ハヤブサ三回忌追善試合をミスター雁之助が引退前最後の鬼神道で開催

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 27日、東京都・新木場1stRINGにて、『ミスター雁之助プロデュース興行~鬼神道Returnsファイナル~』が行われた。

 鬼神道とは、ミスター雁之助がプロデューサーを務める興行であり、既存の団体では出来ない夢のカードを実現させるという趣旨のもと、雁之助が一度引退する前から通算して30回ほど行われていた。
 今回は、雁之助が4月15日の新宿FACE大会にて引退することを発表していることもあり、最後の鬼神道と銘打たれた。

 この日のメインイベントでは、ハヤブサ三回忌追善特別試合が行われ、ミスター雁之助と、ハヤブサをリスペクトするレスラー、はやぶちゃがタッグを組み、宮本裕向&木高イサミのヤンキー二丁拳銃と対戦。
 試合は、ヤンキー二丁拳銃が抜群のタッグワークで雁之助を追い込む展開となるが、はやぶちゃもフライング・ニールキックやファルコンアロー、ファイアーバード・スプラッシュで援護して一転攻勢。
 最後は雁之助と裕向の一騎打ちとなり、裕向がムーンサルトプレスを投下したところを雁之助が剣山で迎撃。続けてサンダーファイヤーパワーボムと畳み掛けるが、裕向もこれを耐えて念仏パワーボム。さらに裕向がファイアーサンダーを狙ったところを雁之助クラッチで丸め込むも、これを返した裕向が改めてファイアーサンダーでマットに突き刺し、試合を決めた。
 雁之助の一番弟子である宮本裕向が、雁之助の代名詞たる必殺技で勝利するという世代交代を象徴する試合となった。

 試合後、マイクを取った裕向は雁之助への感謝の言葉を述べ、「僕は一子相伝の鬼神道の継承者だ!」と宣言。
 これを受けた雁之助は「お前は、俺の一番弟子で、二番弟子が藤田峰雄で……お前はいつも、寮のアパートで藤田峰雄に後ろから掘られて……(観客席からの笑い声とどよめきに)……いや、これ実話ですよ?(笑)お前もインディーのチャンピオンとして立派にトップを獲って俺は嬉しいよ。ありがとう。自分の技ながら、ファイアーサンダーっていうのはやられるのはイヤな技だなぁと思いました。お前は、ファイアーサンダー……俺の継承者だから。これからも、磨いて使ってくれ」と穏やかな笑みで話し、裕向に未来を託した。
 
 バックステージに戻った雁之助は、「素晴らしいレスラーが来てくれてよかった。もう辞める50のヨレヨレのジジイが、こんなバリバリの選手とやったらさ、俺がキツいに決まってるじゃないか。でも、コイツらにインディーのプロレスを託せる。未来は明るいよ」と語った。
 続けて、鬼神道を振り返って、「今までは俺がプロデュースしてきたけど、誰か他の違う奴がやってもいいんじゃないですか。似たようなコンセプトで。自由なマッチメイクは既存の団体じゃ出来ないから。まあ、志がある人がやれば良いんじゃないですか。こうやってお客さんの『見たい』という要望があるわけですから。誰かやってほしいですね」と語り、プロデューサーとしての継承者を募集した。

 その後、バックステージに戻った裕向は、「技じゃないのよね。技じゃなくて鬼神“道”を教えてもらってる」と雁之助の指導を振り返り、「僕らは雁之助さんと試合してるだけ幸せですよ。あんだけ上手い人いないもん。メジャーの選手でも居ないよ、あんな上手な人……」と寂しそうに話した。
 イサミも無名の頃に雁之助にWMFの第0試合に出場するチャンスを貰ったエピソードを話し、「雁之助さんが引退する前の鬼神道に出て試合が出来たことは本当に良かった。あのときの自分に教えてあげたいですね。『こうなるんだぞ!』って」と胸を張った。

 ハヤブサと共にFMWでデビューし、90年代のインディープロレス界を牽引してきたミスター雁之助も引退まで残り6試合となった。
 雁之助は引退後にプロレスから完全に離れて地元・熊本に帰って暮らすことを明言しているが、雁之助の魂は確かにインディープロレス界に根付いている。この日戦った宮本裕向、小高イサミを始め、雁之助に薫陶を受けた選手は数知れない。彼ら雁之助チルドレンが作っていくプロレス界の未来にこれからも期待したい。

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