那須川天心がボディ一撃で元ボクシング世界王者をKO!
衝撃は連鎖「した」。
「神童」那須川天心がKNOCKOUT(ノックアウト)のリングでまたしても快挙をやってのけた。井岡一翔に初黒星を付けた元ボクシング世界王者アムナット・ルエンロンをボディ一発でマットに沈めた。昨年12月、KNOCKOUT(ノックアウト)旗揚げ大会で現役ムエタイ王者をバックキック一撃で失神KO勝ちしたのに続き、またしても「不利」の下馬評を覆したのだ。
試合前「天心苦戦」を予想する声は多かった。ムエタイに精通する関係者は「アムナットはあらゆる攻撃を見切ってしまう。攻撃力はないが、天心の攻撃が全く当たらないのではないか」と予想していた。
事実、序盤から天心はアムナットのディフェンス力に苦戦を強いられた。
「手は長いだろうと思ってたけど、足も長かった。ジャブで攻撃のリズムを作っていくのに、そのジャブが全然当たらなかった」(天心)
それでも天心は持ち前のスピードで絶えずプレッシャーを掛け、単発ながらも攻撃を当てた。こうなるとアムナットも攻めないわけにはいかない。
4ラウンド、ポイントで劣勢と見たアムナットが前に出て、天心にパンチ勝負を仕掛けた。右ストレートを顔面とボディに打ち分けて挽回を狙ったのだ。ここを天心は見逃さなかった。前に出てくるアムナットの腹に三日月蹴りを突き刺し、同じ蹴りのモーションでフェイントを掛けてから渾身の左ボディ! 腹を抑えてその場に座り込んだアムナットは立ち上がることが出来なかった。
鮮やかなKO勝ちに、リング上では「パンチで倒せて嬉しい。自分の自信にもなりました」と笑顔を見せた天心だったが、バックステージでは「ああいう逃げる相手にはもっとプレッシャーを掛けて、もっと早くからいかないと」と反省の弁。ただ、昨年末にRIZINでMMAを経験して「ファイターとしての成長」も実感したという。
「距離の取り方が上手くなって、前よりも(攻撃を)貰わないようになりました」
MMAではタックルや寝技など警戒すべきポイントが多いが、キックに戻ると相手の攻撃を絞れる分「集中力が増す」と感じるのだそうだ。
天心の次戦は、4月16日、横浜アリーナのRIZIN。今回のKO勝利を経て、今度は「MMAの天心」がどんな進化を見せるのか。大いに期待したいところだ。
また、KNOCKOUTにとっては次回大会(4月1日、大田区総合体育館)が大きなポイントとなる。梅野源治と天心の二大エースを軸として2大会を成功させてきたが、次の「天心抜き」の大会ではどんな布陣で臨むのか。そして誰が天心の「衝撃」を引き継ぐのか。梅野源治か、森井洋介か、不可思か、それとも小野寺プロデューサーが「交渉中」という超大物なのか。今後のKNOCKOUTに注目していきたい。
(スポーツライター茂田浩司)