全日本1.31後楽園大会 ジャイアント馬場十七回忌追善興行 天龍、ケア、TARU、人生、相島らも参戦
ジャイアント馬場 十七回忌追善興行
日時:2015年1月31日(土)
開始:18:00
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1711人(超満員)
▼第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負
○中島洋平
5分11秒 卍固め
●青柳優馬
▼第2試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○SUSHI
6分22秒 ダイビング・ヘッドバット→片エビ固め
●野村直矢
▼第3試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○KENSO
10分46秒 ダイビング・エルボードロップ→片エビ固め
●井上雅央(フリー)
▼第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負
太陽ケア(フリー)/●相島勇人(フリー)
12分57秒 極楽固め
TARU(ブードゥー・マーダーズ)/○新崎人生(みちのくプロレス)
▼第5試合 6人タッグマッチ 60分1本勝負
諏訪魔/青木篤志/●佐藤光留
15分25秒 ランニング・ボディプレス→体固め
天龍源一郎(天龍プロジェクト)/○曙/ウルティモ・ドラゴン(闘龍門MEXICO)
▼第6試合 6人タッグマッチ 60分1本勝負
○秋山準/大森隆男/渕正信
26分13秒 リストクラッチ式エクスプロイダー→片エビ固め
潮崎豪/宮原健斗/●鈴木鼓太郎
元子相談役も見守る中、馬場さんの十七回忌追善興行のメインで渕が大奮闘!
天龍と諏訪魔の初対決はチョップとパンチの打ち合いに!人生やTARUらも参戦!
第1試合
1999年1月31日にジャイアント馬場さんが亡くなってから17年……十七回忌を迎えた今年、全日本プロレスで追善興行が行われることになった。そのオープニングマッチはXceedの中島vs.デビューしたばかりの青柳の一戦。
青柳はエルボーから走り込むが、中島はカウンターエルボーで迎撃するとヘッドロック。ロープに飛ばした青柳はアームホイップで投げるが、中島は下から蹴り上げる。中島は串刺しドロップキックからアームホイップで投げると、コブラツイストに捕らえる。
ロープに逃れた青柳だが、中島は敢えて青柳のエルボーを受け止めてからロープに飛ぶ。カウンターのドロップキックで迎撃した青柳は、さらにドロップキックを叩き込むとボディスラウで叩き付ける。そこからコーナーに登った青柳はダイビング・クロスボディー。
しかしショルダースルーで投げた中島は串刺しランニングエルボーからバックドロップ。サッカーボールキックで顔を歪ませた青柳だが、ブレーンバスターを狙った中島を首固めで丸め込む。カウント2で返した中島はもう一度コブラツイストに捕らえると、そこから卍固めにスイッチしてギブアップを奪った。
<試合後コメント>
中島洋平
――後輩からではありますが、ガッチリと勝利されました。
「そうですね。青柳、タッパもありますけど、今日は必ず勝ってジュニアリーグ戦に弾みをつけないといけなかったんで。正直団体所属とは言っていますけど、所属した分、結果を残さないと全日本での存在意義がなくなるんで。今、フリーの時以上にサバイバルのつもりでやっています。正直、団体に所属しました。マスク脱ぎました……これで結果残せなかったら、全日本で僕はいらない子になってしまうんで。孤児にならないためにも必ず結果を残したいと思っています」
――今日は馬場さんの十七回忌追善興行ですが?
「はい。記念すべき大会で第1試合を任せてもらったということで誇りを持って試合をしました」
――中島選手の世代だと、馬場さんは……
「そうですね。やっぱり85年生まれなんでトップにいたのが四天王の先輩方がいて……」
――もう馬場さんと呼ばれていた時期の……
「そうですね。そしてテレビでも活躍されているというイメージでしたね」
第2試合
まずロープに振った野村だが、SUSHIがショルダータックルでなぎ倒す。野村もカウンターのドロップキックを返すとボディスラムを狙うが、ハンマーを振り下ろして阻止したSUSHIは逆にボディスラム。野村もエルボーを打っていくが、エルボーでダウンさせたSUSHIは野村の腰にエルボー。
さらに腰へのストンピングからアームホイップで投げたSUSHIはブレーンバスターを狙うが、野村は踏ん張って投げさせない。逆に気合いで投げてみせた野村はドロップキックからボディスラムで叩き付ける。
コーナーに登った野村はミサイルキックを発射。さらに串刺しジャンピングエルボーからノーザンライト・スープレックスで投げていった野村は、もう一度コーナーに登ってミサイルキック。しかし、これをかわして自爆させたSUSHIは逆エビ固めに捉える。リング中央まで引きずり戻したSUSHIだが、野村はロープに脱出。
SUSHIはショートレンジラリアットでなぎ倒すと、カウント2で返した野村にダイビング・ヘッドバットを投下。そのままガッチリ抑え込んで3カウントを奪った。
<試合後コメント>
野村直矢
「悔しいですね。悔しいのひと言です」
――今日は馬場さんの十七回忌追善興行ですが、野村選手の世代だともう馬場さんは神話の中の人というイメージですか?
「……でもビデオで何回か拝見していますんで」
――馬場さんからの教えが秋山さん、渕さんから野村選手に伝わっているわけですが、そこからも全日本の一員としてはやはり特別な存在でしょうか?
「はい。全日本プロレスを作り上げた人なんで、雲の上の人というか、すごいなと思います」
第3試合
GAORA TVチャンピオンシップのベルトを巻いて入場したKENSOだが、観客は「マサオ」コール一色。KENSOをロープまで押し込んだ井上はクリーンブレイク。ロックアップから再びロープに押し込んだ井上がブレイクしたところにKENSOが張り手。するとKENSOが握手を求めていく。
慎重に応じた井上だが、次の瞬間またもKENSOが張り手。KENSOは張り手の連打から井上を場外に放り出すと、観客の手拍子を煽ってからプランチャを投下。さらに鉄柵に叩き付けていったKENSOは場外マットをどかして床を剥き出しにする。
観客に向かって「マサオ、マサオ、うるせぇんだよ」と悪態をついたKENSOだが、観客は余計に「マサオ」コール。怒ったKENSOは床の上に井上をDDTで叩き付ける。警戒しながらリングに戻った井上だが、KENSOはトーキックから張り手。井上も串刺し攻撃を狙うが、KENSOはビッグブーツで迎撃。
井上はフェイントを入れてから串刺し攻撃を狙うが、何度トライしてもビッグブーツで迎撃されてしまう。だが、ついに蹴り脚をキャッチした井上は串刺し式ショートレンジラリアット。
さらにミリオンダラーバスターから腕をグルグル回していた井上だが、KENSOがなかなか起き上がってこないため、井上が疲れてしまう。ようやくKENSOが立ち上がってきたところにオリャーラリアットを狙った井上だが、KENSOは葉隠れ2(=クローホールドSTO)で迎撃。
カウント2で返した井上だが、KENSOは垂直落下式ブレーンバスター。これもカウント2で返した井上にニードロップを投下したKENSOはSTFに捉えていく。井上がカウント2で返したところで10分が経過。KENSOは垂直落下式ブレーンバスターで叩き付けるが、これもカウントは2。KENSOはコーナー最上段に登ると、ダイビング・エルボードロップを投下して3カウント。
<試合後コメント>
井上雅央
――今日は馬場さんの十七回忌追善興行ですが
「そうですね。こういう日に試合ができるというのは本当にありがたいですね。」
――馬場さんの晩年の明るいプロレスを井上選手が受け継いでいるのかなと思いましたが
「いやぁ…なんて言うんですかね。ああいう試合は難しいですよ」
――それは秋山選手も言っていましたね
「難しいです、本当に。あれはもうキャリアだけでもできないし、僕はセコンドでずっと試合を見ていたり、馬場さんとも試合をさせてもらったり。そこでちょっと覚えたものもあるけど、そこは難しいですよ。見ている人は全然感じないかもしれないですけど、ああいう試合はバチバチやる試合より絶対難しいと思います。でも力説してもわかってもらえないから(苦笑)」
――それがわかっているからこそ、秋山さんも井上選手に出てもらいたいと考えたのでしょう
「こういう節目節目で呼んでもらえるのは本当にありがたいです。24年前くらいにこの業界に入って、(馬場さんは)最初にお世話になった方ですから。その当時は口なんかとても聞けなかった。雲の上の存在です。今でもそうです。僕にとって馬場さんはまだ近づけているとも思えないし、雲の上の存在で、緊張して口も聞けないです」
十七回忌追善セレモニー
休憩明け、ジャイアント馬場十七回忌追善セレモニーへ。まずはスクリーンでNWA世界ヘビー級王座をブリスコから奪取した試合映像が流れると、巨人軍時代の映像、昭和35年プロレス入り、アメリカ武者修行時代、ブルーノ・サンマルチノ戦、ディック・ザ・ブルーザー戦、ボボ・ブラジル戦、フリッツ・フォン・エリック戦、ジン・キニスキー戦などの映像、全日本プロレス設立時&旗揚げ戦、スタン・ハンセン戦、還暦記念試合、生涯最後の試合の映像に、若林健治アナウンサーのナレーションを乗せて流れた。
VTRが終わると『王者の魂』が鳴り響く中、馬場元子相談役、秋山社長、和田京平レフェリーと共に所属選手たちがリングサイドを取り囲む。
そして1分間の黙祷のあと、木原リングアナが「300パウンド、ジャイアント馬場〜」とコール。再び『王者の魂』が流れる中、元子相談役は花道の奥に下がると、目に涙を浮かべながら引き上げてくる選手たちに丁寧に頭を下げていった。
<セレモニー後コメント>
馬場元子相談役
――こうして馬場さんをまた感じられる機会を作ってもらい、ファンの方たちも喜んでいると思います
「私も嬉しいです」
――会場にいらっしゃるのは(2014年)10月以来となるわけですが、元子さんが陣頭に立っていた時に支えてくれた新崎選手や相島選手たちの試合は久しぶりかと思いますが
「久しぶりですねぇ。でも新崎さんにしても相島選手にしても遠い人じゃないんですよね。何かあると助けてもらえると思うので嬉しいですよね」
――亡くなられてから10数年経っていても、こうしてたくさんの人が集まってくれるというのは、馬場さんがみんなの心に強く残っているんだなぁと改めて思いました
「馬場さんに会ったことのない人もいると思うんですよね。見たこともない人も。だけれども懐かしいと思ってきてくれた方も、たくさんいらっしゃると思うので、私にとっては幸せですね」
――この16年は元子さんにとって長かったのでしょうか? 短かったのでしょうか?
「分からない。早いのか遅いのか…。あぁもう16年という感じなんだけれど、早いような遅いような。スムースに行っている時は何とも感じませんけど、体の調子が悪い時はあ〜あと思いますね。あ〜あ、一人なんだわって。皆さんから早いとか遅いとか(言われても)、私、分からないです」
――リングサイドでの黙とうの際に涙をこらえているように見受けられたんですけど、あそこに立つとこみあげてくるものがありますか?
「あの中に、リングサイドに入るっていうのは、(報道陣の中では東京スポーツの)平塚さんにしか分からないけど、馬場さんが元気な時には一度もないもんね。いつも外で見ている。それがここにいなくちゃいけない。どうして? …どうしてじゃないけど、寂しいなと思いますし。だから私が居るべきじゃないのに、私がいる。それが私にとってはあまり居心地のいい場所じゃない。(リングサイドは)馬場さんの場所、レスラーたちの場所ですから。それとマットを見ていると、このマット懐かしいなと思いますし、仕方のないことなんだけど、やっぱり思い出します」
――改めて馬場さんがファンの心の中で生きているということを感じられたんじゃないかと思いますが
「これだけ多くの人が来てくださるってことは、何かの時に馬場さんを思い出してくれれば充分ですし、それ以上のことは私は思いませんし。何しろ毎日馬場さんと一緒ですから、まだ。そんなに遠くないんですよね。すぐそばに……一緒に(いるんです)」
第4試合
かつて馬場全日本を盛り上げた選手が集結。まずはハヤブサとのタッグで活躍したみちのくプロレスの新崎人生が入場。続いて何かと全日本マットで暴れ回ったブードゥー・マーダーズのTARUが“brother”YASSHIと拳剛に先導され、TARU水を撒き散らしながら入場。続いて太陽ケア&相島勇人組が入場。
TARUはリング下で円陣を組み、何やら怪しい相談。その間に人生とケアで試合開始。腕を取ってハンマーロックに捉えたケアはヘッドロック。ロープに振った人生にショルダータックルを見舞ったケア。
人生もリープフロッグから側転フェイントで翻弄するとトラースキック。だが、これをかわしたケアはドロップキック。だが、人生もケアの腕を取ると念仏拝み渡りを決めてみせた。続いてTARUと相島がリングイン。観客からの「悪いことしろ!」の声に手をあげて応えてみせたTARUだが、まずは相島がヘッドロックに捉える。
ロープに飛ばしたTARUにショルダータックルでぶつかっていく相島だが、TARUは倒れない。ショルダータックル合戦が互角の展開だと、相島はラリアットでなぎ倒す。そこからYASSHIがエプロンにあがって和田京平レフェリーを引きつけると、拳剛が相島の足をすくって倒し、そのまま場外に引きずり出す。
すかさずTARUが西側最後方まで連れ出して壁に叩き付けると、リングサイドまで戻ってきて鉄柱攻撃。リングに戻ってもテーピングを使ってチョーク攻撃を見舞っていったTARUだが、これはケアがカット。するとTARUはリング上の3選手+京平レフェリーを指差して「ハゲ」を連呼。
タッチを受けた人生はショルダークロー。エルボーで脱出した相島だが、人生はソバットからロープに飛ぶ。しかしスピアーで迎撃した相島はケアにタッチ。串刺しジャンピングエルボーからラリアットを見舞ったケアはTARU、YASSHI、拳剛にもラリアットを叩き込むと、人生にハリケーン・スパイク。
SUNケアキックを決めたケアだが、蹴り脚をキャッチした人生は曼荼羅捻りを決めてTARUにタッチ。ミドルキックからカカト落とし、バズソーキックを叩き込んだTARUは、拳剛から鉄パイプを受け取るとケアの左腕を殴打。だが、蹴りで鉄パイプを吹っ飛ばしたケアは、馬場さん直伝の脳天唐竹割りから河津落としを決めて相島にタッチ。
リバーススプラッシュを投下した相島はラリアット、フロントキック、バックドロップと一気に畳みかける。カウント2で返したTARUはカウンターでTクラッシュを決めると人生にタッチ。スワンダイブ式のブレーンチョップからダイビングショルダーを決めた人生は、念仏パワーボムの体勢に。
腰を落として踏ん張った相島はリバースで切り返すと走り込む。しかしトラースキックで迎撃した人生はパワーボム。カウント2でケアがカットすると、TARUが場外に連れ出す間に、人生が相島に極楽固めを決め、大きく背中を反らしたところで相島はギブアップ。
試合後、TARUがTARU水を撒き散らす中、人生はケア、相島と握手を交わした。京平レフェリーはTARUを除く3選手の腕をあげた。
第5試合
Revolution(革命)の天龍とEvolution(進化)の諏訪魔の注目の初対決。「(天龍の)すべてを喰らって肥やしにする」と煽りVの中で語った諏訪魔。一方の天龍は「諏訪魔選手は最近のレスラーの中で一番レスラーらしいレスラー」と称賛。
古巣全日本に約7年ぶりに参戦する天龍は昇り龍のロングガウンを羽織り、曙、ウルティモを引き連れて入場。大「天龍」コールを受けて天龍が先発を買って出ると、諏訪魔も先発で出ていき、いきなりダブルチョップ。しかし天龍も逆水平チョップを返していく。諏訪魔のダブルチョップを「なにクソ」という表情をしながら必死に受け止める天龍。
諏訪魔は殴りかかっていくが、天龍は強烈な逆水平チョップをお返し。長い睨み合いから諏訪魔はダブルチョップからロープに飛ぶが、天龍は浴びせ蹴りで迎撃。一旦場外にエスケープした諏訪魔はリングに戻るとタッチはせずに再び天龍に殴りかかる。だが、天龍は逆水平チョップ。
しかし火が付いた諏訪魔はダブルチョップの連打で天龍をコーナーに追い詰めると、先にグーパンチをお見舞い。ガクッと腰を落とした天龍だが、諏訪魔は制止するレフェリーを振り切って襲いかかる。だが、天龍は鼻っ柱へのグーパンチ。
堪らずダウンした諏訪魔は立ち上がると天龍を睨み付けながら光留にタッチ。ミドルキックを連打した光留は青木にタッチ。逆水平チョップとヘッドバットを叩き込んでいった青木だが、天龍は逆水平チョップでダウンさせると、テリー・ファンクばりの南部式ナックル。タッチを受けた曙は青木を持ち上げてマットに叩き付けるとエルボードロップを投下。
しかし青木もウルティモの串刺しジャンピングエルボーを返すと、ブレーンバスターで投げる。だが、ウルティモもコークスクリュー・シザースで投げていくとカウンターエルボーを決めて曙にタッチ。曙は強烈なチョップを叩き込む。続いてウルティモがスタンディングクラッチ。
ウルティモのアンクルホールドに悶絶した青木だが、何とかロープに脱出。タッチを受けた天龍は脳天唐竹割りを叩き込むと、河津落としの体勢から意表を突いてワキ固め。これを諏訪魔がカットすると、天龍は今度は河津落としで叩き付ける。10分が経過し、曙の串刺し攻撃とエルボードロップをかわした青木は諏訪魔にタッチ。ショートレンジラリアットを連打した諏訪間は、背後から飛び付いてオンブ式スリーパー。
コーナーに押し付けて逃れた曙だが、諏訪魔はドロップキックを叩き込むとラストライドの体勢に。これをリバースで切り返してみせた曙は天龍にタッチ。諏訪魔の顔面を蹴り上げていった天龍は逆水平チョップ。諏訪魔もダブルチョップで応戦すると、天龍はグーパンチの連打。
諏訪魔もグーパンチを返すと、渾身のダブルチョップを叩き込んで光留にタッチ。ミドルキックを連打した光留は天龍を挑発。すると天龍はそこにグーパンチをお見舞い。タッチを受けた曙はコーナースプラッシュからエルボードロップを落とすとボディプレス。間一髪かわした光留は青木と2人で曙をロープに固定すると、連続でランニングニーとランニングローを叩き込んでいく。
さらに合体ブレーンバスターで投げようとするが、上がらないため突進。これをダブルラリアットで迎撃した曙は2人を同じコーナーにホイップするとコーナースプラッシュ。さらにウルティモがドロップキックで青木を場外に追いやり、コーナーからプランチャを投下。
天龍と諏訪魔が壮絶なチョップの打ち合いを展開する横で、光留は曙に向かっていくが張り手で迎撃した曙は豪快な河津落としで叩き付けると、ダメ押しのランニング・ボディプレスを投下して3カウント。
試合後、諏訪魔はなおも天龍の前に立ちはだかると、深々と一礼。そこに天龍はグーパンチを叩き込むと、「来い」と手招き。諏訪魔がダブルチョップを叩き込むと、再びチョップの打ち合いに。天龍がグーパンチで諏訪魔をダウンさせたところで、天龍から握手を求めていき、諏訪魔が頭を下げながら握手に応じた。その姿はまるで天龍革命をこの王道マットで諏訪魔が進化させるため、バトンを受け取ったようだった。
<試合後コメント>
天龍源一郎&曙&ウルティモ・ドラゴン
――馬場さんの十七回忌追善興行ということで、本当に久しぶりの全日本マット登場となりました
天龍「そうですね。まぁ呼んでいただいて感慨深いですね」
――今日は試合開始早々から先発というかたちで諏訪魔選手とやり合っていましたが
天龍「あのね、諏訪魔に一発かましてやりたかったのよ。彼はでもいい選手ですよ」
――今日が天龍さんとの初対決ということで、諏訪魔選手が楽しみにしていたんだろうなということがリング上から感じられたのですが
天龍「逆に俺が若い選手からエネルギーをもらいましたよ。たぶん明日、諏訪魔はもう枯れ草だよ。俺がエネルギーを獲っちゃったから。でもやっぱり彼はウチのリングに上がってくれたこともあるし、横綱(=曙)もやっぱり同じ業界出ということもあり、阿吽の呼吸でやりやすいですね。なんかあったらつなげばいいということで心強いですよ」
――そしてウルティモ・ドラゴン選手も古くからのつながりがあります
天龍「そうですね。もう50年くらいの付き合いだね」
ウルティモ「はい」
――横綱、今日は馬場さんの十七回忌追善興行でしたが、横綱ご自身は馬場さんと面識はおありだったのでしょうか?
曙「僕は挨拶程度しかないんですけど、人間は分からないかもしれないですけど、リングに上がる続けている間に馬場さんの教えとかが自然に身に付きますね」
――今日は馬場さんの得意技である河津掛け、河津落としを見せていましたが、それは意識されていましたか?
曙「たまに使うんですけどね。でもあまり偉そうに使いたくもないし、今日はたまたまいい感じで出せてよかったと思います」
――天龍さんとも久しぶりのタッグでしたが
曙「やっぱり僕はまだまだですね。セコンドにいるだけでも……」
天龍「横綱、テリー(ファンク)とか横綱と対談していると、ケツの穴がくすぐったくなるからやめよう!」
曙「もちろん同じ相撲業界から来ているし、まさかこのプロレス界で同じリングに上がれるなんて。しかも上がってもですね、本当こういうこと言うの失礼なんですけど、体が動かない分、気持ちが全然違いますね。僕らがコーナーに控えていても、一人のお客さんとして見ますもんね。あんな強烈なチョップとか受けてもまだ返すという。すごいですね」
――ドラゴン選手は直接ではありませんが、馬場さんが亡くなった日に闘龍門JAPANが旗揚げされたということに運命的なものを感じていたのですが
ウルティモ「本当にこういう特別な日に呼んでいただいて、秋山社長、元子さんに感謝しますし、こういう特別な日に天龍さんとこういうかたちでタッグを組めて、そしてそこに横綱がいて。感無量ですね」
――天龍さん、馬場さんの十七回忌ということについては?
天龍「いやもう……何て言うのかな。たったひと言でいうなら月日の経つのは早い。それよりもさっき横綱やドラゴンとも話したけれど、事あるごとに思い出す人ですからね。十七回忌と言われてもピンとこないところもある。それが正直なところです」
――諏訪魔選手のダブルチョップはいかがでしたか?
天龍「効くねぇ! よかったよ、Tシャツ着てて」
――試合後には諏訪魔選手に「もっと来んかい!」とばかりにやってましたけど
天龍「あぁ、いらんことやっちゃったねぇ。いや、でも今日は馬場さんの十七回忌に目新しいカードを組んでいただいて感謝しています。また気持ちがリフレッシュできましたよ。横綱と組めて感無量でしたよ」
曙「SMOP復活じゃないですか?」
天龍「相撲軍団! じゃあウルティモは呼び出しか行司ってことで」
――横綱は太刀持ちですか?
曙「はい、太刀持ちで(笑)」
天龍「いえいえ(笑)……ありがとうございました!」
第6試合
馬場さんから直接教えを受けた秋山、大森、渕が、新生・全日本の現三冠ヘビー級王者・潮崎率いるXceedと馬場イズム伝承マッチを行う。秋山組は渕のテーマ曲で入場。その渕が先発を買って出ると、観客からは「フッチー、チャチャチャ」コール。
ショルダータックルで鼓太郎をなぎ倒した渕だが、鼓太郎もバックを取るとロープに押し込んで回転足折り固め。辛くもカウント2で返した渕に、タッチを受けた潮崎が強烈な逆水平チョップ。
だが、気合い入りまくりの渕は往年の赤鬼のような表情で立ち上がると、ショルダータックルでぶつかっていく。倒れない潮崎がロープに飛ぶと、渕はカウンターのドロップキック。潮崎もカウンターの逆水平チョップを狙うが、これを間一髪でかわした渕は秋山にタッチ。ロックアップからロープに押し込んだ潮崎だが、ここはクリーンブレイク。ショルダータックルでなぎ倒した秋山はエルボードロップ。かわした潮崎は逆水平チョップを狙うが、秋山もかわしてみせる。
潮崎は秋山をロープに押し込むと逆水平チョップ。潮崎が宮原にタッチすると、秋山も大森にタッチ。大森がフロントキックを叩き込むが、倒れない宮原は逆にフロントキックで大森をなぎ倒す。タッチを受けた渕は宮原にバックドロップを狙うが、踏ん張った宮原は渕を場外に連れ出すと、かつて馬場さんが食らって骨折したことのある場外でのハイジャック式パイルドライバーを鼓太郎と決めていく。
思わず京平レフェリーが「ダメだよ!」一喝する、ある意味禁じ手だが、さらに渕をエプロンに寝かせた潮崎がランニングニーリフトでカチ上げてから、今度は潮崎が鼓太郎と場外でのハイジャック式パイルドライバー。大ダメージの渕をリングに戻した鼓太郎は腰にエルボー。さらにビット(=ハンドスプリング・エルボー)から串刺しジャンピングニーを叩き込んだ鼓太郎。
渕も潮崎にナックルパートを返すが、潮崎の逆水平チョップで渕の胸は真っ赤。Xceedはなおもトレイン攻撃を決めてから潮崎が逆水平チョップ。だが、豪腕ラリアットをかわした渕は首固め。カウント2で潮崎が返すと、渕は延髄斬りを叩き込んで大森にタッチ。
フロントキックを叩き込んだ大森はニールキック。潮崎のチョップにエルボースマッシュで対抗した大森はアックスボンバーを狙ったが、潮崎は腕への袈裟斬りチョップで迎撃してからバックドロップ。タッチを受けた宮原は低空ドロップキックの連打から串刺しジャンピングエルボー、ノーザンライト・スープレックス。
大森もショートレンジラリアットを狙ったが、宮原はスネークリミット(=三角絞めからの腕十字)で捉える。秋山がカットすると、宮原は串刺しニーから二段蹴り式のフロントキック。だが、コーナーに登った宮原を追いかけていった大森は雪崩式ブレーンバスター。
ラリアットが相打ちになると、大森はトラースキック。宮原も二段蹴り式フロントキックを返すと鼓太郎にタッチ。大森も渕にタッチすると、渕はサミングからボディスラム。そこに宮原が入ってくるが、渕はサミングからボディスラム。さらに潮崎に対してもサミングからボディスラムを狙う。だが、ここは潮崎が逆にボディスラムを決めて20分が経過。
秋山が入ってきて鼓太郎をロープに飛ばすと、渕はドロップキック。さらに大森が宮原をロープに飛ばすと、またも渕がドロップキック。そして秋山と大森で潮崎をロープに飛ばすと、渕はドロップキックを狙ったが、潮崎は自爆を誘い込む。ならばともう一度秋山と大森が潮崎をロープに飛ばすが、これも自爆させた潮崎は、宮原、鼓太郎と共に渕を袋叩きにしていく。
鼓太郎がファンネル(=619)からランニングエルボーを叩き込むが、渕はカウント2で返す。タイガードライバーをリバースで切り返した渕はそのままエビ固めで抑え込むがカウントは2。アームホイップを狙った鼓太郎を逆さ押さえ込みで抑え込むがカウントは2。ならばと伝家の宝刀バックドロップで投げた渕は、秋山にタッチ。ランニングニーを叩き込んだ秋山は大森が抑え付けたところにもう一発ランニングニー。
鼓太郎もエルボーを打っていくが、受け止めてみせた秋山はカウンターのラリアットからエクスプロイダー。2発目のエクスプロイダーを腰投げで切り返した鼓太郎はエンドレスワルツ(=連続ラ・マヒストラル)。これを渕がカットすると、大森がフルネルソンバスター。そこに秋山がランニングニー。
宮原がカウント2でカットするが、渕が鼓太郎をバックドロップで投げていくと、背後から秋山がランニングニー。これもカウント2で返した鼓太郎だが、秋山はダメ押しのリストクラッチ式エクスプロイダーで投げて3カウント。
勝利した馬場全日本トリオはガッチリ握手。さらに渕が潮崎に握手を求めると、潮崎は両手で応じた。そしてマイクを持った秋山が「本日はジャイアント馬場十七回忌特別興行、ご来場いただきましてまことにありがとうございます。僕は選手としても社長としてもまだまだひよっこです。馬場さんの足元にも及びません。ですが、馬場さんを一歩一歩追いかけたいと思います。これからも全日本へのご声援、よろしくお願いします」と挨拶すると、大森、渕と共に四方に一礼。
さらに「ちょっと待ってください! 最後は全日本の生き字引、渕さんお願いします」と言われてマイクを渡す。苦笑いした渕は「いや本当、本日はありがとうございます。皆さんのご声援がなければこんなには頑張れなかった。そして、やはり馬場さんの十七回忌追善試合ということで、普段の3倍4倍くらいの力が出ました。秋山社長、いつもはこんなに力出ないから。どうか皆さん、これからジャイアント馬場さんのことを忘れないでいてください! 本日はありがとうございました!」と締めの挨拶をすると、最後に『王者の魂』が鳴り響いた。
<試合後コメント>
秋山準&大森隆男&渕正信
渕「いや、とにかく(潮崎の)一発目のチョップで参ったよ。そして鼓太郎の顔面キックで額が割れたかと思った。いや参った参った」
――馬場さんの追善試合に相応しい明るさと楽しさと激しさがいっぱい詰まった試合だったかと思います
秋山「そうですね。それもこれも全部ファンの方がね、懐かしい全日本プロレスの声援というか、そういうのをしていただいて、選手も本当にやりやすかったと思います」
――Xceedの選手たちにブーイングが飛んでいたところも…
秋山「あいつらは非常にやりづらかったと思います。いつもとは違うことですからね」
渕「まさか最後に場外で……途中から覚えていないけど、パイルドライバー食っちゃって」
秋山「渕さんに最後、『頑張って!』って言ったら、『俺が?』って言ってましたから(笑)。『いやいや、渕さんですよ』って(笑)」
渕「キツかったなあ……」
――それでも終盤とは思えない高さのドロップキックを見せてくれてファンの方たちも驚いていました
大森「試合を引っ張ってくれたのは間違いなく渕さんですからね」
渕「引っ張られたよ! (声を出して)喉が痛いだろう?」
秋山「痛いですね。喉のケアします」
――今日の馬場さんの十七回忌追善興行ですが、社長として振り返ってみていかがですか?
秋山「観客の皆さんを見てくれれば分かる通り、今でもジャイアント馬場の力というのは偉大だなと思うし、ファンの皆さんの温かさというのは、僕らがいたあの頃の全日本と同じ状況でしたし、いろいろ世知辛い世の中ですけど(笑)、ここだけは非常に明るく、楽しく、激しい後楽園ホール大会ができたんじゃないかと思います。本当にそれは馬場さんのお陰ですね。でもそればっかり言ってられないんで、馬場さんに教えられたものをこれからも活かして。馬場さんを知らない世代もいるんで、また新しく、僕たちの道を作っていかなければいけないなぁと思います」
――今日は久しぶりにメインが6人タッグでした。全日本の6人タッグはひとつの名物だったので、これがまた新しいカタチで残っていけば…
秋山「そうですね。本当に四天王の方がやっていた6人タッグや、今日いた天龍さんや渕さんとか。この人たちが源流で流れているんで。ここはどこに行っても、どこの団体と比べれても負けていないと思うんでね。それは受け継いで、あそこにいる青柳とかにも受け継いでいってもらいたいと思います」
渕「……いいかな?」
秋山「早くしないと渕さんが風邪ひいちゃう(笑)」
渕「抵抗力がないんだから!」