引退を控えた獣神サンダー・ライガーが鈴木みのるとの因縁決着戦に敗北も「俺は諦めん!俺と鈴木のシングル組め!」
14日、東京都・両国国技館にて新日本プロレス『保険見直し本舗 Presents KING OF PRO-WRESTLING』が行われ、獣神サンダー・ライガーと鈴木みのるの因縁のシングルマッチが行われた。
今年4月にライガーの30周年記念試合に出場した鈴木みのるは、2002年にPANCRASEで対戦した際の再戦の約束を持ち出し、「『2年くらい時間よこせ』ってあのとき言ったよな?いつまで待たせんだよ?」とオープンフィンガーグローブをライガーの足元に放り投げて挑発。荒れ模様となったこの試合を終えたライガーは「俺がPANCRASEルールでやったときの、あの頃の鈴木みのるじゃねぇ。ただのチンピラだよ。あんなやつと試合組まれるのも嫌だよ」と怒りを顕にし、その後も両者の因縁は激化。
先月6日にはみのるが試合前に解説席のライガーを襲撃しゴッチ式パイルドライバー葬にすれば、ライガーも先月22日の神戸大会で“鬼神ライガー”に変身してみのるに毒霧を噴射するなどの事件が発生。今月7日の後楽園ホール大会では、みのるが「出てこい山田恵一!」とライガーの正体の名を叫んで挑発し、これに激怒したライガーは「両国は殺し合いになる」とファンに謝罪するなど物々しい雰囲気に包まれていた。
この日、2012年12月以来のシングル戦となるこの試合にライガーは対ヘビー級用のバトルライガー仕様で登場し、入場時に花道で上半身のコスチュームも脱ぎ捨てて見事にビルドアップされた肉体を披露。
試合が始まると、ライガーは自ら座り込んで猪木アリ状態を作り出し“極めっこ”を誘っていき、嬉しそうに笑うみのるはこれに応じ、その後には自身も猪木アリ状態を作り出して“極めっこ”を誘うといった格闘技的な雰囲気の試合を展開。
中盤には両者イスを持ち出す激しい場外戦も展開され、これを優位に終えたみのるは張り手やエルボーを連打。ライガーは「来い小僧!」と叫んで打撃を受け止めていき、ライガーが崩れ落ちるとみのるは「立てよライガー!」と叫んで引き起こし激しい打撃戦を展開。
みのるは「来い!山田!」とライガーの打撃をすべて正面から受け止め、自身はフルスイングのエルボー一発でライガーをダウンに追い込み、最後はゴッチ式パイルドライバーで勝利を収めた。
試合後、みのるはイスを持ち出してヤングライオンたちを殴りつけるとリング上で大の字になるライガーのもとへ歩み寄るが、みのるはライガーの前で正座し、深々と一礼。ライガーはみのるが退場していくと、「鈴木ーッ!ありがとな!」と叫んだ。
試合後、みのるは「獣神サンダー・ライガーよ、お前が俺に勝てるわけねーじゃんかよ。『もう限界です』って言って辞めていくやつ、先頭を走っているやつに。お前が何をもってしたって勝てるわけないじゃないか。俺は、俺とアイツの17年……いやいやいや、32年、32年の、男のけじめよ」とどこか吹っ切れた表情で去っていった。
そしてライガーは「今日は負けた!まだまだシングル組めや!ただ、最後のコメント、ここまで俺をブチ切れさせたのは、近年まれに見る!アイツくらいじゃないか?ここ何年かで。ここまで俺の怒りを頂点にブチ切れさせたのは。そのことに対して『ありがとう』だ!他になんの他意もない。今日は負けた。負けたよ。次組め!すぐ組め!どこでもいい!組め!俺は諦めん!1・4まで残り約3ヶ月ある!諦めない。諦めない。ただ今日は、『ありがとう』だ。残り3ヶ月、怒りMAX、頂点でリングに上がるよ。そういう気持ちにさせてくれて『ありがとう』だ。次やったときはただじゃおかねえぞ。ナメんなよ!これで終わりにしたくない。引退までの通過点にしたくない。レスラーってのは負けたら根に持つんだ。絶対仕返ししてやる!シングルまた組め!シングルで!新日本プロレス!俺と鈴木のシングル組め!どこでもいつでもいいから!何回も言うが、とりあえず今日は『ありがとう』。以上っ!」と天を突き破るほどの怒りの炎を上げながら、どこか嬉しそうに叫んだ。
みのるは、一時はプロレスから遠ざかり総合格闘技のリングに上っていたが、2002年のライガー戦が転機となりプロレスの世界へ復帰。その後は幾度もライガーへのリスペクトの気持ちを語っている。さらに今月5日には自身のTwitterで「『オレとアイツの物語』の最終章。エンディング。見届けて欲しい」とライガー戦への真摯な思いを語っていた。
しかし、決戦を終えてもライガーはまだこれを“エンディング”とは思っていない。ライガーの引退まで3ヶ月を切り残りの試合数も限られてくるが、両者の物語の続きが生まれるのかどうかを今後も見守っていきたい。