めた安生。
鈴木がカットに入るが、高山が鈴木を場外に連れ出す。リング上では船木が左右の掌底から浴びせ蹴りを叩き込むと、安生をアンクルホールドに捉えてギブアップを奪った。これで一本目は船木組が取った。
二本目が始まると船木のローの連打に安生がダウン。歯を食いしばって立ち上がった安生だが、船木は容赦なく強烈なローキックを叩き込む。悲鳴をあげながらも耐える安生だが、コーナー下に座り込む。「安生」コールが起こる中、船木が鈴木にタッチすると鈴木も安生の足を攻撃。
そこに山本が入ってくるが、鈴木は山本を蹴散らすと安生にローキック。さらに菊田がアキレス腱固めに捉える。どうにかロープに逃れた安生だが、鈴木がエルボーで高山と山本を場外に落としている間に船木のローキックで安生がダウン。
さらに安生を立たせた船木は、鈴木と交互に安生にローキックを連打すると倒れた安生をアキレス腱固めに捉えてギブアップを奪った。ストレートで船木組の勝利となったが、安生は倒れたままマイクを握ると「船木、鈴木、菊田。今日は三本勝負の約束だろ。今日は三本勝負だろ、無制限の! オイ、次の一本はジャンプアップチャンス! 次を取れば三本分だよ、オイ。お前らそれぐらい付き合えよ、オラ! オイ! あんなにがっちり蹴っておいて逃げるのか、オイ! 俺はまだ燃え尽きてねぇぞ!」と主張。
この主張を主催者側が認めたため、試合は続行されることに。菊田と相対した安生だが、背後から山本がタッチしてリングイン。払い腰で投げた菊田は袈裟固め。ロープに逃れた山本はダブルリストロックを狙うが、菊田はロープに逃れる。バックに回った菊田は胴絞めスリーパーに捉えるが、山本はロープに逃れると高山にタッチ。
鈴木が入ってきてエルボー合戦を仕掛けてると、ヨロめいた鈴木に高山はニーリフト。さらに菊田、船木にもニーリフトを叩き込んだ高山は鈴木をスロイダー2連発で投げると、船木にはジャンピングニーからダブルアーム・スープレックス。
さらに鈴木にビッグブーツを叩き込むと、安生を呼び込む。コーナーからダイブしてハンマーを落とした安生。そこに山本も入ってきて高山と両側から鈴木を抑え付けると、鈴木の背中に安生が乗っかって決めポーズ。安生はニーリフトを叩き込むと、ランニングニーリフトとからグランドクロス200。
船木がカットに入るが、安生はなおも鈴木にミドルキックを連打。しかし背後に回った鈴木はスリーパー。山本がカットに入るが、船木が捕まえてハイブリッド・ブラスター(=リストクラッチ式変型ツームストンパイルドライバー)で叩き付ける。
高山も菊田がアキレス腱固めで抑え付ける。その間に鈴木がスリーパーから滞空時間の長いゴッチ式パイルドライバーで叩き付けて3カウント。勝った瞬間、船木の曲がかかったため、鈴木は音響ブースまで行き、スタッフに蹴りを入れて『風になれ』をかけさせた。
そして深々と一礼する安生に拍手した鈴木は握手を求めるが、安生は無視して四方に一礼。改めて安生から握手を求めると、鈴木が応じようとしたところで安生は船木、そして菊田と握手。だが、最後には鈴木とも握手をし、鈴木も安生の腕をあげて敬意を表した。
引退セレモニー
試合後、安生の引退セレモニーへ。マスコミから写真パネルなどが贈呈されたあと、関係者からの花束贈呈のあと、安生のデビュー戦の相手を務めた星名治さんからも花束が贈呈された。そして『SPEED TK-ReMIX』が流れる中、スーツ姿に200%マシンマスクを被った男が登場。
安生から「お前は誰だ?」と言われたマシンがマスクを脱ぐと、その正体は桜庭和志。桜庭は花束と共に桜庭カラーの200%マシンマスクを贈呈した。さらに『パワーホール』が流れ、スーツ姿の長州力が登場。
リングに上がった長州が笑顔で花束を渡すと、安生は感極まった表情で握手。「長州」コールの中、長州が引き上げていくと、マイクを持った安生は「ハァ…アハハ(苦笑)。ヤベェ、ヘヘ。明日、焼き鳥焼けねぇ……。もう何も残ってねぇ。0%だよぉ! ホント今日、本当に30年間やってきてよかったぁ。本当に、本当にプロレスの黄金期に戻ったみたいなこの熱気、すごく懐かしくてすごい嬉しかったです。この熱気を作ってくれたのはここにいる一人一人、古くからのファン、新しいファン、そしてずっと僕を応援してくれた関係者たち、応援してくれた人々、それによってこの空間は作られました。皆さん、本当にありがとうございました!」と挨拶して四方に一礼した。
「皆さん、また会いましょう! 焼き鳥屋として!」としっかりオチまでつけ、最後まで200%男を貫いた安生は観客に「Uインター」コールを要求。会場が「Uインター」コールに包まれると、引退の10カウントゴングが鳴らされた。
そして太田リングアナが「赤コーナー、180センチ、100キロ、安生〜洋二〜」とコールすると、『JAMES BROWN IS DEAD』が流れる中、シルバーの紙テープが安生の引退を彩った。そして出場選手や関係者がリングにあがって記念撮影が行われたあと、みんなで胴上げをして安生を送り出した。
<試合後コメント>
安生洋二
――ついに引退試合を終えましたが、今のお気持ちはいかがですか?
「今? 今は体痛てぇしかないっすよ。マジでヒデぇよ。あの攻撃。でももう何も残ってないです。燃えカスも残っていない。さっき言った通り0%です。プロレスのリングに上がる自分についてはきれいに。もう2度と上がりたくないって思いました」
――ちなみに試合に向けてのコンディション作りはどれくらいできたのですか?
「まぁある程度はできましたけど。まぁやれるだけの事はやりました。ただ動けないというわけじゃなかったけど、攻撃がキツかったなぁ。久々に食らうとね。マジ蹴り食らうとキツいわ。胸骨と足がヤバイ」
――しばらくはお休みですか?
「いや明日も(焼き鳥を)焼かなきゃいけないんで。鬼なんですよ。これで立ち仕事ができるかどうか。座りながら焼くかもしれない」
――試合については……
「よくやってくれたなぁ。現役バリバリじゃない俺と現役の差が出ちゃったなぁ。バリバリは強いわ。ちょっと無茶なマッチメークしちゃったな。でもあれくらいの相手じゃないと燃え尽きられないから正解だったな。まぁ試合としてすべてが揃ってたんで、会場も温かったし、お客さんもすごい沸いてくれて」
――試合前は感慨はなかった感じでしたが?
「なんもなかった。でも最後は来ますね。10カウントはキツかったなぁ。走馬燈のように駆け巡るね。入門した時からのいろんな人の顔が出てきましたよ。生霊のように出てきましたね。高田さんとか、高田さんとか、高田さんとか(笑)。高田さんはやっぱり生霊のように見守ってくれてたのかな。今日はスケジュールが合わなくて。怒られたんですよ、なんで早めに相談してくれないのって。でも今回は他の選手のスケジュールを合わせるだけで大変だったんですよ。……Y.A IS DEADですね。0%男。今、締めたんですけど大丈夫ですか(笑)」
<引退する安生へメッセージ>
垣原賢人(ミヤマ☆仮面)
「安生さんには、新生UWFの新弟子の頃からお世話になり、沢山のことを教わりました。その卓越した『打投極』のスキルを惜しげもなく僕たち後輩に指導してくださったことを今でも感謝しております。UWFの尊敬する大先輩がまたひとり引退してしまい、とても寂しいのですが、第二の人生の焼き鳥屋でも頑張ってください! 安生さん、長い間、お疲れ様でした」
(病気について)
「自分は今、悪性リンパ腫という血液のがんと闘っています。自分のためにたくさんの選手や団体が、募金活動をやってくださっているのを知り、感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんの善意に応え、必ずがんを治し、同じ病で苦しんでいる方たちの希望の光になります」
山崎一夫
「安生選手、現役生活お疲れ様でした。
今日の引退試合に参加出来なくて、すみません。
今、おそらく…
会場にお集まり頂いたファンの皆さんや、準備・運営して頂いた関係者の皆さん、そして引退試合を報道して頂いたマスコミの皆さんの温かさを実感しているのではないかと思います。
異業種での第二の人生も大変だと思いますが、レスラーの新弟子時代に戻ったつもりで頑張って下さい。
そして健康にだけは充分気をつけて!
自分が注意していても、アンラッキーな事は、起こったりするものです。
家族や周りにいる人の為にも、どうか健康にだけは注意して、頑張って下さい。
安生選手がお店を出して、落ち着いた頃…
こそっと、お店にお邪魔出来ればと思っています」