コロナ禍に打ち勝ち愛媛プロレスが4ヶ月ぶりの大会を無観客生配信で開催!「コロナ禍の苦悩を失敗で終わらせず経験として活かしたい」
20日と21日の両日、愛媛県・愛媛プロレス道場にて無観客で行われた『愛媛プロレス自主興行』がライブ配信された。
愛媛プロレスとは、2016年に”四国初のご当地団体”として旗揚げされたプロレス団体。キューティエリー・ザ・エヒメ代表のもとで『プロレスで愛媛を元気に!』をスローガンに掲げて活動し、地域に根ざした社会人プロレス団体として成長を続けている。
愛媛プロレスは2018年の西日本豪雨で被災した愛媛県のために、被災翌日から地元企業の支援のもと1週間毎日被災地へ物資を届け、浸水した家屋の清掃及び撤去作業に従事するなどのボランティア活動を行うなど、地域貢献に力を入れてきた。全国的に知名度も上がり、愛媛をPRするコンテンツとして評価され、エリーが愛媛の情報発信や観光イメージ向上を担う70人目の「伊予観光大使(愛称・いよかん大使)」に就任するなど地元住民たちにも愛されている。
愛媛プロレスでは商業施設や商店街などでのイベントや、災害復興支援のチャリティープロレスなど基本的に無料での大会を開催しており、2019年には118回のイベントで101,087名の観客動員数を記録。地道な活動から徐々にファンを増やしていき、2017年からは年に数回のビッグマッチとして有料でチケットを販売しての自主興行を開催してきた。
そして今年4月12日にもビッグマッチが予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、500枚以上のチケットが売れていたにも関わらず今大会を無観客試合のライブ配信として開催することを決定した。
新たな試みとしてクラウドファンディングでの大会の開催支援を募り、発表から14日目いう異例の速さで総勢189名から目標金額の250万円を達成し一度は大会開催が決まったものの、緊急事態宣言が出されたことを受けこの無観客大会も無期限の延期となってしまっていた。
愛媛プロレスでは、5月から各選手のTwitterアカウントでのライブ配信という形で試合を配信してきたが、正式な大会として開催するのは2月29日以来と約4ヶ月ぶり。
20日の大会では、全2試合ながら四国統一タッグ王者のライジングHAYATO&カーベル伊藤が全日本プロレスから参戦した大森隆男&青柳亮生に勝利するという金星を挙げ、ゆるキャラグランプリにも出場する三福ホールディングスのマスコットキャラでありながら愛媛プロレスでプロレスラーとして闘う間取り太郎のキグルミの中から田中稔が出てくるというまさかのサプライズに視聴者は驚きの声を上げた。
21日の大会では、4月12日に開催予定だったビッグマッチの試合が多く行われ、ザ・グレート・サスケ&新崎人生のみちのくタッグと、スペル・デルフィンとデルフィンの弟子であるイマバリタオル・マスカラスが師弟タッグを組んで対戦。試合はタオルがサスケのサスケ・スペシャルX ver10.2 セグウェイ(物まね禁止)に沈んだが、ジャパニーズ・ルチャの巨匠たちはタオルの健闘を高く評価した。
そしてメインイベントでは愛媛プロレスの至宝たる四国統一ヘビー級王座戦として、王者KURUSHIMAに石鎚山太郎が挑戦。大向美智子も所属するヒールユニット“伊予魔神軍”の一員たるKURUSHIMAのラフファイトが冴え渡り、最後は大向の竹刀攻撃からの丸め込みでKURUSHIMAが防衛。
KURUSHIMAには愛媛プロレス道場がある砥部町から寄贈された砥部焼の優勝カップが贈られたが、伊予魔神軍はこれを乱暴に扱うなど後味の悪い結末となってしまったが、正規軍の面々は王座奪還に向けて気炎を上げてエンディングを迎えた。
無事に約4ヶ月ぶりの大会を終えたエリー代表は「生配信は初めての試みでしたが無事に終えられて良かったです!最初はコロナの影響でやむを得ずの選択でしたが、クラウドを通してファンの方とも深く繋がれましたし有観客試合が出来るようになってからもライブ配信を行えるような設備も整えることが出来ました。コロナで色々苦悩もありましたけど、これをを失敗で終わるのではなく経験として次につなげて行けたらと思います」と有観客試合の再開に向けての決意を語った。
コロナ禍に揺れ、一時は「今年中の有観客試合は難しいのではないか」と囁かれていたプロレス界だが、少しずつ事態は収束していき今月半ばからは席数を絞るなどの制限付きながら有観客試合が開催できるようになってきた。
まだまだ予断を許さない状況ではあるが、事態の変化に合わせてすぐに動き出すことが出来たのはプロレス界が大会自粛期間中も無観客試合配信などで歩みを止めずにいたことが大きい。
プロレスの灯火を消すこと無く守り続けてきた団体・選手・関係者らに深い敬意を表したい。