“義足の聖火ランナー”谷津嘉章が右足切断から1年でプロレス復帰!「プロレスができる義足が開発された」
18日、谷津嘉章が6月7日にさいたまスーパーアリーナで開催されるDDTプロレス『Wrestle Peter Pan 2020』でプロレス復帰戦を行うことを発表した。
谷津はレスリングで76年モントリオール五輪に出場(8位)、80年のモスクワ五輪でも日本代表に選出されメダル獲得が確実視されていたが、日本のボイコットにより不参加となり“幻の金メダリスト”と呼ばれていた。その後は新日本プロレスに入団し、ジャパン・プロレス、全日本プロレス、SWS、SPWF、WJプロレスと渡り歩き、PRIDEでは総合格闘技にもチャレンジ。昨年4月からDDTに参戦していたが、6月に糖尿病の悪化により右足を切断することに。しかし懸命なリハビリの結果歩行が可能になり、今年開催予定の東京五輪にて栃木県足利市の聖火ランナーとして選ばれている。
その谷津のために、義肢装具を製作する川村義肢株式会社の川村慶社長が義肢装具士・小畑祐介氏とともにプロレス用の義足を開発。練習の結果、プロレス復帰にゴーサインが出た。
谷津は「去年6月25日に足をなくして、そのときこういう場が来るとは思わなかった。目標がなくて消失感がひどかった。20年の聖火ランナーの目標に向かって、自分なりにチャレンジしてきた。足をなくして、なんでも興味をもってチャレンジしたい。プロレスができるとは思わなかったけど、走る練習をしてるうちに『ひょっとしたらできるんじゃないか』と思うようになった。高木社長、川村社長に自分のわがままを聞いていただいて、プロレスができるという義足が開発されて合格点をいただいた」とコメント。
DDTプロレスの高木三四郎社長は「谷津さんには去年からDDTに出ていただいて、元々20年は五輪イヤーでなにかしらのことをして谷津さんに出場していただきたいと思っていて、去年7月の大田区(総合体育館)大会にも出場予定だったんです。手術されて電話で話したんですけど、先の見えない不安な状況のなかリハビリをされて『プロレスのリングにもう1回上がってみたい』と。もし上がることができればDDTのリングに上がりたいと。何かできることはないだろうかと思って、高校の同級生の川村社長に相談しました。ランニング用とか競技用の義足はあるんですが、プロレス用は初めて。6月7日、さいたまスーパーアリーナ、最高の舞台を用意させていただいて、この場をもうけてハンディを持ってる方にも勇気を与えてほしい」とエールを送った。
川村社長は「谷津さんはハートの強い人なんで、いけるんじゃないかと。やってみましょうと。やってみないとわからない。もともと障害ある方の人生、生活に合わせた義足、スポーツ選手用もあったんですが、プロレスはエンターテインメント的な部分もあるし、できるかなと思ったんですが、プロレスの動きに対応したものができました」と説明。
プロレス用の義足を装着してリングで練習する谷津の姿が映像で流されたが、ロープワークを始め得意技であるパワースラム、ブルドッキングヘッドロック、監獄固めも披露。最後に谷津は「6月7日までの間に左足を強化しないと美しい試合はできない。障害者でハンディ持ってるから相手も遠慮があるかもしれない。ましてや年下ばかり。遠慮されるとお客さんにもわかっちゃう。手加減するなよ。オリャ!」と気合を入れた。