【インタビュー】年間約200試合出場の“僧侶レスラー”阿部史典が王座戦を前にチャンピオンへ物申す!「先人超えを考えないのは逃げだと思います」

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 某日、プロレスリングBASARA所属の阿部史典にインタビューを行った。

 阿部史典は、僧侶の資格を持つプロレスラーという型破りな経歴ながら、年間約200試合に出場する超売れっ子レスラー。
 格闘探偵団バトラーツに憧れ、澤宗紀の紹介で名古屋のスポルディーバエンターテイメントに入団。その後は全日本プロレスなどのメジャー団体からマットプロレスまで場所を選ばず幅広く出場し、2018年には木高イサミに直訴してプロレスリングBASARAに入団。今月9日には、日高郁人をパートナーにNWAインターナショナルライトタッグ王座を獲得するなど、破竹の勢いで暴れまわっている。
 バチバチの蹴り合いからコミカルな試合までこなす幅広いファイトスタイルや、愛嬌のあるキャラクターからあらゆる団体のファンに愛されている選手だ。

 そんな阿部史典は、レギュラー参戦しているHEAT-UPのカルッツかわさき大会で、団体の至宝・HEAT-UPユニバーサル王座に挑戦する。
 現王者はHEAT-UPの若き新エース・兼平大介。兼平は5月に“紅白歌手レスラー”ノリ・ダ・ファンキーシビレサス(今池プロレス)を破って王座を戴冠しており、阿部は名古屋の先輩であるノリの敵討ちに燃える。

 阿部は、兼平に挑戦を表明した際に『HEAT-UPは田村和宏の団体、BASARAは木高イサミの団体というイメージを変えたい』と、若手世代での世代交代を目指す覚悟を語った。
 しかし、王者の兼平は『心に響かなかった』とこの言葉を一蹴。これに対し、阿部も思うところがあるという。

 インタビュー中も晩のおかず(しまほっけ干物 3枚1,080円)を買いにHEAT-UP道場の隣にある干物専門店『山安』にコスチューム姿のまま買い物に行くなどの破天荒な姿を見せる阿部に、3000人規模の大会場であるカルッツかわさきでのメインイベントを任されたことについて心境を聞いた。

――今回の挑戦表明はやはり名古屋の先輩であるノリ・ダ・ファンキーシビレサス選手が敗れたからということが大きいのでしょうか
「HEAT-UPに一番最初に上がったのは北沢タウンホール大会だったんですけど、そのときは岩本さん(岩本煌史)も石田さん(石田慎也)も上がってたのもあって、HEAT-UPはスポルティーバと一番密接な東京の団体だったんですよ。
 僕らも名古屋でやってるだけだとどうしても停滞してしまうし、HEAT-UPは名古屋のプロレスシーンに於いて刺激を与えてくれる団体なんです。だから、スポルティーバの選手が他団体に上がることを考えたときに“HEAT-UPに上がる”っていうのが最初の目標になるんですよ。名古屋でデビューすると、とりあえず東京に行きたくなるんです。東京で試合したくなると、名古屋と密接な関係があって一番先輩たちが上がっているHEAT-UPに最初に上がりたくなるんですよ。
 それで、岩本さんがしばらくして田村さんのユニバーサル王者に挑戦して負けて、石田さんも田村さんのユニバーサル王者に挑戦して負けて……。田村和宏強いから(笑)田村さんのベストバウトは中村大介戦、次がロッキー川村戦……これは僕の趣味・趣向が大分入ってるんですけど……あっ、なんの話でしたっけ?(笑)」

――HEAT-UPにレギュラー参戦するようになって、ついに阿部選手もHEAT-UPの王座戦に挑戦することになりましたね
「岩本さんが負けて、石田さんが負けて、ノリさん、優作さん(伊東優作/DEP)と、名古屋の先輩たちがぜ~んぶ負けて……そうすると、順番的に自分じゃないですか。やっぱり名古屋の諸先輩方が挑んで獲れなかったベルトを自分が獲ることで、その人たちを超えたっていうのは変ですけど、出来たっていう結果が欲しいんです」

――以前阿部選手は『勝手に名古屋を背負って戦っている』と仰っていましたが、今回のタイトルマッチはそういった気持ちで臨むのでしょうか
「『名古屋を背負う』というのは実はあんま無くて、今もBASARAでも名古屋でもそうなんですけど、団体を背負ってるって言うより、順番的には自分が出ることで自分を知ってもらって、それから団体を知るって感じじゃないですか。自分に興味を持ってくれた人が、自分のことを調べたらBASARAとかスポルティーバっていう団体が出てくるし 自分がなんかやってるだけで自分が多分勝手に背負ってるんだと思います。だから特に背負ってるって気持ちはないですけど、名古屋出身だし、自分がどこに行こうが何をしようが勝手に付いてくるものじゃないですか。だから、いつも自分は名古屋を勝手に背負ってるんだと思います。
 僕が色々と上がらせてもらっている中で、HEAT-UPは僕を最初に見るお客さんが一番多いと思うんですよ。だからこそ先輩たちの敵討ちをここでしたいって気持ちはありますよ」

――先日のノリ選手と兼平選手の王座戦ではノリ選手のセコンドに付いていましたが、どういう気持ちで見ていましたか
「名古屋でノリさんは身体が大きい方なんですよ。でも、自分も東京の団体……全日本さん、大日本さんと色々上がってみて思ったのが、ノリさんの体型がそういう人たちの前ではアドバンテージにならないってことなんですよ。兼平さんのときもそうでしたけど、『ノリさんの方がちょっと小さい』みたいな感じで始まることが多いじゃないですか。その時点でアドバンテージが無いのが毎回驚きますよね。自分は名古屋育ちなんで。名古屋ではノリさんが一番でかかったのに、東京に来るとノリさんは普通っていったらアレですけど、体格的にアドバンテージがないのに驚きますよね。
 ノリさんが試合終盤に出すストレッチマフラー・ホールド、シビれますよね!ノリ・ダ・ファンキーシビレサスの滋味。ノリ・ダ・ファンキーシビレサスの試合は噛めば噛むほど味が出てくるアタリメのような試合しますから!……何の話でしたっけ?(笑)」

――対戦相手の兼平選手への印象はどうでしょう
「兼平さんはデビュー当初から使い続けてるヒザとか、一個のものを大事に使うのは偉いというかスゴいですよね。兼平さんは格闘技出身ですけど、プロレスに色んなエッセンスを取り入れるのが上手いですよね。『ここでそういうのじゃないのにな』ってところで無理に色々入れたりしないで、兼平さんはタイミングタイミングで自分の培ったエッセンスを融合させるのが上手いですよね。『ここでそれきた!いいね!』みたいな(笑)あと足腰というか体幹もスゴいですよね。絶対ブレないというか、あんなに足太くなって自分のプロポーションに悩むレベルで鍛え込んでて。一般的なプロポーションを捨ててまで得た武器ってプロレスで光りますよね。戦うための身体じゃないですか。
 ただ、一番最高でかっこいいのはノリ・ダ・ファンキーシビレサスのオースイスープレックス!ノリさんの技で、一番スゴいのはフルネルソン・バスターでもチョップでもなくオースイスープレックスですからね!『一番スゴいのはノリ・ダ・ファンキーシビレサスのオースイスープレックス』ってだけ書いといてください。何の話でしたっけ?」

――挑戦表明後の記者会見で、兼平選手は阿部選手の『HEAT-UPは田村和宏の団体、BASARAは木高イサミの団体というイメージを変えたい』という発言を『心に響かなかった』と一蹴していましたが、それについては
「やっぱり、プロレス界で超えたい人って絶対いるじゃないですか。自分がプロレスをやるにあたって、成り上がりたいと思うじゃないですか。人によると思いますけど『ベルトが欲しい』とか、『あの人に勝ちたい』とか『この舞台に立ちたい』とか『この団体でメインを張りたい』とか、そういうのを考えるにあたって、上の人たちのことを抜いては語れないと思うんですよ。無きにして考えられないというか、その人たちを倒さないと絶対次は無い。世代交代っていうのも、一番分かりやすいじゃないですか、“その人たちを超えた”っていうのは。自分の中での一個のチェックポイントとしても、一番分かりやすい。
 近い将来なのか遠い将来なのかは僕ら次第ですけど、この僕と兼平さんの試合を後で振り返ってみたときに、兼平さんにとっては田村和宏を超えたときに『あの試合がチェックポイントだったな』って思われるものになって欲しいし、僕が木高イサミを超えたときに『あの試合がチェックポイントだったな』って思われるようにしたいですよ。どこまで続けられるのか分からないレスラー生活の中で、一つのチェックポイントになってほしいんです。
 リングに上って戦うのは僕と兼平さんだし、試合には世代交代がどうとかっていう考えは持ち込まないです。それは僕の説明不足だったかも知れない。でも、上の人たちのこと無しには語れないですよ。それを考えないのは逃げだと思います」

――その戦いが、3000人規模の大会場でのビッグマッチ、メインイベントで行われることについては
「やっぱり、メインイベントっていうのは僕の中では大きいですよ。HEAT-UPがビッグマッチをやるときには毎回社運をかけてるっていうのは、自分も田村さんに近い人間なんで分かります。田村さんがどれだけHEAT-UPにかけてるかってのも知ってますし、道場とかにも携わらせてもらってますし。
 傍から見たら、他の団体から見たら『貧乏臭いな』と思うかも知れないですけど、このシムシティみたいなのがHEAT-UPの魅力だし、そんなHEAT-UPをいいなって思う人がいっぱいいるわけじゃないですか。自分は田村さんに協力したいと思うし、今の自分があるのもHEAT-UP無しでは語れないですよ。色んな団体で色んな大切ものを学ばせてもらってますけど、HEAT-UPも確実にその一つなんです。
 自分は、自分を選んでもらったということを含めて、自分が返せるものといったらリングでプロレスの試合をすることしか出来ないので、それで一個、感謝の気持ち込めてやるというのがありますね。だけど、もちろん手加減はないです。このビッグマッチのメインに自分を選んでもらった、自分にかけてもらったというのは感じているので、自分の培ってきたもの全てをぶつけて兼平さんと戦いたいと思います」

――会見では、王座を戴冠したら『ベルトを色んな団体に持っていってHEAT-UPをアピールする』というHEAT-UP愛に満ちた発言もありました
「ベルト獲ったら自分はホント色んな団体に持ち歩きますよ。どこの団体にも持って行くし、名古屋にも持っていくし、北海道にも、鹿児島にも、韓国にも持っていくし。あんな分かりやすいベルト無いじゃないですか。ド真ん中に“HEAT-UP”って書いてあって。自分がHEAT-UPに還元できることはいっぱいあると思います」

――兼平選手に向けてメッセージを
「一応僕は外敵……ってもう、外敵って感じじゃないですよね?無理でしょ、今更外敵なんて(笑)逆に怖いっすよ(笑)だって一緒にお世話になってますし。外敵とかじゃなくて、HEAT-UPを盛り上げたいなって気持ちは所属の人と変わらない気持ちはあると思うんで、自分が兼平さんの刺激になるんだったらドンドン刺激になりたいですね」

――ファンに向けてメッセージを
「えー、全国の、約、約……(日本の総人口をスマホで検索しながら)1億2457万6千人のHEAT-UPユニバースの皆さん!HEAT-UPは、とどろきアリーナ大会のときもそうでしたけど、追い込まれて追い込まれて最後は成功した団体なんですよ。今回は追い込みすぎて取り返しの付かないところまで来てるんで、どうか助けてください!(笑)
 でも、『来てよかったな』と思うような試合を、自分と兼平さんはします。その上で勝ちにこだわった試合をします。やっぱり、『HEAT-UPって面白いな』って思って帰ってもらいたいので、色んな要素を含めた上で、最終的には勝ちに繋がるような試合をしたいですね」

 王者・兼平の「世代交代を意識したくない」という言葉に対し、「それを考えないのは逃げだ」と真っ向から反発する阿部だが、奇しくも“自分たちの試合で新しい時代を感じさせたい”という想いは共通している。
 それぞれの背負うもの、覚悟を懸けて戦うこの試合が、両者のターニングポイントとなるような最高の試合になることを期待したい。

障がい福祉青少年育成チャリティー大会
『川崎炎上シリーズ~カルッツの乱~』
日時:2018年6月23日(土)
開始:18:00
会場:神奈川県川崎市・カルッツかわさき

▼開幕!カルッツかわさきサミットⅠ~~日印プロレス同盟vs名古屋~ タッグマッチ 20分1本勝負
渡辺宏志/バリヤンアッキ(インド)
vs
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス(今池プロレス)/伊東優作(DEP)

▼がんばれ!川崎ヒーローズ!子供たちに夢と希望を! 6人タッグマッチ 20分1本勝負
プリンス・カワサキ/イナダマン/高梨将弘(DDT)
vs
PSYCHO(フリー)/CHANGO(フリー)/石田慎也(スポルティーバ)

▼我闘雲舞提供試合 タッグマッチ 20分1本勝負
さくらえみ/紺乃美鶴
vs
里歩/駿河メイ

▼カルッツかわさきサミットⅡ~世界が震える性戦~ 6人タッグマッチ 30分1本勝負
藤田峰雄/飯塚優/井土徹也
vs
ニック(シンガポール)/グレッグホー(シンガポール)/レッド・イーグル(ポルトガル)

▼カルッツかわさきサミットⅢ~ド根性的国際交流の巻~ 8人タッグマッチ 30分1本勝負
ガッツ石島(GOING-UP)/マスクドミステリー(GOING-UP)/大谷譲二(GOING-UP)/室田渓人(GOING-UP)
vs
近藤“ド根性”洋史/ジューケン(イギリス)/ジェフマン(香港)/ケヴィンマン(香港)

▼HEAT-UPユニバーサルタッグ選手権試合 60分1本勝負
【王者組】新井健一郎(DRAGON GATE)/ヒデ久保田(フリー)
vs
【挑戦者組】田村和宏/藤波辰爾(ドラディション)

▼HEAT-UPユニバーサル選手権試合 60分1本勝負
【王者】兼平大介
vs
【挑戦者】阿部史典(BASARA)

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