【試合詳細】9・29 PANCRASE新木場大会 【暫定ライト級KOP】サドゥロエフ・ソリホンvs粕谷優介 小川徹vsライリー・ドゥトロ 藤野恵実vsエジナ・トラナキス
『PANCRASE 308』
日程:2019年9月29日(日)
会場:新木場スタジオコースト
観衆:2021人
《プレリミナリーファイト》
▼第1試合 フライ級 3分3R
○聡-S DATE(Team DATE)
2R 1分27秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●池田一歩(Brave Heart)
▼第2試合 バンタム級 3分3R
●山本敦章(パラエストラ千葉)
判定0-3
○関原 翔(リバーサルジム東京スタンドアウト
▼第3試合 フェザー級 3分3R
●齋藤拓矢(ALLIANCE)
判定0-3
○松井幸太(東京イエローマンズCUTE)
▼第4試合 ライト級 3分3R
○山本雄希(Y&K MMA)
判定3-0
●魔破DATE(Team DATE)
《第25回ネオブラッドトーナメント決勝戦》
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○尾崎龍紀(総合格闘技道場コブラ会)
判定3-0
●御代川 敏志(パラエストラ八王子
▼第2試合 フライ級 3分3R
●赤﨑 清志朗(香取道場)
2R 1分50秒、チョークスリーパー
○猿飛流(リバーサルジム川口REDIPS
▼第3試合 バンタム級 3分3R
○平岡将英(KRAZY BEE)
判定3-0
●上野惇平(ハイブリッドレスリング八戸)
▼第4試合 フェザー級 3分3R
○名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
判定3-0
●葛西和希(マッハ道場)
《メインカード》
▼第1試合 フェザー級 3分3R
●近藤孝太(ハイブリッドレスリング山田道場)
判定0-3
○小森真誉(GRABAKA)
▼第2試合 ストロー級 5分3R
○宮澤雄大(K-PLACE)
判定3-0
●佑勢乃花(フリー)
▼第3試合 ライト級 5分3R
●冨樫 健一郎(パラエストラ広島)
判定1-2
○林 源平(和術慧舟會IGGY HAND’S GYM)
▼第4試合 フライ級 5分3R
○マイラ・カントゥアリア(NEW LEVEL ACADEMY)
判定3-0
●端 貴代(和術慧舟會AKZA)
▼第5試合 ライト級 5分3R
●トム・サントス(Team Brazilian Thai)
1R 4分17秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○雑賀 ヤン坊 達也(総合格闘技道場DOBUITA)
▼第6試合 フェザー級 5分3R
○田村一聖(KRAZY BEE)
1R 1分25秒、KO(スタンドのパンチ)
●杉山和史(TURNING POINT MMA/Hybrid Fighter)
▼第7試合 ストロー級クイーン・オブ・パンクラス 暫定王者決定4人トーナメント1回戦 5分3R
●法DATE(Team DATE)
不戦勝(法DATE 計量失格のため)
○チャン・ヒョンジ(THE SSEJIN)
※法DATEが計量オーバーで失格。チャンが不戦勝で決勝に進出。
▼第8試合 ストロー級クイーン・オブ・パンクラス 暫定王者決定4人トーナメント1回戦 5分3R
○藤野恵実(FIGHT FARM)
2R 0分00秒、TKO(右手首骨折の疑いのため、試合続行不可能)
●エジナ・トラナキス(ROCHA TOP TEAM)
▼第9試合 セミファイナル フライ級 5分3R
●小川 徹(TRIBE TOKYO M.M.A)
1R 4分33秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○ライリー・ドゥトロ(I&I TRAINING CENTER)
▼第10試合 メインイベント 暫定ライト級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
○サドゥロエフ・ソリホン(RUSSIAN PANKRATION KHABAROVSK)
2R 0分37秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●粕谷優介(総合格闘技道場CROWN)
ソリホンが粕谷を撃破し暫定ライト級KOPを戴冠!藤野がエジナに完勝しQOP戴冠を宣言!PANCRASE愛を貫く砂辺光久が初の殿堂入り!
第1試合
近藤は2012年よりパンクラスに参戦。最初の2年は勝てなかったが、ここ3年は4勝1敗。ここでさらに勝ち星を積んでおきたいところ。
対する小森は今年7月に初参戦し、TAGに1ラウンドTKO勝ちを収めている。
1R。ローで様子をみる小森に対し、近藤の右パンチがヒット、小森効いた。打ち合うと、小森が組み、ケージへ押す。投げたい近藤。小森がこらえて側頭部を殴るが、ブレイクがかかる。
再び打ち合うと、小森が組んでテイクダウン。バックマウント。近藤が立ち、正対したところで終了。
2R。小森がプレッシャーをかけながら前に出る。倒してハーフマウントからボディを殴る。さらにバックに回る。暴れる近藤だが、小森は立たせない。最後に首を狙うが、これは極まらず時間切れ。
3R。近藤がロー。小森はパンチから組む。近藤がケージへ押すが、小森は入れ替えてヒザ。脱出したい近藤、逃さない小森。ガッチリ抱えて尻もちをつかせ、殴る小森。残り1分。
立ちたい近藤を離さない小森。残りわずかで近藤が立ち、パンチで出たが、小森がタックルに出たところで終了。
判定は三者30-27で小森が判定勝利を挙げた。
第2試合
宮澤は昨年8月よりパンクラスに参戦。ケージチェックの時からイキのいい動きを見せていた。フィジカルのトレーナーを変え、非常に調子がいいという。現在2連勝中。
佑勢乃花はパンクラス初参戦。キャリアは10年目だが、相撲好きが高じてリングネームを変更した。ZST、GRACHANなどで闘ってきている。
1R。フェイントをかける佑勢乃花の右パンチがヒット、宮澤ダウン! 佑勢乃花はパウンドを入れるが、宮澤は組みつき、ケージへ。投げてハーフマウントから殴る。佑勢乃花は足を上げて浮かせようとするが、宮澤は返させない。
細かく殴る佑勢乃花。宮澤は腕を狙うが、佑勢乃花立った。佑勢乃花はパンチで出るが、宮澤がタックルからテイクダウン! 倒された佑勢乃花は肩パンチを打つが、終了。
ジャッジは三者10-9で佑勢乃花。
2R。開始直後にタイムストップがかかる。宮澤にドクターチェックが入った。左目が腫れているが、すぐ再開される。
佑勢乃花の左パンチでグラつく宮澤。しかし、組みついてテイクダウン。サイドに。いったん立つが、またかぶさる宮澤。お互い殴る。宮澤はパウンド、ヒジと攻めていく。佑勢乃花は足を上げて浮かせようとするが、宮澤は抑え、ヒジを落とす。
佑勢乃花は立つが、素早くバックを取り、倒した宮澤。佑勢乃花は再び立つも、宮澤は離さない。終了。
ジャッジは三者10-9で宮澤。佑勢乃花も左目が腫れている。
3Rも開始直後にタイムストップ。佑勢乃花にドクターチェックが入る。
再開。宮澤がプレッシャーをかけていく。佑勢乃花はパンチ、ハイキック。2人が笑顔を浮かべている。試合を楽しんでいるのか。
佑勢乃花がパンチ。しかし、宮澤がタックルからテイクダウン! すぐに片足を抜きハーフに。立とうとする佑勢乃花を離さない宮澤。再び上になる。肩パンチ、パウンド、ヒジと攻撃の手を止めない。
佑勢乃花は密着するが、宮澤はボディ、ヒジ連打。
残り1分。浮かせて返したい佑勢乃花だが、宮澤はさせない。宮澤がポジションをキープし、細かく殴り続けて終了。
判定は三者29-28で宮澤が3連勝。
第3試合
ここ3戦を連敗している冨樫は、今年4月にアキラ戦で判定勝ちし、連敗を止めたばかり。実績あるベテランで参戦7年目と長く、パンクラスでも3位と上位をキープしているが、今回のタイトル戦には臨めず。連勝してチャンスを狙いたいところだろう。
対する林は、2017年、階級をライトからミドル級に上げたが、水野竜也・長谷川賢・新村優貴に3連敗を喫した。今年6月の阿部右京戦よりライト級に戻し、1ラウンドKO勝ちを収めている。
お互い、一歩も退かない突貫スタイルの両者。激しい試合になることは間違いない。
1R。冨樫が右ジャブを当てる。林も重いパンチ。お互いに打撃を出し合っていく。林がミドル、ロー。冨樫がパンチをヒットさせると、林が右ハイ! パンチで前に出た林だが、冨樫が組んでケージへ押し込む。お互い打ち合うが、決定打はなく終了。
ジャッジは三者10-9でパンチのヒットが多かった冨樫が支持された。
2R。前に出ていく林に、パンチを合わせていく冨樫。ほとんど外していない。林は組みつくが、冨樫のパンチでグラつく。鼻から出血している。今度は冨樫が組むと、林はヒジ。さらに冨樫のパンチで林がグラつく。しかし、林の右パンチで冨樫がダウン! 尻もちをつく。林がケージへ押し、パウンド連打。
しかし、冨樫は立ち、離れる。残り2分。林はダメージがありそうだが、ハイキックを繰り出す。さらにミドル、ボディ。冨樫も鼻から出血しているが、ペースを落とさずパンチを当てていく。しかし、林も退かない。林のパンチに、冨樫は組むが、林がパウンド。林がケージに詰めてラッシュをかけると、冨樫も打ち返したところで終了。
ジャッジは三者10-9で林。林の右まぶたは大きく腫れている。
五分五分で迎えた最終ラウンド。冨樫がジャブを打つ。林は強いパンチを振り、さらにミドル、ロー。冨樫の手数がやや減っているか。林はパンチで前に出ると、組んでケージへ詰め、ヒジ。離れるが、冨樫が再び鼻から出血している。
パンチ、ハイキックで出続ける林。やや動きが止まった感のある冨樫。さらに林が圧をかけていくと、打ち合いに。しかし、林が押しているか。しかし、冨樫も手を止めない。さらに打ち合い、林の顔は冨樫のパンチを被弾し血まみれだ。林が組んでケージへ押し込み、パンチ、ヒジ、ヒザと、まるで明日はないかのようにたたみかけたところで終了。林に駆け寄り、讃える冨樫。
判定は二者29-28で林、1人が冨樫を支持。2-1で林が接戦を制した。
スマートという言葉からは程遠い試合。しかし、根性と魂の「昭和の漢たち」の熱い殴り合いだった。
特に林は、2013年6月、シュートボクシングで行われた「SB VSパンクラス対抗戦」で見せた、宍戸大樹との熱戦を彷彿とさせた。
当時、林はパンクラスでデビューしてまだ2戦しかしていなかったが、キャリアも格も段違いの宍戸の相手に大抜擢。文字通りボコボコにされたが、勝てる見込みがないと分かっても決して諦めず、最後まで相手に立ち向かった姿は、最初は野次を飛ばしていたSBファンからも大きな拍手で讃えられた。
その後、宍戸と親しくなった林は、宍戸に打撃を一から教わってきた。今回、会場にも応援に来てくれたという。
林は、2017年7月の山﨑悠輝戦でも、壮絶な殴り合いの末、山﨑と親しくなっている。本気で拳を交えた者同士にしか分からない境地というものが、確かにあるのだ。
泥くさくてもいい。カッコ良くなくてもいい。技術は磨いても、熱さを失くさず闘い続けてほしい。
第4試合
今年4月に初参戦したマイラは、柔術とムエタイがバックボーン。ライカから1ラウンド腕十字でタップを奪った。MMAに転向してまだ7戦とキャリアは浅いながらも、強さを感じさせた。
一方、端は、DEEP JEWELSバンタム級王者、SMACK GIRLミドル級王者、StrikeforceやInvictaFCにも参戦経験ありという輝かしい戦歴をひっ提げて2018年よりパンクラスに参戦。前戦は今年4月、フライ級クイーン・オブ・パンクラス決定戦でシッジ・ホッシャに敗れている。今回が再起戦。ここで勝ってホッシャへの挑戦権を掴みたいところだ。
1R。組みそうだが、行かない端。マイラはロー、パンチ。橋が押すが、マイラがケージへ押し込み、橋の片足を引いて倒す。ボディを殴るマイラ。端は腕十字を狙うが、マイラが持ち上げて腕を抜く。
スタンドへ。お互い、ローヤパンチを出す。端がケージへ押し込み、脇を差したが残り20秒。力の強いマイラ。終了。
ジャッジは三者10-9でマイラ。
2R。マイラのパンチをかいくぐって組み、ケージへ押す端。両脇を差し、押し付けて殴る。マイラはヒザ。端も殴るが、マイラが押し倒して上に。ボディにパンチを入れて立つ。
マイラが左フック! 橋は右。両手を広げてプレッシャーをかけるマイラ。橋はケージを背にしているマイラを押し付けていくが、離れる。今度はマイラが組み付くが、端が入れ替え。殴り合う。
マイラのパンチをくぐり、組んだ端だが、ケージへ押したところで終了。
ジャッジは三者10-9でマイラ。
3R。やや疲れの見える端だが、ミドル、ジャブ、ロー。マイラが左の大きなパンチ。端は入れず、ローを打つ。マイラがさらに左パンチ、ミドル。端は組んでケージへ押す。逃げたいマイラだが、端は入れ替えさせない。
マイラは首を抱えるが、端が片足を抱えて上に。さらにマウント! しかし、マイラがすぐに反転。立った端のバックを取る。残り30秒。
端はヒジ、パンチで正対するが、マイラがパンチを打ったところで終了。
判定は二者30-27、1人が30-28の3-0でマイラが勝利。
疲れた様子を見せる端。体調が良くなかったのだろうか。何が何でも勝利を掴み取るという気概が感じられないまま終わってしまった。
第5試合
サントスはムエタイをベースとし、KOを狙っていくアグレッシブファイターだ。パンクラスには昨年3月より参戦し、井上雄策、冨樫健一郎にパウンドでTKO勝ちを収めている。また、2017年にはROAD FC、2018年にはRIZIN、HEATなどアジアの大会に出場しており、HEATでは今年3月、ライト級タイトルを手にした。「パンクラスのベルトを巻くためにHEATのベルトを獲る」と語っていたサントスだが、4月のタイトルマッチでは、三角締めてで久米鷹介に敗れた。その後、7月にHEAT王座も失っている。
対する雑賀は、今年7月にパンクラスに初参戦、小林裕を1ラウンドKOで破っている。
Fighting NEXUSで4勝1敗しており、ここまでのキャリアは5勝1敗。1敗も含め、全ての試合が1RでKO決着している。全6戦で試合時間は7分足らず。今回も1ラウンド決着できるか。
なお、サントスが計量オーバーしたため、キャッチウェイトでの試合となった。
1R。雑賀が強烈な右パンチを放つ。サントスはロー。雑賀はパンチ、右ハイと攻めていく。手が出しにくそうなサントスだが、パンチも振っていく。
雑賀が左パンチ、左ミドル。サントスの右がヒット、雑賀がグラつく。下がった雑賀を追ったサントスに雑賀のパンチがヒット、サントスがダウン! 雑賀がパウンド。雑賀が立ち、スタンドに。さらに雑賀の右パンチでサントスが再びダウン! パウンドに入った雑賀をレフェリーが止めた。
雑賀は「すごい怖かったです」と試合を振り返り、「俺がヤン坊だ!!」と会場に向かい吼えた。
砂辺光久 殿堂入り認定式
パンクラス初の殿堂入りを果たした砂辺光久がケージイン。酒井正和パンクラス代表よりトロフィーを受け取り、殿堂入りの認定を受けた。
パンクラス殿堂は、パンクラスに大きな功績を残した選手や関係者などが対象で、「パンクラスへのこだわり」を持つ者に与えられる。現役、引退、故人であっても構わない。
酒井代表は「砂辺選手は偉大な選手です。パンクラスに功績を残し、今後も活躍してもらいたい。現役中でも殿堂入りさせたい思いでこの制度を新設しました」談話を発表している。
砂辺は、パンクラス軽量級のパイオニアとして、ストロー級、スーパーフライ級、フライ級と3階級を制覇。王座保持期間は10年に及び、25勝6敗4分という輝かしい戦績を誇る。所属選手を除けば最も長くパンクラスに上がり続け、またパンクラス愛を語り続ける偉大な選手だ。今年7月、北方大地に王座を譲ったが、まだまだこれからの活動から目が離せない。
砂辺コメント
「初めましての人も多いかも知れません。パンクラスの旗揚げ戦を見て、鈴木(みのる)さんに憧れて、自分もやると決めました。沖縄でずっと生活していて、弟子入りしようと応募したことがあるけど、書類選考で落ちました。
それから、99年にアマチュアパンクラスで優勝して、2000年にまたアマチュアパンクラスで優勝して、そのリングの上から、当時社長だった尾﨑さんに『俺の階級を作ってください』と直訴しました。
2001年にデビューしたんですが、当時、あまり軽い階級はなくて、75kgしかない中、65kgも作ってもらいました。当時、自分は58kgでしたけど、65kgでやり続けて、56kgも作ってもらいました。だから、アマチュアから軽量級を創って来たという自負があります。
KOPになって、下の階級が出来ると、体重を落とすのはしんどいけど、からを削るようにしてやって来ました。でも、3階級で初代KOPになれました。
この度、パンクラスの殿堂をつくるということで、酒井さんから連絡をいただきました。俺は何事にも『初代』に縁があるようです。
現役中に入れていただいているので、僕は絶対に辞めません。
ちょっと、ビジョンを見てください。
2020年7月19日(日)、パンクラス沖縄大会を開催することになりました。地方の選手にチャンスを与える場を作りたいということ、そして、パンクラスを沖縄でも盛り上げたいと思っています。
7月、沖縄ではもう梅雨が終わったあとで、いい季節です。これから色々練り上げて、いい大会にしたいと思います。ぜひ期待してください」
第6試合
第6代同級王者・田村。しかし、2017年3月、ナザレノ・マレガリエに敗れ王座陥落。その後、鈴木琢仁、堀江圭功を破ったが、中島太一に判定、摩嶋一整に肩固めで敗れている。ここは絶対に連敗を止めたい。
対する杉山は2017年に堀江圭功、鈴木琢仁に敗れたあと、冨田翔市、川那子祐輔に、いずれも1ラウンドTKO勝ち。元王者を倒し、一気に上位入りできるか。
1R。プレッシャーをかける田村。お互いパンチを放つ。田村がロー。これで杉山がバランスを崩したところへ、田村のパンチがヒット。さらに攻め込む田村。もらってしまう杉山。田村の右パンチがヒット、杉山がダウン! 追撃に入ろうとした田村だが、レフェリーがすぐに止めた。
元王者の貫禄を見せた田村。会場のあちこちから「強い!」という声が上がっていた。
田村 ケージ上コメント
「嬉しいです!(長男を抱き上げて)長男のテツシです!
連敗しても、期待したり、応援したりしてくれる人たちのお陰で(格闘技を)続けられています。サポートしてくれる人を募集しています!」
第8試合
藤野は昨年8月に行われたヴィヴィアニ・アロージョとの第2代KOP決定戦では3ラウンドTKO負け。しかし、今年4月、クセニヤ・グーセヴァに判定勝ちを収め、このチャンスをつかんだ。
エジナは昨年12月、パンクラス初参戦。空手・ムエタイをベースとする。フライ級でライカと対戦したが、判定負け。今回は本来の階級でベルトを狙う。
1R。エジナビンタのようなパンチを繰り出す。藤野がパンチを返すとグラつくエジナ。藤野はそのままケージへ押し込み、パンチを打ち込む。
一旦離れると、エジナが左ハイからパンチで前に出るが、藤野はケージへ押し込んでパンチ。ケージを背負ったエジナに、藤野がパンチラッシュ! 逃さず、さらにケージへ押す藤野。
エジナは首を抱えるが、ケージへ押し、立ちながら首を外す。さらにケージへ押しパンチ、ヒザ。エジナもヒザ。パンチを打って離れる藤野。エジナはパンチを振り回すが、当てていない。
藤野はケージを背負わせてパンチを打ち込んだところで終了。
ジャッジは三者10-9で藤野。
2R。開始のホーンが鳴ったものの、すぐにタイムストップがかかり、エジナにドクターチェックが入る。右手首骨折の疑いにより、続行不可能。藤野がTKO勝ちを収めた。
藤野コメント
「何が何でも生き残ると決めていました。絶対に私がQOPになります。12月8日、見届けてください!」
第9試合
小川は2014年よりパンクラスに参戦。翌2015年、NBTスーパーフライ級優勝を果たしている。
13戦しているが、負けたのは翔兵、上田将竜の2選手のみで、前戦では第4代KOPマモルを判定で破っている。
対するドゥトロはパンクラス2戦目。中村優作、田丸匠に勝っており、修斗ランカーとして鳴り物入りで参戦したが、3月の初戦では翔兵にペースを握られ苦汁を飲んだ。
上に正王者・仙三、暫定王者・翔兵と、2人の王者を擁するフライ級。お互いに負けられない一戦。
1R。お互いロー。小川はフェイントをかけ、飛び込んでパンチ。さらに右のパンチがヒット。バランスを崩し、よろけるドゥトロ。小川はうまく入ってパンチを当てる。さらにロー。ドゥトロが左パンチを当てると、小川がダウン。しかし、すぐに立つ。
ドゥトロは首相撲からケージへ押し込み、ヒザ、ボディ、ヒザと攻め込む。小川、ダメージがあるか。離れるが、ドゥトロの右で再び小川がグラつく。
ドゥトロが組むと、小川がケージへ押す。しかし、浴びせるように倒したドゥトロがパウンド。小川はケージを使って立ち、離れる。
ドゥトロが右フック。小川が再びグラつく。ドゥトロは組んでケージへ。離れた小川は、飛び込んでパンチを打ち込む。捕まえようとするドゥトロを振り切ってパンチ。ドゥトロの右がヒット、小川がダウン! ドゥトロはすぐに追撃に入りパウンド。レフェリーが止めた。
ドゥトロ コメント
「アリガトー、ジャパン! I love Japan! 格闘技を愛する国で、ここで闘えて嬉しいです。これからも闘って行きたいと思います」
第10試合
ライト級正規王者・久米鷹介のONE参戦を受け、暫定王座決定戦が組まれた。2位と6位が激突する。
ソリホンは、ロシアパンクラチオン協会から「パンクラスのベルトを獲れ」と派遣され、昨年11月に初参戦。アキラを2ラウンドTKOで破っている。続く今年3月の上迫博仁戦では、試合前に胸骨を痛めていたことも影響し、2R開始すぐ、上迫の蹴りをもらって倒れ、TKO負けしている。上迫にリベンジを誓ったソリホンだが、上迫RIZIN参戦のため、元UFCファイター・粕谷との暫定王者決定戦となった。
対する粕谷は、UFCに上がったあと、2017年8月よりパンクラスに参戦。フェザー級で松嶋こよみ、ISAOに敗れ、今年4月、1年4ヶ月ぶりに復帰。ライト級に階級を移し、菊入正行に1ラウンドTKO勝ちを収めている。
1R。プレッシャーをかけていく粕谷。パンチから片足タックルに入るが、フロントチョークに取るソリホン。ヒザエオ打ち込むが、これがローブローとなり、タイムストップ。
再開。粕谷が蹴りから前に出てパンチ。ソリホンは強烈なローを打ち込む。組んだ粕谷だが、ソリホンは入れ替えて潰し、ヒジ連打。立って猪木アリ状態となりローを打ち込む。粕谷は蹴り上げる。一気に立った粕谷にパンチを合わせていくソリホン。粕谷、ロー、ジャブ。ソリホンは笑っている。お互いローを打つ。粕谷からも笑みがもれる。
ここでソリホンが飛びヒザ! 粕谷はパンチから組むが、ソリホンが上に。殴ったところで終了。
ジャッジは三者10-9でソリホン。
2R。フェイントをかける粕谷。ソリホンはフェイントからロー。さらに、粕谷をケージに追うと、右フックがヒット! 崩れた粕谷に首相撲からヒザ連打、さらにパウンド! レフェリーが止め、「北の最新兵器」がベルトを巻いた。
ソリホン ケージ上コメント
「ありがとうございます。今日、会場にお越しいただいた皆さま、応援してくださって本当にありがとうございました。相手は素晴らしい選手でした。素晴らしい未来が粕谷選手を待っていると思います。結果が出せて、本当によかったです」
また新たな王者が誕生した大会だが、ONEに参戦する選手が増えれば、今後、こうして暫定王者が増えていくのだろうか。
10月のONE日本大会にはウェルター級暫定王者の手塚裕之が参戦するが、フライ級の翔兵には場が与えられていない。対戦相手にもよるだろうし、同級正王者である仙三が出場する影響もあるかも知れないが、暫定王者に対する扱いには不透明なところがある。
また、暫定王者と正王者の統一戦がいつ行われるのか、また、行われるのかどうかも明らかになっていない。「世界の舞台」に上がることを決して否定はしないが、それによって日本の本隊の空洞化・弱体化が危惧される。日本の舞台に戻ってきた選手の受け皿をしっかりとつくるためにも、日本を弱体化させてはならない。
日本の格闘技を再興させる手段は、日本人が世界に出ていくことだけではない。日本が外国人選手から憧れられる舞台、上がりたい舞台となることも大切だ。
今後、どのような流れになっていくのかは不明だが、ONEとのサポート契約が切れる3年後、日本の格闘技界が荒野になっていることだけは避けたいところだ。
(写真・文/佐佐木 澪)