リング☆ドリーム原作者でいしろうインタビュー[第3回]DDTとのコラボが話題に!リング☆ドリームの今後は?
株式会社サクセスによりYahoo!モバゲー、Mixiゲーム、ニコニコアプリ、スマホアプリ、台湾の5プラットフォームにてサービスを展開している女子プロレスを題材にしたゲーム『リング☆ドリーム』。
この『リング☆ドリーム』というゲームはどういう人物が考え、作っているのかをリンドリユーザーはもちろん、興味はあってもまだ手を出してないプロレスファンにも知ってもらおうと、原作者のでいしろう氏へのインタビューを行った。スターダム、DDTと実際にプロレス団体とコラボレーションしたことで、いままでリンドリをやっていなかったプロレスファンの間でも話題に。カードゲーム→TRPGときて、ブラウザゲームとして現在すっかり確立したリンドリが今後どうなっていくのか? 最終回となる今回はその部分を中心に語ってもらった。
【取材・文/執事記者つばさ】
――今後の展開で思い描いているものはありますか? コンシューマーとか。
でいしろう コンシューマーってどうなんでしょうね? 新しい要素を足していったり、新しい要素に切り替えていく必要はあるのかもしれないけど、とりあえず目の前のものをガッチリ進めないと。とりあえずいま、目の前のものに全力!
――女子プロレス団体のスターダムやDDTプロレスリングとコラボしてきて、リアルなプロレスイベントなどは視野にあるのでしょうか?
でいしろう 最初、このビルに地下室があるんだけど、儲かったら地下室でストリートファイトマッチやって欲しいよねって。そういう話が昔からあったの。最初は冗談だったのがリング☆ドリームが運営できる事になって、ある程度の利益を生むようになって、松田(秀夫)プロデューサーと「リアルプロレスをユーザー呼んで地下室でやってみちゃう?」って言ってたら、実際問題このビルでそう簡単に出来ないというのと、道路に出られたらまずいということで……
――あぁ、某団体だと絶対外に出ますね(苦笑)。
でいしろう いつかファン呼んでやりたいよね。僕は交通の便がよければどこでも……
良い意味でDDTプロレスに壊された常識と聖域
――実際にリアルな団体でいま好きな団体などは?
でいしろう やっぱりDDTと新日本プロレスですね。あとはスターダムをちょこちょこ見る。基本、僕プロレス好きだから見れば気に入ってしまうという(笑)。DDTは良い意味で僕の常識をボコボコ崩してくださったんで。僕の中でプロレスはある意味、聖域だった。DDT美少女化計画なんて僕から(の案)だったら絶対出ない! 松田さんが言った時も「ヨシヒコとかだったらありかなぁ」と思ったけど、まさか向こうから「オレたちも美少女にならないのか?」なんて言われるだなんて……えっ! いいの? みたいな。
――実際の試合も常識を壊してくれたと思いますが。
でいしろう もちろんプロレスを見てきたけど、僕が見てたのってテレビでやってるレベルなんで。会場になかなか足を運べなかった。運んだとしても新日本のBEST OF THE SUPER Jr.とかかな。あれを見てると、いまDDTを見て崩されてるような常識の崩され方はしない!
――そうですね。花火を持ち込んだりとか。
でいしろう 花火とか爆破まではまだアリかなと思うけど、まず僕からは美少女化って感覚は出てこない。生身のレスラーを美少女化していいはずなんてないだろうというのが、最初の感想だったんで。まさかご当人達がノリノリになるとは……
――反響はいかがでした?
でいしろう まとめサイトに載った時の反応がものすごかった。これに関してはDDTにも松田さんにも脱帽ですね。そこから見てDDTでアリならこれもアリだなっていうふうに僕もなったんで。ただし、そうなるとDDTを見ていない層の、ピュアなプロレスファンからすると、許されんという部分がちょこちょこ出てくる。でも世の中そこまで深く考えなくてもいいんだよ、というのがすでに僕のほうにあるんで。怒る気持ちは分かる! 僕からすると聖域を汚されたという気持ちがすごく分かるので。あ〜、怒る人の気持ちもよく分かるよーと思いながら、でもこういうのもアリなんだよーって気持ちで進めてる感じです。
――その精神は『なめこ』や『蓮根』にも現れてるんですかね。
でいしろう なめこや蓮根はその前からで、着ぐるみレスラーは賑やかしぐらいだったらアリかなって。それでずっとDDTも見ているうちに、なめこって普通レベルじゃねーのってぐらいにはなりましたね。
リンドリユーザーから原作者への質問
――ここからはユーザーの方から寄せられた質問になりますが、選手の技を考える時ってどういう形で考えてますか?
でいしろう この技がこうなったらすごいなと考えてやるんですけど、ファンの人から「予測してたんですか?」と言われたけど予測していないです。考えたオリジナル技が後から現実に追い付いてくるみたいなのがよくあるんですが、プロレスファンだったら考えるよねって技をいくつか考える。ディアナのダブルスピンムーンサルトとか。当時出した時「できねーよ!」ってファンや読者から色々ツッコまれて「いくら創作物でもそんな技はないと思います」とか、そんな酷いことまで言われたんだけど、後から現実が追いついてきた。空中ニ回転ムーンサルトあるじゃん!って。
――DRAGON GATE所属で2014年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニア優勝者であるリコシェ選手のダブルローテーションムーンサルトですね。
でいしろう それ以外でも、井上京子選手のナイアガラドライバーを両腕フックしたらすごいヤバイ技になるんじゃねって思って使ったら、その1年後ぐらいに偶然なんですけど豊田(真奈美)選手がジャパニーズ・オーシャン・クインビー・ボムとして出した。あぁやっぱり人の考える事って同じだよねって。オリジナル技だったらそういう感じで考えてますね。僕に限らずプロレスファンだったらオリジナル技考えてるし、きっと同じ人間で同じ趣味の人だから似たような技を皆いっぱい考えてると思う。これで一番怖いのは、それは僕が考えていたって言われるのがたまにある。とくに困るのは、全然知らない、会ったこともない人に言われること。基本パロディは使うけど、分かる人だけ分かってくださいって形で使ってます。
――でいしろうさんはオレンジゼリー名義で『探査機はやぶささん』というマンガや迎え酒も創られてますよね? あれもJAXA公認ですごい反響だったと思います。
でいしろう あれは僕が元々星関係が好きだったのもあるけど、その前ののぞみって頃から注目はしている感じではやぶさも今ピンチだってことからニコニコ動画でなんかやりたいなと思ってライトファンからヘビーファンになった。元々JAXAのお膝元に住んでて、美味しんぼでも出てきた酒蔵の息子が知り合いに居たんで「はやぶさを迎えるために本格的な酒つくりませんか?」という所から始まって。お高いけれども、酒飲みの人たちからも評価高いんです。なにせ中身が本当の一流の酒なので。それでやっていたら、最初に本出して貰ったエンターブレインの人から「本にしませんか?」と来て、平行してコミケではやぶさのスタッフの人や博士がブースにおいでくださったりして。そのことからじゃあ本にしてって話が来てるんでいっその事監修お願いできませんか?と。今でこそJAXAは宣伝広告とかマスコミ対策とかしてるけど、当時全然そういったのなかったんで、手探りで博士と一緒にJAXAの広報部とか行って「これ監修していい? 名前使っていい?」というすり合わせをしながら本にしたわけです。僕は基本、本にするからといって、ネットでやっていたものを「つづきは本でね」っていうのは嫌いなので、全部ネットでも完結させた上で、プロローグとエピローグだけおまけでつけるようにして。出したらありがたい事に重版がかかった。
――はやぶさ2が11月30日に打ち上げもありますし(※天候不良により延期になったが、12月3日に無事打ち上げ成功)。
でいしろう はやぶさ2もやりたかったけど、リンドリが始まってから真面目な話、土日(休み)もないんで(苦笑)。普段、僕が同時にやっている時って、平日は仕事して、帰ったらちょこちょこネームとかやって、土日とかかけて一週間分の仕込みをして、ちょっとずつやっていくって感じなんですけど、いまはそれがないんで……
――もっとお聞きしたいのですが、そろそろ時間となってしまいました。最後に今後のリング☆ドリームの展望とファンへのメッセージをお願いします。
でいしろう リング☆ドリームがファンの皆から愛されてて嬉しいです。正直な話、展望はストーリー的な意味ではないです。下手に展望を作ると崩された時の衝撃が大きいので。僕は常にニュートラルな状態でいます(苦笑)。なので安心して、好きにストーリーを崩そうという人も頑張ってくれて大丈夫です。みんな色々予測とかしてるらしいですけど、SNSなどで皆で話して語り合ってくれるのが嬉しい。自分の想像や予想を楽しむのがプロレスだと思ってるんで。それと同じ楽しみ方をしてもらえてるんであればベストかなと思っています。今後ともリング☆ドリームを楽しんでいってください。
でいしろう
ゲーム会社ウルフチーム退社後、『リング☆ドリーム』でデビュー(当時は泥士郎)。その後、TRPGや読者参加ゲームなどの活動を経て株式会社サクセスに所属。現在『リング☆ドリーム 女子プロレス大戦』原作者でいしろうとして活動中。
リング☆ドリーム
1993年にコンプRPGの付録にて女子プロレスを題材にしたカードゲームとして世に出る。その後GURPSとしてTRPG化。2014年現在、株式会社サクセスによりYahoo!モバゲー、Mixiゲーム、ニコニコアプリ、スマホアプリ(女子プロレス烈伝)、台湾(擂台☆夢想〜女子職業摔角大戰〜)の5プラットフォームにてサービスを展開中。