いよいよ初上陸“女の根性比べ”! 勝つのは女子プロレスラー奈七永か!?
2月16日(木)、東京・後楽園ホールで、昨年の10月27日に続くミャンマーラウェイの国内第2回大会が開かれるが、今大会では男子の5試合のほかに女子の試合も1試合組まれることになった。
ミャンマー人のシュエ・シン・ミンという10勝1敗4分、19歳の女子選手と対戦するのは、日本の女子プロレス団体、SEAdLINNNGの高橋奈七永、38歳だ。
昨年12月、ミャンマーでおこなわれた大会で、奈七永はこの競技のデビュー戦を飾っている。3R、KO勝ちしているが、相手は今回対戦するシュエ。これがシュエにとって初の敗戦だったので、これがリベンジ戦になる。
ミャンマーラウェイのルールは、簡単に言えば“グローブをはずしたキックボクシング”。グローブをはずし、バンテージを巻いた拳で殴り合うのだ。
普通の女子なら“顔は女の命”と言うかもしれない。でもこの競技では、そんな理屈は通用しない。わずかな緩衝材を拳につけ、その上からガチガチにバンテージを巻いた状態のグーで殴り合い、素足で蹴り合うのだ。顔を腫らしたくない、なんてことは全く言っていられない打撃系格闘技なのだ。
勝敗を左右するのは、テクニックもさることながら、“根性”が大きなウエイトを占めている。ボクシンググローブをして殴り合えば、グローブで伝わる振動で脳が揺れるので脳震とうを起こすが、脳が揺れてのふらつきは根性ではどうにもならず、倒れるしかない。ところがミャンマーラウェイでは脳振とうよりまず先に、痛みと闘わなくてはならない。また、ボディブローはグローブをしていない分、強力な武器になり、ダウンを続出させる。
痛ければ痛い箇所を抱えて倒れ込むのは、しょうがない。でも、そこから気持ちを奮い起こして再び立ち上がり、相手に殴り勝たなければいけないのが、この競技だ。脳の振動が少ない分、意識ははっきりしているので、顔面、頭部、ボディ、足の痛みに耐えて反撃しなければならず、生半可な根性ではとても勝ち残れないのが、この競技の特徴である。
奈七永は今年1月、SEI☆ZAという新しい格闘競技でも勝利しており、いまやプロレスとの二刀流をこなす選手といっても過言ではない。格闘技の試合で負けることの多いプロレスラーの中で、今度勝てば格闘技3連勝なのだ。しかも格闘技デビュー戦を不利な海外で飾っているのだから、相手とは体重差があったとはいえ立派な戦績である。
シュエは大会前日の会見でコメントを求められると、何度か19歳の女子らしい笑顔を見せたが、「私はいつも笑ってるんです」とのこと。でもあとで奈七永に聞くと、「試合になると人が違う。ガンガン殴ってきますよ」と警戒をおこたっていなかった。
グローブをしないで殴り合う打撃系格闘技、ミャンマーラウェイ。果たして日本初の女子の試合で、女の意地を見せるのは、ミャンマー人のシュエか、女子プロレスラーの奈七永か。意地を張ったとき、女がいかに強くなるかは、男なら誰でも知っている。どんな結末が訪れるかわからないが、格闘技マニアならこれは見届けたい試合だ。
(フリーライター安西伸一)